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「大崎図書館の移転の見直しと現地での存続を求める請願」への賛成討論

2016.03.23 安藤たい作 区議

日本共産党品川区議団を代表して、平成28年請願第2号「大崎図書館の移転の見直しと現地での存続を求める請願」の賛成討論を行います。

この請願は、大崎図書館の現地での存続を求め、図書館利用者や地域住民らが集めたもので、署名は短期間で957人寄せられました。以下、賛成を呼びかけて、その理由を4点述べます。

1点目は、大崎図書館が地域で果たしてきた役割の大きさと歴史を踏まえれば、移転は許されず、現地で改築・改修し存続すべきだという点です。

大崎図書館は、「この地に図書館を」という地域住民の思いの中から、1974年に当時の芳水小PTA会長が区議会に請願を提出、翌1975年には地元名士の松原伝吉氏が「図書館にしてほしい」と提供した邸宅跡が図書館用地と決定。その後6年余の歳月をかけて住民要望や区社会教育委員会議答申などを踏まえ設計計画を練り上げ、1983年7月、区内10館目の図書館として開館しました。その間も地域では、大崎4丁目文庫などの地域文庫を運営し開館を待っていました。まさに、生まれも育ちも住民の思いが詰まった図書館です。区もこうした地域の大崎図書館への思いを「深く受けとめている」と認めました。

こうした経緯があるからこそ、大崎図書館は以来30年にわたり、地域住民に、近くの保育園などの子どもたちに、高齢者の方に、ビジネスマンにも利用され愛されてきました。貸し出し図書数も区内10館のうち、直近の平成26年度調べで3位であり、区内でも大変利用されている図書館の一つなのです。

区は移転の理由に「老朽化」をあげますが、必要な改修や建て替えをすれば済む話で、移転の理由にはなりません。区自身も請願審議の中で「当初改修に関しましての経費を予算要求してきた」と述べましたが、これは、現地存続は可能であり、区も当初は存続の方針を持っていたということです。

2点目は、代替施設は大崎図書館の替わりにはならないという点です。

住民からの「移転は反対」の声をうけ、区が「同等」の代替施設として示したのが、芳水小の地下の取次ぎサービスと閲覧コーナーです。しかし予算委員会では面積が500uにすぎず、現在の大崎図書館1325uに比べ一階部分680uにさえ満たない事が明らかになりました。区は「面積ではない、機能が同等ということ」といい逃れますが、現在の大崎図書館には子どもを意識した階段状の観覧席が設けられた読み聞かせ専用室が備えられています。全く替わりにはなりません。さらに、請願審査の中で、この代替施設なるものが、図書館の分館なのか、図書館法に基づくものなのか、施設の位置づけすら決まっていないことも明らかになりました。

3点目は、今回の移転計画が図書館のあり方や区内文化環境振興から出たものではなく、29号線道路や駅前再開発を進めるために出てきたものであるという点です。

区が初めて「御殿山小西側敷地に大崎図書館を移す」という考えを示したのは、2014年1月21日の行革委員会でした。当時の説明では、この敷地は「北品川五丁目地区地区計画区域F地区」に入っており、その方針として「文化教育機能を有した施設をつくることが一つの用途の条件」とのことでした。つまり、この開発を成立させるためには何らかの文教施設を入れることが必須条件であり、その施設として、大崎図書館の移転が浮上してきたという経過です。

また区は、大崎図書館の移転後の跡地は、都から打診された補助29号線の代替地としての活用に協力するとの説明です。予算委員会の自民区議の関連質問の中で、「区の勝手でなく、都と区の行政上の公務で移転する」との言葉がありました。この移転が地域で反対運動が続いている補助29号線建設のためのもので、最初から道路推進のための代替地として大崎図書館を動かす計画だったということです。大事な大崎図書館を現地で存続して欲しいと願う方にとっても、地域壊しの道路建設を許せないとたたかう住民にとっても、絶対に許されない暴挙です。

4点目は、進め方の問題です。今回の移転計画は、図書館利用者への説明会は一度も開かれておりません。「大崎図書館ユーザーの会」は、昨年4月に区長宛に説明会の開催を求める陳情を行いましたが、回答は「移転に関する住民説明会を行う予定はございません」というものでした。移転の理由や必要性も、代替施設の内容も、移転後の跡地活用内容も、いっさい利用者・当事者に説明することなく進む移転は、民主主義に反します。

最後に、図書館とは本来、単なる本の取次ぎができればいいというものではありません。経験豊かな司書などによる資料の構築と提供。子どもの読書要求に応えたサービス、地域文化資料の発信や交流拠点など、生涯教育の地域拠点であるべきです。請願にもあるように、宙に浮いている2階部分も本格活用するなどして単独館としての強みを生かし、更に地域の期待に応えられる図書館へ発展させることこそ、住民の願いではないでしょうか。

以上の理由から、請願内容に賛成し、大崎図書館は移転計画を中止し現地で存続すべきです。ぜひ請願者の思いに心を寄せ、賛成していただくよう呼びかけまして、討論を終わります。

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