前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

安藤たい作区議 第63号議案「品川区立図書館条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

2017.10.19 安藤 たい作 区議

日本共産党品川区議団を代表して、平成29年第63号議案「品川区立図書館条例の一部を改正する条例」への反対討論を行います。

本条例は、現状の大崎図書館を北品川五丁目の御殿山小西側敷地に移転するとともに、現在建て替え中の芳水小内に大崎図書館分館を設置するものです。大崎図書館は現地で存続し、御殿山小西側敷地の図書館は11館目の新設図書館とすべきです。以下、反対の理由を3点述べます。

1点目は、地域の思いで作られ、また育てられ、現に非常に沢山の方に利用されている図書館を住民から奪うという問題です。

現大崎図書館は、地元住民の声と運動で1983年7月に開館して以来、地域に愛されてきました。近隣の沢山の保育園が読書バッグを持たせ子どもを連れてきています。読み聞かせしやすいよう階段状の構造になっている専用室「おはなしの部屋」で毎週地域のボランティアの方が読み聞かせを行っています。ご近所のお年寄りにとっても、知的好奇心を満たしご近所さんと顔を合わせる気軽に立ち寄れる大事な場所になっています。サラリーマンもちょっとした休憩に、あるいは仕事帰りに本を借りにやってきています。大崎図書館の図書貸出点数は、直近の昨年度で区内10館中で2番目です。近隣の芳水小の児童の図書館登録率は全37小学校中1位の76.30%。この数字も、大崎図書館が地域で本に親しむ子どもたちを育成するうえでいかに大切な拠点であるかを示しています。

また大崎図書館の建設にあたっては、業者委託ではなく区の当時の営繕課が自主設計。基本構想、基本計画と重ねていく中、地元やご遺族の要望を受け土地を譲り受けた松原傳吉氏の邸宅にあった樹木や庭石をあしらった日本庭園を併設するなど、区と住民が一緒に作り上げた施設でした。その経緯もあり、かつて2階の集会室で映画上映会や点字講習会、夏休み子ども教室など地域企画も盛んに行われてきました。

地域の思いで作られ、地域で育まれてきた区立の貴重な単独図書館は、移転・廃館し代替施設と称して建物の中の一角に押し込めるのではなく、むしろ必要な工事を施し、二階部分や日本庭園も活用し、自然とも親しめる単独図書館として更なる地域文化の発信・交流拠点として発展させるべきです。

2点目は、区が29号線道路を造るために、老朽化等移転の理由をこじつけて大崎図書館をなくす問題です。

区が移転の理由にあげる「老朽化」は理由になりません。老朽化なら、対策は改修・建替えです。大崎図書館より8年古いゆたか図書館は現在、大規模改修を行っています。区は自ら作成した「公共施設等総合計画」の中で、「大規模改修」の周期は30年、更新(建替)の周期は60年との考え方を示しています。百歩譲って改修では追い付かないとしても、建替えて現地で存続すればいいのです。区は決算委員会で、現地での建替えが不可能ではないことを認めましたが、「移転は総合的な判断」「その方が地域のためになる」と強弁しました。区の勝手な判断を押し付けられ、地域から図書館を奪われる住民はたまったものではありません。

ではなぜまともな移転の理由もないのに区は、大崎図書館を移転させようとしているのか。その理由は、道路建設を優先させる区の都合でしかありません。

区は、現大崎図書館を移転後の来年3月末に閉館。建物については解体し、その後、都の要請に応じ補助29号線の代替用地として活用できるかどうか検討していくとの方針です。その29号線とは、住宅550棟以上を立ち退かせて住民を追い出し、公園や商店街を削り取るまち壊し。現在、住民62名による認可取り消しを求めた裁判闘争も起こり、住民から大きな反対の声があがっている道路です。

大崎図書館が老朽化してきていたことは事実です。もともと図書館部局は改修する意向で、それは委員会質疑で「当初改修に関しましての経費を予算要求をしてきた」など繰り返し答弁されてきた通りです。

しかし2012年6月、区長が手をあげたことにより補助29号線が特定整備路線に選定されたことで状況は一変。2014年1/21の行革委員会で区が初めて大崎図書館の移転の考えを示し、その直後の2014年3/26には29号線が事業認可。反対が根強い道路事業を推進するためには、立ち退きに合う施設の代替地を近隣に確保する必要がありました。

つまり、都と区が一体で補助29号線建設のために大崎図書館をなくすことが移転の本当の理由です。住民も反対する道路事業を進めるため、行政が率先して地域と区民の文化財を壊すということは断じて許されません。

3点目は、こうした暴挙が、徹底した住民不在、利用者不在で進められてきたということです。「大崎図書館ユーザーの会」は2015年4月に、地域や利用者に説明会の開催を求める署名508名分を区長宛に提出。しかし区はそれすらも拒否。ついに開催されることなく、条例の採決を迎えてしまいました。今後の広報について区は、「議会で正式に決まったら公表する」と繰り返し、そのやり方も「町会長・自治会長に説明」「館内や地元の掲示板や広報しながわでPRする」などと述べています。決まった後に紙切れ一枚で利用者に移転・廃館を知らせる。利用者、住民不在のやり方は許せません。

芳水小は工事中であり、現在躯体は影も形もありません。今からでも間に合います。御殿山小西側は大崎図書館とするのではなく、新設の11番目の図書館にすべきです。大崎図書館は現地で存続を。そのことを強く求め、反対討論を終わります。

ページトップへ

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