2025年10月20日
令和6年度 決算特別委員会 石田ちひろ区議が意見表明を行いました。
2025.10.20 石田ちひろ 区議
日本共産党品川区議団を代表して意見表明を行います。
まず、令和6年度国民健康保険事業会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計に反対いたします。その理由は、この歴史的な物価高の下でも、国民健康保険や後期高齢者医療、介護の保険料のトリプル値上げ、国民健康保険と後期高齢者医療は、過去最高の値上げ幅となりました。払い続けることができる保険料に引き下げこそすべきです。また、災害復旧特別会計は、災害時の急を要する予算に限定されているため賛成します。そして、令和6年度一般会計は、予算では反対しましたが、決算では賛成いたします。
その理由を以下、述べたいと思います。
令和6年度予算では、小・中学校の学用品無償化、介護や障害者福祉従事者の待遇改善等、子育て支援や福祉の前進、防災対策についても、住宅耐震化や建て替えのための除却助成と感震ブレーカー助成の全域拡大等、前進。また全国で2番目となる「ジェンダー平等」が条例名に入った推進条例制定も大きな一歩でした。
これらの多くは、度重なる議会への請願・陳情など住民運動、それと結んだ共産党の議会論戦で繰り返し求めてきたものでもあり、共産党は大きく評価しました。しかし、区立保育園の削減・統廃合方針検討の具体化や、23区で唯一、地域包括支援センターを地域に設置せず、サービスを抑制してきたこと、また住民追い出しの超高層再開発に、まちづくり検討や補助金など、68億円余の関連予算を計上など、「23区最低の福祉の改善に向け、区政の姿勢が転換したとは言えない」として反対しました。しかしその区政に、令和6年度中でも次々と変化が見られました。以下それぞれ述べていきます。
まず福祉です。そもそも令和6年度当初予算で示された数々の前進を共産党は大きく評価してきました。介護・障害福祉職員の待遇改善へ月1万円の助成を区独自に実施、高齢者補聴器購入費助成制度は所得制限を撤廃、高齢者のインフルエンザ予防接種の無償化、高齢者・障害者の救急代理通報システムの利用料無料化、区内2カ所目の児童発達支援センターの整備、障害児の補装具・日常生活用具・中等度難聴児発達支援事業の所得制限撤廃、障害者福祉タクシー・自動車燃料費の助成等。これは共産党が繰り返し求めてきたものでした。
それに加えて、令和6年度予算執行後の9月議会では、共産党の質問で、地域包括支援センターについて「地域に設置することを検討する」と答弁。令和9年モデル実施に向けて進むことになり、約10年間にわたり共産党が求め続けてきたものが動き出しました。地域包括支援センターを地域に設置せず、保健師・社会福祉士の専門職の配置がなく、入り口からサービスを抑制・コントロールする仕組みの下で、介護のサービス量は23区で最低に抑えられてきたことを6年度予算反対の最大の理由の一つとしてあげてきましたが、その改善が示されました。23区で最低の福祉の姿勢を大きく転換するものとして評価します。
次に再開発です。令和6年に区長は再開発に反対する区民と初めて直接懇談を行い、議会で「まちづくりの主体はそこに住む地域住民」と答弁。さらに、国が再開発への補助金対象地域を絞り込んだことについて、国の補助金対象外となった地域を区が新たに区域指定を行わないよう求めたことに対し、区は「区域指定は考えていない」と答弁。
また先ほどの総括質疑でも、区独自に補助金投入もしないことが示されました。この問題では、例えば北区は、対象から外れた赤羽駅前再開発を引き続き交付対象とすべく、区独自に措置を行おうとしています。また東京都も「必要な財源を安定的、継続的に確保することを国に求めている」と、開発を進める姿勢です。都や他区と比べても品川区との違いは明確です。
続いてジェンダー平等について。令和6年4月に策定された「品川区ジェンダー平等推進条例」によって、ジェンダー平等へ様々な啓発事業や施策が進められ変化が生まれています。
