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なかつか亮区議 第23号議案「品川区立保育所条例の一部を改正する条例」について反対討論

 2010.3.26 なかつか 亮 区議

日本共産党品川区議団を代表して、第23号議案「品川区立保育所条例の一部を改正する条例」について反対討論を行ないます。同条例の改正点は、品川区立中延保育園及び西品川保育園の分園設置と品川区立西五反田第二保育園の追加について。施行は、分園は4月1日から。西五反田第二保育園は6月1日からです。

0歳児から5歳児までの認可保育園設置となる西五反田第二保育園は歓迎します。

しかし、全国初となる、認可保育園の年長児である5歳児のみを、近隣の小学校に切り離す2園の分園は、子どもの成長に照らし重大な問題を抱えています。以下、5歳児のみの分園について、反対理由を3点に絞り述べます。

1点目は子どもが落ち着いていられる居場所が保障されない問題です。一日の大半を過ごす保育園は子どもにとって、家庭に変わる安心できる居場所でなければなりません。

「ここが自分の生活の場」と思える、落ち着いた居場所は、子どもの成長に欠かすことができません。

しかし、分園による5歳児の生活は、子どもは、午前7時半ごろから保育園に登園。9時半ごろに、自分の荷物をもって、隣の小学校の一室を改修した保育室に移動し、午前の保育。昼は小学校の給食を食べ、午後3時過ぎに、荷物をもって、保育園に戻り、おやつの時間。その後、お迎えの時間となる7時頃まで午後の保育を行うというもの。

子ども達が、荷物をもって、行ったり来たりが繰り返されるのです。

しかも、区は小学校の夏休み期間中は、昼食を食べに保育園に戻ると説明。子ども達は小学校と保育園を、いったい一日の中で何往復するのでしょうか。

子どもが安心できる居場所がおろそかになる分園は認められません。緊急対策による分園と言うならば、保育環境を十分に整え、区民要望も強い0・1・2歳児で行うべきです。

2点目は集団保育が崩れる問題です。

5歳児と言えば保育園の年長児。年下の子ども達にとっては、あこがれの的。年長児にとっては、お兄ちゃん、お姉ちゃんへの背伸びする成長の飛躍の時期。5歳児は集団保育に欠かせない存在です。
例えば、年下の子どもに対して、遊びや生活などの、たくさんの場面で、手助けをしたり、優しい言葉をかけたりの体験を通じ思いやりの気持ちが生まれます。

体験の中で、年下の子ども達は、大きくなることへの喜びやあこがれが育ち、それは成長への力になります。自分が困っているときに優しくされた経験をたくさん重ねることで、年長児になるとき、年下の子どもに同じように優しくしようとの気持ちがわいてきます。子どもの成長に欠かせない、その5歳児を、小学校に切り離すことは、集団保育を壊すものです。

区は「運動会や発表会などイベントを通じて年長児としての5歳児の役割は十分はたせる」と説明しますが、実証的な検証や専門家による研究は全くありません。

帝京大学教授の村山祐一氏は「品川区の計画には、子どもを不安定にさせる要素があり、心配です。保育園から時間を区切って子どもを切り離すこと、学校と保育園を行ったり来たりしなければならないことなど、不安定な環境は、学校との連携にとってもマイナス」と警鐘を鳴らしています。毎日の生活の中で、子ども同士が成長し合う集団保育を奪うことは許せません。

3点目は「つめこみ保育」の加速です。

子どもが行ったり来たりする2つの認可園では、どうなるのでしょうか。西品川保育園で見ると、昨年4月の西品川保育園0歳児から5歳児の定員は107人です。

しかし、今年の西品川保育園では0歳児から4歳児の定員114人と7人の「つめこみ」。ここに、分園となる5歳児定員28人が、朝の時間、おやつや夏休みの昼食時間、そして帰りのお迎えまでの時間をすごすのです。

定員で見ると107人が142人に133%増加。さらに、実際は乳児、幼児ともに定員を上回る弾力化による「つめこみ」が行われます。区は「最低基準は守る」と言いますが、同じ施設で、より多くの子どもを受け入れる保育は、まさに「つめこみ保育」そのもの。子どもの保育環境を、さらに悪化させる「つめこみ保育」はやめるべきです。

最後に、認可保育園の増設を改めて訴えます。今年4月の入園状況について、速報値では、一次、二次を合わせて、申請1,891人に対し、入園内定は1,328人。入園の希望が叶わなかった方はのべ563人。その数は、昨年よりも増加傾向。区の長期基本計画や緊急対策は「既存施設の有効活用」「認証保育園の誘致」などと、認可保育園の増設が基本に座っていません。

国もまた、その姿勢と同じ。そのため「保育園に入れない」事態が悪化し、さらに品川区では5歳児のみの分園や「つめこみ保育」の加速など、保育環境が壊されているのです。

区長は施政方針で「未就学児人口は、ここ数年も増加傾向と予想」と説明。ならば、今こそ「つめこみ」ではなく、認可保育園の大幅増設に舵を切るべき時です。

全国の認可園で定員オーバーが日常化する中、「赤ちゃんの急死を考える会」では、その危険性を告発。認可園での死亡事故が2000年度までの40年間は15件だったのが、01年度以降の8年間は22件と大幅増加。「01年は小泉内閣の『待機児童ゼロ作戦』で、認可保育所への定員以上の詰め込みや保育士の非常勤化が推奨された年」と指摘しています。

品川区は弾力化について「子どもへの影響はない」と言いますが、子どもの命をどう考えているのでしょうか。さらなる「つめこみ」は事故を招きかねないと強く指摘し、反対討論とします。

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