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桜井恵子区議02年第3回定例会「住基ネット」「福祉改革」「小中一貫校」

2002.10.11 桜井 恵子 区議

一般質問項目

  1. 住基ネットは、国に中止を求めるとともに、個人情報保護を明確にした条例について
  2. 東京の福祉を台なしにする石原都政の福祉改革に反対を
  3. 地元が反対している小中一貫校は中止を。少人数学級の実現を

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一般質問

日本共産党を代表して、一般質問を行います。


住基ネットは、国に中止を求めるとともに、個人情報保護を明確にした条例について

最初に、「住基ネットは、国に中止を求めるとともに、個人情報保護を明確にした条例について」です。

住民基本台帳ネットワークが8月5日から施行されたことに住民の多くが不安を持ち、自治体からも批判が広がっています。この法を強行した際に、政府が公約した個人情報保護の法律がつくられていないことからしても、施行の強要は許されません。さらに、根本的に言って、個人情報保護の漏洩と不当使用の危険は、この仕組みでは避けられないし、すべての国民に11桁の番号を振り当てることに国民的合意もありません。したがって、我が党は今からでもこの仕組みを中止することを強く求めるものです。

地方自治体においても、福島県矢祭町や杉並区など6自治体、400万人住基ネットには加わらない自治体もあり、その後、中野区では9月11日、区民の個人情報が確実に保護されるような安全確保措置がとられていると確認できるものではないとの理由から、住基ネットの切断をしました。当区としても、安全性が確保されない中で切断を求めたいと思います。

9月13日現在、品川区では1,245件もの苦情や問い合わせが寄せられていますが、これはかつてない件数です。その内容も「コードを抹消してほしい」「受け取りを拒否したい」「番号変更はできないのか」「離脱すべき」など多数を占めています。当議員団に対しても多数寄せられており、その内容は、「私は品川区や区長が不十分な個人情報保護条例のままで住基ネットをスタートさせたことに怒りを感じています。四日市のようなことが起こるのではと大変不安です。今からでも世田谷区のようにアンケートを実施し、離脱希望が多数なら住基ネットから即時離脱することが最良だと考えます」また、別の方からも、「区外へ流出した情報の責任はだれがとってくれるのでしょうか。アクセス記録もわかるようになっているのでしょうか」と、区に寄せられている声と同様に、離脱希望や情報開示の声も寄せられています。

住基ネットの最大の問題はプライバシー侵害の点です。個人情報保護法ができたとしても、コンピューターのネットワークシステムに絶対安全はあり得ません。個人情報の漏洩や不当な使用を避けられないところに、この住基ネットの根本問題があります。今でも後を絶たない個人情報の漏洩事件がさらに広がり、大量の個人情報流出の危険が飛躍的に高まることになります。

第2は、国によって情報が一元管理の点です。これまで住民基本台帳事務はネットワーク化を認めず、各市町村の厳重な管理のもとに置かれてきました。それを全国ネットで一元管理するシステムでは、一たん個人情報が漏れれば大規模なプライバシー侵害につながり、取り返しのつかない損害を与えることになります。防衛庁の情報公開請求者リスト問題は、公権力が国民を監視・調査するこわさをあらわにしました。住基ネットで自分の情報がどう扱われているか、知りたくても公開されません。

第3は、莫大な予算を使い、自治体への費用の負担が大きい点です。政府は住民票がどこでもとれる便利さを宣伝しています。住民票をとるのは全国で一人平均年0.6回の量です。しかも、広域交付や転出入時には有料のICカードが必要です。すべての情報は自治体が既に持っているもので、その情報を国や都が使うだけのものです。そのためにかかる費用が品川区ではシステム開発とランニングコストで来年度までの3年間で7,700万円、その後毎年1,000万円のランニングコストがかかり、これ以外にも関連経費や人件費など、そのほとんどが品川区の負担となります。区民にとっても自治体にとってもメリットはほとんどありません。

最後に、自治体としての対応について指摘します。

今定例会に当区でも議案として住基ネットにかかる条例が準備されています。区長の責任を「緊急措置」として「切断」も含むことも明確にした点は評価できます。指摘したい内容は、区民の基本的人権を守る立場からの個人情報の保護という点と、区民の自己情報の開示請求と送信の中止を求める権利の保障についてです。この住基ネットにおいて、区民のプライバシー権や自己情報コントロール権をどう保つかが最大の区民の関心事となっているからです。

