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沢田英次区議04年第1回定例会代表質問「小中一貫教育」「30人学級」「耐震補強」「憲法9条」

2005.04.08 沢田 英次 区議

代表質問項目

  1. 競争・先取りの小中一貫教育でなく30人学級の実現でたしかな学力を
  2. 「30人学級の実現を」
  3. 大震災の教訓に学び家屋・マンションの耐震補強工事に助成を
  4. 憲法9条は日本の宝…改憲についての区長の見解を問う

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代表質問

日本共産党を代表し以下四点にわたり代表質問を行います。


競争・先取りの小中一貫教育でなく30人学級の実現でたしかな学力を

はじめは「競争・先取りの小中一貫教育でなく30人学級の実現でたしかな学力を」の質問です

高橋区長は施政方針の中で「保護者や区民の信頼にこたえる学校になるよう9年間を通じて子供たちの確かな学力と豊かな社会性・人間性を育む小中一貫教育の全校実施に向けて全力をつくしたい」と述べました。

学校のおかれた状況は、学力問題をはじめ不登校、いじめや、最近では学校内で傷害事件が頻発するなど危機的な状況にあります。

あらためて小中一貫教育がこれらの問題を解決する有効な方法なのか、問いたいと思います。

まず小中一貫教育の中で貫かれる能力別教育、競争教育の問題点について触れます。

小中一貫教育の核心、5年生から始めるステップアップ学習について区教委は「個々の子どもたちがもつ特定分野の優れた能力を引き出す。また、年齢を超えた学習集団の編成、習熟度別学習や課題選択学習の選択、上級学年の学習内容も視野に入れた発展的学習をおこなう」としています。

習熟度別学習は成績の上位、中位、下位によりグループ分けして授業をおこなう能力別教育であります。それはまた競争教育でもあります。

問題は、能力別教育が学力向上、人間性形成において有効かどうかです。

ここで品川での、習熟度別学習現場の状況を述べます。

小学校の先生からこんな話を聞きました。「習熟度学習の際、成績下位の子が、上位のクラスにやってきた。先生は、別のクラスにいったらとやさしく諭したが、「いやだ」言っていうことを聞かなかった」。先生方は子供たちが傷つかないように「自己選択なんだから」というが、子供たちは「できるクラス」「できないクラス」みんな知っている。子供の間では下位のクラスを「ダメクラスと呼んでいる」との話を聞き、大変驚きました。

習熟度別学習はとりわけ上位の子には優越感、下位の子のクラスの劣等感を抱かせ、学びに一番大事な子供同士の連帯、信頼関係を破壊することになりかねません。

習熟度別学習は補習などで部分的に取り入れることの意義は認めますが、授業の中で拡大、一般化すればするほど、学力の面でも、人格形成の面でも弊害が多くなり、得るものは少ない、ことを強調するものであります。

ここで2003年度に実施されたOECDの国際学力テストと習熟度別学習にについて述べます。

今回のテストは2000年度に続き2回目。中学一年生を対象に41ヶ国が参加しました。数学、読解力、科学のリテラシー、問題解決能力の4分野で実施しました。実生活への応用力を測るものでした。

日本の結果は、数学的力リテラシーでは3年前の調査では1位だったが、今回6位、読解力リテラシーは8位から14位に後退。マスコミは「トップから転落」「日本の15歳、学力黄色信号」と報じたことはご承知のとおりです。日本の成績がなぜ下がったか、今後、慎重な検討が必要です。

NHKは「3年前は全国で習熟度別学習導入は3割台だったが、現在は7割台に拡大されている。ここに問題はなかったのか」と報じました。

テストのトップは前回に続いてフィンランド。フィンランドは習熟度別教育を否定し成績にかかわらずみんなで学習する共同学習を推進しています。成績は4教科いずれも3位以内、学力格差も格段に少ないといいます。能力別教育、競争教育を推進しているドイツは4科目とも20位前後と前回同様振るいませんでした。

品川区が小中一貫教育で習熟度別学習強化を目指しますが、成績低下とならないか、本当に心配です。

欧米では「能力別教育をやめ、学力の上位、下位の子も一緒に学ぶ、共同教育・平等教育に移行しています。またカリフォルニア大学のオークス教授が10年間の研究を網羅的に調べた結果「習熟度別指導はことごとく失敗してきた」と述べているように教育研究者の多くは、習熟度別学習の効果を否定しているのであります。

