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鈴木ひろ子区議 2013年第3回定例会一般質問 「耐震政策」 「超高層ビル開発」 「補助29号線・放射2号線」「特養ホーム増設」「社会保障」

2013.9.19  鈴木 ひろ子 区議

2013年9月19日、日本共産党鈴木ひろ子区議が質問しました。              

  1. 巨大地震による住宅倒壊、大火から区民の命守る対策を急げ
  2. 住友不動産の西品川1丁目開発に145億円の税金投入。区民が望まない超高層ビルはやめよ
  3. 説明会では疑問や反対が続出。住民を追い出し街を壊す、補助29号線・放射2号線などの道路づくりはやめよ
  4. 特養ホーム入所待ち594人。「みやこ荘跡」後の増設計画をつくれ
  5. 高齢者の医療費負担2倍化、介護サービス取り上げなどの「社会保障解体」に反対を

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一般質問

巨大地震による住宅倒壊、大火から区民の命守る対策を急げ

首都直下地震による品川区の被害想定は倒壊危険度、火災危険度ともに深刻であり、区民の生命と財産を守る防災対策は区の重大な責務です。地震は自然災害であるが地震による災害の多くは人災であり、人間の英知と技術と努力による予防対策を行うことで被害を最小限にくい止めることができるとの立場で取り組むよう具体化を求めます。

第1は地震の一撃から命を守る住宅耐震化についてです。阪神淡路大震災では9割が建物倒壊による圧死。区内の旧耐震の木造住宅は約13000棟。区の耐震化助成の進み具合はどうでしょうか。耐震診断は約700棟で5%、耐震化工事は245棟で2%にも及びません。家屋は倒壊すると火災が起きやすく、消火しにくくなります。そして道路をふさぎ、救助を困難にします。品川の火災による住宅焼失の想定は2万95棟、焼失率は31.9%、都内で最悪です。市街地大火を防ぐためにも木造住宅の耐震化は喫緊の課題です。

質問します。

  1. 住宅耐震化を自己責任にするのではなく、住宅倒壊は街のリスクとの認識で耐震化に区が責任を持って取り組むよう求めます。
  2. 区の耐震化目標95%を実現するために、耐震診断、耐震工事の年次計画を策定することとその達成状況を公表するよう求めます。
  3. 簡易診断だけでは耐震化工事に進むことができません。飛躍的に耐震診断を増やし耐震化を促進するため一般耐震診断の無料化を求めます。
  4. 耐震改修の補助率を現行2分の1助成を引き上げること。今年度なくした住宅改善工事助成との併用を復活させるよう求めます。いかがでしょうか。

2つ目に初期消火対策です。同時多発火災を市街地大火にしない対策があまりにも不十分です。

  1. 区内の消防車の台数は何台か。同時多発で起こった火災に対して何か所消火の対応が可能でしょうか。
  2. 区内の上水道の継ぎ手の耐震化は何%になったか。スタンドパイプは木密地域でどれだけ使えるのでしょうか。上水道の耐震化を早急に進めることと、町会へのスタンドパイプの増配備を求めます。
  3. 街頭消火器を増配備したのは、今年度は火災危険度5の19町会のうちわずか2町会だけ。今後も危険度5のすべての町会、5以下の町会の増配備計画がありません。町会等に諮り必要数の増配備、公共施設へのまとまった増配備を改めて求めます。いかがでしょうか。
    品川区は災害時要援護者支援マニュアルがありません。職員の対応マニュアルだけでなく、当事者を含めた検討委員会を設置し、災害時要援護者の命守る支援マニュアルを早急に作成すよう求めます。いかがでしょうか。

最後に震災時のトイレ確保についてです。備蓄に簡易トイレを大幅に増やしたことは評価します。

しかし、我が党の調査で、大井競馬場・品川区民公園や林試の森、東京工業大学などの広域避難場所に災害対応用トイレが全くないことがわかりました。区内の公園260か所のうち災害用トイレがあるのは31か所のみです。災害時のトイレを広域避難場所、区内の公園、さらに地域センター、きゅりあん、特養ホームや保育園などの区有施設に設置するよう求めますがいかがでしょうか。