7月26日、東京大学名誉教授の呼びかけで、憲法13条に違反している住基ネットワーク差し止め訴訟が提訴されています。都内でも3自治体が離脱をし、全国的にも広がっています。当区としても、区民の権利を守る立場から対応されることを求め、質問します。

  1. 国に対して住基ネットの中止を働きかけるよう求めます。また、区としても個人保護法制定されず、安全確認が十分ない中で切断を求めますが、いかがですか。
  2. 区として、条例制定に当たって以下の内容について提案します。
    1)日本国憲法に基づく基本的な人権を尊重する立場での個人情報保護を目的に挿入すべきと考えますが、いかがですか。
    2)区民の自己情報の開示請求とネットの送信中止を求める権利を保障すべきと考えますが、いかがですか。
    3)個人情報の漏洩や目的外利用等区民の基本的人権を侵害するおそれがあるときは、ネットを切断するなど万全の措置をとることを求めますが、いかがですか。
    また、庁舎内の個人情報保護については十分なセキュリティ、操作記録があるのか、あわせてお答えください。
  3. 住基ネットに関する区民アンケート調査の実施についてお伺いします。

東京の福祉を台なしにする石原都政の福祉改革に反対を

「東京の福祉を台なしにする石原都政の福祉改革に反対を」について質問します。

東京の福祉は、かつて老人医療費助成制度など、福祉の牽引車の役割を果たしてきましたが、石原都政により根こそぎにされようとしています。都福祉局は7月26日、「福祉サービス提供主体の改革への取り組みについて」を発表、その内容は民間社会福祉施設への人件費補助廃止を含め、都立福祉施設の全面撤退をするものとなっています。当面5年間で2施設を廃止、養護老人ホーム、児童養護施設、障害者施設11カ所を民間移譲、特養老人ホームは多くの入所待機者がいるにもかかわらず規模縮小です。これら施設は社会福祉法で国や地方自治体などが直接経営することを原則としており、都が手を引くことはまさに責任放棄と言えます。さらに改革の理念では、既存の福祉の仕組みを根本から改めると主張、福祉予算の一層の削減と事実上の自治体の責任を放棄し、福祉を営利企業中心の市場競争に投げ込もうとしています。それを裏づけるように「週刊文春」9月5日号では、知事は「社会福祉法人なんて、もう東京みたいな都会では役に立たなくなってきた」と発言。また、「何がぜいたくかと言えば、まず福祉」と述べるなどしており、都民から厳しい批判が集中しています。

当品川区議団は、秋田穫雄都議とともに、区内福祉施設にどのような影響を与えているのか調査いたしました。9月5日、旗の台にある児童養護施設・景徳学園を訪ねました。入所している子供の状況は、親の離婚や傷病などの理由、また虐待を受けているケースが大半を占めています。学園は一昨年4月に都の直営から民営化され、社会福祉法人の運営となっていますが、都は廃止または民間移譲の方向を打ち出しています。その理由に、いわゆる孤児はほとんどいないから、施設入所ではなく家庭復帰や養育家庭委託へ移行するとしています。しかし、この施設は定数48名、訪問した日は47名が入所、今月中に満員になる予定です。学園からは、「児童養護施設はどこでも満杯で、毎日のように児童相談所から入所条件の問い合わせがあります。まだまだ足りないのです」と説明がありました。実際、養育家庭委託と言っても受ける家庭が少ない様子です。都は受け入れ可能な法人を探し、民間移譲等を目指すと改革方針を出していますが、見通しが果たしてあるのでしょうか。大切な子供を育てる姿勢が全く見られません。

