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ゼネコン、大企業の再開発に28億円・区営住宅建設、家具転倒防止はかたくなに拒否
日本共産党品川区議団2000年度決算認定に反対

品川区議会は10月12日、決算委員会最終日を迎え、2000年度決算認定の採決をおこないました。日本共産党品川区議団は一般会計、国民健康保険事業会計、老人保健医療特別会計、介護保険特別会計各決算の認定には反対、用地特別会計には賛成しました。日本共産党区議団を代表して沢田英次区議団長が以下の通り意見表明をおこないました。

自民、公明、民主、合同、区民の与党各会派はいずれも賛成しました。

日本共産党品川区議団の2000年度決算に対する意見表明

日本共産党品川区議団を代表し、2000年度各会計決算に対する意見表明を行います。

一般会計、国民健康保険事業会計、老人保健医療特別会計、介護保険特別会計各決算の認定に反対、用地特別会計には賛成します。

以下、一括して反対の理由を述べます。

第1は、区民の生活や経営が困難に直面している下で、大規模開発を突出させ、ゼネコン大企業奉仕の性格をさらに進めている点であります。

本決算では東五反田2丁目のオーバルコートに22億8700万円をはじめ、ニューシティの用地買収、百反坂の中地区開発(大崎2丁目8・9番地開発)を加えると総額28億円余の税金投入がなされています。

大崎2丁目の中地区再開発は千代田生命が違法な迂回融資で地上げしたことを指摘してきました。千代田生命は全体面積の80%を所有、ここに補助金50億円近くも投入する理由はどこにあるのでしょうか。

補助金の適正化に関する法律は「補助金が国民から徴収された税金であることを考慮し法令にもとづき公正、効率的に努める」と明記しています。中地区開発への税金投入は法律に反するといわなければなりません。

「直下型地震が起きれば半数の木造家屋が全壊する」との調査結果がでているもと、高齢者や低所得の方への対策は急務です。家具転倒防止や建物診断を講ずることは命に直結した緊急課題なのに、区長は「個人の財産は個人で守るべき」とかたくなに拒否。公営住宅の競争倍率が50〜70倍に上っているのに区営住宅は建設しないことを決定。区民の安全や住宅より、ゼネコン、大企業のビルづくりに奔走する、品川区政の姿勢を象徴するものといわなければなりません。

大崎駅東口第3地区は、当初設計費補助を盛り込みながら先送りされました。三井不動産の撤退、規模の見直しがされました。ここに100億円の税金投入が先ほど明らかにされましたが、オフィスビル中心の大規模開発は区民の願いにも、経済の要請からもその根拠を失っております。日本一の品川区の再開発計画に対し根本的見直しを求めるものであります。

なお、密集住宅市街地整備事業は、住民の合意を得ながら安全、快適な町をつくる点で前進していることは評価をするとともに、これに見習ったまちづくりへの転換を求めるものであります。

第2は、福祉・教育、とりわけ低所得者対策から総撤退をすすめている点であります。

生活保護世帯に対する入浴券支給事務と見舞金の削減、都の福祉切捨ての財政推進プランにもろ手をあげて賛成、高齢者福祉手当の廃止、区営住宅の家賃免除政策の原則廃止も行っています。

桜井議員が総括でも触れましたが、款別審査の際、区長は「ホームレスが施設に入らないのは本人の住めるところがあるからだ。品川には住めない状況をつくっていく。品川区は住みずらいから他区にいってもらう」との趣旨の発言をしました。

私はこれが区長の発言か、と耳を疑いました。現在のホームレスの発生は長引く不況のもとで企業のリストラ、中小企業の倒産などにより余儀なく生み出されているのであります。

行政の任務は、仕事を奪われ、住まいを失った人に対し、心を寄せ、住まいや仕事の確保につくすことなのに、区長の発言は残念といわなければなりません。都の「ホームレス白書」では8割が就職を希望、仕事探しをしているのであります。あらためて、ホームレスの皆さんに仕事の確保、保護を希望し条件に合致する方には生活保護の適用など自立できるよう支援することを求めるものであります。

第3の問題は、職員定数削減と雇用問題であります。

2000年度は保育園給食民間業務委託で12名、ヘルパー16名、学校事務・用務職員82名、出張所33名などで総計145名の職員減を行っております。

こうした職員の削減がそれぞれの施策に大きな困難をもたらしていることはそのつど述べてきましたので、私は、ここで区の職員削減と雇用問題についてのべます。

完全失業率は戦後最高の5%、雇用問題が深刻になっていますがその原因は企業が競い合ってリストラを進めたことにあります。加えて現在、日本のIT関連大企業を中心にリストラを推進。ソニー17000人、富士通16400人の人員削減を表明、大手30社だけで見ても16万人に及ぶ未曾有のものとなっています。

