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みやざき克俊区議 07年第3回定例会「後期高齢者医療」「基本構想」「耐震化計画」「学校統廃合」

2007.09.20 みやざき 克俊 区議

9月20日(木)から1ヶ月間の日程で品川区議会第3回定例会が始まりました。
初日は日本共産党区議団を代表して、みやざき克俊区議が一般質問を行いました。内容は、@後期高齢者医療、A品川区基本構想、B耐震化推進計画、C小規模校の統廃合の4点です。以下、みやざき区議の質問と区側の答弁(要旨)を紹介します。

一般質問項目

  1. 負担を増やし医療は制限、後期高齢者医療の4月スタートは凍結を
  2. 基本構想の策定は、貧困と格差が広がるなか、区民のくらし・福祉守る視点貫け
  3. 首都直下の大地震から区民の命を守る耐震化推進計画を
  4. 小規模校残す約束を破り、トップダウンで進める学校統廃合は止めよ

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一般質問

日本共産党を代表して一般質問を行います。


負担を増やし医療は制限、後期高齢者医療の4月スタートは凍結を

初めに、後期高齢者医療の4月スタート凍結と抜本見直しについてです。

来年4月から始まる後期高齢者医療制度。75歳以上はすべて加入し保険料を支払うことになります。先月31日、東京都の保険料試算が発表されました。最も高い場合、年15万5,000円。厚生労働省試算の全国平均、年7万4,400円の2倍を超えます。高齢者の限界をはるかに超える負担であり、断じて認められません。

後期高齢者医療制度の主な問題点、その第一は、保険料の設定と取り方です。

東京都広域連合の試算をもとに私も試算してみました。75歳単身の国民健康保険加入、年金収入年間200万円の方は、現在、年間8万7,000円の保険料が、後期高齢者医療では11万4,000円と3割増、年収250万円だと9万2000円から17万2,000円と9割も増えます。保険料負担がなかった社会保険の扶養家族は、この額がまるまる増えるのです。しかも、介護保険と一緒に年金から天引き、後期高齢者人口が増えると保険料も自動的に増える仕組みで保険料は2年ごとに値上げ。これでは社会保障が逆にくらしを脅かす制度になってしまいます。

高齢者はこの間、年金への課税強化、各種控除の廃止など次々と負担が増やされました。「年をとったら早く死ねというのか」という怒りは、多くの高齢者の共通した思いです。

第二は、医療を受ける権利の侵害です。

後期高齢者医療では、保険料を滞納すれば高齢者でも短期証や資格証が発行されます。さらに、厚労省が検討する「定額制」診療報酬では、実質、高齢者に手厚い医療はできなくなります。国民皆保険のもと等しく医療を受ける権利と、憲法が保障する生存権の侵害です。

第三は、広域連合に、国民健康保険の運営協議会のような仕組みがなく、被保険者である高齢者など国民の意志を反映できないこと。

第四は、こんな大問題をそのままにして4月スタートすることです。

厚生労働省の元官僚が「姥捨て山」と評したこの制度は、団塊世代の大量退職を前に、医療費に対する企業負担軽減という大企業の身勝手な要望を受けて導入されるものです。70から74歳の窓口負担2倍への引き上げも含め、日本医師会はじめ医療関係団体や多くの国民が反対。これを自民・公明が押し切ったのです。わが党は、後期高齢者医療制度4月スタートの凍結、抜本的見直しを求めるものです。

そこで質問します。
  1. 保険料は高齢者の暮らしを圧迫する額にすべきではありません。区長は東京都広域連合が試算した保険料年平均15万5,000円を妥当と思うか見解をうかがいます。
  2. 高齢者でも保険料を滞納すれば保険証取り上げ、高齢者への「差別医療」の導入はやめるべきと思いますが、区長の見解をうかがいます。
  3. 国に国庫負担の抜本的増額を求めること。広域連合に対して独自の減免制度と運営に都民の意志を反映する仕組みをつくるよう求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  4. 政府に対して、後期高齢者医療制度の4月スタートの凍結と制度の抜本的見直しを求めていただきたいと思いますが、見解をうかがいます。