また、都が今回打ち切ろうとしている補助金のうち、民間福祉施設への補助があります。私立保育園などへの補助を400億円も削るとしています。これは人件費補助だけで1園年平均1,800万円にも上ります。区内の私立保育園を訪ね、その深刻さに驚きました。ある私立保育園では、都の補助金が昨年度人件費総額のおよそ2割を占め、2,000万円から3,000万円にも上ることです。園長さんは、「保育内容の向上には何と言ってもベテラン職員の存在が大きい。経験豊かな保育士は子供と心を通わせることがうまいのです。国基準の保育単価では、4〜5年もたつと職員の給与は頭打ちになり、昇給財源が不足するので、都の人件費補助は保育園の運営に欠かせないのです。今でも待機者が多いのに私立保育園がなくなったらますます大変になると、石原都政の福祉後退に対する危惧がだされました。この人件費補助の削減は、まさに保育園の死活問題であり、施設そのものの存続さえ危ぶまれる事態になりかねません。障害者、高齢者への施策も大きく後退しかねません。現在、品川でも特別養護老人ホームの待機者が548名いるのに、数年前から補助金を削減、さらに今回は都立の老人ホームの廃止・統合を押し進め、福祉施設などの補助も総額370億円の削減をしようとしています。

特別養護老人ホームの維持も、また建設もできにくくなることが大変心配されます。とりわけ品川区は、これまで障害者、高齢者福祉施策など社会福祉法人を育成し、福祉の受け皿にしてきました。まさに品川の福祉も大きな影響を受けかねません。

一方、石原都知事は、都市再生で集中的な開発を強力に進めようとしています。民間主導といいながら、国や都の財政に依存、基盤整備の核となる首都圏中央環状道路や、外郭環状道路に巨額の国費、財政資金を投入し、今年度予算でセンターコア内活性化として、秋葉原、汐留の区画整理事業236億円計上しています。臨海副都心開発でも、共同溝など5,000億円かけてインフラを整備してきましたが、企業進出は進まず、昨年度は埋め立て事業を除いて200億円程度の赤字を計上するなど、毎年巨額の赤字を出しています。都債は一般会計だけで当年度の歳入を上回る7兆円、都民1人当たり58万円に達しています。今年度予算では首都圏の再生に対する予算が57%も占め、福祉・医療は12%、環境は14%、雇用は1%に抑えています。まさに開発が福祉を圧迫していると言えます。

今、不況の広がりの中で区民の生活は逼迫しています。東京の福祉を守り、充実させていくことこそ自治体の使命ではないですか。区として東京都の福祉切り捨てに反対し、福祉を守る防波堤の役割を果たすよう強く求めるものです。

以下質問します。

  1. 石原都知事の「都会では社会福祉法人は役立たなくなった」との発言および都の福祉施設廃止と民間委譲、民間福祉施設への人件費補助廃止方針についての見解を伺います。
  2. また、この方針が区内福祉施設と区の福祉行政にどのような影響が予想されるか、その対応についても伺います。

地元が反対している小中一貫校は中止を。少人数学級の実現を

最後に、「地元が反対している小中一貫校は中止を。少人数学級の実現を」求めます。

小中一貫校問題について、以下4点指摘し、教育委員会の見解を伺います。

まず第1は、地元の父母、地域の皆さんが反対をし、合意をしていない問題です。ことし3月19日づけで、区長に対して日野中学校PTAから「該当地域への説明が事前にされず、1月18日の新聞報道で初めて知り大変驚いた」と、小中一貫校に関する要望書が提出されました。小中一貫校のねらいは何か、どのような子供たちを育てたいのか。該当の保護者、地域の皆様の理解が得られるまで十分に説明していただきたいとの内容でした。

その後、区教委も何回か説明会を開催し、当初案から規模、学級数など変更していますが、いまだ納得できないというのが、地元の多数の声です。一貫校の規模について、小学校各学年3学級、中学校は当面各学級5学級にするとしていますが、完全な一貫校となったときは、原則として途中入学は認めていません。小学校各学年3学級となれば、周辺の一日野、三日野、四日野、御殿山、芳水などへの入学が大幅に減少することが予想され、統廃合の心配が出てきます。

現在、日野中など各小中学校のPTAの関係者からは、「日野中を移転しないでいただきたい」「日野中を二日野小と併設することは時期尚早、その必要性において地域住民、PTAと十分協議を重ね、そのような時期に達しても子供たちの教育環境を優先して考えていただきたい」との署名運動が広がっており、私たちにも要請が相次いでいます。教育現場からも、「何も現場には説明がされないで事が進んでいる。小中一貫校のための教育課程や教科指導など研究で忙殺されているが、質問しても答えさえ返ってこない。現場の声を全く無視して進めていることに本当に腹が立つ」と、痛烈な批判の声が出されています。