このような失業者の急増は、働く人に激痛を与えるばかりか、品川の産業衰退、税収減、コミュニティ弱体化など及ぼしかねず、区政の将来にとっても一大事といわなければなりません。

雇用不安のもう1つの原因が国や自治体が行革の名で職員削減を進めたことであります。

品川区は昭和58年以来、職員削減、民間委託、パート化で1056名の職員定数を減らした、と豪語しています。民間企業のリストラとあいまって職員定数の削減は、失業者と、ホームレスの増大、とりわけ青年の雇用を深刻にさせてきました。労働者の低賃金、不安定雇用はすさまじい勢いで広がっていますが、品川区にもその責任の一端はあるといわなければなりません。わが党は行政の無駄を排することは重要な課題と考えますが、営利企業と競い合って財政効率のみの人件費抑制政策は、見直しすべきと考えます。

第4は、人権無視の差別的行政の問題です。

総括質問でも取り上げましたが、介護保険事業において区の在宅介護支援センターや区が協定している事業者以外の事業者を排除、情報提供も、面談も拒否をしている問題であります。

区は「介護保険はこれまでの措置から契約に、利用者がサービスを選択できる」と宣伝してきました。しかし、現状では(1)在宅介護支援センターの運営を社会福祉法人に加え、大手シルバー産業にまかせる、(2)在宅介護支援センターがケアープランを独占、そのことにより、大手シルバー産業が報酬の高い身体介護を独り占めにし、地元事業者に回さない運営を続けている点です。

加えて、宮崎議員が取り上げた、地元の業者が「情報を得たい」と区側に会見を求めると担当課長は、なんだかんだと理由をつけて会おうともしない。こんな自治体がどこにあるのでしょうか。

地元の中小業者のもとで300人弱が介護サービスを受けています。保険者として情報提供すら行わないことは、行政による事業者とその利用者に対する重大な差別といわなければなりません。

また、学童保育連絡協議会と所管課長の面談が「区長が示した基準」に沿って設けられるよう、今度こそ強く求めるものであります。

次に、国民健康保険事業会計。老人保健医療特別会計、介護保険会計について述べます・

国保会計では、品川区は、資格証明書を40名に、また、短期医療証を4360世帯に発行しました。これは善意の国保料滞納者への懲罰になりかねません。区の直近資料によれば滞納理由が失業や病気ケガ、生活困窮、会社倒産など経済的理由が63・5%にものぼっており、大不況のもと、医者にかかれない事態の拡大は必至であり容認できません。

老人保健会計では、老人医療は今年1月より定額から一定の定率制になり平均でも2〜3倍に負担増をもたらしています。連続医療保険改悪を容認する姿勢は認められません。

介護保険会計は、当初予算から25%もの大きな減額を行いました。これは療養型病床群の算定見込み違いが原因ですが、23区1高い品川の保険料の要因になっています。あらためて取りすぎた保険料の引き下げ、減免制度の拡充など区民に還元することを求めます。

なお、低所得者の保険料減額制度は評価しますが、当初見込みの1200名に対し申し込みは170前後、目標に遠く及ばない事態となっています。低所得者が安心して利用できるよう思い切った利用条件の拡大を求めます。

最後に、事務事業評価(行政評価システム)についてのべます。13年度版では、大崎駅東口第3地区を最高ランクのAと評価する一方、勤労者生活資金、奨学金貸付、布団乾燥事業、生活保護の法外援護・保護率の低下などCおよびDランク。住民サービスには低い評価を与え、来年度予算をめざし、見直し、廃止を行おうとしています。

区民に定着してきたサービスを区民の声も聞くことなく削っていくことは住民自治の原則を踏みにじるものといわなければなりません。

わが党は行政評価にあたり「区民への情報公開と区民の意見を聞くこと」「財政効率優先でなく、区民の暮らし福祉を守る視点を貫くこと」などの見直しを求めます。

以上で各会計決算に対する日本共産党区議団の意見表明といたします。

<参考>
・百反坂の中地区開発 (大崎2丁目8・9番地開発)
・密集住宅市街地整備事業
区の在宅介護支援センターや区が協定している事業者以外の事業者を排除
23区1高い品川の保険料

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