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南恵子区議2000年第4回定例会「介護保険」「少年法」「障害者自立支援」

2000.11 南 恵子 区議

一般質問項目

  1. 二十三区で一番高い介護保険料の引き下げと低所得者への減免を地元中小事業者に依拠した事業運営に
  2. 厳罰化より教育的指導を、子どもの将来にかかわる少年法「改正」についての区長の見解を問う
  3. 精神障害者の自立のために、地域生活支援センターの早期開設とヘルパー派遣制度の創設を

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一般質問

日本共産党区議団を代表して、一般質問を行います。


二十三区で一番高い介護保険料の引き下げと低所得者への減免を地元中小事業者に依拠した事業運営に

初めに、二十三区で一番高い介護保険料の引き下げと低所得者への減免を地元中小事業者に依拠した事業運営にの質問です。

十月から一号被保険者の保険料が天引きされて、区民の間で不満と怒りが高まっています。私は、介護保険料の引き下げと低所得者への減免に絞って質問します。

今年度の介護保険会計予算は百十六億円余、しかし、半年経過した現在、予算執行は七割弱のペースで、このまま推移すれば、年度末で介護保険事業予算の三十億円近くも余るということが予想されます。

我が党が指摘してきたとおり、介護保険の予算そのものに問題があったと言え、区はその事態を改善しなければなりません。

なぜ介護保険事業費がこんなに余るのでしょうか。

第一の理由は、介護サービスの利用が七割程度にとどまっていることで、一割の利用料負担が重くて、サービス利用が抑えられていることに大きな原因がありますから、我が党の条例提案のとおり利用料負担を軽減して、介護サービスの利用拡大を図るべきです。

第二の理由は、療養型病床群の算定の問題です。区は予算作成の際、百六十床程度の利用しか予想されない療養型病床群をその三倍以上の五百床も算定し、三百四十床分も事業費を膨らましました。この額が今年度分だけでおよそ十七億円です。この問題は先の決算特別委員会で自民党議員も指摘しましたが、この分は本来区民が負担する必要のない分なので、保険料を引き下げて区民に返還するべきです。

我が党が指摘してきたとおり、療養型ベッドが医療から介護に移行しない事態は、東京都も認めてきたところです。大田区や目黒区、港区など多くの自治体が、療養型ベッド利用を見直して保険料を引き下げました。品川区は当然予想できたにもかかわらず、療養型ベッドの利用を五百にしたまま保険料を算定した責任は重大です。

我が党の保険料引き下げ要求に対して、区は「三年後の保険料改定で引き上げ額を抑えるので、余った分は貯金する」と答弁しましたが、現行保険料こそ値下げするべきです。また、将来の人の保険料を値下げするために、なぜ今の人が必要以上に負担しなければならないのでしょうか。不況の中で区民の多くは経済的余裕などないのであります。

「介護サービス利用は今後増える見通しだ」とも説明しました。しかし、実際は認定を受けている方が増えているにもかかわらず、サービス利用はほとんど増えておらず、問題の療養型ベッド利用は、区の計画でも今後利用を減らすことになっているではありませんか。区の説明では納得でき得ません。改めて事業費の見直しを行い、必要以上に高く設定した保険料の引き下げに踏み切るよう強く求めます。

次に、低所得者への保険料減免について伺います。高齢者の福祉・医療の環境は厳しさを増しています。シルバーパスの有料化、マル福、寝たきり手当の廃止などで生活が直撃されている上に、介護保険料の徴収で悲鳴が上がるのは当然です。全国二百の自治体で低所得者への減免制度を実施し、二十三区でも千代田区、江戸川区などで実施の方向になっています。ところが品川区は、「区民は負担について理解している、質問や苦情もごく一部で、問題ない」と言いますが、区民の意識と大きな隔たりがあると言わざるを得ません。