住友不動産の西品川1丁目開発に145億円の税金投入。区民が望まない超高層ビルはやめよ

品川区は、大崎駅西口・東口、大井町、目黒、武蔵小山、品川駅南など超高層マンションの再開発を際限なく進めています。今回は西品川1丁目再開発の問題点を指摘し、質問します。

西品川1丁目再開発は、国際自動車教習所跡地を購入した住友不動産に対して品川区が働き掛け、防災を理由に周辺地域の地権者を巻き込み、約2倍の3.9haに拡大、100mと120mの超高層ビル2棟を建てる巨大再開発に変貌させました。

一方、東京都は今年7月末に再開発組合の設立を認可したため、開発に同意していない地権者は認可取得後1カ月の8月末までに再開発マンションに入居するか、それとも地域から出ていくかの決断を迫られました。この時点で権利者70人中計画同意者は58.67人。10人以上が同意していません。しかも、同意した人の中でも大多数は、開発マンションに入る人もこの地域から出て行く人も、自分の財産がいくらの査定なのか分からない、出て行く場合の補償額もわからない、引越し先も見つからないという状況です。突然降ってわいた開発によって隣近所仲良く暮らしていた絆を切られ、自分の人生を突然大きく変えられるのに先の見通しが全くないまま、同意の印鑑を押すことだけを求められるのです。「何不自由なく平和に暮らしていたのに出て行かなければならないなんて。住友不動産だけ大儲けするのは許せない」と怒りの声が上がっています。 

質問です。

  1. 組合認可取得時に同意しなかった人の理由をお聞きします。地域の防災のためと言いながら長年住み続け、これからも住み続けたいという人が地域から出ていかざるを得ない状況に対してどう考えるのか伺います。
  2. 西品川1丁目だけでなく、武蔵小山駅前など防災という理由で区内で次々と進められているのが超高層マンション乱立の再開発。防災対策なのになぜ航空法ぎりぎりの超高層なのでしょうか。
  3. 首都直下、南海トラフなどの被害想定の研究がすすめられ、超高層ビルの長周期地震動や長時間時振動の危険性が指摘されています。さらに超高層マンション建設ラッシュによる急激な人口の集中、多くの住民を追い出すことによるコミュニティ崩壊などの問題もあります。入居者に対する巨大地震時の安全が確保できると考えているのか。超高層ビルに対する防災上の対策が確立しないまま建設し続けるのではなく、立ち止まって検証を待つべきではないでしょうか。
  4. 住友不動産の単独マンションでは税金投入は必要ありません。周辺地域権利者だけの防災対策であれば145億円もの税金はかかりません。145億円は、区内の木造住宅の4100戸分耐震診断、補強設計、耐震改修を自己負担なく可能にするほどの金額です。145億円もの税金投入が区民の理解を得られていると考えるのか伺います。
  5. 住友不動産はこの開発でいくらの利益を見込んでいるのかお答えください。税金を投入する開発事業なのだから、区は情報を公開すべきと考えます。住民を追い出し巨額の税金を投入して大手ゼネコン住友不動産を儲けさせるだけの西品川1丁目再開発はやめるべきです。

説明会では疑問や反対が続出。住民を追い出し街を壊す、補助29号線・放射2号線などの道路づくりはやめよ

8月30日の補助29号線事業概要及び現況説明会では「防災に効果あるというシミュレーションがあるなら開示すべき」「商店街を片側つぶす計画であり街を壊さないでほしい」「近くに第2京浜国道があるのになぜ29号線が必要なのか」「新たな道路で大量に車を呼び込むことになる。車両火災があったら誰が責任を取るのか」など、商店街の役員の方や住民から計画の中止や変更、測量を取りやめるよう求める声が続出しました。この間、補助29号線、放射2号線の7区間で説明会が行われてきましたが、どの会場でも同様の状況でした。