当区議団は、この間、地域の方々との懇談を重ねてきましたが、共通していることは、この計画が子どもの教育のことを真剣に考えて提案されているのではないということです。一体何のために一貫校を今急ぐのか。全国初めての教育プランということに走り過ぎていないのでしょうか。本来、教育は上から強権的に進めるものではなく、父母、地域住民、現場の声、そして何よりも子どもたちの願いにそったものであり、みんなの総意で進めることが大切です。地元が反対している小中一貫校の計画は中止すべきと考えます。

第2は、この学校だけが特別な教育課程を組み、指導方法や教育内容を編成することの問題です。

区教委は、小中一貫9年間を連続して教育をすると言いますが、小中が同一学校内にある私立学校においても初等部、中等部と分かれており、発達段階に応じての教育指導が行われています。教育学的にも、小中一貫校が教育的な効果を上げるという知見は見られません。慎重な教育学的な検討もなしに、公教育の場で子どもたちの成長過程を安易に実験にさらすべきではないと考えます。

また、区教委の6月7日付の資料によれば、「平等を重視した教育から個々の能力や適正を生かした教育を」と説明していますが、教育基本法第3条に定められた機会均等こそ、戦後の教育の基本原理の1つです。この原理をなし崩しにして特別に予算を投入し、特別な子どもだけに特別なカリキュラムで教育するやり方は、エリート養成以外の何物でもありません。しかも当座は途中からの入学者もいますので、幾つもの教育課程を8年間にもわたりつくらざるを得ない。これまで類を見ない冒険です。子供たちは一回の学校生活、やり直しはきかないのです。

第3は、莫大な予算を投入することで教育の逆差別を生む点です。

一貫校は、小中合わせて30から33学級で、延床面積が約2万平米の大規模校です。最近、港区で新設された幼稚園、小中学校の併設校が約1万5,000平米で、総費用78億8,500万円かかっています。小中一貫校に加えて、総合体育館も設置すれば100億円を優に超えるでしょう。今年度の区の教育予算は、人件費を除いて91億円、一貫校1校に年間の教育予算を注ぎ込んでいくことが区民の理解を得られるでしょうか。

第4は、開発地区でなぜ設置するかという点です。

区教委は、「この地域は副都心として大きく変貌を遂げようとするから地域の選定をした」と述べています。小中の連携については、既に小中各7校が実施していますが、二日野小と日野中は対象でありませんでした。学校の選択や地域の要望もない中での区教委の一方的な押しつけプランであることは明らかではないですか。二日野小の場所での一貫校計画は、再開発地域ということが唯一区側の説明です。開発の地権者、事業者、ゼネコン側の要求に対応する開発プランではないでしょうか。

最後に、少人数学級こそ、行き届いた教育の確かな保障であることを提案します。

これまで、我が党は30人学級の実現への努力を区教育委員会に求めてきました。ことし8月、山形県の呼びかけで少人数学級を実施している地方自治体が交流し合い、その実績を確認しています。さらに文科省でも学級編制権を市区町村にまで対象を広げたともあり、いよいよ30人学級、少人数学級への大きく前進しています。当区議会でも文教委員会において、国の来年度の予算要望に30人学級の実現を求める財政措置を求めたところです。今こそ少人数学級への実現に大きく前進することが求められております。

質問に移ります。

  1. 小中一貫校の目的、規模、予算、教育課程について改めて伺います。
  2. 小中一貫校の教育効果をどのように検討されたのでしょうか。既にこうした効果について実績があるのか伺いたい。
  3. 地元で反対している小中一貫校計画について中止すべきと考えますが、いかがですか。
  4. 子どもの30人学級を初め少人数学級の実現を図ることについて伺います。

以上で日本共産党を代表しての一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


答弁

区長(高橋久二君)

