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南恵子区議03年第3回定例会「公共事業」「青年雇用」「保育園ISO」

2003.09.25 南 恵子 区議

一般質問項目

  1. 不況下、区民が求める公共事業の拡大で地元建設業者に仕事を
  2. 若者に仕事を、相談・あっせん窓口の設置を
  3. 保育園ISOはサービス向上になったのか、検証を

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一般質問

日本共産党を代表して一般質問をおこないます。


不況下、区民が求める公共事業の拡大で地元建設業者に仕事を

日本共産党区議団は、この間、商店会や工場協会、建設組合などの役員さんを訪ね懇談を重ねてきました。

工場協会の役員さんは「5年前230社だった協会加盟の工場がいまは180社に減った。中国への生産シフトが中小の仕事を奪っている」と言い、また、酒屋さんは「量販店は酒屋の仕入れ値よりも安く売っている。売上は10年間で半分に落ちた。商店の多くは崖っぷちだ」…など、どなたからも深刻な実態と景気回復への願いが語られました。わが党は、たびたび中小企業支援の強化を取り上げてきましたが一層深刻です。

建設関係の公共事業は、幅広いさまざまな業種への波及効果と雇用の直接的な創出が期待されるため、古くから不況対策の決め手として用いられてきました。中小業者の仕事確保と雇用拡大のため思い切った対策を求め、以下3点にわたって提案します。

第一は、公共事業のあり方を再開発など大型公共事業中心でなく、生活福祉型に抜本的に切り替えれば、区民の願い実現と地元建設業者の仕事を増やし決定打でもあります。

区は相変らず「都市再生」の名で今後も再開発を拡大する計画です。しかし、巨大ビルをつくる一方で空きビルの増加が社会問題になり、品川駅周辺の開発の影響をマスコミは「品川・大崎で明暗」と報道しています。ソニーも4000人の社員をゲートシティから東品川の新しいビルに移転させる計画だと聞きます。しかし、大規模開発では地元業者への仕事はありません。具体例として、ゲートシティーは110億円も補助金を投入したが地元業者の受注はわずか3%、それも一部上場企業でした。また、山の手通りの地下を通す中央環状高速道路は大橋―八潮間が9・4km、5千億円の大事業ですが、ほとんどの工事はシールドでの掘削のため、地元業者への仕事は期待できません。

一方、毎回の募集に多くの住民が殺到する都営住宅の建設は、切実な要求です。

特養老人ホームも入所待ちが721人と増えるばかりですし、また、直下型地震が近いうちにくるといわれているだけに、学校などの公共施設や、マンション・民家など住宅の耐震化など安全な街づくりは焦眉の課題です。

こうした生活・福祉密着型の公共工事は、地元業者への仕事確保になるのですから切り替えるべきです。

第二は、現在ある制度を改善・充実し、仕事確保をはかることです。

まず、環境共生住宅助成の改善について。太陽光発電だけでなく断熱、シックハウスなどにも対象を拡大したので使いやすくなったとはいえまだ区民の利用は多くありません。これを「増改築」全般に拡大できないものでしょうか。修築一般に補助が出ている区もあります。また、増改築の相談には建設組合の増改築相談員を紹介すること。さらに、公共事業の分割発注の拡大など、可能な限り要望に応えるべきだと思います。

マンション耐震診断への補助、高齢者・障害者世帯への家具転倒防止器具設置などは、大地震により家屋やマンションが倒壊すれば救助・復旧活動の大きな支障になります。それを防ぐためにも安心の街づくりのためには個人の財産にも援助は必要です。地元業者への仕事確保としてもぜひ実現すべきです。

また、建設業者は「仕事を請けるためダンピング競争が激しい、限界だ」と言います。ダンピングの過熱は質の低下につながりかねません。区としても「安ければ安いほうがいい」という姿勢でなく、適正な価格はどうあるべきか検討が必要です。