基本構想の策定は、貧困と格差が広がるなか、区民のくらし・福祉守る視点貫け

次に、基本構想策定について質問します。

品川区は基本構想の策定に向け、策定委員会で議論を始めました。この間、区民意向調査や将来像の方向などを討議。本日は「素案骨子」が討議される予定です。

これから、本格的な議論を始めるにあたって、私は、基本構想は、貧困と格差が広がるなか、区民のくらし・福祉守る視点貫いたものにするよう求めるものです。

いま、政治に求められているのは、住民の命、暮らしを守るために働くことではないでしょうか。自民・公明政権の「構造改革」による格差・貧困の広がりが大問題になっています。「医療難民」、「介護難民」の増大も深刻です。品川でも生活保護受給世帯が92年の1,390世帯から06年の3,192世帯に、4分の1の世帯が貯蓄ゼロと5年で倍加など、くらしはますます深刻です。私の知り合いの56歳の女性は共同経営の商売の売り上げが伸びず、夜間と日曜日に掛け持ちで経理のアルバイトで食いつないでいます。365日休みなく働いても生活はぎりぎり。「もし、病気になったらネットカフェ難民は人事でない」と話します。

安倍首相の突然の辞任で自民党総裁選の最中ですが、二人の候補とも「構造改革」路線の継承を掲げています。これでは格差・貧困の拡大は必至といわなければなりません。こうしたなかで策定される基本計画は、行政の役割が問われていることを強調するものです。

しかし、基本計画はどういう方向で策定されようとしているか。策定委員会の資料、「基本構想改定の課題」では、都市再生緊急整備地域の「緊急かつ重点的な市街地整備の促進」を強調、大規模開発の促進です。第3次長計でも品川区は大規模開発を重点に位置づけてきました。特に、大崎駅周辺が「都市再生緊急整備地域」に指定され、品川区は一部の地権者とゼネコン・大企業に利益をもたらす開発を、「日本一」と自慢する規模ですすめました。例えば、東口第三地区1ヶ所の開発に、地上28階建て329戸と27階建て254戸のマンション2棟、22階建て業務棟と巨大ビル3棟を建設。総事業費630億円のうち110億円も税金から補助したのです。ところが、この開発で売り出されたマンションは最高価格が1億2000万円。110億円の補助金は、こうした高級マンション一戸あたり700万円にのぼるものです。

しかも、こうした大規模開発は、工場を追い出し、大型店誘致で区内産業は大打撃をうけました。1981年に3万余あった商店や工場など事業所数は2004年に2万1千余とピーク時の3分の2に減少、「中小企業の街・品川」は大規模開発で一変。さらに、福祉の分野も大きく後退したのです。

私は、開発優先を大本から切り替え、区内産業の支援と区民の福祉・暮らし第一にするよう求めるものです。特に、特別養護老人ホームと区営住宅の増設計画を盛り込むよう求めます。特養ホームは450人も入所を待っているのに、2000年の中延以降建設はありません。利用料が月25〜30万円もかかるケアホームはつくるが特養はつくらない。再開発の高級マンション建設に税金で補助するが区営住宅はつくらない、これでは自治体の役割放棄と言われても仕方ありません。

都営住宅と区営住宅の建設がストップし、いま、わずかな募集に応募が殺到。二葉町に住む80台の夫婦は20年来申し込み続けても入れません。生きているうちに入れるかと心配しています。区民にとって、一刻の猶予もないのです。

そこで質問します。

  1. 品川区基本構想と第4次長期基本計画の策定にあたっては、「くらし・福祉を守る」という自治体本来の立場、視点を貫くよう求めます。区長の見解をうかがいます。
  2. 雇用破壊と大増税、社会保障の大幅後退などで暮らしを破壊、格差・貧困を広げてきた自民・公明の政治、「構造改革」について自治体の長としてどう考えるか見解をうかがいます。

首都直下の大地震から区民の命を守る耐震化推進計画を

次に、首都直下の大地震から区民の命を守る耐震化推進計画についてです。

今年も3月に能登半島、7月は新潟県中越沖と相次いで大地震が発生しました。首都直下にマグニチュード7クラスの大地震がくる確率は今後10年間で30%、30年間で70%と予想され、被害想定では、品川区は全壊建物1万4千棟余、焼失家屋1万棟余、死傷者6千名余。一刻も早い対策が求められています。そこで、現在、策定中の耐震化促進計画について質問します。

