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2025年10月23日

のだて稔史区議が「インボイス制度による事業者への影響の実態調査を品川区独自に行う請願」への賛成討論を行いました。

2025.10.23 のだて稔史区議

  日本共産党品川区議団を代表し令和7年請願第14号「インボイス制度による事業者への影響の実態調査を品川区独自に行う請願」に賛成の立場で討論を行います。

 本請願は一昨年10月から始まったインボイス制度による区内の影響を国と都の調査だけでは十分に把握できず、事業者の支援や政策立案に活かすため区独自に区内事業者の実態調査の実施を求めるものです。インボイスで苦しむ当事者から提出されました。この間、同様の請願は3回目となります。インボイスとは売り手が買い手に対して消費税額や適用税率などを伝える伝票のことで、この制度が弱いものに消費税を押しつけるものとなっています。

 以下賛成理由を3点述べます。

 1点目はインボイスによる影響を受けている区内事業者への支援のためには実態把握が不可欠ということです。
これまでも「取引先から値下げされた」、「事務が増えた。増税となり手取りが少なくなった」、「未登録と言うと仕事が切られないか不安」などの切実な声が出されました。

 制度開始から2年を前にインボイス制度を考えるフリーランスの会が昨年に引き続き行った実態調査では18日間で1万人を超える方が回答し、問題意識の高さがうかがえます。自由記述欄には8千件を超える意見が寄せられ、97.3%がインボイス制度に反対しており、課税事業者の9割超が消費税に強い負担を感じています。登録事業者の約8割が価格転嫁できず、4割超が所得や貯蓄から捻出し、1割超は借金をして消費税等を支払っていることがわかりました。また一方的な値下げや取引排除にあった事業者の97%が公正取引委員会に申し立て出来ず、その理由は6割が「取引先との関係性を懸念」と回答。弱いものに負担が押しつけられている実態が示されました。「国から死ねといわれている気がする」との声まで出ています。

 本定例会に出された荏原・品川両青色申告会の「固定資産税および都市計画税の軽減措置のけいぞくについて意見書の提出に関する請願」にも「特に小規模事業者はインボイス制度の導入後、課税事業者への登録を選択せざるを得ない場面も増え、これまで以上の税負担と事務負担が発生し、経営環境は一段と厳しくなっています」と述べられています。

 区民委員会質疑の中でも委員から区内事業者から「もうインボイスだけは何とかしてくれ」と数人から声があった、や「取引先から排除される」という声も実際に聞いているとの発言もありました。委員会で自民党は「経営難に陥っているフリーランスの方を含めた方々への支援策、そこに着目すべき」と発言。その支援のためにも実態把握が必要です。困っている区民が実際にいるのですから支援をするために区内の実態把握をすることは政策立案の前提ではないでしょうか。

 2点目は身近な自治体でこそ実態をつかむべきだからです。

 委員会で区は「正式に全体を把握するシステムがそもそもない」と説明し、自民党は「区で詳細な情報をとることが難しい」、区では実態調査はできないとのスタンスでした。しかし、品川区には年間4000件の経営相談があり、そのうち約3割が個人事業主です。創業支援センターを利用する方は一人で始める個人事業主がほとんどです。こうしたつながりを生かし区内事業者を守るために区独自に実態調査をすることができるはずです。

 例えば、区ホームページでの電子申請アンケートや地域産業振興課に相談に来る方にアンケートを渡す。建設三組合や青色申告会、品川民商などの組合・団体に案内配布を協力してもらう。区としてヒアリング会を開く。広報しながわやSNSで発信する。税務署に紙のアンケートを設置するなどの方法があります。情報がないというのであればこれを機会に情報を得て支援につなげるべきではないでしょうか。

 3点目は2026年9月末で2割特例、8割控除が終了する前の今こそ実態調査をすべきだからです。

 現在、免税から課税事業者になった場合、納税額を消費税の2割にする「2割特例」と、課税事業者が免税事業者と取引した場合の「8割控除」を認めており、免税事業者の取引排除を極力防ごうとする苦肉の策が行われています。しかし、来年9月末で「2割特例」が終了し、控除も8割から5割に下げられます。先の1万人実態調査では軽減がなくなったら不安と5割の方が答え、「廃業・転職を視野に入れている」と2割前後が回答したのが「運輸・通信業」「建築・土木・工業」「電気・ガス・熱供給・水道業」で強い危機感が示されました。

 グラフィックデザイナーの方は「新規取引から排除される恐れがあると思い、泣く泣く登録。現在の納税額は10万円台。特に不安なのが特例が終わったら2倍以上に負担が増えること。年間で30万円は超える。消費税を納税した分の売り上げを上げなければいけないという精神的なプレッシャーや今後への強い不安も感じ、無理に仕事を詰め込み、ほとんど休めなくなった。インボイスが始まり心身共にしんどいです。年間で30万円を超える消費税と国保の値上げ分を合わせると50万円ほどになる。収入を増やすにもこれ以上仕事を詰めることも出来ず限界がある。」別の方からは「年間売上高330万円のフリーランスデザイナーの場合、2割特例の廃止で消費税の納税額が2.5倍の15万円へとハネ上がり、1カ月分の生活費が消える。消費税・インボイスは非人道的だ」「取引先から『8割控除が5割になれば、インボイス登録をお願いすることになる』と言われている」などの声も出されています。

 負担軽減措置がある今ですらこんな現状なのですから、軽減措置が終わってしまったらフリーランスや個人事業主などは廃業に追い込まれかねません。物価高なども重なり、区内産業の新たな危機です。少なくとも実態を把握し2割特例、8割控除の継続を国に求めるべきです。

 以上のことから区内事業者を守るための第一歩として実態調査を行うことに各議員の皆様の賛同を呼び掛けまして私の賛成討論と致します。ご清聴ありがとうございました。