質問です。

  1. 補助29号線、放射2号線の道路計画上の権利者は何人か。土地所有者、借地権者、建物所有者、借家権者それぞれお答えください。
  2. 7回の説明会のうち6回は東京都の第2建設が主催でした。戸越公園駅前の地域のみ、なぜ東京都の都市整備局なのか伺います。
  3. 説明会では車両火災の危険性や防災のシミュレーションの開示、防災の根拠など質問に答えられていません。これでも住民が納得していると考えるのかお聞きします。そう考えるのであればその根拠を示してください。
  4. 説明会では計画に対する疑問や見直し、測量の取りやめを求める声が続出したにもかかわらず、たった1回の説明会で測量を強行するのはあまりに乱暴です。測量の前に何度も説明会を行うよう都に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
  5. 本日も芳水小で用地測量説明会が予定されています。この状況でどんどん進めるのでなく、東京都に対して事業認可取得の申請をしないよう求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
  6. 防災上効果があるというシミュレーション結果を区は今だに入手していないのか。提出を拒む理由を東京都はどのように説明しているのか伺います。都が「効果あり」というシミュレーションはどんな条件で行ったのか:道路幅、沿道建物の建築用途、沿道建物の高さ、沿道建物の奥行き、風速など条件をお聞きします。
  7. 防災と言いながら逆に危険な街になるのではと懸念されるのが車両火災です。検証せずになぜ安全と言えるのかお答えください。区長は昨年の本議会で検証の必要性を認めました。東京都任せにするのではなく、品川区自らが検証するよう求めますがいかがでしょうか。
  8. 住環境がどう悪化するかも地域住民の心配です。車両通行量予測、CO2など環境予測調査を行うべきと考えるがいかがでしょうか。品川でも、従来の街並みを生かし、高さ制限を行いながら住宅耐震化を進めた戸越1丁目地区など経験があります。防災のまちづくりは、住民を追い出しコミュニティを壊す巨大道路づくりではなく、こうした住民合意のまちづくりこそ進めるべきではないでしょうか。

特養ホーム入所待ち594人。「みやこ荘跡」後の増設計画をつくれ

品川区は「特養ホームはつくらない」との方針を切り替えて、八潮に11年ぶりに増設。今後も杜松小跡、平塚橋会館跡、みやこ荘跡と増設の計画です。共産党は一貫して特養ホーム増設を求め続けてきたので4か所の増設は歓迎します。しかし、その後の増設計画がありません。

申込者634人に対して入所できたのは67名、わずか1割です。要介護5の人でも89人中7人、90代の人151人中22人、100歳超えても9人中4人しか入れない状況。4年後には3ヶ所の特養ホームが完成しますが、合わせても229人分で現在待っている人の半分も入れません。10年後の高齢者人口は、8600人も増え8万3000人にもなりその後もずっと増え続けます。区民は不安でいっぱいです。

アルツハイマー型認知症の母親を介護する方は、自分も癌を患いながらフルタイムで働き、食事の準備だけでなく繰り返される近隣とのトラブル、徘徊に加え、排泄物の始末で部屋中の掃除とおびただしい洗濯物にもう限界と悲鳴を上げています。しかし、申し込んでも特養ホームは入れません。こんな深刻な状況が区内中あふれています。

質問です。

  1. 8月末締め切りの特養ホーム申し込みの数をお知らせください。
  2. 旧みやこ荘跡以後の特養ホーム増設が必要です。計画が決まっても完成までに3年から4年かかります。5年後10年後を見通した増設計画を作り、具体化を求めますがいかがでしょうか。
  3. 国が売却を予定している区内の国有地は27840uもあります。「品川区公共施設有効活用プラン」では「施設を新規に整備する場合…現在ある施設の活用、転用及び複合化を基本とし、施設の総量をできる限り抑制」する方針です。これでは区民の切実な要望に応えられません。この方針を見直し、国有地を購入して新たな特養ホーム増設を求めますがいかがでしょうか。また、第一日野小学校跡、荏原四中跡、下神明駅前のJT跡地などにも増設を求めますがいかがでしょうか。