第一に、目的と具体的な年次計画です。

品川区内の旧耐震の建築物はおよそ2万棟です。国は被害想定をうけ、平成27年度までに旧耐震家屋の90%まで耐震化する計画です。
品川区の現行の耐震化支援は、地域指定、接道などの制限を設けています。しかし、耐震化計画を国の計画にそったものにするなら、こうした制限は撤廃し全ての旧耐震住宅を対象にすべきです。

個人住宅でも耐震改修は極めて公共性の高いものです。品川区基本構想では、まちづくりの第一義的課題として住宅耐震化を位置づけ、年次計画の策定が必要です。

第二に診断、補強への支援制度の充実です。

品川区内では、今年7月時点で耐震診断補助の利用は160件。そのうち改修は7件にとどまりました。改修がすすまないネックの一つが費用です。

区では改修補助の上限は75万円。改修費用が150万円程度で半額を補助するという考え方です。しかし、改修した7件は実際かかった費用が200〜300万円。補助金上限を150万円程度に引き上げるべきです。また、全ての旧耐震住宅を耐震診断、耐震改修につなげるには、複数の担当職員の配置と、相談・啓発にあたり耐震化計画を推進するための外部の専門家も含めた委員会の設置が必要です。

マンションでは問題個所の改修だけでも被害を軽減できます。部分改修の支援も必要です。

第三に家具転倒防止対策とシェルター設置への補助制度です。

阪神・淡路大震災では家具転倒、家屋倒壊による圧死は死亡者の88%です。家具の転倒防止は命を守る、もうひとつの「決め手」です。

品川区では転倒防止器具は有料、取り付けは工事費3,000円程度で。家具固定を促進するため、高齢者や障害者世帯には器具の購入、取り付けとも無料で支援すべきです。また、耐震改修ができなくても、命を守るシェルター設置の促進も重要です。

そこで質問します。

  1. 耐震化推進計画の目的と年度ごとの耐震化推進率の計画をお聞かせください。また、基本構想に第一義的課題として位置付けるようもとめますがいかがでしょうか。
  2. 耐震改修助成は新耐震基準以前に建築確認された区内全域の木造住宅、マンションを対象とするよう求めます。いかがでしょうか。
  3. 木造家屋の耐震診断を無料とすること、あわせて、マンション耐震診断助成、耐震改修工事補助制度を創設するよう求めますがいかがでしょうか。
  4. 専門家委員会の設置を求めますがいかがでしょうか。
  5. 木造住宅では部分改修、マンションではピロティーなどの部分改修でも補助金制度を活用出来るようにすること、また耐震改修工事の補助金上限額引き上げを求めます。
  6. 高齢者世帯を対象に家具転倒防止器具、取り付け工事費を無料とし、シェルター設置の補助制度を設けるよう求めます。

小規模校残す約束を破り、トップダウンで進める学校統廃合は止めよ

最後に、小規模校残す約束を破り、トップダウンで進める学校統廃合についてです。

濱野区長は今年2月、第1回定例会の施政方針説明で「学校の適正規模のあり方などについて検討を始める」と宣言。これを受けて、教育長は8月1日、学校規模を検討する学事制度審議会を設置しました。品川区と教育委員会が、いよいよ「小規模校」統廃合に踏み出したのであります。

区と教育委員会は区内の学校数をどうしようと考えているか。今年2月に教育委員会事務局が作成した資料「荏原西地区一貫校の構成母体校変更について」では中学校の適正規模を「12〜15学級」としています。一学年4〜5クラスということです。これを1クラス40人で割ると区内の小中学校は現在の半分になる計算です。学校は地域の文化であり、避難所など重要な機能を果たしています。半減など、とんでもありません。