桜井議員のご質問のうち、石原都政の福祉改革についてお答え申し上げます。

都知事発言につきましては、都知事がその立場から、みずからの責任において発言したものでございまして、区として論評を加えることは差し控えさせていただきます。

福祉改革につきましては、都が新しい時代に則した福祉サービスの再構築を目指したものと理解しておりますが、他方で区および社会福祉法人との信頼関係の維持についての十分な考慮も不可欠と認識しております。この点、これまで数十年に及ぶ東京都の福祉行政へのかかわりや、具体的な施策展開に当たりましての特別区の役割など、その歴史的経過等を考え合わせますと、都の財政事情の悪化や補助基準の一方的な見直しなどを背景とする今回の考え方や手法では、ややもすると都への不信を招きかねません。

改革の実現に当たりましては、関係者間でより十分な協議・調整を行いますとともに、円滑な移行措置が取られることが望まれるものでございます。したがいまして、都区間の協議・調整を行う必要があることから、近日中に区長会として都知事に対する申し入れを行う予定でございます。

その他の質問につきましては、当該の部長からお答え申し上げます。

教育長(若月秀夫君)

私からは、小中一貫校についてのご質問にお答えいたします。

1点目の目的、規模、予算、教育課程についてのお尋ねでございますが、これまでもいろいろな場所で申し上げてきましたように、小学校と中学校とでは授業における指導観や生活指導に対する危機意識など、学校文化の違いとでも言うべき状況がございます。このことが児童生徒の学習や、学校生活に対する不安や戸惑いを生み、ひいては学力、あるいは学習意欲の低下を招くものと考えられます。

また、現在進めている小中連携教育推進校での実践からも、小中学校の教員間に根強く存在する相互の不干渉主義にも似た意識が、お互いの意思の疎通や共通理解を困難にしており、それが効果的な学習指導の妨げになっていることも明らかになってまいりました。こうした課題を解決するために、連携教育をさらに一歩進めた小中一貫校実現の考えに至ったものであります。

学校規模につきましては、小学校は各学年3学級、中学校は4学級でございますが、当面、中学校は5学級でスタートいたします。また、周りの小学校への影響についてのご指摘でございますが、現在、それぞれの学校が特色ある学校として独自の教育活動を展開しております。したがいまして、統廃合の件につきましては、従来からの考え方に変わりはございません。

予算につきましては、今後、基本設計・実施設計を進める中で明らかにしてまいります。

また、教育課程についてですが、現在、教育課程等検討部会や第二日野小学校、日野中学校の合同研究会で検討を重ねており、一人ひとりの個性や能力に応じた教育を展開し、柔軟で継続性のある教育活動を実現するカリキュラム編成に努力しているところでございます。

2点目の、小中一貫校の教育効果でございますが、児童生徒の多様な資質や能力を継続的に伸ばすとともに、社会の一員として必要な社会規範や倫理観、さらには豊かな人間性、社会性を育成するためには、9年間の一貫指導が有効であることが、小中連携教育推進校の実践や教育課程等検討部会の論議を通じ、明らかになってきているところでございます。

3点目の、小中一貫校の計画中止に関してでございますが、小中一貫校設立の意義につきましては、これまでもお答えをしましたとおりでございます。これからの公立学校教育の新たな展望を開くとともに、品川区の未来を担う子供たちのために、今後も小中一貫校のさらなる拡大も視野に入れ、進めてまいります。

最後に、少人数学級の実現についてですが、現在、各学校では既に少人数指導を取り入れながら習熟度別学習等を実施し、効果を上げているところでございます。なお、学級編制等に関する法律は一学級40人と定められておりますが、今後も国の動向を見守ってまいります。

企画部長(中尾根剛君)

住基ネットに関するご質問にお答えいたします。

最初に、住基ネットの中止を国に働きかけてはとのことでございますけれども、住基ネットは今後の電子政府、電子自治体の基盤整備となるもので、住民サービスの向上と行政改革を推進する上で必要不可欠のこととして、住民基本台帳法を平成11年に改正し、開発・準備されてまいりました。このたびの施行は住民基本台帳を整備し、住民に関する記録を適正に管理する責務を有する行政機関としての、法律上の義務がございますので、国に対して中止を求める考えはございません。