低所得者にも負担させる介護保険制度そのものに問題があることは論をまちませんが、区民生活を守るのが自治体の役割で、区長は高齢者の生活の実態に目を向けて、抜本改善を国に要求するとともに、区としても緊急措置として低所得者が制度から排除されないよう手だてをとるべきです。低所得者への保険料減免を強く求めるものです。

次に、大手シルバー産業優遇、地元事業者排除の問題です。地元事業者へ支援、育成こそが自治体の役割なのに、区は地元事業者を排除しているだけでなく、儲け本位で事業を拡大して失敗し、従業員の大量解雇などで社会的に批判を浴びているコムスンを十月から導入しました。

区が進める事業運営の問題は、第一に、ケアプラン作成を在宅介護支援センターに独占させ、地元の中小業者にはほとんど回さないこと。第二に、在宅介護支援センターの大手シルバー産業への委託。これにより、大手シルバー産業がケアプランを作成して、サービスも自社から派遣する「囲い込み」を可能にしています。そして第三に、ホームヘルパー派遣も、介護報酬の高い身体介護はシルバー産業に独占させ、地元事業者には報酬の低い家事型しか回さないことです。こうしたやり方は、自由なサービスを選べるという介護保険法の理念に反するのではないでしょうか。

排除された地元事業者はどういう事態になっているか、ご存じでしょうか。事業者は、ケアマネージャーの資格や法人格の取得などの準備を進めてきましたが、「品川では仕事にならないので、他区に行ってしのいでいる」こういう状態です。中には「仕事にならないので、事業をやめるかどうか、そろそろ決めなければならない」こう訴える事業者もあるほど事態は深刻です。また、区内事業者で働くヘルパーさんも「収入が高校生のアルバイト程度に落ち込み、これでは生活ができない」と訴えています。

区は「大手シルバー産業は優秀で、技術は問題ない」と言いますが、本当にそうでしょうか。一例を紹介します。十月からコムスンのヘルパー派遣を受けた家族を訪問いたしました。痴呆症の奥さんを介護しているご主人は「ベッドから車いすへの移動が、看護婦さんや臨時で来てもらった家政婦紹介所のヘルパーさんは手際よくやれるのに、コムスンのヘルパーは二人がかりで十分もかかった。食事介助でもヘルパーさんだけではできないので、自分もついている。これではヘルパーに来てもらっている意味がない」と述べていらっしゃいます。

今以上に介護職員の研修の充実は必要です。大手だから優秀で安心だとは言えない具体的な事例です。区は、大手シルバー産業優遇ではなく、地元事業者にも情報を提供するなど、事業者間の自由で平等な競争を保障した事業運営を強く求めます。

そこで、質問します。

  1. 取り過ぎている保険料は速やかに引き下げるべきと思いますが、いかがでしょうか。
    また、低所得者のための減免制度実現を求めますが、いかがでしょうか。
  2. 療養型病床群の利用数および事業費と「剰余金」の額についての区の見込みを伺います。
  3. 大手シルバー産業優遇をやめ、地元中小事業者へ仕事を回すよう求めますが、いかがでしょうか。特に地元の支援事業者にもケアプランの作成、身体介護ホームヘルパー派遣の仕事を回すようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。
  4. 区の「介護保険は順調で問題なし」という認識は、実態からかけ離れています。アンケートなどで区民の実態を調査するべきと考えますが、いかがでしょうか。

厳罰化より教育的指導を、子供の将来にかかわる少年法「改正」についての区長の見解を問う

次に、厳罰化より教育的指導を、子供の将来にかかわる少年法「改正」についての区長の見解を問うの質問です。

十六、十七歳の子供たちの犯罪が相次ぎ、その事態の深刻さに多くの国民が胸を痛めています。少年問題は社会を映す鏡であると言われますが、今の社会のゆがみや不安、病理現象が色濃く犯罪に投影しているもので、ゆゆしき事態であります。この事態を受けて、急遽少年法の「改正」案が国会に提出され、少年といえども厳罰に処すべきだとの意見と、被害者救済の明確化を求め、審議が急ピッチで進められています。