私は、学校統廃合の問題を三点指摘します。

一点目は、「学校統廃合はしない」という約束を破る問題です。

わが党は、学校選択制導入時から、小規模校が統廃合されるのではないかと指摘してきました。これに対して、教育長は、「教育改革プラン21」は「学校統廃合を前提にしていない」と繰り返し説明してきたのです。議会と父母、区民を「だまし討ち」するやり方ではありませんか。教育委員からも「基本方針の変更なのではないか」など反発の意見が上がったのも当然です。こんな約束破りは、もっとも非教育的なやり方です。

二点目は、コスト論で統廃合する問題です。

5月22日の教育委員会の席上、若月教育長は、小中一貫校周辺校の入学希望者減少をのべた上で「統廃合も含め、様々な選択肢を考えていく必要がある」と指摘。さらに、6月12日の教育委員会には、区側から企画部長が出席し「区長部局からの提案」として「小規模学校の統合・再編によりコスト削減が求められている」と発言し、小規模校統廃合の推進を迫ったのであります。

コストを基準にしたら、学校の数は少ない方がいいということになる。荏原二中は、少人数だから選んだ子どもたちも多い。選択制といいながら小規模校を選ぶ権利を認めないことになるのではないでしょうか。

三点目は、小規模校統廃合が学校選択制のもとですすめられる問題です。

今年2月、平塚小と平塚中の小中一貫校計画に、突然、荏原二中も加える計画が発表されました。予算審議の中で教育次長は「平塚中の小中一貫校ができると生徒が集中する。荏原二中に希望がなくなって廃校になる可能性もあるから」と、当初計画になかった荏原二中を加えることになったいきさつを説明しました。つまり、学校選択制のもとで、子どもを集めることができなければ統廃合する。これが、学校選択制の行き着く先です。非情な「子ども獲得競争」に学校と父母を駆り立て、子どもたちを巻き込むやり方は、もはや教育とはいえません。

これまでの説明も合意も大本から覆し、トップダウンですすめる学校統廃合は断固、中止を求めるものです。あわせて、多くの父母、区民が願う30人学級にこそ踏み出すべきだということを強調するものです。

そこで質問します。

  1. 学校選択制のもと、コスト論をふりかざし、適正規模を定めることは小規模校を統廃合するもの。こうした学校統廃合は止めるべきです。いかがでしょうか。
  2. 区は、これまで「小規模校も残す」と説明してきました。改めてその考えを確認したいと思います。また、小規模校を選択する権利を認めるのか、ご説明下さい。
  3. 学校選択制導入の際、「小規模校も残す」との説明でした。今になって、小規模校統廃合は、議論を大本から覆し、保護者をだますやり方と思いますが、見解を伺います。
  4. 第4次長期基本計画の策定にあたっては、小規模校の支援充実とあわせ30人学級の実施を盛り込むべきと思いますがいかがでしょうか。
以上で、一般質問を終わります。


答弁

区長(濱野健君)

私からは、基本構想と長期計画に関するご質問にお答えを申し上げます。

基本構想と長期計画は、区民生活や福祉の向上をめざすものであることは、言われるまでもなく当然のことでございます。過日、区は、基本構想等のあり方につきまして策定委員会に諮問をしたところでございます。現在、生活や経験に根差した真撃な意見交換が行われているところでございます。この委員会は、福祉団体の代表者、あるいは5名の公募委員を含む23名の有識者で構成されておりますが、区民の暮らしや福祉を軽視するような方はおられません。当然のことながら、私も同様でございます。

また、この基本構想につきましては、来年の第1回定例会で、この議会においてご議決を仰ぎたいと考えておりますが、区民の暮らしや福祉の軽視は、議会のお考えにも反するものだと考えておりますし、現に区はそのような政策を行ったことはございません。ご質問の中で、区があたかもそういう政策をとってきたかのようなご指摘がありましたけれども、行政を担う者として到底容認できるものではございません。

次に、国の構造改革についての見解でございますが、これは地方分権に関することなどを除いては、すぐれて国政上の問題でございますけれども、我が国が何の改革もしないで済むという状態ではないというふうには考えているところでございます。

その他のご質問につきましては、担当の事業部長等よりお答えをさせていただきます。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私からは、後期高齢者医療制度に関するご質問にお答えいたします。