一方、住基ネットの運用に伴って、大量の個人情報が集積されるため、そのデータの漏洩、不正アクセス等リスクが高まることも十分認識しているところでございます。そこで、国に対し一刻も早く個人情報保護法の制定を求める一方、システムの実施に当たり、区民の個人情報の一層の保護を図るため、新たに「住民基本台帳ネットワークシステムに係る個人情報の保護に関する条例」を提案しているものでございますので、直ちに住基ネットを切断するという考えもございません。

次に、憲法に基づく基本的人権を尊重する立場での区長の責務を条例上明らかにすべきとのことでございますけれども、地方自治の本旨にのっとり、憲法の保障する人権を尊重していくことは、区の基本的な理念でございます。しかしながら、今回提案した条例は品川区情報公開個人情報保護条例を基本条例と位置付けし、住基ネットに関する対応策を明確にするために、個別条例として提案しているものでございますので、憲法の趣旨を明記することは、条例上のバランスを欠くことになります。

次に、住基ネットにおける区民の自己情報開示請求権についてでございますけれども、既に品川区情報公開個人情報保護条例の15条から21条の規定によりまして、開示請求することができることになってございます。また、都道府県や指定情報処理機関が保有している本人確認情報につきましては、住民基本台帳法30条の37第1項の規定によりまして、都道府県等に開示請求することができます。したがいまして、新たに開示請求の規定を設ける必要はございません。

また、ネットの結合中止を求める権利を保障すべきとのことでございますけれども、住民基本台帳法では、住民の意思の選択を予定しないものでございまして、かかる行為は違法であると総務省の見解が示されてございます。

次に、住基ネットのセキュリティを侵犯するような不正行為があった場合の対応ですけれども、緊急措置として電気通信回線を切断するなど、必要な措置を講ずることを予定してございます。

また、住基ネットの施行に先だって、システム運用にわたり、助役を統括責任者とするセキュリティ会議を設置しており、脅威の重大さに応じた緊急対応計画を整備、住基データへの職員の操作記録も7年間保存し、適正管理に努めてございます。

最後に、住基ネットに関する区民アンケート調査につきましては、住基ネットの施行そのものが法律上の義務でございますので、改めて区民の皆様にアンケート調査を行う考えはございません。

なお、住基ネットに関する意見・要望につきましては、区民の声として手紙や電話、ファクス、Eメールなどさまざまな方法でお聞きしてございまして、今回の新条例の制定も区民の皆様の不安、不信に速やかに応えるべく提案したものでございますので、ご理解お願いいたします。


再質問

桜井恵子君

お答えありがとうございました。

区長さんの方から東京都の福祉の問題で、よく関係者と十分な合意を得るようにという、これまでの区長さんの答弁としては大変前向きなお答えでありがとうございました。それだけ率直に言って、今回の東京都の福祉の切り捨てというのはひどい内容だというふうに、これは私の意見なんですけれども、それだけでなく関係者の方からも、きのうから都議会が始まって障害者の皆さんも高齢者の皆さんも大変心配をされています。23区の区長会でも当然申し入れるということなんですけれども、区長自身としても、ぜひこの社会福祉法人を受け皿にして福祉行政を進めてきた立場からも、品川区としても23区はあるにしても、もう一歩進めて区長として申し入れる点はいかがでしょうか。改めてお伺いいたします。

それから、教育長さんの小中一貫校の関係ですけれども、私どもは小中連携は大賛成なんです。教育長さんが言うように、小学校、子供たち、それから中学校、しかし今回の小中一貫というのは、これまでのそうした考え方というのは大きく変わっている。というのは、実際に教育課程の問題で、私ちょっと質問したいんですけれども、個々に応じた学習をするということですけれども、今、冨士見台中、伊藤、上神明で「系の学習」をやっていますね。あれの目標は個々に応じた目標ですね。ですから、あの考え方をこの小中一貫校でも進めていくのかどうか聞きたいんです。

それから、2つ目には、いろいろな試算で100億円余かかると、この数字はいまだに区教委からというか、区の方からというのか、教えていただけないんですけれども、やはりここははっきりとどのくらいの規模なのか、どういう財源を考えているのか、あわせてこれは計画としてやるべきだと思うんです。もしこうしたお金をここに注ぎ込むことが、一番区民が心配しているのは、雨が降ったら雨漏りもまだします。まだこれからトイレだってもっと必要です。50年たっている小中学校がいっぱいあるわけですから、学校改築を求める声もあるわけです。だから1つの学校に集中的にやるということについては区民の合意を得ることはできないですよ。その点についての特出した予算をつけることについてどうなのか。