ここで我が党は今年1月、愛知県犬山市の教育を調査してきましたので報告します。犬山市は人口7万千人、愛知県の最北端、犬山城でも知られる町ですが、品川区とはまったく違った立場から「教育改革」を実践しています

犬山市は「子供同士が学びあい、高めあう学習過程は、学習内容の習得を高めるだけでなく、学習への意欲人間関係など豊かな同時学習を可能にする。児童・生徒が生活と学びを通じて「共に高めあう喜び」を実感できるようにするために様々な試みを実践している」とのことでした。それは全国で始めて少人数授業の実現、さらに発展させ今年度から全小中学校で30人学級の実施。市内全教員と保護者の協力を得て算数、理科、国語の副教本の作成と教育課程づくり…などであります。

習熟度別学習は個に応じた学習の一つとしながら、さまざまな特徴をもったメンバーからなる異質の集団のほうが、似たもの同士が集まる等質集団より効果的との判断から、補習的におこなうなど限られた条件下で実施しているとのことでした。

少人数学級は学びの条件であり、大事なことは黒板を前にノートをとらせる一斉授業から少人数学級にふさわしい授業のあり方を見つけることが大事だ、としています。そのために指導方法の開発者として現場の教師以上にふさわしいものはなく、教師の自発性大事にし、授業の研究できるよう時間も保障している」とのことでした。

品川区は、小中一貫校計画にしても学校選択制にしてもその実施に際し、先生方に何の相談もなく決定。上から方針の押し付けに対し、ベテランの先生も含め区外への移動を希望が後を絶たない、品川区と大きな違いといわなければなりません。

ここで、今年1月1日、毎日新聞は犬山市の教育を報じましたが、その記事を紹介します。「みなでわかるのが楽しい」「競争排しクラス明るく」の見出しでした。

今、教育改革といえば『競争原理』の導入だ。学力テストで比べ、通学区を自由化して公立小中学校にも児童獲得競争をさせる。だが教育改革の先進地として知られる犬山市はあえて「競争」には背を向けた改革のキーワードは、今の時代には素朴すぎるほどの言葉「学びあい」だ。

今日は二桁の掛け算だ。子どもたちは4人一組の班になる。「43×6」。先生が黒板に問題を書いてこう指示した。「一人目の子は式を書いて、二人目は一ケタの計算、三人目は二桁の計算、四人目の人がやり方をみなの前で発表します」。間違えてもいい。友達が助けてくれる。「自分ひとりでわかるより皆でわかったほうが楽しい」と口々に言う、としています。

この質問の最後に一貫教育の中で前倒して勉強することについて述べます。

中学3年生の漢字(書き)を小学5年生で終える、小学校5年で中1の負の概念を取り入れる、中3で高1で学ぶ虚数を導入、などです。一貫校のカリキュラムのもう一つの特徴は前倒し、詰め込みにあります。これが子どもたちの学力向上に役に立つのでしょうか。

一貫教育のカリキュラムでは小学校一年でこれまで漢字の読み80字に加え、新たに書き80字を追加しました。

国語の先生に聞きましたが漢字の指導は@音訓の両方の読み方、A漢字の成り立ち、もともとの意味、B筆順と字形、C漢字の使い方など総合的に教える、漢字指導は時間当たり2字、週4字が無理なく興味や関心に沿って教えられる字数だといいます。1年生がひらがなを覚え、カタカナを覚えた上に漢字80字の読みに加え、さらに80字の書きを学ぶことは非常に大変なことだ、といいます。

先生方は時間が足りたいと市販のドリル中心や何度も書くことのみを強調する指導になりがち、といいます。これでは漢字嫌いの子を大量作り出すことになります。覚える漢字を厳選し、丁寧に漢字指導をおこなうことこそ大事ではないでしょうか。学ぶこと、わかる楽しさが実感できれば、子どもたちは自らの力で新しい漢字を学び取っていきます。これはすべての教科にいえることであります。