まず、東京都広域連合試算の保険料についてのお尋ねでございますが、極めて粗い試算であり確定数値ではありませんが、国の調整交付金の支給見込みが都市部の被保険者の収入状況を反映して低額となる見込みであることなどにより、国が当初示していた全国平均の保険料に比べ高い金額になっております。今後広域連合においてさらに精査をするとともに、保険制度であることや、低所得者については均等割に7割減額などがあることを踏まえつつ、さらに詰めていくべき課題と考えております。

次に保険料の滞納に関する区の対応についてのお尋ねですが、国民健康保険と同様に、保険料未納者等の接触機会をふやすため、有効期限の短い短期被保険者証の発行と、支払い能力がありながら滞納する被保険者に対する資格証明証の交付について法上制度化されており、広域連合としては法にのっとり運用する方針でございますので、区といたしましても、新制度の中で適切に対応してまいります。

次に、国への負担金についての要望ですが、9月12日に、東京都、埼玉県、千葉県および神奈川県の1都3県の広域連合長が連名で厚生労働大臣あてに緊急要望を行ったところであり、その中で、療養給付に関する国庫負担金は保険料に影響を生じさせないよう12分の4を確保し、調整交付金は国において別枠で調整額を交付することを求めていることから、国の対応を注視してまいります。

また、広域連合において独自の減免制度をとのご提案につきましては、まずは合理的な保険料設定が重要であり、減免は国の制度によることが基本と考えております。

次に、制度運営に都民の意思を反映する仕組みづくりをとのことでございますが、広域連合議会は、東京都の62の区市町村議会の代表で構成されているほか、被保険者や医療関係者の代表も含んだ東京都後期高齢者医療懇談会を独自に設置して、保険料等の課題について意見を伺う機会を設け、意見の反映を図っております。

最後に、後期高齢者医療制度の4月スタートの凍結と制度の抜本的見直しについてのお尋ねですが、本制度は今後の医療改革を推進する上で必要なものであり、既に4月開始が法で定められております。また品川区も東京都広域連合の構成員として、制度実現に向け準備をしているところであり、開始の凍結と現時点での見直しを行う考えはありません。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

私からは、住宅耐震化に関するご質問にお答えいたします。

まず、耐震改修促進計画の目的と年度ごとの耐震化進捗率の計画についてですが、促進計画は、地震により想定される被害を削減するため、耐震診断および耐震改修を計画的かつ総合的に促進して、災害に強いまちづくりを進めることを目的としております。促進計画は、国の方針に基づき、住宅や一定規模以上の建築物について平成27年度における目標値を定めて耐震化を推進するものでございまして、年度ごとの進捗率を定めるものではございません。

次に、基本構想への位置づけについてですが、区では、今年度に基本構想、来年度に長期基本計画の改定を予定しておりますので、耐震改修促進計画の位置づけもあわせて検討してまいります。

次に、助成対象や補助の拡大等さまざまなご提案をいただきましたが、現在、国では、ことし7月の新潟県中越沖地震の被害状況をかんがみまして、支援制度を受けるに必要な要件の緩和を含め検討を進めていると聞いておりますので、区としては、国の施策の動向を見据えながら策定中の耐震改修促進計画の中でその考えをお示ししてまいります。

次に、高齢者世帯を対象とした家具転倒防止器具設置についてでございますが、基本は個人の責任で対応する自助の分野と考えております。65歳以上のみの世帯、障害者のみの世帯では、住民税非課税世帯の方には取りつけ費用を助成しているところでございますので、ご提案の所得制限の撤廃は考えてございません。

また、シェルターなどにつきましてはさまざまな方法がございますので、今後の技術の開発動向などを検証の上、検討をしてまいります。

教育次長(長田正君)

私からは、学校の統廃合に関するご質問にお答えいたします。

まず、従来の小規模校も残すとの方針を変えるものではないかとの質問にお答えいたします。

現在、学校の適正規模等を検討している背景には、いわゆる小規模校が事実として存在し、その教育環境の是非が問われている現状があります。また、個々の学校は、さまざまな事情のもとに置かれ、保護者や地域の要望も多様でございます。これを前提に、子どもたちにとっていかによい教育環境を整備すべきかについて多角的に検証することが求められております。したがいまして、適正規模の検討、すなわち小規模校の統廃合という単純なものとは考えてございません。