教育の最後は、私はぜひ聞きたいのは地元との関係なんです。質問の中で地元の声を申し上げました。教育長としては地元の声をどういうふうに受けとめているんでしょうか。例えば、日野中移転反対、あるいはこういう点が心配がある。どういうふうに地元の声を受けとめているのか聞きたいと思います。

住基ネットの関係は、今回の条例提案の切断については申し上げたとおりですが、私は今日、先ほど自民党の議員さんに、法で決まったんだから法を守るとお話しがありましたね。しかし、中野区と杉並区の区長さんは、住基法の36条2の1項で、市町村の責務として住民基本台帳の安全を確保するということからして、今のやり方では安全の確保ができないからということで切断をしているわけです。ほかの23区の地方自治体がそうした判断をしているということに対して、私はどういうふうに考えているのか。安全確保ができないと判断している。しかし、品川区は安全確保はしているんじゃないかというふうに思っているのか。そこを率直に聞きたいんです。やはり一番区民はここを心配しているんです。1,246件のさまざまな声があります。したがって、今の住基法自体は申し上げたとおり、いわば背番号制を事実上は考えている。そういう点から人間を機械で管理する。このことの問題がやはり非常に、今、国民にとっては基本的人権の問題と心配しているんです。残念ながら品川の個人情報保護条例には基本的人権は明記されてないんですよね。ですから、改めてこの明記をお願いしたいと思いますけれども、以上です。お願いします。


再答弁

区長(高橋久二君)

桜井議員の再質問にお答えいたします。

23区の区長会で申し入れをしたけれども、区長自身でやらないのかと。こういうお話しでございますが、23区の一員でございまして、23区の区長とともにやる方が、より効果的だと思っております。影響のないということは申し上げておりません。影響があるからこそ、申し入れを行うわけでございますので、具体的な問題につきましては、それぞれの局との対応の中でさらに進めてまいりたいと思っています。

教育長(若月秀夫君)

桜井議員の再質問にお答えいたします。

まず、第1点目でありますけれども、連携教育には賛成なんだというご意見がございました。大変ありがたいことでありますが、その連携教育の中で徐々にその限界や課題が出てきたということを、先ほど来申し上げているものであります。その課題といったようなものを解決するためには、もう一歩新たな試みをしなければ、なかなか今の小学校、中学校の根本的な課題解決に至らないというところでございます。

2点目の、カリキュラムの問題でありますけれども、この「系の学習」と一貫校における教育課程の問題なんですが、実は「系の学習」のカリキュラムというのは、もちろん個に応じたということも視野に入っているのかもしれませんが、若干専門的になりますが、今の教科そのものの枠組みを根本的に変えてしまおうという発想から行っているものです。簡単に言うと、算数とか国語はなくなる、そういうカリキュラムになるわけであります。そして、この「系の学習」というのは、今、全く研究の緒についたばかりでありまして、今後、どういった形でこれが実現されるのかは、まさに研究開発の途中でございます。したがいまして、直接、今、小中一貫校において一人ひとりの子供の個性、能力に合った教育をしていく教育課程といったものと直接的に結びつくものではないと考えております。

3点目の予算についてでございますが、これは先ほど来申し上げましたとおり、これから基本設計・実施設計を進める中で明らかになってくると思いますが、財源につきましては一般財源および国庫補助を考えているところでございます。

最後に、地元の声といったようなものをどういうふうに受けとめるかということでございます。確かに教育というものはさまざまな考え方があります。いろいろな考え方があり、一概にこれがいい、正しいと簡単に分けられるものではありません。また、地域に住む方々のさまざまな学校に寄せる思いといったようなものも、私どもは十分に理解をしているところでございます。

しかし、先ほど来申し上げているように、これからの学校教育というものを、とにかく質を変えていこう、今そういう時期であります。これからの新しい学校教育のあり方といったようなものは、やはり教育委員会が責任を持って判断すべきものであろう。こう考えております。その方向性の中で、あるいは具体的な運営の方法等々については、さまざまな方のご意見に耳を傾けていく所存でございます。

