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親の願いにも社会の要請にも反する・学童保育のすまいる移行、廃止計画は中止を

2003年10月09日
日本共産党品川区議団

品川区は来年4月までに
1.9館学童保育クラブ(以下、学童保育)をすまいるスクール(以下、すまいる)に移行し学童保育は閉鎖、
2.すまいるがある19校の学童保育に通う子どもは、すまいるを利用することとなり学童保育には通えなくなります(現在学童保育利用児童の半数が対象)。
3.2005年には全学童保育を閉鎖する、
としています。

区は「すまいるへの移行は、全児童の健全育成、すべての子育て家庭への支援強化を図るため」とし、「すまいるは学童保育事業のすべてを包含しており、移行しても問題は何もなく、広い校庭や教室を利用できるなど、学童保育の子どもにとってもサービスは向上する」としています。

学童保育は、働く親の就労と子どもの安全、生活にとってかけがいの施設です。40年前からの父母、区民の運動で作り上げてきた学童保育38施設、現に1700名余の子どもが通う学童保育を廃止させてはなりません。

9月25日から始まった第3回定例会には、学童保育の父母などから学童保育存続、十分な説明を求めた請願4件、11005名分の署名が添えられ提出するなど、学童保育存続の運動は大きく広がっています。日本共産党は学童保育の存続、学童保育もすまいるも、その充実のために力をつくします。

1.子どもを預け、安心して働けない

親の就労保障なし、問題山積みのすまいるへの移行

日本共産党品川区議団は以下の理由から、「学童保育のすまいるへの移行、廃止」に反対です。第1は、全児童を対象とした「すまいる」と「学童保育」は目的、対象、機能が違っており、学童保育は、働く親にとって子どもにとってもなくてはならないものです。

学童保育は小学校1年から3年の低学年の児童を対象に両親が共働き、一人親家庭で日中留守家庭となる子どもを対象に安全な生活の場を提供すること、また、そのことにより親の就労を保障する制度です。

学童保育は子どもの放課後、家庭にかわる子どもの生活の場と安全を保障することが目的です。働く親にとっての不安は「子どもが学童保育に通っているか」「路上で遊び、交通事故の危険はないか」「親が仕事をしている間、学童保育で楽しく過ごしているか」などです。学童保育はこうした不安に応えるために、専任職員を2人以上配置(単独館)、学童保育を無断欠席した場合には、親と連絡を取り、家まで迎えにいくこともあります。

学童保育には連絡帳、おやつ、通信(学童全体の状況を知らせる)、子どもが横になって休める育成室などの対策も整えられています。すまいるスクールにはいずれもありません。

すまいるスクールは期待も高く、大事な事業です。この事業は全児童を対象として放課後遊びや勉強の場を提供する事業。主に遊びなどの場の提供が中心であり、親の就労保障するための、家庭に変わるきめ細かな対策はありません。児童100名を超えても正規職員は1人しか配置をされず、あとは2〜4名の非常勤職員(1日5時間、週2日から5日勤務)とボランティアです。

9月1日現在、すまいるは区内19ヶ所で運営され、先行実施された4すまいるは、登録者が75%で、日々の参加は登録者の30%です。日々の参加は3人に1人のとなっています。

2.すまいるスクールにとっても大問題

川崎市わくわくプラザ…超過密、薄い職員配置で事故急増

第2は、学童保育の移行は、すまいるの運営にも重大な影響を与え、現在すまいるに通っている子どもにとっても超過密状態、事故の増大などが危惧されます。

一例をあげます。

(1)原小学校すまいる(西大井3丁目)、原学童保育の移行例

原小学校内に設置されるすまいると原学童保育、再編成後の原すまいるがどうなるか以下の表に示します。

原スマイルと原学童の比較
  出席児童数 職員配置
すまいる 91名 正規1人、非常勤4人
学童保育 45名 正規2人、非常勤1人
移行後のすまいる 136名 正規1人、非常勤4人

上の表のとおり、すまいるに学童保育を移行すると一日の利用者136人、現在より50%も子どもが増えるのに、正規職員は3人から1人に削減されます。

これでは、子どもに目が行き届かなくなることは必至ではないでしょうか。

(2)川崎市わくわくプラザで事故急増、80日間で93件の事故

川崎市は今年4月より全小学校に「わくわくプラザ」を開始、学童保育を廃止しました。わくわくプラザはすまいるとほぼ同じ内容です。

7月5日付け東京新聞は「4月スタートわくわくプラザ、骨折・裂傷など相次ぐ」と報じました。その記事ではわくわくプラザ開設後、80日間に93件の事故が発生。指、鎖骨などの骨折15件、頭部やあごなど縫合の必要な事故は11件に及んでいます。全小学校での授業中の事故8件と比較してもあまりにも異常です。わが党も川崎市を調査しましたが、重大事故にもかかわらず、どんな状況でおきたのか把握すらできない、ケースが少なくありませんでした。

川崎市のわくわくプラザの先行例が示すように、学童保育の移行は、現在のすまいるの子どもたちとっても安全、サービス低下が予想されるなど、大問題です。

3.あってはならない問答無用のすすめ方

高橋区長の進め方は、公約違反

品川区は、この計画を父母に伝えたのは9月はじめ、しかもすでにすまいるへの移行、学童保育の廃止方針を区長が決定した後でした。学童保育を廃止するのに事前に父母、職員など関係者の声も聞かず、区長が決めて、その決定を押し付ける、このすすめ方は地方自治の名に値しないばかりか、高橋区長の「住民参加」の公約違反といわなければなりません。

高橋区長は4月の区長選挙で、「開かれた区政をすすめるために」として、「タウンミーテイング(区民との直接対話集会)の開催」をかかげ、「区民の意見をもとに区政に携わっていく」と公約しました。今回の学童保育の閉鎖、すまいるスクールへの「移行」は公約違反ではないでしょうか。

学童保育の廃止は区民の期待にも、国の方針にも背くもの

「安心して働ける学童保育を」…全国の学童保育クラブの多くは住民の運動でつくられ、地方自治体で先行実施されてきました。政府は学童保育の制度化の要求に背を向けてきましたが、6年前、児童福祉法第6条の二、(6)で「放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう」と明記、国庫補助制度も発足しました。

学童保育のすまいるの移行による廃止は、子育て支援、女性の働く権利の保障など、区民の期待にも、国の方針にも背くもの、といわなければなりません。

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