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区立保育園の運動会廃止問題

昨日、終了した第3回定例会(2000年9月議会)では「区立保育園の運動会廃止問題」が、大論議となりました。

読売東京新聞が相次いで報道、中延保育園父母の会からは「運動会の実施を求める請願」が出され(不採択となった)ました。

品川区は「子どもの最善の利益」を考慮して廃止した。「親の就労形態が変わっている。親が運動会に参加できない子がかわいそうだから廃止した」などと述べています。

数年前より保育園行事の見直しをすすめ、これまで廃止になった主な行事は、お泊り保育(全園)、親子遠足(16園)、運動会(2園)となっています。

父母からは「子どもが一番大好きな運動会をなぜ廃止するのか」「十分な説明がない」「140人も職員を減らしたしわよせではないか」などの意見が出されています。

共産党区議団は一般質問で運動会の復活を取り上げ、「運動会の実施を求める請願」審査でも採択のために力を尽くしましたが、自民、公明、民主各党の賛成で不採択となりました。

(9月25日厚生委員会議事録(中延保育園の運動会実施を求める請願)…準備中)

10/20本会議での請願に賛成する討論(鈴木ひろ子議員)「中延保育園の運動会実施をもとめる請願」にたいする賛成討論

日本共産党区議団を代表して「中延保育園の運動会実施をもとめる請願」について、ただいまの委員長の報告に反対し、請願に賛成の立場から討論を行います。

この請願は、区立中延保育園の父母有志の方々より今区議会に対して、1000名をこえる署名を添えて提出されたものです。請願は、できるだけ多くの親子が参加できるよう、土曜日、広い場所で、いままで行われていた趣旨での運動会の開催を求めています。

以下、3点にわたって述べたいと思います。

まず第1に、区は運動会を廃止した理由として「保育指針の改定で『児童の利益を尊重する』という部分から保育、行事を見直した」と述べていますが、子どもが一番大好きな運動会を廃止して、なぜ子どもの最善の利益を尊重したといえるのか、納得のいく説明がされていない問題です。

子どもは運動会が大好きです。父母から寄せられた声でも「子どもは家に帰ってからも運動会の話をしたり、歌や演技を見せてくれたりすごく楽しみにしている」「運動会やお楽しみ会の時期になると、毎日が楽しそうで家でも張り切っている」などと、子どもたちが運動会を楽しみにしている様子も具体的に紹介されています。「何よりも子どもが運動会をやりたがっている」「楽しみにしている子どもに、かわいそうで、変更になったことが伝えられなかった」と親はせつない思いを述べています。子どもたちが最も楽しみにしている運動会がなぜ廃止されなければならないのでしょうか。

運動会は、幼稚園、小中学校、障害者の団体や、町会でも行われ、参加する者みんなに胸踊る感動を与えています。品川区でも今までは、運動会を保育園の行事として、保護者・父母そして子どもたち同士が、「子どもたちの発達を確認し合う場」と位置づけてきたと思います。そして今回保育園から廃止の理由とされている「足の遅い子が傷ついている」「できたできないで評価してしまう」などの問題は、保育士など職員の努力で改善されてきました。運動会を通して子どもたちが「家族や大勢の前で頑張ること、やりとげること、失敗したってめげないこと、日々の保育では体験できない大事なことをまなぶ機会」となっています。だからこそこれだけ多くの父母から廃止しないでほしいとの切実な声が上げられているのだと思います。

今回中延保育園が運動会の代わりに行った「みんなで楽しむ会」は、日常やっているゲームなど遊ぶことを目的としたもので、会場となった園庭は去年まで運動会の会場となっていた中延小学校の校庭のわずか8分の1の狭さです。綱引きをやれば後ろに並んだ子どもが木にぶつかったり、親は中に入り切れずにフェンス越しに見ざるを得ませんでした。運動会にとって代われるものではありません。

区が保育指針の「子どもの最善の利益」なるものを運動会廃止の理由としてもちだしてきたのは、まず運動会の廃止が先にありきで、理由は後から考えたとしか思えません。

第2には、「親が参加できない子どもがかわいそう、子どもに負担がかかっている」との理由から、「親の参加を前提とする行事は廃止」し、その「開催は平日とする」とした問題です。