しかし、提出された与党案で、果たして罪を犯した子供たちを更生させることができるのでしょうか。また、凶悪犯罪の発生をなくせるのかなど、根本的な問題解決を求める国民、特に少年犯罪にかかわっている関係者や、被害を受けた家族から異論が続出しています。私は、子供と日本の将来に重大な影響を及ぼす少年法の「改正」には、十分な時間をかけ、慎重な審議を求めます。

ここで、国会での審議の中で明らかになってきた問題点と我が党の見解を述べます。

第一は、厳罰化についてです。与党案は、十四、五歳の少年にまで刑事罰を科す道を開き、十六歳以上の少年の犯した重大な犯罪は、検察官に「原則逆送」としています。殺人など凶悪な犯罪を起こした少年は、皆それなりの問題を抱えています。自分が大切にされた経験がないため、暴力を振るうことに抵抗感がないと識者は言います。自分のやったことの意味を受けとめ切れない少年には、その認識を引き上げることと人間性を回復させる働きかけが必要です。それを行うところが少年院です。この少年院では、子供の性格や犯罪内容に沿って専門家が指導し、事実と向かい合わせて真相に迫ることで、少年の自覚と自己改革を促すので、再び犯罪を犯す確率は少ないと言われています。

ところが与党案は、手を伸ばせば立ち直るはずの子供を刑務所に入れ、厳罰を与えることを主張していますが、厳罰化を進めたアメリカや韓国で、少年犯罪は減少するどころか逆に増えているのです。効果がないことの何よりの証明ではないでしょうか。元検察官の寺尾氏は、長年非行少年と接した経験から、「子供が事件を起こすとき、規範や刑罰を意識してはいない。刑罰年齢の引き下げは到底容認できない」と国会での参考人として意見を述べました。

佐賀バスジャックで被害に遭った山口さんは「少年はこんなにしなくてはならないくらい傷つけられていたんだと感じた。少年をここまで追い込んだのは何だったのか。刑事罰適用年齢を引き下げることに何の意味があるのでしょうか。加害者を許すのはつらいことですが、大人が責任を感じて真摯に受けとめられる社会ができたらいいな」と語っています。厳罰化でなく、子供たちを追い詰める原因を取り除くことこそ急がなくてはなりません。

第二は、被害者救済についてです。今年五月三日、西鉄高速バス乗っ取り事件で、少年によって刺殺された塚本達子さんの長男は、国の責任で被害者救済をすることこそ被害者の願いであると強く訴えていらっしゃいます。また、犯罪精神医学が専門の福島教授は、参考人の意見陳述の中で「厳罰化して子供を死刑にしても、必ずしも被害者の心が癒されるものではない。国の責任で心理的なケア、医学的な援助、犯罪給付金を交通事故の保険金並みにするという経済的な援助を通して、被害者の心の傷を癒していくのが本筋」と述べていらっしゃいます。

我が党は、それ以外に、捜査や審判手続の進展状況などを含めた被害者側への必要な情報開示なども実施されるべきであり、さらに、成人年齢を十八歳に引き下げ、成人としての社会的権利を付与し、法的、社会的責任を果たすことを求めます。品川区内でも少年犯罪が起きていることを耳にします。少年法の「改正」は区民にとって大きな関心を持たないではいられません。子供にかかわる団体からも厳罰化については慎重にするべきだという声が寄せられています。そこで区長に、自治体の長として少年法「改正」についての率直なご見解を伺います。


精神障害者の自立のために、地域生活支援センターの早期開設とヘルパー派遣制度の創設を

最後に、精神障害者の自立のために、地域生活支援センターの早期開設とヘルパー派遣制度の創設をの質問です。

品川区内には、精神障害者は三千二百人くらいと推定されていますが、適切な治療と日常生活のフォロー体制さえあれば、仕事などの社会参加は十分可能です。品川区はこれまで共同作業所やグループホームの設置、デイケアを初め、相談事業などの実施をしてきましたが、利用者はそれでも二百名程度にすぎず、一割にも満たない実態であります。保健所等で実施している相談件数や、デイケアの参加数は年々増え続けているだけに、区の施策の拡大は必要であります。