各種の調査で日本の子供は「家庭で勉強しない」「数学嫌い」「科学嫌い」が世界でも最も多い、「学びからの逃走」ともいえる残念な結果が出ています。小中一貫校でめざす前倒し、詰め込み教育が、勉強嫌いの子を作ることになること、そのことが教育全般に与える影響を真剣に検討したのでしょうか。

以上、小中一貫教育の問題点を述べました。そこで質問します。

  1. 小中一貫教育の習熟度別学習に効果があるという教育研究、科学的根拠の結果があれば示して下さい。
  2. 小学校4年で6年生の漢字を覚えることをカリキュラムで取り入れていますが、これではますます、漢字嫌い、勉強嫌いの子供にしてしまうのではないでしょうか。
  3. 一貫教育を進めるにあたり、十分な情報を提供し父母、現場の先生方の意見を聞き、慎重に運ぶべきだと思います。どのような努力、がされたでしょうか。
  4. 16年度の中学校PTA連合会が、「小中一貫教育についてPTAや地域の合意となるよう十分な説明と配慮」を求めています。どのような説明が行われたのでしょうか。

30人学級の実現を

次は「30人学級の実現を」について質問します。

40人学級制から30人、少人数学級へ移行する動きは、全国に広がりました。

47都道府県のうち、少人数学級に踏み出した県は42道県、40人学級実施県のうち石川、佐賀、岐阜、香川の四県も30人学級実施の方向を打ち出し、東京だけが40人学級ということになろうとしているのであります。

我が党は一昨年、山形県の33人学級調査したことを議会で紹介しましたが、30人学級は学力向上の面でも社会性を身につける面からも、その優位性は明らかです。

学力と学級規模の関係についての研究では、アメリカ政府が行ったコールマン報告があります。65万人の児童生徒を対象に行った史上最大の教育調査ですが、この報告では「子どもたちの教育効果を決定づける最も大きな要因」として学級規模を挙げています。かなり前の報告ですが、その後これを覆すようなデータは示されていません。

さて品川区は、30人学級の実現を求めていると決まって「すでに少人数授業は習熟度別授業やティームティーチングで行っている」と述べ、拒否の態度を続けています。

しかし、少人数授業は、算数や国語など限られた科目だけであり、学級を単位にした少人数とはおのずと違います。

昨年から、文部科学省は「少人数授業で加配している教員を、少人数学級に充てもよい」との新たな方針を打ち出しました。品川区には小中合わせて73名の加配教員がいるわけですから、その気になれば全学年とはいかなくても新たな財政負担なしに小・中学校の特定の学年を少人数学級にすることは可能なのであります。

前の質問でも述べましたが、少人数学級とそれにふさわしい指導方法を見出せば、フィンランドのように高い学力を身につけることは可能であります。

そこで質問します。

  1. 30人学級の実現を求めますがいかがでしょうか。一度にすべての学年を望みますが、特定の学年で実施することは財政上も即実施が可能だと思います。
    加配教員の少人数学級への活用を東京都に申請すべきと思いますがいかがでしょうか。
  2. 区は「生活集団としては40名がいい。学習集団としては少人数がいい、として少人数教育を行っているから30人学級は必要ない」としてきました。
    この考えが正しいとする研究成果、根拠を示してください。

大震災の教訓に学び家屋・マンションの耐震補強工事に助成を

次に「大震災の教訓に学び家屋・マンションの耐震補強工事に助成を」について質問します。

昨年12月、中央防災会議は新潟県中越地震と同規模の地震が東京都で起きた場合、死者数は建物や家具の下敷きで圧死3300人、火災による死者8000人、合わせて約1万2千人の死亡、との予測を発表しました。これは阪神淡路大震災のほぼ倍の数となっています。

首都の直下型地震はいつ起きてもおかしくないといわれるだけに、地震への備えは急を要します。防災対策は多岐に渡る取り組みが必要ですが、中でも急がれる、住宅の耐震化に絞って質問します。

一点目は、木造住宅の耐震補強についてです。

10年前の阪神淡路大震災では5488人の犠牲者のうち、約8割が自宅で死亡。その死因のほとんどが窒息・圧死でした。地震から住宅を守ることの重要性は、二つの大震災からの貴重な教訓です。それは命を守ることであり、地震後の復旧、生活再建の上からもきわめて重要です。