住民基本台帳上の就学児童が40名を切る学校が発生している事態に対し、教育上の観点から何の対応も考えないというのは、子どもたちによりよい教育環境を整備するという行政責任を放棄することになると考えております。また、区民の生活全般に責任を持つ行政として、行政コストを検討の狙上にのせることは当然のことでもあります。

次に、適正規模の検討において、小規模校を選択したいという保護者の思いに配慮することは当然考えてございます。また、小規模なりの教育活動のよさに対する評価についても変更をしてございません。何を根拠に適正規模を検討すると小規模校は統廃合されるのか、保護者をだますとの指摘をされるのか理解しかねます。

4番目の30人学級に関する質問でございますが、これまでもお答えをしているとおり、現制度のもとでも、それぞれの学校において多様な学習、生活集団と学習形態を工夫しながら、個や学習内容に応じた指導の充実に努めており、教育委員会も学校に対する支援を十分に行ってきております。したがいまして、学級編制の基準であるいわゆる標準法に基づいて行っていく考えに変わりはございません。


再質問

宮崎克俊君

それぞれ答弁ありがとうございました。何点か自席から再質問させていただきたいと思います。

初めに基本構想についてですけれども、区長は、福祉の向上は当然なんだと、軽視したというふうに言われるのは心外だみたいな話でしたけれども、私はそれなら聞きたいんですけども、この計画に今区民が一番望んでいるトップだと思うんですが、特別養護老人ホームの増設、あるいは区営住宅の増設、これを盛り込む意思があるかどうか、これをしっかり聞きたいと思います。今、特に特養老人ホームは、先ほども指摘しましたが、2000年に中延特別養護をつくって以降もうつくっていません。入りたくても入れない、こういう状況です。こういう声、要望にこたえる気があるかどうか。区営住宅についても、東京都が今都営住宅をつくらない。これに歩調を合わせて区もつくりません。この倍率も非常に高いと。私は、特に質問の中でこの区民要望のトップの2つを挙げましたけれども、増設計画を盛り込むのか。福祉は当然だというのであれば、その考え方をしっかり聞いておきたいと思います。

あと、その次ですが、後期高齢者医療制度のほうですけれども、現在粗々の試算だということで、15万5,000円と、一番高い場合の試算ですけども、これについて妥当かどうかという質問をしましたけれども、これに答えておりません。確かに粗々の試算だというところだと思います。しかし、部長も答弁したように、国の負担が満額出ないだろうと。そういう予想のもとに、今大方予想されています。そうすると、答弁にもあったように、厚生労働省の試算した保険料よりもかなり多くなる。これについて、じゃあどう考えるのかご説明をいただきたいと思います。

それと、保険料の滞納をしたら、高齢者であっても保険証を取り上げる。短期証、あるいは資格証です。私は本当にこの制度というのは冷たい制度だなというふうに感じます。部長さんは、先ほどは悪質滞納者とは別だと。法にのっとってやるんだというふうにおっしやいましたけども、私は、収入が少ない高齢者の特質、これに沿って、保険証の取り上げはしないということを約束していただきたいと思います。このことを再質問させていただきたいと思います。

地震のほうですけども、部長さんの答弁では、区が今独自につくっている制限があります。接道だとかいろいろ制限がありますけども、じやあ、こういう区独自の制限というのを外していくということなのかどうなのか、そこのところの考えをお聞かせいただきたいと思います。特にマンションなどの問題ですけども、区はこれまでマンションは耐火建築物だと。耐火だから耐震のほうはしないという、そういう変な理屈で耐震支援をしようとしませんでしたけれども、私はあくまでも耐震支援するならば、マンション、耐火建築物であっても、耐震診断、耐震補強の支援にすべきだと思いますが、そこの点確認をさせていただきたいと思います。

