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品川区議会オリンピック招致決議への反対討論

先の区議会臨時会において、自民、公明、民主が「第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議」を提案、賛成多数で押し切りました。なお、日本共産党と生活者ネットは反対しました。

以下、本会議で宮崎議員が行った反対討論を紹介します。

品川区議会オリンピック招致決議への反対討論

日本共産党区議団を代表して、「第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議」に反対する立場から討論をおこないます。

オリンピックは「スポーツを通じた肉体的精神的発達」、「諸民族の相互理解と友好の促進」、「スポーツを通じた世界平和への寄与」などを理念に4年に1度開催され、鍛えられた体と技、スポーツマンシップの発揮が限りない感動を与えています。

わが党は、世界の人々がスポーツを通じて交流する「平和の祭典」としてのオリンピックそのものに反対するものではありません。しかし、オリンピックが巨大開発の口実にされたり、環境破壊につながるような計画とセットにされるのであれば、招致に賛成できません。しかも、東京都は、オリンピック開催経費や開発による費用がどのくらいになるかも明らかにせずにすすめようとしています。決議案では、「開催に伴う多額の財政負担」を含めた都区間協議を求めてはいますが、こんな状況でオリンピック招致を決議することはあまりにも無責任ではないでしょうか。

東京都が今年5月に発表した「2016年東京オリンピック基本方針」では、「施設の新設も極力抑え、経費の抑制や環境負荷の低減を図る」とのべています。しかし、建設計画が明らかになっているもの中央区晴海のメインスタジアム、さらに民間資金活用による江東区有明北の選手村と築地市場移転跡のメディアセンターで、他の施設計画は明らかにしていません。

さらに、重大なのは「オリンピックをテコに都市と社会を変革する」として今後10年間の取り組みで「三環状等の整備の加速」を掲げていることです。東京オリンピックを口実にした大型開発の加速という意図がはっきり示されています。

三環状とは言うまでもなく首都圏三環状道路計画です。ひとつは首都高速道路中央環状品川線で1千億円以上の都負担を予定。圏央道では都は毎年数百億円の直轄事業負担金を支出。また、外郭環状道路の整備は、本体だけでも1兆3千億円の事業費が予定されています。そのうえ、石原知事は「羽田空港と築地市場跡地をターミナルにした地下道路計画を造る」とのべており、延長10キロメートルですから、1兆円規模の大工事になると予想されています。いま、遡上にのぼっている道路計画だけでも6兆円近い財政支出を伴うことになるのです。

オリンピックの主会場となる臨海部の開発は、第三セクターが3800億円もの巨額の負債を抱えて民事再生法を申請、都民の直接財政負担だけでも381億円に上り、計画は完全に破綻しました。ところが、石原知事は三セク処理後に新しいワク組で開発を継続させようというのです。

「基本方針」は、半径10キロメートル圏内に競技施設と関連施設を集中させるから「世界一コンパクトな大会」だとのべています。しかし、コンパクトというのであれば、開催施設だけでなく、道路などインフラ整備や再開発を含めて都民の負担を軽くすべきです。「基本方針」に垣間見るオリンピック計画は、巨大開発と一体で、都財政への影響の点でも、環境への負荷の点でも、コンパクトにほど遠いものと言わざるをえません。

1千億円のオリンピック基金も、結局、こうした大型開発のための貯め込みです。主要5課題での都区協議に現れているとおり、都は23区への当然の財源移譲を拒否しています。さらに、都民には福祉を切りすて犠牲を押しつけて、オリンピックを口実に不要不急の大型事業への大盤振る舞いなど許されません。都が昨年11月に発表した「人口減少社会における都財政運営のあり方」でも、「漫然と支出を続けていけば、財政の破たんは免れない」と警告しているではありませんか。

さらに、都民の意見も聞かずにすすめる姿勢も際立っています。札幌市は、昨年、いち早く市議会がオリンピック招致を決議しましたが、経費の試算を市報で公表。市民アンケートの結果をうけて市長が開催見送りを表明しました。また、福岡市でも開催概要計画を公表し、市民の意見を求めています。開催経費の試算さえ公表しない東京都とは大違いです。

そもそも、オリンピックが、福祉をきりすて、都民の犠牲のうえに開催されるとしたら、スポーツマンからも都民・国民からも歓迎されるのでしょうか。いくらかかるかわからないが、とにかくオリンピックを招致する。こんな決議は、スポーツマンシップとはまったく無縁だということを指摘し、反対討論を終わります。

以上

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