今年の二月、品川区精神保健福祉連絡協議会が、障害者の地域生活支援体制の整備について検討を重ね、具体的施策を提言されましたが、ここでも生活支援センターやホームヘルパー派遣制度など「早急に実施」を求めています。そこで今回は、地域生活支援センターとホームヘルパー派遣制度の実現を求め、質問いたします。

まず、地域生活支援センターについてであります。地域生活支援センターとは、障害者の日常生活の支援を電話や面接、訪問などによって行い、服薬や金銭の管理、自立的な活動や地域住民との交流の場の提供などをするもので、都内には十七カ所設置されています。

大田区が、一昨年度からボランティア団体の運営により二年間のモデル実施を行っていますが、ご紹介します。開設時間は一週間のうち月・水・金の三日間、午後二時から八時までですが、夕食サービスを行うときは、いつも二十人から三十人くらい集まり、憩いの場になっているといいます。さらに、ミーティングや生け花教室などもあります。運営経費は、相談員や調理員、事務員、ドクターなどの人件費などで三百五十万円程度であります。モデル実施の評価について伺うと、今まで引きこもりがちな人も気軽に来れるようになり、来ることで日常生活にめり張りが出てきて、センターが支えになっていることを実感するといいます。

このような効果は、精神障害者と家族にとって何より心強いものです。ある家族会の方は「家族だけで病人を支えていくのは限界がある。七十歳くらいまでは自分の人生を犠牲にしても頑張れるが、それ以後は体力的にも金銭的にも無理。私たち家族は世間に迷惑とならないように四十年間頑張ってきた。もうそろそろ他の人の支援を受けても罰は当たらないと思う。どうか精神障害者一人一人のニーズに合った福祉施設をつくってほしい」と訴えています。また、障害者自身も次のように言っています。「就職したいが、すれば作業所には通えなくなるし、ストレスも高くなり、不安感も強くなるので、仕事の後に集まって話せる場所が欲しい」。

この問題について、品川区は設置の必要性を認めてはいますが、設置時期を具体的にしておらず、関係者のたっての願いはいまだに実現されていません。早急に計画を具体化するべきでありますが、いまだにできない理由は一体どこにあるのでしょうか。

次に、ホームヘルプサービスの問題です。私が経験した事例を紹介します。この方は離婚して小学校三年生の子供と二人きりになり、生活や子育ての不安から病気がどんどん悪化、とうとう仕事も家事もできなくなり、一日じゅう部屋の片隅にうずくまって過ごす生活になってしまいました。子供は、お母さんが食事をつくってくれないので自分でパンを買って食べ、学校に行っていました。けなげで哀れです。母親は、苦しくなると私に電話をかけてくるので飛んでいくと、部屋の中には雑然としていて悪臭がする。こういう生活をしていたら、子供の精神発達に深刻な影響が出るのではないかと思い、せめてヘルパー派遣制度があれば、子供の生活も確保されるでしょう。こういう悲惨な状況は一刻も早くなくさなければなりません。

ところが、ホームヘルプサービスを実施している自治体は少なく、二十三区では世田谷区のみです。世田谷区の場合、派遣回数は個々の状況によりますが、公務員ヘルパーと民間ヘルパーで対応しています。ヘルパー派遣を実施しての効果は、在宅生活が可能になり、生活の質も向上、また集団適応できるようになって、再発防止につながるなどを挙げています。