2002年の東京都「第五回地域危険度測定調査」では、総合危険度ワースト10の中に、品川区は4町会が指定されました。区内には、老朽化した木造家屋が密集し、地震が起きれば、家屋倒壊などによる圧死や火災による焼死者が多数に上ることは必至です。

さて我が党は、阪神淡路大震災以後、数回にわたり、家屋の耐震診断とその補強工事の助成制度創設を求めてきましたが、昨年、品川区として耐震診断助成制度を実施したことは勇気ある決断だったといえます。

現在まで36人が申し込み、診断を通じて家屋の補強工事を行った方も1名で出ている、と聞きました。区民の期待の現われだと思います。

実は、先日の日曜日私の自宅に北品川の方から電話がかかってきました。

その方は、「戦前の家を区の助成を受けて耐震診断をしたが、家が広いため補強工事に300万円ほどかかるといわれた。資金がなくできないが区に助成制度はないでしょうか」とのことでした。耐震診断をやっても家の補強工事がお金がなくてできない、こんな家庭が多いことは電話での相談者からも明らかです。

墨田区では今年から、一般住宅、高齢者が住む木造住宅に助成制度をスタートさせます。65歳以上の高齢者、障害者が居住する世帯に補強工事費の2分の1、50万円の助成。目黒区でも木造住宅改修へ高齢者などは経費の3分の2、上限を30万円の助成を実施します。

耐震補強には多額な費用がかかるわけではありません。木造住宅耐震補強事業者協同組合によれば1階部分を壊れないようにするため、瓦を軽量化、耐力壁の追加など効果的に対応すれば100万円程度で耐震補強は可能としています。それほどの大きな費用はかかりません。

2点目はマンションの耐震診断、耐震補強に対する問題です。

阪神淡路大震災では、マンションの倒壊は2.3%になったとの調査結果もあります。マンションの倒壊はそこに住む住民の命とともに、幹線道路をふさぎ、被災者の避難、救急車両、支援物資の輸送を困難にしました。個人の財産だから個人で守れ、では済まされない問題です。

倒壊まで行かなくても高架水槽が損壊し水、トイレが使用できなくなったり、エレベーター停止なども各所で起きました。マンションに対しても耐震診断、耐震補強が必要ではないでしょうか。

中央区では、分譲マンションの耐震診断にたいして、経費の20%を上限として50万円を限度に助成する制度を発足します。

防災対策を目的の一つとして進められた再開発、大崎駅東口ゲートシティーの開発には補助金111億円の税金投入が行われました。現在進行中の同第3地区へは100億円が投入されます。100億円の資金、いやその半分でも耐震診断および補強工事投入すれば、多くの区民の命が救われます。

安全な街づくりを言うのであるならば大企業、大手ゼネコンのための開発ビルより、区民の命を守る地震に強い住宅の補強こそ急がれるのではないでしょうか。

高橋区長は施政方針の中で「中越地震の教訓を生かした防災対策のさらなる強化」を述べていますがあらためて、木造、マンションなど住宅の耐震診断の拡充、補強工事への助成を求めるものであります。

そこで質問します。

  1. 首都圏直下型地震から区民の命を守るために家屋の耐震診断の対象を木造に加え、耐火建築にも拡大すべきと考えますがいかがでしょうか。また、補強工事への助成制度を設けるよう求めますが、いかがでしょうか。
  2. 阪神淡路大震災では、少なくないマンションが倒壊、損傷の被害を受けました。マンションについても耐震診断、補強工事助成を求めますがいかがでしょうか。

憲法9条は日本の宝…改憲についての区長の見解を問う

次に「憲法9条は日本の宝…改憲についての区長の見解を問う」、について質問します。

ご承知のとおり、自民、公明両党は、開会中の通常国会で憲法改定に必要な国民投票法の成立を図る」としております。また、自民党の改憲草案対抗では防衛軍の設置を明記。民主党の鳩山議員は「自衛隊を自衛軍にすべきだ」とし、試案で9条改憲を求めています。

