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中延保育園での下痢、嘔吐、発熱…48名に拡大・品川区は父母に謝罪を一度もしていません

2000年11月20日

11月2日〜3日にかけて中延保育園での下痢、嘔吐、発熱症状は8日現在、園児31名、家族15名、職員2名、計48名が発症しました。

品川区は、今回の事件は、「検査の結果、園児や職員、食材からサルモネラ菌などの細菌は検出されなかった」「食中毒の原因ウイルス、小型球形ウイルス(SRSV)が園児とその家族の糞便から検出されたが、食材と調理員からは検出されなかった」ことを理由に「食中毒ではない」とし、SRSVによる感染症と断定しました。

2次感染対策打たれず、猛威!父母に6日間も知らせなかった

一週間以上、発症が48名にも広がった最大の原因は、品川区が父母らにSRSVによる感染を隠しつづけた事、二次感染対策が後手後手になったことにあります。

8日に開かれた緊急保護者会では「なぜSRSVによる感染であることを知らせてくれなかったのか」との質問に保育課長は「原因がはっきりしないままに伝えると不安をあおるのであとで知らせる」と回答しています。

父母にウイルスによる感染性胃腸炎だとする文書が配られたのが7日、「二次感染こうして防ぐ」の文書が配られたのは8日、実に最初の発症から6日もたってからでした。この間、次々と保育園、家庭にSRSVの感染が広がったのです。

保育課は4日、議員団に「SRSVの可能性が高い」と答えながら、父母に対しては事実をひた隠しにしました。この背景には「中延保育園の給食が民間委託され、それが原因で食中毒になることは絶対に避けたい」との思い。これは、「民間委託の責任追求を逃れる」立場が優先されたものです。細菌は検出されずSRSVのウイルスが食材と調理員から検出されなかったことで安堵しその対策がうたれなかった、こと。もう一つは感染力が強いSRSVを、「風邪による下痢症状(臨時保護者会での区側発言)」ととらえ感染対策を軽視したことが上げられます。

品川区は保育園内で発生した今回の感染に対し、責任も謝罪も一度もおこなっていません。これも「風邪なんだから責任はない」この考えが背景にあります。

台東区とは大違い…3日で発症ゼロに・こどもの安全軽視に不信広がる

台東区でも谷中保育園で10月20日、食中毒症状が発生し30名からSRSVが検出されました。品川の場合との違いは、3日間で発生を食い止め、二次感染を完全に防止しています。

台東区は、発症した翌日から2回にわたり全家庭を訪問し、状況の説明と,検便検査容器を渡しています。翌日、助役・関係部課長による幹部会を緊急に開き対策を協議し、事の重大さを認識しています。

品川区では3日に電話で「風邪が流行っているが変わりはないか」「何人か嘔吐・下痢が出ているので、検便をすることにした。」と聞かれたただけです。家庭訪問は一度もおこないませんでした。こどもの安全よりも民間委託を守ることを優先させる、品川区の姿勢に保育関係者の間に不信が募っています。

原因究明と区側の取った対応の反省、今後の再発防止の対策が求められています。

*SRSV(小型球形ウイルス)…ウイルスは細菌と違って食品の中では増殖しませんが、汚染された食品や手指、飛沫等を介して人に感染します。症状は下痢、嘔吐、発熱(38度以下)で潜伏時間は24〜48時間です。全体として症状は軽いが、O157と同等の感染力があり、乳児は重症化することもある。

<参考資料>
SRSV(小型球形ウイルス)については、下記URLでも取り上げています。
http://idsc.nih.go.jp/iasr/20/237/tpc237-j.html
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1426/nlv/srsv.html

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