第三は、建設労働者の暮らしを守る問題です。

西五反田の区民住宅建設の電気工事にかかわって、3次下請けの業者から訴えがありました。自分たちは決められた工期のとおり工事を行ってきたが、他の工事の都合で段取りが大きく変更。元受が「間に合わないから」と職人を投入しました。ところが、元受から追加した職人の労賃を請求されたというのです。この業者は「そもそも1戸あたり20万円の仕事だが、無理して8万5千円で受けた」とのこと。請求どおり支払うと賃金がなくなってしまいます。こんなトラブルは後を絶ちません。

また、ある工務店の方は「1日当たりの労賃は1万2千円。月25日働いても30万円で、年収にすると360万円でしかない。ここから保険料など支払うと家族を養うだけの生活費が出てこない…」と話します。不況下、下請けは不利だとわかっていても仕事を受けざるを得ない、無権利状態にあります。建設業者の賃金、生活にも目を向ける必要があります。

質問します。

  1. 公共事業を大型開発優先から生活密着型に切り替え、住民の願う公共住宅、特養老人ホームなどの建設で地元業者の仕事確保をすすめるべきと考えるがどうか。
  2. 地元業者の仕事確保について、区内業者の意見を反映し改善を求めます。具体的には、環境リフォームの補助対象と補助額の拡大、「増改築」全般を対象にした助成制度の創設、公共事業の分割発注の拡大、マンション耐震診断への補助、高齢者・障害者の世帯への家具転倒防止器具設置、増改築の相談時に相談者への増改築相談員の紹介など、区の考え方をうかがいます。
  3. 実際に働く労働者に賃金が保障されない状況がある。公共工事での実態を把握するよう求めるがどうか。そして、その結果、区の算定からかけ離れている場合には指導すべきと思うがどうか。

若者に仕事を、区として相談・あっせん窓口の設置を

私どもは、これまで2回に渡り青年の就職問題を一般質問で取り上げてきましたが、事態は一層深刻になっているため再度取り上げ、区側の取り組みを求めたいと思います。

青年の失業率は10人に1人に達し417万人と言われています。今年、大学を卒業して就職できたのは57%。70年代の石油ショックのさいにも7割を割ったことがありませんでしたから、かつて経験したことのない異常事態です。

内閣府が今年5月、2003年版国民生活白書を発表しましたが、これは若者の雇用問題に政府としてはじめて的確な分析をくわえたものとして注目されました。白書では、「90年代後半以降の大幅なフリーターの増加要因としては、どちらかといえば企業側の要因が大きいと思われる」こと、さらに「大企業ほど正社員の新規採用を抑え、パート、アルバイト、派遣に置き換える動きが顕著になっている」ことも指摘しています。15歳から34歳の正社員を1995年と2001年で比較すると中小企業が3万人増えているのに、大企業は108万人も減っています。不況でより厳しい立場に立たされている中小企業が、雇用を拡大していることと比べても大企業の社会的責任を放棄した身勝手さは明確です。

若者の就職難のもうひとつの問題は政府の姿勢です。経済開発協力機構は、「ヨーロッパ諸国が平均レベルをかなり上回っているのに対して、日本およびアメリカがかなり下回っている状況が続いている」と日本の青年雇用対策の遅れを指摘しています。GDP比でみると、フランスは0.42%、イギリスは0.15%、日本は0.003%と遅れは歴然です。

私は、あらためて区長が青年と品川区の未来のために、大企業の新規採用を拡大するよう関係機関に働きかけるよう求めたいと思います。また同時に、青年の就職難の一因として品川区もその責任の一端があることを指摘します。

区は、この20年間に「行革」の名で民間委託、パート化などにより正規職員を1983年以来、1394名も減らしました。実に3人に一人です。また、退職不補充を続け、一昨年は、ついに新規採用ゼロでした。その結果、昨年4月1日時点の職員構成は、逆ピラミッドになってしまいました。これでは仕事の継承は断たれ、将来の品川区の安定的発展は望むべくもないと思います。