今年は、戦後60年、憲法第9条を中心とした戦後の平和の体制が重大な岐路に立たされています。

改憲の理由の最大の狙いは第9条を改悪し、戦争しない国から戦争する国へ転換することにあることは論を待ちません。

私は、まず憲法9条がつくられた経緯等について述べることにします。

先日こんな記事を目にしました。

戦艦大和と並ぶ史上最大の戦艦「武蔵」に乗務。柴田庫治(くらじ)さん82歳の談話です。20本の魚雷と17発以上の直撃弾を受け横転、2400名の乗組員が海に放り出された。兵士たちは気化する重油で意識がもうろうとする中、必至に海上の漂流物にしがみついた。一本の丸太に30人もいたでしょうか。力尽きたものが一人また一人と沈んでいく時、これでしばらく浮いていられる、と思った。他人の犠牲の上に私は生き残った。この心の傷は今でも言えることはない。9条改憲の動きが加速しているが、戦争の悲惨さってものを知らない。戦没者の意思が9条を生んだことを忘れてはならない」と語っていました。

太平洋戦争でアジア各地ではどうだったのでしょうか。

中国への全面的な侵略戦争を推し進めてきた天皇制政府は、41年12月8日、アジア・太平洋地域をさらに大きく巻き込む太平洋戦争に。日本はすでに台湾、朝鮮を植民地にし、かいらい政権を中国東北部に「満州国」を樹立しました。こうした侵略行為に国際的批判が高まるなか、日本軍は、コタバルを皮切りに南下し、42年2月15日には、マレー半島先端のシンガポールを占領。「昭南島」と改名すると同時に、軍政を敷いたマレー半島の各地で中国系住民を対象に無差別の虐殺を行いました。シンガポール島内だけで実に数万人の華僑が殺害されたのであります。

この品川はどうだったのでしょうか。武蔵小山商店街と満蒙開拓団について述べます。

日本政府は満州に農民を中心に32万人を送り込みました。当時「満州へ行けば10町歩の土地がもらえる」とのふれ込みで満蒙開拓団が組織されました。土地が与えられるといっても、多くはもともと中国の農民の土地で安く買い叩いたり、奪いとったもので中国人の激しい恨みをかい、激しい抗日闘争が起きました。極寒の地で筆舌につくせない苦労を重ねた。戦争末期に連合国の要請を受けたソ連軍が満州に侵攻すると、最強の関東軍は、開拓団を飛び越え撤退。着の身着のままの逃避行を余儀なくされたのであります。武蔵小山商店街からは約1000名が送り込まれ、800名もがなくなっています。

日本が起こした太平洋戦争は、日本国内で310万人の死者を出したばかりか、中国をはじめとするアジア各地で2000万人もの人たちを死に追いやったのであります。憲法9条は日本は二度とこのような戦争による惨禍を起こすまいと、戦争放棄に加え、軍隊は持たないことを第9条にきざみこんだのであります。

憲法9条は、戦後の日本のすすむべき基本を示すとともに、日本の世界に向けた国際公約であるといわなければなりません。

韓国の70人の超党派国会議員は、自民党の改憲草案に対し「日本のこのような憲法改定は、過去の侵略に対する痛切な反省なしに、再び日本を戦争国家化し軍事大国の陰謀を実現するための具体的な行動である」と抗議の声明を出したことは当然、と言わなければなりません。

私はここで憲法制定直後、文部省が作成した中学1年の社会科教科書「新しい憲法の話」、を紹介します。

戦争で国内外大きな犠牲を与えたことを記述した後、「こんな大きな戦争を起こしたことはまことに残念ではありませんか。そこで今度の憲法は日本の国が決して二度とと戦争をしないよう二つのことを決めました。その一つは兵隊も軍艦も飛行機も戦争をするためのものは決して持たないということです。これを戦力の放棄といいます。日本は正しいことをほかの国より先に行ったのです。世の中に正しいことぐらい強いことはありません。もう一つはよその国と争いごとが起こったときに決して戦争によって相手を負かして自分の言い分を通そうとしないことを決めたのです。よその国と仲良くして世界中の国がよい友達になってくれるようにすれば日本の国は栄えていけるのです…」、これが憲法9条の出発点だったのです。

