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安藤たい作区議 第69号議案「品川区すまいるスクールの実施に関する条例」に対する反対討論

2015.10.23 安藤たい作 区議

日本共産党品川区議団を代表して、第69号議案「品川区すまいるスクールの実施に関する条例」に反対の立場で討論を行います。

本条例は、すまいるスクール利用者に対し新たに利用料を徴収し、合わせて実施時間を午後7時までに見直すものです。

これまでは、登録料550円と保険料として650円、あわせて年間1200円で、利用料は無料でした。それが来年4月からは、保険料年額650円に加えて、午後5時までの利用者に月250円・年間3000円、6時までは月3250円・年間39000円。7時までは月4250円・年間51000円もの利用料を新たに徴収します。

利用時間の延長については理解しますが、あらたに子育て世代に負担増を強いるものであり、認められません。以下、反対理由を2点述べます。

1点目は、子育て世帯へ重い負担を課し、子育て支援に逆行する問題です。

これまで就労などの理由で6時まで無料で利用できていた世帯にとっては、月々3250円の負担が新たに発生することになります。委員会質疑では「多子世帯への軽減は考えていない」旨の答弁がありました。児童2人、3人の兄弟・姉妹が通う世帯には、大変な負担となります。

子育てに対する経済的負担の軽減は、親と社会にとって切なる願いです。ところがこの間、子育て世帯には負担増が相次いでいます。「子ども手当増額の財源確保のため」と、年少扶養控除が廃止され大増税になりました。子どもが2人いれば住民税だけで年間6万6千円の増税です。その子ども手当も、増えるどころか大幅減額となり所得制限まで付けられたのに、廃止された控除はそのまま。さらに消費税増税・物価の上昇などの家計への影響に加え、区が10年ぶりに打ち出した認可保育園保育料10%値上げが追い討ち。その上、今回のすまいるスクール利用料徴収です。「子育て支援」「少子化克服」を掲げながら、子育て世帯に負担増を強いる利用料徴収はやめるべきです。

2点目は、利用料の設定に根拠がなく、際限のない値上げに道を開く点です。

区は設定料金について、決算委員会款別審査の中で「他区の場合は…安いところでも月4000円から5000円、高いところですと1万円近い」と説明し、自民党から「妥当な計算をしていただいている」などと評価される場面がありました。しかし、比較として示されたこれらの料金は、すまいるスクールのような全児童対策事業ではなく学童保育機能を重視してやっている自治体の数字であり、比較できません。

また、わが党の「利用料金の設定根拠は何か」との質問に、区は「以前の学童保育の金額を踏まえた」と説明。指導員が午後から半日間しっかり児童と触れ合う学童保育と、わずか1時間のすまいる延長料金とが同じ3000円とは、全く根拠になりません。

こうした利用料金設定は、根拠がないばかりか、今後の際限ない利用料値上げに道を開きます。区は委員会質疑の中で「受益者負担については再検討していく必要がある」「すまいるスクール総事業費11億円余のうち保護者負担は1.3%であり、一定のご負担を頂く」とも述べました。受益者負担で、利用料は際限なく上がる事になります。品川の子どもの育ちを保障する事業を税金で行うのは当然で、コストの負担を親に求めるのは間違っています。「小さく産んで大きく育てる」式の、今回の新たな利用料徴収は許せません。

さいごに、すまいるスクールが全校に導入され10年になりますが、これまでの一連の経緯に触れつつ意見を述べます。

すまいるスクールは2001年にモデル事業としてスタートし、学童保育との併存期間を経て、2006年(H18)には、「利用料は無料」「全児童が利用できる」と、全校実施へ。そして、40年余りにわたり親と先生とで積み上げてきた歴史ある品川の学童保育は廃止されました。家庭の代わりに安心して過ごせる生活の場、おやつの提供、連絡帳や保護者会を通した親と先生の協働による子どもへの目配り。親の就労保障と同時に貴重な子どもの育ちの場だった学童保育の廃止に、大きな反対の運動が巻き起こりました。あれから10年がたちました。

無料でスタートしこの10年間変わらなかったすまいるスクールの利用料金を、なぜ今になって有料化する必要があるのでしょうか。

区は「すまいるスクール全校実施に至った平成18年度以降、デフレ経済の進行により使用料そのものをなかなか上げる環境にはなかった」、「金額については国の基準がなく、区の裁量で決められる」などと説明しました。しかしこの10年間に、子育て世帯の収入は増えるどころか減っているのが現状で、「使用料を上げる」環境にない点には何も変わりません。今回の値上げはまるで、学童保育をなくすためにすまいるスクールを無料でスタートさせたが、10年が経ちほとぼりが冷めた、もうそろそろいいだろうとばかりに利用料を課すようなやり方で、許せません。

お金はあります。品川区の住民税は毎年増収で、溜め込み基金も815億円、過去最大になりました。

新たな利用料徴収は止め、すまいるスクールの中に学童保育の機能を位置付け充実させることをあらためて強く求め、反対討論を終わります。

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