品川区は、一九九九年の精神保健法および精神障害者福祉法の改正で市町村事業となって、平成十四年度から在宅福祉支援事業として位置づけられたので、第三次長期基本計画の中で実現するとしています。また、先の決算委員会では、ボランティア養成を保健所で行っていると答弁されました。しかし、ホームヘルパー派遣をボランティアで実施するのは適切とは思えません。訪問したものの、病気の急性期の場合は、家に入れてもらえなかったりなどもあり、ヘルプサービスできないで帰ってしまったという事例が多くあるそうであります。

このヘルパー派遣について、我が党は、病気の専門知識を持ち、保健福祉行政のネットワークを有効に活用できる立場にある公務員ヘルパーで実施するべきだと思います。公務員ヘルパーを核にして、民間ヘルパーやボランティアなどの協力を得て実施するよう強く要望します。そこで、質問します。

  1. 地域生活支援センターの設置を早急に求めます。この間、区は第三次長期基本計画に取り入れると言ってきましたが、実施計画をつくり具体化するべきです。計画はどこまで進んでいるのでしょうか。
  2. ホームヘルパー派遣制度の創設も、切実な願いだけに早急に求めます。制度創設に当たっては、公務員ヘルパーを配置し、民間ヘルパーやボランティアの協力も得て早急に実施するべきと考えますが、いかがでしょうか。

以上をもちまして、私の一般質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。(拍手)


答弁

区長(高橋久二君)

南議員のご質問のうち、初めに少年法「改正」についてお答えを申し上げます。

近年、少年犯罪の凶悪化、低年齢化が著しくなっており、警察白書や青少年白書でも少年非行の深刻さが報告されている中、少年法改正が今国会で審議されていることは周知のとおりでございます。今回の改正の柱は、刑事罰対象年齢を現在の十六歳以上から十四歳以上に引き下げる。十六歳以上で殺人など重大犯罪を犯した場合は、原則として成人と同様に刑事裁判を受けさせるなどとなっております。

国会では、衆議院本会議において賛成多数で可決され、現在、参議院に送付され審議されている最中でございますので、区といたしましては、国会の審議の経過を見守ってまいりたいと考えております。

次に、精神障害者のための生活支援センター設置とホームヘルパー派遣制度の早期実現について、お答えを申し上げます。

精神障害者生活支援センターは、精神障害者が地域で生活するための支援体制の中心的役割を担うものとして、また、ホームヘルプサービスは精神障害者の日常生活を支える制度として、精神障害者福祉の重点的な施策と考えております。

現在区では、精神保健福祉連絡協議会において、精神障害者生活支援センターにつきましては、日常生活支援や相談業務、交流の場などの事業内容や、運営主体あるいは利用者負担のあり方など、またホームヘルプサービスの実施に当たっての人材確保策を初め、サービス内容や関係機関の連携によるケアマネージメント等、諸課題の検討をしていただいているところでございます。なお、ヘルプサービスにつきましては、民間事業者を予定しております。

したがいまして、現在策定を進めております第三次長期基本計画およびそれに基づく実施計画の中で、実施時期、内容等を十分検討して進めてまいりたいと考えております。

その他の質問につきましては、担当の部長からお答え申し上げます。

高齢者部長(新美まり君)

私からは、介護保険にかかわるご質問にお答えいたします。

第一点目の保険料の引き下げと低所得者への減免についてでございますが、これまでも再三お答えしているとおり、これらにつきましては介護保険制度の根幹をなすことでございますので、十分状況を分析し、対応すべきことと考えております。とりわけ一号被保険者の保険料の設定は、ご案内のとおり、それぞれの自治体のサービス水準に応じ、三カ年のサービスの利用状況を見込み、必要な給付額を確保するものであります。制度開始後、いまだ半年間の現時点において、軽々に判断すべきではないと考えます。

また、利用者の一割負担が在宅サービスの利用の拡大を阻んでいるとのご指摘ですが、上半期のサービスの利用動向を見ますと、ホームヘルプサービスでは、毎月平均百五十人の方が新しくサービスを開始して、一割の利用料を負担していただいており、想定を上回る伸びを示しているところです。サービス利用の見込みと現状との関係につきましては、各サービスごとにその要因について分析をしていく必要があると認識しているところでございます。