「新しい憲法の話」に照らすならば、憲法9条を変え、自衛隊を自営軍としアメリカ軍とともに世界で戦争することが、いかに間違っているかを証明するものといわなければなりません。

私は、ここで改憲勢力の主張に我が党の見解を述べます。

第一は、改憲論者は「憲法はアメリカの押し付け憲法だ。自主憲法制定をおこなうべきだ」との主張です。

憲法制定直後から第9条を変えろと圧力をかけてきたのは他ならぬアメリカです。

2000年10月のアーミテージ・リポートでは「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」とし、アーミテージ米国務副長官が、自民党・中川秀直国対委員長との会談でも9条を改憲するよう求めたのであります。

アメリカ押し付けの憲法だ。改憲だといいながら、改憲を要求しているのがアメリカだ、とは滑稽というほかありません。

二つ目は「国際協調」を前面に立てた9条改憲論であります。

私は、国際協調といった場合、国連中心で行くのか、国連とは無関係にアメリカに象徴される「単独主義」を採るのかが、問われています。

アメリカは、国連決議に失敗するとイギリス、日本など同盟軍を引き連れ勝手に戦争を展開。開戦の口実とされた大量破壊兵器は米軍の調査機関が「そもそもなかった」とするもの。イラク攻撃はまさに後者の国連無視といわなければなりません。

国連加盟191か国中、イラクに派兵した国は最高時で37カ国、しかもスペイン、オランダなど撤退は12カ国、今後も駐留継続を表明する国は日本を含め20カ国に過ぎません。国連憲章は第2条4項で「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、慎まなければならない」としています。

憲法を侵し、ひたすらアメリカの言いなりになり自衛隊派兵を続けることは国際世論に反し、国際協調でなく国際孤立主義といわなければなりません。

憲法9条は、国連憲章の平和主義をいっそう一層発展させたものであり、世界に誇るべき日本の宝といわなければなりません。我が党は「国際協調」の名で9条を変えることは断じて許してはならないことを強調するものです。

そこで質問します。

  1. 区長の憲法第9条についての率直な評価をお答えください。
  2. 第2次世界大戦の品川区での被害の実態はどうだったのでしょうか。区長として第2次世界大戦に対する考えをお聞かせください。

以上で私の代表質問を終わります。


答弁

区長(高橋久二君)

沢田議員の憲法9条に関するご質問にお答えをいたします。

毎度のことでございますが、憲法改正に関する区長の意見は控えさせていただきます。

次に、第2次世界大戦の品川区での被害についてのお尋ねでございますが、品川区史によりますと、羅災面積では7.平方キロ、罹災者数は約12万人と記録されております。こうした第二次世界大戦の戦火を二度と繰り返さぬよう、世界の恒久平和の実現をめざし、非核平和都市品川宣言を制定いたしました。以来今日まで、その精神を広く普及するため努めてまいりました。今後引き続き種々の事業に取り組んでまいります。

教育長(若月秀夫君)

私からは、教育に関するご質問にお答えをいたします。まず習熟度別学習について、それが一般化、拡大化、すなわち恒常的に授業で実施しているとのご指摘のようでございますが、こうした実態は品川区にはございません。これまでも再三お答えしているように、本区では一人ひとりの子どもたちに合った教育を行うことを主眼として、学習活動の中の一つの方法として習熟の状況に応じて柔軟に実施しております。その有効性は、昨年6月の国立教育政策研究所「指導方法の工夫、改善による教育効果に関する比較調査研究」の報告書でも明らかでございますし、本区のある小学校の調査でも、児童の79%が楽しい、88%がよくわかると回答しており、教員もー斉授業と習熟度別指導などの少人数指導を子どもの実態に応じて工夫することが大切であると報告をしております。本区におけます習熟度別学習は、能力別学習ではなく、子ども一人ひとりの能力を伸ばしていこうとするものでございます。

次に、漢字の指導についてでございますが、低学年のうちから漢字の読み書きをしっかりと身につけ、繰り返しそれを使うことが基礎学力の定着にとっては非常に重要です。そのために、子どもたちに無理のない範囲で授業時数をふやし、一人ひとりの子どもたちに丁寧な指導を行うための副教材等も作成いたします。したがいまして、やみくもに漢字を覚えさせようというわけではなく、ましてや詰め込み教育による漢字嫌いあるいは学力格差の拡大というご指摘は当たらないものと考えております。