企画部長(中尾根剛君)

再質問にお答えいたします。

現在、住基ネットの国の条件が整わないということで断絶をしている自治体は3,000自治体の中の4つの自治体でございます。それぞれその自治体はすべて住基ネット制度そのものを永久に参加しないと言っているわけではなくて、国の制度が整わない範囲では参加をしないと、こういう態度でございます。

品川区の方針でございますけれども、先ほど申しましたように、法は法として成立した以上、それは遵守しなくてはいけない責務は一方で担っています。ただし、不完全であることも確かでございます。だから国に対して完全を求めていくということを一方でしつつ、区として区長の責務として努力できる範囲を精いっぱい行うことによって区民の不信をぬぐい去ろうと、こういう方針でございます。したがいまして、条例自体もそうですし、先ほどの答弁の中でセキュリティ会議のことを申しさせていただきました。このセキュリティ会議の中ではシステムとセキュリティのソフトの中身そのものも、新たに今回住基ネットを実施するに当たりまして、データの管理であるとか出入りであるとかICカードの問題、そういう細かなものから、それからもう1つセキュリティの監査、要するに外部の専門委員会に対して品川区のセキュリティは十分かどうか、これも外部監査にかける予定ですし、さらには外部委託のことそのものに関しましても、情報公開審議会での審議を得る。こういうシステムをさらに充実させております。その上に立って緊急時対応としまして不正行為の対応と、それからもう1つ障害対応ということで、先ほど申したような内容でございますので、区民の皆さんに十分安心していただける範囲を区として精いっぱい努力していることをご理解願いたい。そのように思います。


再々質問

桜井恵子君

教育長にお尋ねいたします。教育委員会が今回の小中一貫校の問題も責任を持って教育を行うんだという、私はこれは戦後の教育基本法との関係、教育行政の基本と私は違うと思うんです。責任を持つ部分は確かにあります。しかし、事を進める上で一番大事なのが、その地域の子供たちや教師、また地域の地元の皆さん、区民の皆さんがどういうふうに区の行政に対して求めているか。そこが基本でなければならないと思うんです。

小中一貫校の問題について、私、文教委員会でも聞きました。どこから要請があったのか、どこの皆さんの意見を聞いているのか。1つもそのデータは示すことはできなかったじゃないですか。私は、やはり今、子供たちが一番望んでいるのは不登校の問題、いじめの問題、学校のさまざまな荒れです。小中一貫校は新たなエリート教育をつくる。そして実際に一人ひとりの子供たちの個性というけれども、できる子なりに、そしてできない子はできない子なりに、これが教育長のこの問題への主張じゃないですか。これは著しく教育基本法の精神と一致してないというふうに私は痛感しているんですけれども、教育長は、もう1つ最後に聞きたいんですけれども、できる子はできる子なりに、できない子はできない子、こういうことを考えているんでしょうか。そして教育の基本は申し上げた住民や子供たち、そして現場の教師、ここに置くべきだと思うんですけれども、この考え方について2点お尋ねします。


再々答弁

教育長(若月秀夫君)

まず1点目、どういう要請があったか。私どもは議会の皆さん方のご意見、ご意向を伺いながら進めているものでございまして、それが区民の方々の意向であると、このように受けとめてさまざまな施策を進めているところでございます。

また、学校、教育委員会、現場を直接預かっているそうした関係者の中からも具体的に、先ほど申し上げました連携では限界があるという1つの専門家の中での判断があったということでございます。

なお、ちょっと付言をいたしますが、どういう意味でエリート校とおっしゃっているのかわかりませんが、改めて特別のエリート校を育てるといったものを意図しているものではございません。

それから、できる子、できない子、学習が進んでいる子供にその先を勉強させることはなぜいけないんでしょうか。おくれている、勉強がなかなかわかりづらい子供に、先に進まないで、それをもう一度教え直すということは、なぜそれがいけないんでしょうか。私はそれを差別とか何とかということ自体がおかしいのであって、やはりその子供たちが今置かれている事実を大切に取り扱っていきたい。ただそれだけを願っているものでございます。

以上

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