高齢者の医療費負担2倍化、介護サービス取り上げなどの「社会保障解体」に反対を

安倍自公政権は、社会保障制度改革国民会議の最終報告書を受け、10月の臨時国会冒頭に介護・医療・年金・保育の諸制度を大改悪する手順を定めた「プログラム法案」の提出を狙っています。社会保障制度を解体に導く改悪のオンパレード。許すわけにはいきません。

医療では、70歳〜74歳の医療費を1割から2割へ2倍への引き上げを来年度から実施する方向。国保の広域化、新たな病床削減計画策定、入院給食費や高額療養費の負担増など、ベッド削減・患者追い出し・受診抑制を行うとしています。

介護では、要支援1・2の人を介護保険の給付から外し、自治体任せの安上がりサービスに変えようとしています。この問題では、品川区は介護認定が他の自治体に比べて低く、要支援1・2の人が35・6%と全国平均26.6%より9%も多くなっています。要支援の人が介護保険から外されたらその影響はより深刻になります。その他特養ホーム入所を要介護3以上に限定、デイサービスの利用制限、一定以上の収入がある人の利用料負担を2割に引き上げなどさらなる負担増と給付の削減が狙われています。

年金は2.5%削減、マクロ経済スライドの発動で恒久的な支給削減の方向、年金支給開始年齢の引き上げも視野に入れています。

社会保障の全面的な削減の先兵とされたのが生活保護改悪です。今年8月からの保護費削減は、利用者の生活実態を見ずに行われた過去に例のない引き下げであり、生存権を否定するものです。

生活保護を受けている人だけの問題ではありません。保護基準によってナショナルミニマムを決められているため、住民税非課税、就学援助、最低賃金、各種減免など社会保障や国民生活に大きな影響を及ぼします。貧困を拡大し、ぎりぎりで頑張っている人を谷底に突き落とすことになります。さらに保護申請の‘門前払い‘を強化する法案の再提出も狙われています。今でも生活保護を受けられなかったために小さい子とその母親が、また障害を抱えた方などが餓死をするという事態が次々と起こっています。これで先進国と言えるでしょうか。こんな改悪を許すわけにはいきません。

世界人権宣言、国際人権規約、WHO憲章などの諸文書は、すべての人間に健康で文化的な生活を営む権利があることを宣言し、失業・疾病・障害・老齢などによる生活能力の喪失から、国民を守る責務を各国政府が負っていることを宣言しています。社会保障は公的責任による人権保障の仕組みです。

ところが国民会議の報告書では、「日本の社会保障は、『自助を基本としつつ、自助の共同化としての共助(=社会保険制度)が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に公的扶助の公助が補完する仕組み』が基本」と明記。憲法25条を踏みつけにし、生存権保障を根底から否定する理念を公然と掲げています。

こうした流れに反対して、区民の人権を守る立場にこそ立つべきです。

質問です。

  1. 生活保護受給者で8月から生活費が減額になった人数、減額により対象から外れた人数、減額の平均額、区全体の削減額、それぞれ伺います。また今後3年間で平均10%の減額を見込んでいるが、3年後の削減額は年間いくらになるのか。生活保護削減で、影響を受ける事業数と人数をお知らせください。
  2. また、区長は社会保障を何と考えるか改めて伺います。
  3. 生存権保障を根底から否定し、社会保障を解体に導く「社会保障制度改革推進法」の具体化に反対の姿勢を示すべきと考えますがいかがでしょうか。