小中一貫教育に関するPTA、地域、学校の理解と合意についてですが、一貫校開設に向けた研究開発に当該校は一丸となって精力的に取り組んでおります。一方、小中一貫教育のカリキュラムにつきましては、現場の教員代表を中心に丹念に作成してきており、加えて研修会などを通じて教員の意見を聴取しているところでございます。この進捗状況につきましては、当該校の「学校だより」や小中一貫教育ニュースなどを通じてお知らせしております。さらに、これまでに一貫校関連の保護者を対象とした説明会を実施してまいりましたが、本年1月、全小中学校のPTA代表を対象にした説明会を開催した折には、多くの方々から熱い期待の声が寄せられました。今後とも教育委員会事務局と学校が一体となって保護者、地域の方々の理解を深めるために努力をしてまいります。

最後に、30人学級に関してですが、ご指摘の加配教員の人数学級への弾力的運用につきましては、昨年12月20日の財務省原案で基礎定数化が見送りとなったため、国は中央教育審議会の経過を見るとしております。また、東京都も従前どおりの取り扱いとの方針を明確にしており、本区としては、生活集団と学習集団の違いを踏まえ、学習集団において加配教員や指導助手を活用した多様な学習形態を工夫することで成果を上げてきておりますので、今後もこうした指導の充実に努めてまいります。

まちづくり事業部長(中谷勝年君)

私からは、耐震診断および耐震補強工事への助成についてのご質問にお答え申し上げます。

区では、自主的に住宅の耐震化を行おうとする区民を支援する目的で、昨年の4月より木造住宅の耐震診断の助成を実施しております。制度としても、多くの区民が安心して専門家の診断やアドバイスを受けられるものとして広く区民にPRしてきたところであり、また、平成17年度には低利の融資あっせん制度を創設する予定です。

なお、マンションの耐震診断および耐震補強工事への支援については、法的に必要な措置が講じられて火災延焼中少ないことから、考えておりません。

個人住宅への助成は個人の資産形成の関与という観点から実現が難しく、国においても考え方を整理していると聞いております。


再質問

沢田英次君

自席から再質問させていただきます。

今、区長から、あの戦争で品川で12万人とおっしやいましたか、ちょっとよく聞き取れなかったんですが、もしこれが事実だとすると、物すごい犠牲があの戦争で起きたわけですね。私は、それを再びもとに戻すようなこうした動きに対しては、公選区長なんですから、はっきりした立場をとるべきだと、このことを述べたいと思いますし、公務員は憲法によっても憲法尊重義務が課せられていると、そのことを含めるなら、この問題に対してはっきりした態度、立場をとるべきだということだけ述べておきたいと思います。

習熟度別学習で恒常的な授業は実施していない。確かに国語、算数、一部の科目ですから、全体として2割から3割ぐらいだというふうに承知しておりますけれども、しかし、小中一貫教育で上のレベルの教育、学習内容を下におろしてくる。何でやるかといったらば、選択学習の拡大と、それと結んだ習熟度別学習の強化ということをずっと説明してきたじやないですか。現在の状況を行くんじやなくて、

一層拡大、強化、発展させていくという立場が今度の小中一貫教育の私はメインになっているとしか読めないんです。もう一度この点に関してはお答え願いたいと思います。

それから、習熟度別学習は能力別学習でないと再三言うんですけど、学力のレベルに応じてクラスを分けるのは、れっきとした能力別教育です。学校単位でやる、クラス単位でやる、いろんな方法はあるかもしれないけど、幾ら口で能力別でないと言っても、能力別そのものなんです。それで先ほど紹介したアメリカのオークス教授やジョンソン兄弟などがずっと習熟度別学習に対して膨大な研究で、これは問題ありという結論に達しているというのを、私は、能力別教育でないという、その一言だけで言うのは余りに無責任だというふうに指摘をしておきたいと思います。