昨年11月、共産党の一般質問で選択的夫婦別姓の実現について問うと区長は「私としては早期に実現すべきものと考える」と答弁。濱野区政では何度質問しても「国で議論されるもの」とされてきたものが、初めて前向きな答弁へと変わりました。さらに昨年から、ジェンダー主流化を含む計画の策定会議も進められ、現在計画素案へのパブコメが実施されています。
また共産党が求めてきたユースクリニックの設置では、ユースヘルスケアしながわほけんしつを昨年から開設。子どもや若者の性や心の悩み相談として利用が広がっています。今年は、NPO法人ピルコンによる区民向けの包括的性教育や養護教諭への研修が実施されます。また決算委員会の質疑で、各学校で行っていたNPO法人リビットによるLGBTQ+の理解促進のための研修の復活も検討すると前向きな答弁がありました。全国的に実績豊かな団体と連携した取り組みを評価し、期待します。
次に保育では、区立保育園の「統廃合を含めた整備を図る」とした保育園のあり方基本方針は撤回すべきと求めてきましたが、基本方針の前提が崩れ、子どもの人口は微増する予測のため、統廃合方針も「慎重に検討」と、区立園の統廃合を進める姿勢が変わりました。
教育では、「義務教育は無償」との憲法26条に基づき、区立小中学校の学用品の無償化が当初予算に盛り込まれたことに続き、昨年、共産党の修学旅行費や制服代の無償化や、給付型奨学金実施の求めに対して区は「検討したい」と答弁。今年の実現へとつながりました。
区長は、「教育は本来、国の責任において全国一律に無償で行われるべきもの。…国に先んじた先駆的な施策を打ち出していくことで、一石を投じていく」と述べています。大変大事な発言であり、後押ししていきたいと思います。
羽田新ルートについては、昨年2年ぶりに開催された第6回固定化回避検討会の結論が、結局品川上空を飛ぶルートであり、区長より「看過できない」と表明。さらに区長は海上ルートに資する方策について、「必ずしも国が示すルートに限定せず、海から離着陸するルート」を国に要請したことが、共産党の質問で明らかになりました。これは元の海上ルートに戻すことも含まれるもので、これまで区民が求めてきたものと一致するものであり大きく評価いたします。
リニア新幹線については、昨年8月から目黒川のリニアルート上に気泡が発生。10月のJRの調査で酸欠空気であることが判明。区は12月、JR東海に対して「原因究明と区民への丁寧な説明を求める」と申し入れ。区民の運動の反映であり、評価します。
平和について、決算委員会等で城南空襲の碑の建立を求めましたが、求める住民と懇談し、区の平和施策とリンクするよう検討すると答弁。区長は今年、被ばく80年の広島・長崎の平和記念式典に参加し、核抑止ではなく、核兵器禁止条約へ批准・署名すべきとの平和首長会議が要請する立場と同じであることを表明。大きな変化であり評価するものです。
これらの変化に加え、令和6年度は、7回の補正予算で、省エネルギー対策・業務改善設備更新助成金の復活・ケアマネの法定研修受講料補助・トイレトラックの導入・子どもや女性の視点による避難所の生活環境改善・ユースヘルスケアしながわほけんしつ開設・子育て世帯へのお米支援・学用品無償化を特別支援学校に拡大、年度途中であっても迅速に区民の願いを予算化したことを評価するものです。
以上のことから、共産党は総合的に判断し本決算一般会計に賛成いたします。
今、国の政治は、首相がだれになるのかなど、国民不在の権力争いが連日報道される中、自民党の裏金問題には蓋をする一方、民主主義を壊す議員定数の削減、安保法制のもとでさらなる大軍拡、憲法改悪、気候危機に背を向けながら原発再稼働・増設、物価高には無策、差別や分断、排外主義あおるなど、国民の願いとは真逆の方向へ進んでいる状況に不安が広がっています。
そんな中、品川では、核抑止ではなく核兵器禁止条約の立場を区長が示し、自己責任の社会からの転換や、社会保障を権利保障とし所得制限をなくし無償化に、差別や分断ではなく包摂する社会へ、すべての人が自分らしく安心して暮らせる社会を目指す考えが示され、具体化が進んでいます。
混迷する国政のもとで品川区政は希望を示すものです。決算委員会でも示された豊かな財政力をいかして、区民の暮らし福祉、ジェンダー平等の実現等、さらに前に進めていただくことを要望して、意見表明を終わります。
