前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

第75号議案「東京都後期高齢者医療広域連合の設立について」の反対討論

2006.12.07日本共産党区議団鈴木ひろ子

鈴木ひろ子区議

日本共産党区議団を代表して第75号議案「東京都後期高齢者医療広域連合の設立について」に反対の立場で討論を行います。

今回の議案は、今年6月の国会で自民党・公明党が強行可決させた「医療改悪法」のひとつである原則75歳以上の高齢者を被保険者とする後期高齢者医療制度が2008年4月から施行されることに伴い、都内全区市町村が参加する「東京都後期高齢者医療連合」について規約を定め設立させるものです。

「医療改悪法」はその他にも、70〜74歳の患者負担を現行1割から2割へ、現役並み所得の70歳以上の負担を2割から3割へ引き上げ、さらに療養病床入院高齢者の食費・居住費の負担増など、医療をもっとも必要としている高齢者、重症患者への情け容赦ない負担増、また、入院患者の追い出しにつながる療養病床の6割削減、保険がきかない混合診療の拡大など、日本の医療制度を変質させ、国民皆保険制度の基盤を崩すものといわざるを得ません。日本医師会を含む国民医療推進協議会が集めた改悪反対の署名は1700万人に達するなど大きな世論と運動が広がる中、自民党・公明党が数を力に押し切ったものです。日本共産党、民主党、社民党は医療改悪法に反対しました。

以下、後期高齢者医療制度の問題点、広域連合で運営することの問題点など反対の理由を述べます。

第1に後期高齢者医療制度が保険料負担増とともに高齢者への差別医療をもたらす問題です。

新制度では(現在保険料負担がない社会保険被扶養者も含め)75歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収、1万5000円以上の年金受給者からは天引き、それ以下の人からは普通徴収するものです。その額は厚労省試算によると平均的な厚生年金受給者で月6200円。介護保険料とあわせると1万円を超えるものであり、高齢者にとって増税や介護保険料の値上げに加えての負担増は高齢者の日々の暮らしをいっそう深刻にします。

現在高齢者は、障害者や結核医療などと共に短期証、資格証の発行対象からはずされています。これは医療が必要な高齢者から保険証を取り上げることはできないとの判断からでした。ところが今回の医療改悪では、75歳まで頑張って税金や保険料を納めてきた高齢者まで、滞納すれば保険証を取り上げ、短期証、資格証明書を発行することを法定化しました。資格証になれば、窓口で全額自己負担となります。保険料を払えない人が医療費を全額払うことができるでしょうか。病気を抱えながら医療を受けられず、命を落とすという悲惨な事態が高齢者まで広がることになります。

現役世代が納める保険料に「現役世代のために使われる額」と「高齢者向けに使われる額」がそれぞれ明示されます。つまり、現役世代が「高齢者の分まで払っていますよ」と納めるたびにアピールされ、高齢者にますます肩身の狭い思いをさせ、医療抑制につ名がる仕掛けをつくりました。

診療報酬についても一般とは別立てにし、後期高齢者の治療や入院の報酬を引き下げ、医療内容を切り縮める「高齢者差別医療」を公然と行えるようにするものであり、許すことはできません。

第2に広域連合が住民の声を反映せずに、保険料額や療養給付水準など高齢者の生活に重要な影響を及ぼす事柄を決めてしまう問題です。

東京都後期高齢者医療広域連合の議会の議員定数は31名であり、1200万人都民を代表する議会として少なすぎます。これでは住民の声を公平に反映させることはできないことは明らかです。

75歳以上の高齢者の医療制度でありながら、被保険者である当事者が運営に携わることができないのも重大な欠陥です。政府は「75歳以上の方々のご意見を踏まえて運営すべきだ」と答弁しながら、そのことが担保される仕組みはありません。

住民との関係が遠くなる一方、国には「助言」の名を借りた介入や「財政調整交付金」を使った誘導など大きな指導権限があります。このままでは、広域連合が、国いいなりの‘‘保険料取立て・給付抑制‘‘の出先機関になるのではと懸念されます。

区議会への報告義務、情報公開の徹底、高齢者の意見を反映させる仕組みづくりを行い、住民の声が届く広域連合への改善が必要です。

自民党・公明党が進めた小泉構造改革は、医療、介護、年金、障害者福祉と連続的な社会保障の切りすて、国民への際限のない“痛み”の押し付けによって生存権さえも脅かされる事態が広がっています。政府・与党は医療費が増大すれば経済も財政も破綻すると国民を脅しますが、日本の医療費はGDP比でOECD加盟国30か国中18位と低く、逆に、患者負担は先進国と比べて異常な高さです。患者負担の引き下げこそ必要です。ヨーロッパ各国の医療制度は患者負担が無料かわずかな負担であり、これが世界の流れとなっています。

史上空前の利益を上げている大企業や銀行などの優遇税制を改め、応分の負担をさせれば財源の確保は可能です。公的医療の充実こそ求められているときに、新たな高齢者への負担増と差別医療をもたらす後期高齢者医療制度は逆行するものであることを指摘し反対討論とします。

ページトップへ

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