それから、漢字教育で詰め込みで覚えられないんじやないかといったら、授業時数をふやすと言ったんですか。今度のカリキュラムの中で漢字を書くことの時間というのは、たしか19時間って変更ないんですよね。変更ないままに漢字の書きだけ80字新たにふやす。これはさっき言ったように授業時数をふやすからということと実態と違う。さまざまな詰め込み教育をやって、全体レベルから落ちていった子はついていけない状況が間違いなく出てくるというふうに思いますが、再度その点についてお尋ねしたいと思います。

それから、耐震診断の問題ですけれども、マンションは火災が少ないからと言いましたけど、阪神・淡路大震災の中で相当数のマンションが倒れて、それが地震の災害復旧、救援に大きな否定的要因になつた。マンションは個人所有だけど、社会的な町の財産、資産なんだという立場がどうしてとれないんでしょうか。その点について、もう少し詳しく述べていただきたいというのと、先ほどの答弁で今後の国の動向を見たいというふうにおっしやったんですが、国交省は現在の住宅の耐震補強が75だけれども、段階的に90%まで2015年までにこれを強化するために補助、税制上の優遇策を含めて検討するということが2月18日の新聞に載っておりました。国は二つの地震から住宅の強化、マンションの強化は重要だといって進んでいるときに、私は国の結果を待ってからということを言っている段階かなというふうに思えてなりません。改めて、耐震診断をした、それが補強工事に結びついて100%の効果を発揮するわけですから、木造あるいはマンションの耐震補強に対する助成制度をぜひつくるべきだと思いますが、もう一度ご答弁をお願いしたいと思います。

以上で終わります。


再答弁

教育長(若月秀夫君)

主に習熟度別に関する再質問にお答えをいたしますが、習熟度別学習というのは、例えば子どもが分数を勉強します。すぐにわかる子どももいれば、わからない子どももいます。そこで、わからない子どもたちに習熟度、要するに理解の度合いです。それに応じて子どもたちに指導しようというわけで、その子どもは丁寧に教えれば分数がわかるという能力を引き出そうとする指導なんです。したがって、習熟度別学習というのは、子どもたちの能力を伸ばすことであって、能力別に指導することとは別のことなんです。

ここら辺、なかなか実際に教壇に立って教えていただくとわかるかと思うんですが、一斉指導でわからなかったお子さんが習熟度別学習でわかるようになっている事実も厳然として品川区の小学校にいっぱいあるわけです。したがって、初めからこの子どもの能力はここまでだと決めつけて、クラスを分けて指導をする、そういう能力別指導とは違うんだということを再三申し上げているわけであります。本区における習熟度別学習というのは、そうした物の考え方で指導しているというふうにご理解をいただきたいと思います。

また、漢字指導についてのご指摘もございました。これも実は今の習熟度別学習と関係のあることなんですが、なかなか覚えにくい子ども、覚えやすい子ども、いろいろございます。そうした子どもたちに対する指導にはやはり必要な時間をかけなければなりません。したがって、総時数といったようなものが習熟度別学習をすることによってふえるということは、これはいた仕方のないところだと、こう思うわけであります。そういう意味で、先ほども申し上げましたけれども、決してやみくもに子どもたちに詰め込みをするということではなく、その子どもたちが今いる段階に応じた指導をする。そのために漢字の指導というものも当然時間数としてはふえてくることが、これから学校、子どもの状況によっていろいろ出てこようかと、こんなふうに思っています。

まちづくり事業部長(中谷勝年君)

耐震診断、耐震助成に対します再質問にお答え申し上げます。 先ほども申し上げましたとおり、マンションにつきましては、既に法的な処置が講じられておりまして、火災等の延焼のおそれが極めて少ないわけでございますので、区としては考えていないということでございます。

それから、2点目の国の考え方でございますが、私は先ほど国においても考え方を整理しておるというふうに申し上げたので、その辺は誤解のないようにお願いしたいということ。国交省ですが、平成17年度予算編成で直接支援ということも考えたようですが、これはやはりなかなか難しいということで、住宅取得などと同様に優遇税制で支援しようという、あくまでも間接的な支援、局面的な支援ということを検討するために、有識者によります会議を今後設置すると、このように聞いておりますので、ご理解いただきたいと思います。

以上

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