大企業も国も自治体も競いあって労働者・職員を減らした結果、空前の失業率、青年たちはその最大の犠牲者であります。

あらためて区民と区の安定的な発展にとって、必要な職員の確保と、とりわけ新規採用の拡大を求めるものです。

そこで質問します。

  1. 国民生活白書は、フリーター問題に対し大企業の責任を指摘していますが、区長は動お考えでしょうか。また、品川区の新規採用を思い切って拡大すべきと思いますがいかがでしょうか。
  2. 区内企業に対して、新規採用を拡大するよう働きかけるべきと思いますがいかがでしょうか。
  3. 先日工場協会の役員の方と懇談しましたが「われわれ中小企業はとくに技術系の優秀な社員はのどから手が出るほど欲しい。しかし、大学の新卒はきてくれない。昨年一人きてくれただけだ。区としても人材確保に力を貸して欲しい」と述べていました。
    また世田谷区では、ハローワークと提携して青年への就職斡旋おこない大変好評だったそうです。品川区でもハローワーク、職業訓練校、区内中小企業などタイアップし、ぜひ若者のための、相談・就職斡旋窓口の設置を求めたいと思いますがいかがでしょうか。

保育園ISOはサービス向上になったのか、検証を

東五反田保育園が平成13年3月からISO9001品質マネジメントシステムを実施しまし、14年度からは他の保育園にも拡大しました。すでにシステムを立ち上げた保育園は14園、現在作成中の保育園12園、残りの10園は来年度に作成に入ります。区は導入理由を

  1. サービスの質的向上
  2. 効率的な園運営
  3. 職員の意識改革
  4. 保護者への情報提供

の四点を挙げてきました。

私は、ISO導入後の実態を調査しましたが、あらためて保育に品質マネジメントシステムがなじむのか、父母や子どもにサービスの向上となっているのか、現実におきている問題を紹介し、検証する立場から質したいと思います。

第1の問題は、厳しい職員体制のなかでISO導入の準備に当たらせたために、子どもにも職員にも大きな影響が出ている点です。

最初に導入した東五反田保育園は、準備した一年間は、「品質管理マニュアル担当」として保育担当を外した職員を配置、コンサルタントによる月一回の指導のもとで作成。出来上がった保育基本マニュアルと手順書は600ページにもなる膨大なものです。

一方、他の保育園はISOそのものについての学習からはじまり、職員配置もコンサルタントの指導もなく、あるのは東五反田保育園の見本だけで、システム作りに当たらざるを得ませんでした。システム作りの時は保育を外れるために、他の職員に負担がかかります。

夜間延長保育・休日保育・年末保育・病後児保育など実施、また、変則勤務のなかで保育の打ち合わせや、保育準備、行事の取り組みや準備、各種お便り作りなどたくさんの仕事もこなしていたので勤務はすでに過密状況。そこにシステム作りがはじまったのですから、多くの職員から「保育本来の仕事ができない」と痛切な声が出され、「残業しなければISO品質マネジメントシステムがつくれないのはおかしい」との疑問が出ています。

9月16日付け組合機関紙『さけび』の一部を紹介します。

「保育室から離れて作業するISO担当者も大変だと思うが、保育を守る方も大変で毎日歯を食いしばって保育をしていた」「電話を受けたら記録、早番で保護者から伝えられたことは記録、すりむいたら事故簿、散歩に行くには散歩日誌、連絡ミスは不適合で不適合報告書、記録ばかりでみんなピリピリしていて人間関係にも良くない雰囲気」など、現場の実態が赤裸々に報じられています。

第2の問題は、残業が恒常的になり、サービス残業が広がったことです。

先ほどの「さけび」では「保育をしながらでは出来ないので、家に持ち帰り子どもが寝たあとや休日を利用してやっている」との声も紹介しています。

残業をしているにもかかわらず、超勤申請を園長が制限している保育園がいくつもあります。数年前から、区は超過勤務をさせない方針をすすめ夜間に開く保護者会や職員会議など必要な仕事さえも大幅に制限してきました。そういう方針が、今日の「残業の請求をしなくても当たり前」の雰囲気を作ってきたのです。これが、導入理由の「効率的な運営」や「意識改革」であるとしたならば大問題です。このような働かせ方は社会的に問題になっている「サービス残業」ではないでしょうか。

