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鈴木ひろ子区議 第1回定例会
「来年度国家予算に関する請願」の賛成討論

2023.03.28 鈴木ひろ子区議

 日本共産党区議団を代表して、請願第2号「来年度国家予算に関する請願」に対する賛成討論を行います。

 23年度の政府予算案は、防衛費が昨年度の1.25倍の6兆8000億円余、加えて「防衛力強化資金」として3兆3000億円余を計上し、総額10兆2000億円超というこれまでにない大軍拡の予算となりました。そのあおりを受けていま国民を苦しめている物価高騰などの問題には無策の予算案となっています。
本請願はこの予算案に対して、「空前の物価高が区民の生活を襲っています。にもかかわらず、政府は防衛費を倍増する。うち一兆円は増税で負担をと言っています。…賃金が上がらず年金は下がる。これ以上の税負担はできない」と訴え、区民の生活を守る経済対策を最優先にして防衛費倍増・増税予算案の見直しを区議会として政府に要請するよう求めています。

 以下賛成の理由を述べます

 まず第1に、物価高騰から国民の暮らしと営業を立て直す対策は喫緊の課題だということです。

 安倍政権による2度にわたる消費税増税から始まり、長引くコロナ禍、賃金も年金も下がる中で国民を襲った物価高。「もう切り詰めるところがない」「暮らしていけない」と悲鳴が上がっています。総務省の家計調査からも2人世帯の平均で年間14万3000円もの負担増です。その中身は食料品や光熱費など生活に欠かせないもののため低所得者ほど重い負担です。中小企業は「物価高倒産」や「過剰債務倒産」、長引く苦境で「心が折れてしまう」「いつまで持ちこたえられるか」との声が寄せられ、今後倒産・廃業の激増が懸念されています。

 中小企業が賃上げできるよう直接支援を行い、最低賃金を1500円に引き上げること、介護報酬や診療報酬、公定価格などを引き上げてすべてのケア労働者の賃上げを行うこと。最も早く効果が出る物価対策として世界で100以上の国・地域で行われている消費税減税に踏み出し、逆行するインボイスは中止すべきです。

 さらに、日本の物価高騰がより深刻になっている原因に、食料自給率38%、エネルギー自給率10%という、食料とエネルギーを外国に大きく依存し続ける日本経済の構造的弱点があります。エネルギー・食料の自給率向上は、地球的規模での気候危機、食糧危機の打開のために急務であるとともに、日本経済を強化し、国民の暮らしを支えるためにも早急に取り組むべき課題です。同時に、エネルギーの危機に乗じた原発再稼働と新増設、老朽原発の延命は許せません。原発ゼロを決断し、再エネと省エネを推進する取り組みへ転換すべきです。

 2つ目には、新年度予算の最大の問題は、岸田自公政権が安保3文書を閣議決定し、軍事費2倍化・5年間で43兆円もの大軍拡を打ち出したことです。その中身は敵基地攻撃能力保有という戦後日本の国是としてきた「専守防衛」を投げ捨て、「先制攻撃」を可能とする戦争する国家づくりであり、これを許してはならないということです。

 請願審査では自民党の委員から「防衛力の強化は必要不可欠」との発言があり、維新の委員からは「防衛費の増額に反対できない」との発言がありました。私は「防衛費の増額で本当に日本の国民の命を守ることができるのか、皆さんと議論したい、ご意見を聞かせていただきたい」と述べ、大軍拡・敵基地攻撃能力の中身、共産党の戦争の心配のないアジアをどうつくるのかの提案を紹介しました。しかし誰からも発言はありませんでした。

 新年度予算では、アメリカからトマホーク400発購入・2113億円が計上されました。トマホークがどういう兵器か。湾岸戦争で初めて使われ、アフガニスタン報復戦争、イラク戦争、シリア攻撃など米軍の先制攻撃で使われた、まさに戦争の火ぶたを切る先制攻撃の兵器です。どこでも子どもや女性、数多くの一般市民を殺害し、街を破壊しつくしました。トマホークの配備は憲法違反そのものです。

 敵基地攻撃能力を持つ最大の目的は、外国の基地や政府機能、インフラを先制攻撃するアメリカの戦争計画に、自衛隊を米軍と一体化した形で参加させることです。これに踏み出せば、自衛隊が他国に攻め込み、日本が報復攻撃を受けて戦場になります。真っ先に狙われるのは自衛隊基地や米軍基地です。政府は4兆円もかけて全国で283地区、都内でも市ヶ谷、十条、練馬、立川、府中などの自衛隊基地を、核攻撃にも耐えられるよう地下シェルターまでつくる計画です。基地は守られても住民の犠牲は避けられません。日本を守るどころか、アメリカの戦争に日本を巻き込み焦土化する、これが敵基地攻撃の実態です。絶対に許すわけにはいきません。

 3つ目には、大軍拡は、大増税と暮らしの予算削減を国民に押し付け、くらしと経済を破壊することになるからです。

 岸田政権は、復興特別所得税の流用と期間延長で庶民増税、社会保障や教育などの予算を削減・抑制、「防衛力強化資金」の名で医療機関の積立金やコロナ対策費「未使用分」の流用、「戦時国債」で侵略戦争に突き進んだ歴史の教訓を無視し「建設国債」の発行など、増税や借金、くらしの予算の削減で大軍拡の財源を確保するとしています。さらに、軍事費2倍の11兆円となれば、消費税増税を含めた庶民大増税に向かわざるを得なくなります。経済成長できない国、賃金が上がらない国となっているところにさらなる増税は家計消費を一層冷え込ませ、日本経済への打撃は計り知れません。

 大軍拡をやめ、その予算を教育費に回せば、高校、大学、大学院、専門学校の授業料、小中学校の給食費・教材費すべて無償化できます。軍事費に使う予算は、子どもの教育や医療、介護、年金やコロナ対策など社会保障の充実にこそ使うべきです。

 最後に、戦争の心配のないアジアをどうしたらつくれるか、それは「軍事対軍事」で、特定の国を排除するのではなく、すべての国が参加する平和の枠組みをつくること。それこそが希望ある平和への道だということです。
地域を回っていると「このままでは戦争になってしまうのではないか、軍備を増やして戦争の準備をしている。本当に怖い」「戦争だけは絶対ダメ」との声がたくさん寄せられています。

 日本はかつて、アジアを侵略し、真珠湾攻撃を行い、太平洋戦争に突き進んでいきました。そして東京大空襲、この品川でも城南大空襲で街中が焼き尽くされ、多くの命が奪われました。沖縄戦、そして広島長崎の原爆投下。アジアで2000万人、日本で310万人もの命が奪われました「戦争を繰り返してはならない」この反省の上に、2度と戦争はしないと憲法9条がつくられたのです。

 日本共産党は、憲法9条を生かして東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を提案しています。ASEANが主導し、日本、アメリカ、中国、ロシアなども参加している東アジアサミットを強化して東アジア全体をASEANのような平和の共同体にしていこうという提案です。ASEANと協力して、特定の国を排除するのではなく、地域のすべての国が参加する平和の枠組みをつくっていく、これこそ憲法9条を持つ国が行うべき外交ではないでしょうか。

 戦争か平和か、歴史の岐路に立つこの時、大軍拡・大増税ではなく、区民の生活を守る経済対策を最優先にと求める請願を議会として採択し、私たち品川区議会から声をあげ、世論にしていくことが大軍拡を止める力になります。採択を心から呼びかけ、賛成討論とします。

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