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品川区立保育園・運動会廃止、縮小の動き 行政側『子供の利益』強調

「東京新聞」2000年10月15日付の記事

品川区立保育園で、恒例の運動会を廃止、縮小する動きが広がっている。行政側は「子供と親の負担が大きい行事を見直した。保育改革の一環だ」と説明するが、保護者の一部は「運動会は子供の成長を確かめる大切な機会。保育の質の低下だ」と反発。有志が自主運動会を計画する動きも出ている。

保護者の一部に反発の声

厚生省保育課によると、保育園行事に基準はなく、自治体や園に任されている。運動会の廃止の動きは珍しく先駆的な改革か、保育の後退か、地元では保育園行事をめぐる論争になっている。

品川区保育課によると、三年前に「お泊まり保育を、廃止したのをを機に、三十七の区立保育園全園で行事を再検討。昨年と今年に一園ずつが運動会を廃止し、複数の園が午前中だけに時間を短縮した。

廃止の二園のうち、中延保育園は例年、十月の土曜日に隣の小学校の校庭を借りて実施していた。今年は「勝ち負けの評価は子供ヘのプレッシャーになる」として、ゲームやダンスを楽しむ会に変更。「週末は家族のだんらんに」と平日に行い、親が参加できない子に配慮して、親子一緒の競技は盛り込まなかった。

存続を求める保護者らは「運動会は子供の大きな目標、節目になる行事。やり遂げた自信が成長につながるし、親と一緒の競技も子供には楽しみ」などと、園に再考を求めたが聞き入れられず、保護者主催の運動会を例年通りの場所で十五日に開く。

もともと品川区は、全国に先駆けて公立保育園での夜間延長保育や、休日保育を始めた保育先進地。運動会の見直しも、「保育の長時間化に伴い、子供が疲れないように配慮した」(保育課)と、「子供の利益」を強調する。

しかし、ある母親(三七)は「保育時間の延長に人手が追いつかず、中身が薄まっていくようだ」と話す。

運動会をめぐるほかの自治体の例は「保護者が参加しやすい土曜日にと指導」(横浜市)、「保育者が手薄の土曜日は避け、平日に保護者に休暇を取ってもらい実施する園が大半」(神戸市)などまちまちだ。

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