サービス残業は労働基準法違反の違法行為です。2001年4月、厚生労働省は通達を出し残業は自主申告でなく事業主の責任で始業から就業までの労働時間の把握を求めました。未払い残業手当の支払いにも強力な指導をおこない、この2年半に全国で150億円の不払い賃金を支払わせる成果を上げています。

国を挙げてサービス残業をなくす方向にすすんでいるときに、品川区は民間の模範となるべきであり、すぐにもサービス残業の一掃をするよう求めます。

第3に、父母たちからも「保育の現状を変えてほしい」という声が広がっている点です。どこの保育園でも共通して出されるのが、「先生たちはいつも事務室でパソコンに向かっているが、何をやっているのか。保育に入って欲しい。」という声です。ある父母から「マニュアル作りが終わったなら、今度は子どもたちに目を向けてくれるのですね」などの声が出された際、保育士は「はい大丈夫といえなかった」といいます。それは「システム作りは一段落したけれども、次の2000年版に合わせた仕事が待っているから言えなかった」というのです。

ISOの導入により、子どもにしわ寄せがいっていることを示しています。

子どもは告発できません。公にならないだけであって、「保育の水準低下」は明らかです。このような状況では導入の目的「サービスの質的向上」はとてもいえません。

私は、早急にISO導入に伴う保育園の実態を調査し、改善するよう強く求め質問します。

  1. ISO・品質マネジメントシステムの導入理由にあげた「サービスの質的向上」はどのようにすすんだのか、区の評価と見解を教えてください。
    保護者の評価についてもうかがいます。
  2. 保育しながらISO・品質マネジメントシステム作りをしているため「家に持ち帰り、子どもが寝たあとや休日などに仕事をしている」など、サービス残業といえる深刻な実態があることを区は知っているのでしょうか。
    改善するべきだと思いますがいかがでしょうか。
  3. ISO・品質マネジメントシステム作りに要した人数と時間、また超過勤務時間については平成13年度と14年度の分を教えてください。

答弁

高橋久二区長

南議員の質問のうち、区民が求める公共事業の拡大で地元建設業者に仕事についてお答えを申し上げます。

品川区では第3次長期基本計画に基づきまして、地域特性を生かしたまちづくりを計画的に進めてきております。その実現のため教育、環境、高齢者、子育て、住宅、産業振興等の施策をそれぞれの分野で創意工夫を凝らしまして、積極的な事業展開を行うとともに、市街地再開発事業の推進等により都市基盤を整備し、防災性を高め、魅力ある快適な都市空間形成に向け取り組んでおります。このように区では、計画的にバランスの取れた施策の展開を進めており、大型開発を他の施策に優先して進めているわけではございません。

次に、地元業者の仕事確保についてのご質問にお答え申し上げます。区では、区内産業育成の観点から、各種工事、物品等の発注の際には区内業者を優先的に選定しているほか、大規模施設の建設等につきましても、共同企業体の結成により区内業者が参加できるよう工夫をするなど、区内業者育成に十分配慮しているところでございます。

具体的なご質問の環境共生住宅助成事業は、昨年度より開始した環境住宅リフォーム制度を拡充し、本年度は新たな環境共生住宅助成事業として始めたものでございまして、増改築全般への拡大や補助金額の増額は特に考えておりません。また、公共事業の分割発注の拡大につきましては、学校空調設備工事の例のように、従来からできるものは工夫をして分割発注を実施しております。

次に、マンションの耐震診断への補助につきましては、今のところ考えてございません。また、家具転倒防止器具につきましては、地震から身を守る日ごろの備えとして、居住者みずから購入すべきもので、区では販売のあっせんを行うという考えに変わりはございません。

