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奨学金条例改悪に反対する討論

2011.10.21 みやざき 克俊 区議

日本共産党区議団を代表して、第49号議案「品川区奨学金貸付条例」の一部を改正する条例に反対する討論を行います。

今回の奨学金制度改定は、今年4月からの公立高校授業料の無償化、私立高校の負担軽減を機に、区の制度を変えるものです。来年度からの貸付にあわせて今年11月に施行します。

奨学金は、就学の意思があるにもかかわらず経済的な理由で修学が困難な者に対して、修学上必要な資金を貸し付ける制度です。子ども自身が借りて卒業後就職して返済する仕組みです。ところが、今回の改定は、高校授業料無償化への対応を口実にして制度を後退させるものであり、認めることはできません。以下、問題点を3点指摘します。

第一は、在学資金を公立高校は授業料無償化の間は貸し付けを停止。私立高校などは月額2万8千円から1万5千円に減額することです。

高校などでは授業料だけでなく、通学費や学用品、修学旅行、クラブ活動などさまざまな費用がかかります。授業料の無償化、減額だからといって、奨学金を支給停止、減額すべきではありません。

いま国民の所得が減り続け、貧困の広がりは深刻です。厚生労働省が発表した「2010年国民生活基礎調査」は、低所得者の割合や経済格差を示す相対的貧困率が2009年に16%と、1985年以降最悪。17歳以下の子どもの貧困率15.7%も前回比1.5ポイント増加し、85年以降最悪。母子・父子世帯の貧困率は50.8%に達しています。全世帯の32%が年収300万円未満で、母子世帯では7割にのぼります。「生活が苦しい」と答えた世帯も6割、5年間増え続けています。こうした状況に配慮すべきです。

第二に、入学準備金の貸し付けを本人から保護者に変更し、返済期間を現在の卒業後1年据え置きで15年均等払いから在学中の3年間で返済にすることです。

貸し付けの保護者への変更について、区の説明は「入学準備金は身支度や教材費用なので、保護者が負担するほうが現状に合っている」、「卒業後の本人負担を軽減する」というものです。超氷河期といわれる就職難のなか、焦げ付きを避けるため、保護者に負担させて早く回収することがねらいです。「入学準備は親の責任」だと保護者に負担させるのは奨学金制度の趣旨に反すると言わなければなりません。

第三に、都の奨学金と併用できた現行制度を、都制度の補完制度にすることです。

区の説明は、国が大学、都が高校を担当するので、品川区は制度の谷間に落ちてしまう子どもの最終的なセーフティネットにするといいます。つまり、9月初旬で〆切られる都の奨学金の申し込みに遅れた方などを対象にするということです。しかし、区は、「補完型」にすることで例年50人から70人ほどの利用を大幅に減らせると見込んでいます。制度を狭め、後退させることには断固反対です。

いま、品川区の基金はおよそ700億円。毎年数十億円積み増して健全財政を誇っています。奨学金制度を変える理由はありません。経済状況が大変な時、奨学金は充実こそ必要です。最後に、わが党が提案してきた返済不要の給付型奨学金制度の実現を訴えて討論を終わります。

以上

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