これまで運動会はできるだけ多くの親が参加できるようにと、ほとんどの園で土曜日に行われてきました。今回の方針は今までの保育園行事に対する考え方を大転換したものです。

親の保育園行事への参加については、品川の保育の長い歴史の中で、職員、父母、子どもたちが一緒になって行事を行い、その取り組みを通じて親睦を深める大事なとりくみとして位置づけられてきました。これを通して、保育園以外でも親同士の交流が広がり、家庭間に育児を相互に援助するネットワークが作られていきました。特に、父親が育児に対して大きくかかわるように変化していったのも、行事の取り組みからでした。仕事で参加できない時は弁当を作って他の親に託し、頼まれた親は我が子以上に気づかいながら、中食事は車座になって一緒に面倒を見る、そんな親同士の横のつながりが築かれていきました。今回の「親の参加を前提としない行事」というのは、親の横のつながり、子育てのネットワークを断ち切るものです。保育指針でも、「保育所における保育の基本は、家庭や地域社会との連携を図り、保護者の協力のもとに行う」と述べていますが、このことにも反するものです。

しかも「行事は平日の開催とする」ことで、「親が行事に参加できないように」し、これまで築かれていた保育園と親との連携、親同士の横のつながりを壊そうとしていることは、子育てにとって今後大きな障害をもたらすことになるのではないでしょうか。

ここで、1年前に父母たちの大きな反対を押しきって運動会が廃止された、東五反田保育園の父母アンケートを紹介します。90%の回収率で、うち87%の父母が運動会の再開を希望し、曜日も「平日でも良い」と答えているのはわずか9%で、ほとんどの方が土曜、あるいは日曜を希望しています。中延保育園の父母のみなさんが自主的に開催した先日の運動会にも、特別の事情の中で行われたものでしたが、6割を超える世帯が参加しています。こうした父母の切実な願いに答えずして、これでどうして子育て支援といえるでしょうか。

第3は、行事に対する方針の大転換を行うのに、父母に対して十分な説明もしない、また父母の要望を聞こうともしない進め方の問題です。

今回、中延保育園では4月に突然、例年実施していた運動会を「廃止」し、「平日の他の行事に変更」するとの文書を父母に送付しました。1週間後に30分間の予定でおこなわれた保護者会、ここでは父母が納得できないまま時間切れで閉会になったといいます。その後父母の有志が、たくさんの父母の声を集めて保育園に要望書を提出しても、文書で同じことを繰り返すだけ。また保育課に訴えても、園と同様の答えが返るのみという状況でした。これにたまりかねた父母のみなさんが立ち上がり、区議会への今回の請願となったのです。

厚生委員会の審議でも多くの委員から「親に対しての説明責任がある」「もっともっと園で話し合うべき」「父母に対して説明会を開くべき」などの意見が出されましたが、こうした声があがるのは当然です。説明会の開催をぜひお願いします。

このような保育園の行事の廃止、縮小は、中延保育園だけではありません。お泊まり保育の廃止に続いて、親子遠足は子どもだけに、いも掘り遠足は園庭でのいも植えに、就学祝う会(卒園式)は土曜日から平日に変更するなど、区内の保育園のすべてで行われています。

品川区のこうした動きの背景に、夜間保育など新規事業を拡大する一方、逆にこの4年間に140人の保育職員の大幅削減があるのではないでしょうか10月6日付け読売新聞でも「保護者の間では『新事業の導入で職員の手が足りなくなり、省力化を図ろうとしているのでは』との不安が広がっている」と報道し、懸念を表明しています。

最後に、今回中延保育園の父母は、忙しい仕事の合間を縫って準備を重ね、父母主催の運動会を多くの父母参加のもとに行いました。子供達、父母がどれだけ運動会を望んでいるかを表していると思います。子供達、父母、みんなの願いである運動会実施を求める請願を、ぜひとも採択していただきますよう訴えまして討論を終わります。

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