次に、増改築の相談に関しましては、住宅一般相談の中で増改築の相談に対応してまいります。

3点目の建設労働者の賃金に関するご質問でございますが、労働条件や賃金を確保するため、我が国では労働基準法や最低賃金法を定め、個々の労働条件については関係の労使間で決めることとしております。このため、労働条件に関する問題は国の専門機関である労働基準監督署が対応しております。したがいまして、区が直接契約関係のない下請の賃金問題に個々具体的に関与する考えはございません。

以上です。

太川弘子区民生活事業部長

私からは、若者に仕事を、相談・あっせん窓口の設置等につきましてお答えいたします。

国民生活白書の指摘に関するご質問でございますが、この白書が出された後、本年6月、政府は「若者自立・挑戦プラン」という若者の就業促進に関する総合対策を発表いたしまいた。その中でも示されておりますが、若者の雇用問題の背景には、経済情勢を初め、教育や雇用の社会システムの問題、職業や労働に対する若者の意識の多様化など、さまざまな要因がございます。

国民生活白書での大企業に関する指摘の部分は、長期的な経済低迷の中で企業が雇用調整を迫られ、新規採用抑制した結果、大企業の従業員にしめる若者の割合が低下した事実を指摘したものでございます。これは大企業の責任というよりは、経済環境の変化を示す例示の一つであると理解しております。

また、区職員の新規採用拡大のご提案でございますが、従来から申し上げておりますとおり職員の新規採用については、行政需要に見合った職員数を充足するという考えには変わりございません。

次に、区内企業に対する働きかけの件でございますが、区内中小企業が新たに雇用機会を創出できるよう引き続き区内産業の活性化に向け、その支援の充実に努めてまいります。

次に、相談あっせん窓口に関するご提案でございますが、この問題の解決には区の行政範囲を越える課題が多いことから、第2回定例会で答弁申し上げましたとおり、若者の就業促進に関する国や東京都の政策が展開される中で、今後、区の役割としてその補完をどのようにすべきか検討してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

小沼毅福祉事業部長

私からは、保育園ISOはサービス向上になったのか、検証についての3点のご質問にお答え申し上げます。

まず、保育サービスの質の向上についてでございますけれども、保育サービスの体系的マニュアル化によりまして、サービスの責任の所在、役割分担の明確化が図られ、その結果、問題があった場合の所在の発見とその後の対処が明瞭迅速になりました。また、これまでの職員のうちでの当然暗黙とされていた了解事項が、実際にはその認識に差があることが判明し、共通認識が細部まで図られることとなりました。その結果といたしまして、従来の体験にややもすると偏り過ぎの保育から系統的で裏づけのある保育へと変わり、提供するサービスのばらつきが減少するとともに、レベルアップが図られました。

保育関係者や世情からは、むしろ「公立でよくやった、画期的」との評価をいただいております。さらに、保護者の評価ですが、審査登録した東五反田につきましてはみずからの勤務先で登録している保護者も多く、「ぜひ頑張って」など声援をいただいておりまして、「一つひとつのサービスが明確になり、いつでもだれでもレベルが一定で高くなった」との言葉もいただいております。

次に、今回の品質システムの導入に当たりましては、一つ、保育に支障がないように、2、できるだけ時間内で、3、時間内でできなかったら超過勤務でということを三つの原則として進めてまいりました。したがって、いわゆるサービス残業については存在しないという認識をしております。

最後に、システムづくりに要した人員と時間ですが、園によって多少異なりますが、日中は午睡の時間を中心にしつつ、園児の登園数や登園状況によっては、保育に支障のない範囲でシステムづくりに従事したり、時間外に他の事務とともに超勤をする中で業務の並行処理を行いつつ、それぞれに創意工夫して取り組んでおり、これを一つひとつ機械的に分解して集計するのは非常に困難でございます。6園についての年間の超過勤務時間ですが、東五反田、西五反田、清水台、東中延、大井倉田、伊藤の各園の順で申し上げますと、平成13年度は1433・842・375・419・2414・950。同様に平成14年度について見ますと、東五反田から始まりまして712・1232・601・634・2400・2948時間という各時間になっている状況でございます。