答弁

区長

住宅の耐震化に関するご質問にお答えします。
住宅耐震化における区の考え方ですが、まずは自助の観点から建物所有者が主体的に取り組むべきものと考えております。区では、これまでも自助を支援する立場から、助成金の見直しや相談体制の充実など、さまざまな施策に取り組んできており、引き続き耐震化の啓発、促進に取り組んでいきます。次に、年次計画の策定と達成状況の公表についてです。住宅の耐震化は建物所有者の発意によることから、年単位の計画とはせず、平成32年度までの目標を定め、取り組みを進めてまいります。一般耐震診断に関しましては、これまでも専門家による無料簡易診断を行うなど、区民が自宅の耐震性について関心を持っていただく取り組みを進めており、一般耐震診断の無料化までは考えておりません。次に、耐震改修支援制度につきましては、平成23年度にアンケート調査を踏まえて木造住宅の改修助成の限度額を引き上げており、その後は利用件数も増加していることから、さらなる増額は考えていません。また、住宅改善工事助成につきましては、昨年度の執行実績を踏まえ、公平性確保の観点から見直しを図ったものであり、他の助成制度との併用は考えておりません。
初期消火対策についてお答えいたします。
区内には、3消防署と3消防団で合計60台の消火ポンプ、可搬ポンプがあります。震災時の火災においては1つの火災に1台のポンプで消火活動を行うとの考えから、同時発生の火災現場に対応できるのは最大で60か所と考えられます。
上水道の継ぎ手耐震化については、東京都水道局によりますと、耐震継手率が平成24年度末で32%、10年後には54%に達する予定とのことです。また、断水率は区内全体で約46%と想定され、木密地域だけの断水率は想定されていません。区としては、今後も引き続き都に対して上水道の耐震化を働きかけてまいります。
また、町会へのネタンドパイプの増配備につきましては、各防災区民組織における訓練の実施状況や活用体制等を検証し、その必要性を検討いたします。
街頭消火器に関しましては、区の基準を満たす必要数の設置を既に完了しています。その上で、密集住宅市街地整備促進事業地区内で火災危険度や不燃領域率を基準に対象となる町会を選定し、昨年度から5か年計画で計画的に増設を進めています。さらなる増配備につきましては、状況を見きわめて判断します。
要援護者マニュアルについて。
東京都の災害時要援護者に関するマニュアルの指針では、要援護者や支援者等が具体的にどのような行動をとるべきかを区市町村の実情に沿ってマニュアル化するとされております。区では既に区の災害対策本部の要援護者対応業務のマニュアル作成を進めており、「災害時助け合いシステム」による各防災区民組織での要援護者支援の仕組みも構築しています。現在の取り組みや区の実情を踏まえ、要援護者や支援者の方が活用できるマニュアルにつきましても、現在関係各課と連携し、協議をしているところであります。
震災時のトイレ確保についてです。
広域避難場所は東京都が指定するものであり、災害用トイレの設置を要件とするものではありません。災害時におけるトイレにつきましては、耐震化した避難所のトイレを第一と考え、それを補完する対策として使い捨て型の簡易トイレや公園等の災害用トイレを位置づけているところであります。
その他のご質問等につきましては、各事業部長等よりお答えを申し上げます。

都市環境事業部長

西品川一丁目の再開発事業に関する質問です。
再開発組合設立に未同意の方の理由については、権利変換の概算評価額に対して不満であるとか、代替地の具体的な提示がなかったことなどによるもので、事業そのものへの反対によるものではないと聞いています。反対者は地区外へ転出せざるを得ないとのご意見ですが、再開発事業は、都市開発法に基づき、従前の権利を守りながら進められるもので、区内全権利者の意向を確認しながら権利変換計画を策定し、事業を進めるもので、一方的に転居を求めるものではありません。再開発事業は、木造住宅密集地域など地域が抱える防災上の課題を解消し、道路や公開空地などの公共空間を整備するもので、結果として建物が高層化になるものです。

次に、地震時等における高層建築物の安全性についてですが、建築基準法では、高さが60メートルを超える超高層建築物については、個々の建築物ごとに国土交通大臣の認定を義務づけています。認定に当たっては、短周期から一定の長周期成分を含む複数の地震動に対し、建築物がどのように揺れるかをコンピューター解析し、安全性を確認しています。さらに国では、長周期地震動の対策案についてパブリックコメントを実施し、広く専門家の意見を聞き、今後の対策につなげるとしており、区としてもこのような動向を注視し、最新の技術検証を計画に反映されるよう指導してまいります。