したがいまして、保険料等にかかわる見直しや減免制度につきましては、法における五年後の見直し、区における三年後の介護保険事業計画の見直しの時期に合わせ、所要の措置を講ずるべきと考えておりますので、現時点で区独自に実施する考えはありません。

第二点目のご質問ですが、療養型病床群の利用者数は、介護報酬給付ベースで上半期平均百六十人となっており、事業計画で見込んでいた数と乖離があることは承知しております。この要因につきましては、先の第三回定例会でもご答弁いたしましたとおり、医療制度の動向と密接に関連しているとともに、今後、利用者が他の施設サービスや在宅への移行等、どのような動きを示すか、また、病院等供給側の動向など、今後の状況の推移を注視すべきと考えているところでございます。

また、保険給付費の見込みにつきましては、上半期の状況は、施設サービスについては予算に対し六割から七割の執行率ですが、在宅サービスにつきましては月々伸びを示し、九割近くになっております。介護報酬の請求事務はある程度安定してきたものの、現時点では年度末を推計できるだけの確度に至っておらず、今後、予算編成の過程に合わせて今年度の給付費の推計を精査してまいります。

第三点目の地元中小事業者に関するご質問ですが、区としては、制度導入期においては、区民がこれまでどおり安心してホームヘルプ等のサービスを利用できることを第一として、地元事業者の体制整備状況を踏まえながら、対応してきたものであります。その主旨につきましては、各事業者に十分説明し、理解をいただきながら進めるとともに、必要な支援も行ってきたところでございます。今後とも、サービス利用者のニーズとともに、事業者側の意向も踏まえ、制度の転換期における適切な対応を図ってまいります。

最後に、第四点目のアンケートなどの実態把握をとのご質問でございますが、区としましては、サービスの量とともに、質の確保、向上が制度実施後の重要な課題であると考えております。このような観点から、サービス向上委員会を設置し、現在、訪問介護と訪問入浴についてサービス評価を実施している最中であります。この中で、利用者評価として、ホームヘルプサービス利用者二千百人全員に自由意見の記載もできるアンケートを行っているところであります。区としては、これらの調査結果をもとにサービスの実態把握を行えるものと考えております。


再質問

南恵子君

それぞれご答弁をありがとうございました。

少年法の改正の問題については、国政問題のときには、いつも区長は差し控えるというご答弁です。しかし、私が質問したのは、品川区内でも、凶悪犯罪までは起こっていませんが、しかし、学校現場にも警察の方々が入り込むほどのそういう状況もあるわけですから、その点で品川の状況を踏まえての区長なりのご見解を伺いたかったところで、甚だ残念です。改めて見解を表明していただければと思っておりますが、よろしくお願いいたします。

それから介護保険の問題ですが、保険料について、また療養型病床群についても、今までの延長線上かなということで大変に残念であります。保険料については、独自に減免をしているところが、先ほどもご紹介しましたけども、全体で二百自治体あるわけです。東京の場合は千代田区、そして江戸川区、こういうところでやっているわけですね。これは厚生省の方でもかなり厳しい締めつけをしてきておりますが、しかし、自治事務ということで、独自の制度を設けることは頭から否定はしていないわけです。したがって、全国で紹介されているように、この十月から保険料徴収になって、改めて品川の区民の方々がなぜ自分が払わなければいけないのか、高過ぎて負担が重くて払い切れない、こういう声がたくさん出ているわけで、そこに沿っての保険料の減免を強く求め、独自にやっぱりやるべきだというふうに思うわけです。