再質問

南恵子君

それぞれ答弁をいただきました。ありがとうございます。自席から再質問をいたします。

まず公共事業のこの問題ですが、今深刻な不況の中で、公共事業というのは、私が今持ち出したのは、品川区が大型公共事業じゃなくて、中小の方々に仕事確保という点でできる公共事業をもっとたくさん、そして、そのことによって品川区内の経済が活性化していく、こういう角度からこの問題を取り上げました。そして、区長の答弁は、まあ具体的なものについてやらないとか、考えてないとか、今やっている問題だとかとそれぞれ答弁がありましたが、私は、一つ、マンション耐震のこの問題でいえば、また家具転倒の問題でいえば、けさ方、北海道で大きな地震がありまして、改めてまた地震の恐ろしさというのを認識したんですが、その地震がもしあったときに、一番最初に防災機能を発揮して、支援活動が行わなければいけないですけれども、そのときに建物が倒壊しちゃった場合には、その倒壊した建物を取り払う、そういう作業から人命救助が行われなければならない。したがって、素早く人命救助に迎えないという問題がありますので、このマンション耐震診断の助成だとか、あるいは家具転倒防止、こういうものについては本当に自治体として防災の観点から率先してやらなきゃいけない問題じゃないかと、こういうふうに思うわけです。したがって、そのことを聞いたんですけれども、現状の答弁しかありませんでしたので、とりわけこの問題については考えを改めて伺いたいと思います。

それから、公共工事での実態については、賃金との関係については区長は一般論でお述べになりましたけども、そうじゃなくて私が伺ったのは、品川が具体的に発注した公共事業のことで伺っているわけです。工期を変更せざるを得なくなったために、そこの部分を自分が受けた方が持ち出さなきゃいけない。そういう問題についてどうなんだということを聞いたわけですから、それについて品川区の発注者としての考え方を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それから、住宅の建設化だとか特養についてはバランスをとって進めているそういうお話でありましたけれども、しかし、今、こういう時期に大型の大企業、ゼネコンを使わなければいけない仕事じゃなくて、むしろ身近な方々ができる、まちの方々でもできる、そういう公共事業をやり、そのことが区民の切実な要求解決にもなるという、一石二鳥のそういうスタンスで選択をするべきじゃないかというふうに思っておりますので、この点についても改めて伺いたいと思います。

それから、若者の仕事については率直に言って、今までの答弁と何ら変わっていない状況です。私は一つここでちょっと確認したいのは、先ほども紹介しましたけれども、世田谷区が実際問題窓口あっせん相談を開設をして、そして、これは3年間で1600人の青年が参加をし、120人が新しい就職先を見つけることができたという、こういう実績があります。隣の区のことです。したがって、品川区でもやろうと思えば当然できる内容だと思いますので、少なくともこれだけはやっていただけるようにお願いしたいと思いますので、再びの答弁を求めたいと思います。

さて、保育園の方です。保育の質的向上はなったというお話でしたけれども、しかし、保育園の内容、保育園の職員側の質的向上は確かにあったのかもしれません。否定する職員はマニュアルも必要だというふうに述べている職員も大勢いることは、私も承知しております。しかし、私が求めた保育サービスの質的向上というのは、だれに対するサービスの質的向上なのかということが問題で、私が求めているのは、利用者である子ども、父母、ここの方々に質的な向上がされなければいけない、こういうふうに思うわけです。