そして、高齢者の世帯のところですけども、家具転倒防止。これは自助でやれと。そういう答弁でした。しかし、相次ぐ大地震の教訓というのは何かというと、命を守る、そういう対策が求められているということではないかと思います。全面的な補強工事、あるいは自分での建てかえができなくても、命を守れる、そういう対応をするということが必要だと思うんです。たまたま昨日テレビを見ておりましたら、両親をなくされた子どもさんが結婚されたと。実は子どものときに2段ベッドを買ったと。これがあったので命が助かったと、そういう話でした。私は補強工事ができなくも、改修ができなくても、こうした、いわゆるシェルターというのは非常に効果的だと思うんですが、この答弁、改めて伺いたいと思います。

最後に、学校の統廃合のところですけども、ここでは、教育次長さんは、コストは当然だというふうに言いました。コストでいったら、私は少なければ少ないほうがいいということになってしまうんじゃないかと改めて心配します。小規模校があること、今この教育環境の是非が議論されるんだというふうに言いました。それなら、小規模校も残すという前提で支援するということをはっきり約束していただきたいと思います。単純な請じやないんだと言いました。私も単純な請じやなくて聞きたい。小規模校をしっかり残すということを約束していただきたい。そして、これまで教育委員会は、住民から要望があればということで、学校の統廃合の話をしておりました。しかし、問題なのは、区側から提案するのかどうなのか。このところが問われていると思います。区側から統廃合を働きかけることはしないということを約束していただきたいと思います。

以上です。


再答弁

区長(濱野健君)

基本構想について、あるいは基本計画についてのお尋ねでございます。

特別養護老人ホームがなければ、区営住宅がなければ、福祉の後退、区民生活の破壊だというのは、少し極端なお考えではないかなというふうに思いますね。基本計画の中で、高齢者福祉のあり方、あるいは住宅政策のあり方、これを検討していくわけであります。何がなければ、それではだめだという考え方を私はとるつもりはございません。総合的に考えてまいります。

以上です。

企画部長(福田法光君)

いわゆるネットカフェ難民と言われる方たちの増減に関しまして、区は区内での人数を把握しているのか。こういう再質問でございますが、まずこのネットカフェ難民と申しますのはまだ定義がはっきりしていない、そういう概念でございます。それから、区内に何人いるのか、このことを把握することに問題の本質があるとは私は考えておりません。したがいまして、人数を把握することは困難でありますし、意味がないというふうに思っております。

それから、望ましい姿がどうかということでございますが、これは厚生労働大臣が国会の厚生労働委員会の中で、望ましい労働の形態とは言えないというふうに述べておられます。これは大方の国民だれでもそう思うのではないかというふうに考えております。以上です。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

後期高齢者医療に関する再質問にお答えいたします。

まず、保険料の部分でございますけれども、粗々の試算ということと、この保険料の算定上は、医療給付費のほか調整交付金がどのぐらい入るかとか、あるいは財政安定化基金、審査支払手数料、いろいろな要素があるわけでありまして、この部分について、今後62自治体がありますので、その自治体間のコンセンサスが得られることが重要かと思っておりますけれども、国の当初示した試算よりも、東京であるがゆえの数字が出ている状況でありますけれども、こういう中で、いわゆる保険料で対応すべきものとそうでないものの切り分けとか、あるいは一般財源ということの活用も含めまして、さらにこれは精査をしていくべき課題だというふうに私どもは思っております。広域連合の中でこの辺は今後詰められていくものと考えております。

次に、短期証等の取り扱いでございますけれども、私どもといたしましては、当然法律にのっとって仕事を進めていく必要があると認識しておりますけれども、当然のことながら、画一的に取り扱うという考え方は持っておりませんので、相談に来られた高齢者の方、個別性について、個別の事情については、十分にしんしやくして運用してまいりたいというふうに私どもとしては考えているところでございます。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

耐震化の問題でございますが、1点目の木造建物への耐震調整の現在区が助成制度を持っている枠を取り外すかどうかというご質問でございますけれども、ご案内のとおり、現在区の対象としておりますのは、重点整備地域荏原を中心とした密集地域のうち、6メートル未満の道路に面した木造住宅に対する耐震改修を対象としております。現在検討している中では、区内全域の耐震化が必要とする木造家屋の率を、今のところ国のレベルに合わせて90%まで、平成27年までに上げるためには、どのような方法が実効的であるかということを含めて今検討している最中でございますので、具体的には現在の制限を一歩踏み込んだ形での施策をお示しすることになろうかと考えております。