それと同時に、品川区の場合はとりわけ、私どもも重ねて指摘しておりますが、療養型病床群の個々の算定が、数が多く見込み過ぎて保険料徴収をし過ぎているという、こういうところについては、改めてどういうふうにこの現状を考えようとしているのか、ちょっとその辺がわからないところであります。法上では五年後、品川区では三年後のこの時期に考えていきたいという先ほどのご答弁でありましたけれども、私は、今のこの時点で大変な悲鳴が上がっている、ここのところを、区民のこういう声をどういうふうにとらえるかという、そういう問題だと思うんですね。したがって、取り過ぎている分は少なくとも早急に還元する、ぜひこういう方向に進めていくべきだというふうに思いますので、改めてこの辺についての見解も伺います。

それから、大手シルバー産業の部分なんですが、この間区民ニーズを大事にしてきたというふうにおっしゃっているわけで、また制度の転換期にという、ちょっと今までのニュアンスとは変わったかなと思うんですが、しかし、制度の転換期というのが具体的にいつなのか、なかなか明確にうかがえませんでした。例えば今年度の終わりごろとか、あるいは年を越える一月あたりとか、そういうふうに具体的な時期を明確に教えていただきたいと思います。

それと、精神障害者の問題ですが、品川区は、先ほどの区長さんのご答弁では、ホームヘルパー派遣については民間で実施をすると、そして、長期計画にのせ、実施計画の中でも時期を検討していきたいという、こういうご答弁でした。今までのさまざまな委員会、本会議等での質疑の中で、実施計画という言葉が出たのは今回が初めてだと思いますので、その辺については前進はしたのかなというふうに思ったんですけれども、しかし、実施計画にのせるということだけで、ここも具体的ではありませんので、私は、これは例えば平成十三年度、あるいは十四年度と、こういうことで時期を明確に示していただきたいと思うんです。それが一つです。これは、地域支援センターについても、ヘルパーの派遣制度についても同じことで、もう一度ご答弁をお願いしたいと思います。

それから、ヘルパー派遣制度の方はとりわけ切実な要求なんですよね。私も経験した事例で先ほどご紹介しましたけれども、本当にきちんとしたフォローがされれば、日常生活も人間らしく過ごしていける、あるいは社会参加も可能になる、こういう状況が各地の事例でもう明確でありますから、ここのところを本当に手だてをとっていただきたいと思うんです。それとあと、社会参加について非常に多くの方々が願っていらっしゃいますが、この社会参加の必要性についても、改めてどういうふうに認識として持っていらっしゃるのか、その辺についてのご答弁、お願いいたします。

以上です。


再答弁

区長(高橋久二君)

再質問にお答えを申し上げます。

少年法の関係につきまして、少年法の改正についてどう思うかというご質問でございますので、国会で審議されておりますということを申し上げました。区長としての見解は控えさせていただきたい、これが法律改正の問題に対しまして終始一貫してのお答えでございます。あしからず。

それから、精神障害者の問題でございますが、先ほどのご答弁の中にもございましたように、精神保健福祉連絡協議会におきまして、現在も支援センターの問題、ホームヘルプサービスの問題等について、ご検討をお願いしているものでございます。第三次長期基本計画は平成十三年度から実施をされるわけでございまして、それまでに実施計画も同時につくられていくものでございます。その中にこの問題につきましても具体的に織り込んでいきたい、このような考えを持っているわけでございます。したがいまして、今、南議員のご要望はご要望として承ります。この実施計画の中でこの問題につきまして明らかにしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。

高齢者部長(新美まり君)

私からは、介護保険にかかわる再質問にご答弁申し上げます。

まず、保険料の低所得者への対策の問題でございますが、保険料の徴収が始まって一カ月余たったばかりでございます。それぞれの納付は順調になされているというふうに聞いておりますが、個別にいろいろご相談があるケースについては、国制度の中にも、生活保護との境界域の判定等対応すべき方策もございますし、個別にご相談をさせていただきたいというふうに考えております。

それから、二点目の療養型病床群については、先ほどご答弁申し上げましたとおり、これにつきましては制度導入後の医療制度全体の中での動向でございますし、今後まだ十三年度、十四年度という形で期間もございますので、この動向を私どもとしては注視していくべきであるというふうに考えております。

