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いいぬま雅子区議 第85号議案「成21年度品川区一般会計補正予算」に対する反対討論

2009.12.8 いいぬま 雅子 区議

第85号議案「平成21年度品川区一般会計補正予算」に反対の立場で討論を行います。

本補正予算は、新型インフルエンザ対策関連費用、ヒブワクチン予防接種追加分、生活保護費追加分など当然の予算が含まれています。しかし保育園運営費追加分の中の「小学校との教育的連携経費」、学校環境整備事業追加分の「保育園と小学校との教育的連携経費」は認められません。待機児解消と言いながら、保幼小連携の推進と称して、5歳児を学校施設で保育すると言う、異質な提案にすり替え強引に進めるものです。

反対理由を以下3点述べます。

1点目は、進め方の問題です。この事業は決算委員会で、区長が突然答弁したもので、翌日の新聞、テレビで報道が行われました。「保育園と小学校との教育的連携」の説明は、保幼小交流事業を更に推進し、保育園年長児(5歳児)が小学校にスムーズに順応するため、近接した保育園と小学校が積極的に教育的交流を行う先進的なモデルケースとして実施するとの説明です。しかし今回補正の審査の中でも内容は明らかにされないままです。

どこの保育園とどこの小学校の教育的交流なのでしょうか。対象施設が明らかになっていません。また学校の中にできるのは保育園の分園となる保育施設になるのか、教育施設なのか基本のところも「まだ検討中」とはっきりしません。新しいモデルと言いながら事業内容がしめされないままです。

保護者への説明は、詳細が固まり次第と言いながら、いつなのかはっきりしません。保護者や子どもが望まない保育内容が明らかになった時、拒否はできるのでしょうか。

来年4月実施内容がはっきりしないまま強引に進められています。白紙委任で予算を認めてほしいと言うやり方は、認めることはできません。

2点目は、子どもたちにとって保育内容、保育の質が守られるのか、不明な点です。

5歳児の生活の場は、保育園、学校どちらの施設になるのでしょうか。保育園は朝7時30分から夜7時30分、8時30分、10時までと長時間開設している施設です。日中の生活はどうなるのか。早朝夜間保育はどうなるのでしょうか。保育園と学校を行ったり来たりするのでしょうか。子どもたちの成長発達は保障されるのか大変心配です。保育園は、一人ひとり個の尊重が大前提ですが、日々の生活の中で、大人はもとより同年齢集団と異年齢集団の交流が自然にもたれ、集団の中で育ち合う場所です。小さい子はお兄さんにお姉さんにあこがれを持ち、目標にして育ちます。5歳から6歳の年齢は飛躍的に成長する時期と言われています。集団の中で「教えたり」「教えられたり」の経験を積み重ねるうち、「できる」自分への自信、嬉しさが、「相手もできるようになる」二重の嬉しさに変化しさらに成長するとの事です。特に小さい子との交流は、この喜びが広がり思いやりの心も育ちます。ところが今回の提案は、小さい子どもたちのあこがれの的である年長児5歳児の子どもを、保育園から切り離し、異年齢児との日々の交流を壊すことにならないでしょうか。

保幼小の連携を進めると説明していますが、5歳児を学校の環境で育てることをどこで検討してきたのでしょうか。今年5月に立ち上げた「保幼小連携推進に関する検討委員会」での説明も検討もないとの答弁でしたが、自ら立ち上げた組織も無視し、事後承諾とはとんでもないことです。専門家の検討もない乱暴なモデルケースは認めるわけにはいきません。

緊急対策と言うならば、共産党がかねてから提案してきた、保育需要の高い0歳1歳2歳児の認可保育園を分園方式で行う。この方法が一般的であり緊急対策としても可能です。

3点目は、子どものことは二の次、目先の対応で、本格的な待機児解消に取り組まない点です。

部長は、「大前提として待機児解消であり、何としても123人を減らしていきたい」と答弁しています。しかし5歳児2園50人を移動させた空きスペースで待機児がどれだけ解消するのでしょうか。保育所不足を深刻にした原因は、保育需要に合わせ認可保育園をつくってこなかった区政の誤りにあります。「やがてピークが来るので、認可保育園にお金をかけず、何とかしのぎたい」この考えでは待機児問題は解決しません。保育需要に見合った認可保育園増設こそ必要です。 子どもの権利条約が採択され20年になりますが、国連子どもの権利委員会から日本政府に出された2回目の勧告は、「子どもの意見表明権が行使されずストレスにさらされている」と指摘しています。「意見表明権」とは、自分の思いや願いを表明できる権利であり、身近な大人にありのままの思いを受け止めてもらえる権利です。生まれてから「子ども期」をしっかりと受けとめられ育った子どもは、期待を膨らませ、安定して小学校へ入学します。今回の品川区の提案は、「保幼小連携」先にありき、子どもの意見をとりいれようとしない強引なやり方であり認めるわけにはいきません。

以上反対討論を終わります。

以上

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