次に、マンションに対する助成措置のご提言でございますけれども、実態調査を見ますと、木造家屋の耐震化率は現在53%程度でございます。それに比較しまして、いわゆる住宅用のマンションは、既に昨年段階で91%を超えております。したがって、国が定めております10年後の90%という目標は、既に区内のマンション自体はそれを達成している状況でございますので、これから進みます区の耐震化計画の中で、これをどう位置づけていくかということを今検討している最中でございます。

それから、家具転倒防止やシェルターの問題でございますけれども、これはご案内のとおり、東京都の被害想定で、冬の夕方の場合に東京直下で発災した場合と、冬の早朝発災した場合と2種類の被害想定を出しております。火災による被害が−番多いのは、当然のことながら夕方発災した場合。したがって、この場合は、いわゆる燃えないような対策をどうするかということが中心になります。問題なのは、早朝5時に発災した場合に、ほとんどの方が睡眠中でございますので、当然のことながら圧死者が非常に多くなっております。これを半減するのが東京都の震災計画の目標になっておりますので、現在検討している中では、こういったいわゆる寝室等の個別の部屋のみの耐震化を図れるかどうか、これも現在検討しておりますので、近々お示しすることになろうかと思います。

教育次長(長田正君)

学校の統廃合に対する再質問にお答えいたします。

まず、正しくご理解をいただきたいんですけれども、今回検討している内容というのは、学校の適正規模と適正配置について検討をしているものでございます。したがいまして、小規模校を統廃合する、あるいは廃校にするというようなことではございませんので、その辺についてはご理解をいただきます。

それから、こういった、何事でもそうだと思いますけれども、行政が物を考えるときに、コスト論というのは必ずこれはついて回るというふうに私どもは判断をしております。

以上でございます。


再々質問

宮崎克俊君

自席から再々質問させていただきます。

まず、基本計画のほうですけど、あれがなきやだめだ、これがなきやだめだということは、区民に言う言葉じゃないですよ。私が先ほど言ったのは、今区民が−番望んでいるシンボルですね。それに対してどうこたえるかということが今問われていると。これ以上やってもあまり出ないと思いますが、ぜひこれから策定されるだろう基本計画には、この区民の一番望んでいる要望に対してしっかりこたえるという計画を盛り込んでいただきたいことを強調しておきたいと思います。

あと、後期高齢者のほうですけども、これはこれからつくられるということなので、ぜひ区民の、特に高齢者の生活の実態を反映した内容になるようにということで、大いに頑張っていただきたいと思います。特に短期証、あるいは資格証のところでは画一的に扱わないということでありますので、そういう高齢者が必要な医療を受けられないということがないように、頑張っていただきたいと思います。

最後の小規模校のほうですけれども、私が再質問で伺ったのは、これまで教育委員会は住民から要望があれば統廃合を考えると言ってきた。しかし、この学校規模適正化ということになると、教育委員会の側から働きかけることがあるんじゃないかと。教育委員会の側からそういうことをすべきじゃないんじゃないかということを言いました。それについてはどうするのか。現に荏原二中では、小規模校、小さいから選んだと、そういう子どもが多い。これを無視して統廃合を進めるわけですから、私はこうしたやり方はもうしないという約束をしていただきたいという質問をしております。答弁をお願いしたいと思います。

再々答弁

教育次長(長田正君)

再々質問にお答えいたします。

地域からの要望があればというようなお尋ねでございますけれども、答弁の中でも申し上げましたけれども、小規模校においては、さまざまな学習に関する障害が出ているのも事実でございます。そういったことの中で検討を始めるというものでございます。

それから地域の中では、区政協力委員会等の中でも、統廃合の問題についてはいろいろなところで出ておりますし、それから学校の現場からも、小規模校の弊害についての報告がなされるところでございますので、そういった背景から今回の検討に至ったものでございます。

議長(伊藤昌宏君)

以上で、宮崎克俊君の質問を終わります。

以上

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