そういう点で見たときに、品川区が12年度と13年度にお金をかけて実施した現状調査、満足度調査があります。これを見ると、均一な保育サービスを提供できる仕組みづくり、そして積極的な保護者とのコミュニケーションの機会をつくる。このことがこれからのサービスの向上課題だ。品川区の公立保育園に求める課題だというふうに述べてるんです。多分部長ももう既に目を通されていると思います。この中で1対1というか、職員と父母と子の関係でコミュニケーションがなかなかとれていない。そのことによってサービスが十分に向上していないということを親たちはいっぱい感じているわけです。ここのところが改善されない限り、私は、お金をかけ、時間をかけてマニュアルづくりを実践させたにしても多分解決にはならない。こういうふうに思いますから、この点についてもどうなのかをちょっと伺いたいと思います。

それからサービス残業はない、こういうふうに答弁されていました。本当にないんでしょうか。ないのであれば、先ほど一部紹介しましたけれども、「さけび」にもこのように出ています。多分これはもう既に理事者の皆さん、区長も目を通していらっしゃると思いますが、同じISOのマニュアルづくりをしているのに、超勤がつけられる園とつけられない園があるのはおかしい、こういうふうに言っていたり、それから部会ニュースにも、たくさんの家に持ち帰っている、こういう実態があるというふうに、一人二人の発言じゃないんです。数えたらたくさんあります。ぜひここのところはないということで言い切ってふたをするのではなく、実態がどうなっているのか調査をするべきだと思いますが、その点について見解を伺います。


再答弁

高橋久二区長

再質問にお答え申し上げます。

公共事業の拡大をというご要請でございますが、品川区は23区に比較いたしまして、公共事業は一番やっているふうに自負をしてございます。これ以上の公共事業は私はもう無理だと思います。できるだけの仕事を切らさないように、毎年毎年公共事業を発注しているのが品川区でございます。それから、耐震性の問題でございますが、マンションの耐震の診断をする前に、むしろ私は、阪神・淡路大震災の例を挙げますと、個々の住宅の耐震診断の方がより重要だと思っております。あそこで起きました、大きな被害は個々の住宅、また火災が起きましたのも個々の問題でございまして、もしやるならばそちらの方を優先をしていきたいと思っております。

それから、賃金の問題でございますが、品川区が発注をいたしました事業を受けた会社がどのような賃金体系になっているか、これはうちの区の問題ではございません。会社の問題でございます。もしそういうことで賃金の問題がございましたら、基準監督署等に訴えまして、そこでいろいろと措置をしていただくのが普通じゃないかと思います。うちの区からその問題について、その会社につきましていろいろと物を言える権限はございません。

以上です。

太川弘子区民生活事業部長

青年に仕事をということでの再質問でございますが、先ほど世田谷区の例がだされましたけれども、本区におきましても、ハローワークの五反田とか大崎労政事務所等、また品川の技術専門学校等々定期的に情報交換を設けておりまして、五反田のハローワーク等からの啓発とかいろんな部分につきましては、産業振興課におきましても実施しております。

それで、青年の需要の部分でございますが、やはり産業振興の中でも検討をいろいろしておりますけれども、やはり青年の中のいろんな仕事への需要の部分と、あと、やはり区内の企業の方のこういう仕事、こういう仕事に欲しいという部分が必ずしもマッチングしない部分というのが非常に多く見られているということが言われてございます。そういう意味で、今年の9月の19日に政府の方で384の経済団体に対しまして若者の就業支援への協力要請を具体的にしておりますので、やはり先ほどご答弁しましたとおり、国、東京都等の動向もあわせまして、品川区として何ができるかということを検討してまいりたいと思いますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

小沼福祉事業部長

私からは、保育園関係のISOについての再質問にお答え申し上げます。

まず初めに、利用者の関係ですが、第一義的には子ども、これはもう言わずもがなのことだと思いますけれども、そして第二義的には利用者ということで、要はこの方たちへの対応ということに尽きるかと思います。少なくとも私が承知しておりますのは、今大きく問題になってきております中身というのは、いわゆるカウンセリング対応というんでしょうか、個々具体的に場面がいろんな問題がございますから、それに対して時勢を逃すことなく的確な対応ができるかどうか、そういう能力を身につけることが今後の保母、あるいは現場の保育士、園長にとって必要である。そういうことにつきましては、私どもも、この間2年になりますけれども、研修の機会等を設けて要所要所でしていると。引き続きまして、こういうことは続けていって、すばらしいサービスへと築き上げていきたいと思います。サービスには限界がございません。