最後に、地元ヘルプ事業者の方々との関係ですが、これも再三ご答弁申し上げていますとおり、制度導入前の準備段階から何回も連絡会を開催し、情報提供はもちろんのこと、相互の意見交換、それからご要望に対する対応等、それぞれきめ細かく対応してきたところでございます。今後とも三カ月後、半年後というような形でお互いに先を見通しながら、情報交換に努めていく所存でございます。


再々質問

南恵子君

介護保険の関係です。保険料について、今部長のご答弁では、個別ケースで相談をしていくと、あるいは生保ということもあるというお話なんですが、私が伺っているのは個別のケースの場合ではなくて、やはり介護保険料の負担感というのはかなり全国的な問題でありまして、全国で同じような事例がいっぱい出されているときに、品川区だけが特異ではないわけですね。したがって、全国と同じような状況で品川区民の方々も保険料負担に耐え切れないという、こういう方たちがいらっしゃるわけです。とりわけ収入の少ない、そういう高齢者の方々への配慮というのは必要なんじゃないかというふうに思うわけですね。

そういう中で見たときに、品川区は、療養型病床群のここだけ見ても保険料を高く徴収しているという、こういう状況があるわけですから、最低限このところの保険料の改定というのはするべきではないかと思うわけです。個別の対応のことを伺っているわけではなくて、保険料の軽減をするかしないか、意志があるかないかということ、どういうふうに低所得者の生活を防衛していくための施策をとるかという、こういう問題について伺っているので、私の質問の趣旨を酌んでいただいて、ご答弁を改めてお願いしたいと思います。

それから、大手シルバー産業のこの問題について、制度の転換期ということでは、具体的に先ほど質問したつもりなんですが、三カ月あるいは六カ月と。その後の見通しを見つつだというふうにおっしゃっていたんですけれども、制度が始まって半年以上たちましたから、こういう中で地元事業者の方々が事業を畳むかどうか、そういうところにまで追い込まれている現実があるというわけです。こういう現実があるということは承知をしていらっしゃるのでしょうか。それについて改めて伺いたいのと、そういう事態を認識するなら、やはり早急に何らかの支援をしていくべきじゃないかというふうに思いますので、その点についての見解を伺います。

それと、精神障害者についてのホームヘルパーの問題ですが、実施計画についても、たしかいろいろと期がありますよね。前期とか後期とか、一次とか二次とか、そういう関係で見ると、どの時期に位置するというふうに今は考えていらっしゃるのか。私は、ぜひとも区民の方々の要望が高いという点から、早急に実施をするべきだというふうに思いますので、第一次期というんでしょうか、そういう表現でしょうか、そういう前段に前倒しをして、一番最初の課題だということで取り組む必要があるというふうに思うんですが、そこら辺についても明確なご答弁をお願いいたします。


再々答弁

区長(高橋久二君)

再々質問にお答え申し上げます。

先ほどから申し上げているとおり、精神保健福祉連絡協議会におきまして、現在検討をお願いしているところでございます。したがいまして、その検討の結果を踏まえまして、区の方でこれから実施計画に織り込むわけでございますから、その織り込むときに十分検討をしてまいりたい。一次になるか、二次になるかとここでご回答を申し上げることは、まだ早急と思っております。

以上です。

高齢者部長(新美まり君)

私の方からは、介護保険に関する再々質問にお答えいたします。

まず、保険料にかかわる低所得者への配慮の問題につきましては、もう何回も申し上げますが、スタートしたばかりでございますので、それぞれの事情を把握しつつ、都・国制度の低所得者への配慮の制度もございますので、それらを基本に適切に対応していく方針に変わりはございません。

次に、地元のホームヘルプ事業者の方々との関係でございますが、これにつきましても、十分連絡会、あるいは個別での相談等を受けているところでございます。それぞれの実情について私どもなりに把握をしているところでございます。

以上

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