それから、超勤の問題でございますが、私としましては現時点では考えておりません。必要と判断すればその時点で対応したいと思いますが、とにもかくにも20年前、30年前と保育園現場の職員の意識改革、あるいは体質というものは大きく変わってございますので、少なくとも「さけび」に出てきていることがすべてというふうには私は認識してございません。

以上です。


再々質問

南恵子君

今の小沼部長の答弁は本当に無責任というか、大変な発言をされたというふうに私は思います。実際問題、先ほども紹介しましたが、幾つもの保育園でサービス残業の実態があると言っているんです。しかし、そのことを自分が声を出して課長や部長に言うと、後で呼びつけられて大変な指導、厳しい管理指導をさせられる。だから、自分は声を出して言えないんだっていうのが保育園の職員の実態なんです。そこを承知してそういうふうに言っているんだったら、なおさら私は問題だと思います。この間に何年も前から園長先生が呼びつけられて、2時間・3時間とこんこんと言われ、泣きながら出てくる。こういう状況を私も直接知っています。そういうことをしておいて、ないと言い、そして調査もしないと言う。どういうことなんでしょうか。

しかも、そのサービス残業は国を挙げて違反だということで今整理をし、改善しようとしているやさきに、法律を守らなきゃいけない品川区がなぜやらないんですか。サービス残業が法律違反だという認識を持っているのかどうか、まずそこも伺いたいと思います。そして、必要なら調査をするとおっしゃっていましたけれども、私は、じゃあ、ないと言うのであれば、堂々とどれだけ本当にないのか。これだけの告発があり、議会でも取り上げているんだから、本当にないのかどうか、そういう角度で調査をするべきだと思います。

あと、園長判断で超勤つけるかつけないかさせているという実態があるのはご承知ないのでしょうか。先ほど、六つの保育園の超勤の実態を答弁としていただきましたけれども、ここによると、大きな差あります。いみじくも他の聞いていた議員から、そんなに差があるのはなぜだとおっしゃっていましたけれども、私も本当に率直にそう思います。紹介したいと思うんですけれども、それでもISOのときに超勤をつけていた保育園は3.1倍になります。そして、一番最低の保育園でも、1.6倍です。同じ年度のときに、14年度のときにISOをつくらせていて、一つの保育園はトータルで601時間、それから、一番つけている園は、601の採点に対比して2948時間です。同じ1年間で同じ作業をしていて、何でこんなに違うんでしょうか。そして、できているんです。どうしてこんなに差があるかということを管理者の部長は気がつかないんですか。気が付かないのであるとすれば、私は、これは部長としての責任を全うしていない。そういうふうに思います。したがって、今の点について回答をお願いします。


再々答弁

小沼福祉事業部長

再々質問にお答え申し上げます。

まず、超勤というのは言わずもがなですが、いわゆる命令者のもとにするということ、これはもう動かしようのない衆知の状況でございます。そういうことを前提として物事を判断していった場合につきましては、先ほどお答えいたしましたように、サービス残業というものはないと私は認識しております。

それから、私の資質がどうのこうのということでございますけれども、私は必ずしもそうは思っておりません。この点は議員と見解が違いますので。もう一つついでに言わせていただきますと、こういうプロジェクトをなすときに、すべて東五反田と同じように金太郎あめ的に仕上がる必要はないわけです。園の風土、土壌、職員気質、いわゆるカルチャーというものがありますから、園によって多少の出っ張り引っ込み、あるいは職員参加の方の持ち方等々ありますので、出てきた結果の時間数が多いか少ないかだけで判断するのはちょっと早計じゃないかと、私はそう思ってございます。以上です。

以上

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