次に、再開発事業の補助金についてです。再開発事業により生み出される道路や公開空地などの公益性を評価し、補助金を交付しているものです。

最後に、再開発事業における参加組合員の利益についてのお尋ねですが、再開発事業は、地区内権利者の権利を守るために必要な床と、補償費や公共空間の整備費を含む全体事業費を賄うために必要な床を生み出し、その床を参加組合員が購入することで事業が成り立つものです。補助金は、売却する床に対するものではなく、あくまで公共空間の整備などに充てられるものです。参加組合員が購入した床を新たな居住者や営業者などに売却して得る利益は、事業外の民間での商取引行為であることから、公表する考えはありません。
次に、補助29号線および放射2号線に関するご質問にお答えします。

計画道路上の権利者の数ですが、補助29号線上にはおおむね550棟、放射2号線上にはおおむね220棟の建物がございます。現在、事業概要の説明会が行われたことから、順次、現況測量および用地測量に着手しており、権利者の方々の敷地と道路計画線の位置や権利関係について調査を進めているところですので、権利別の内訳をお示しすることができる状況ではありません。
都市整備局が担当する地域についてですが、戸越公園駅周辺は大井町線と29号線の交差や、商店街を有していること、また、地元でまちづくり協議会ができていることから、道路整備のみならず、周辺のまちづくりを地域の方々とともに考えていく必要があるため、面的まちづくりのノウハウがある都市整備局が担当することになったと聞いております。

事業概要、現況測量の説明会での住民の受けとめ方についてですが、説明会では不安や疑問を感じる方も少なからずいると受けとめていることから、区としても、事業概要の説明会とは別に、町会や商店街主催の勉強会に参加したり、要請があれば説明会に赴くなど、丁寧な対応に心がけているところです。事業認可の取得申請につきましては、本事業は木造地域の安全・安心のために区としても必要な事業であると認識しておりますので、申請しないように求める考えはありません。

都からの延焼シミュレーションのデータ提供につきましては、出火点や延焼する建物などが地図上で特定されることから、住民に不利益が生じるおそれを懸念し、現在のところ公表する考えはないとの話を受けております。また、設定条件については、道路幅員を20mとし、道路沿道が防火地域に指定され、沿道の建物全てが不燃化建築物へと建てかえられたことを想定し、風速8メートルの条件でのシミュレーションを行ったと聞いています。

車両火災についてですが、大震災が起こったときにはさまざまな事象の発生が想定され、車両火災もその一つと考えます。昨年4月に公表された都の被害想定では、検証手法が確立している事象について評価をしており、車両火災は検証手法が確立されていないため、考慮されていないと聞いています。このため、区としても独自に評価検証することはできかねるものです。
交通量予測についてですが、都では許容台数として、補助29号線、放射2号線のいずれも1万台を見込んでおり、事業路線の車線数は2車線の計画であることから、環境影響評価は予定されておりませんが、別途、道路完成時の渋滞緩和による排気ガスの低減、低騒音舗装による騒音の減少などの工夫をしていくとのことです。

健康福祉事業部長

特別養護老人ホームと社会保障に関するご質問にお答えをいたします。

初めに、平成25年8月締め切りの特養ホームへの入所申し込み者数ですが、594人で、前回の584人とほぼ同じという状況でございます。特別養護老人ホームについては、平成26年度から平成29年度まで3施設の開設を予定しており、区内特養のベッド数は653床から882床、1.35倍に増加をいたします。旧みやこ荘跡の上大崎三丁目特別養護老人ホーム以後につきましては、今後の介護サービス全体への利用者ニーズの変化や保険料への影響などを総合的に判断してまいります。

国有地等に係るご質問にお答えいたします。

国有地の活用につきましては、経費の点やさまざまな行政サービスの対応など、多面的、総合的に検討をしてまいります。
次に、公共施設有効活用プランは、区有施設の老朽更新による財政負担や多様な行政ニーズなどに対応するため取りまとめたものであり、現段階で見直しの考えはありません。学校跡地の活用については、この公共施設有効活用プランの考えのもと検討してまいります。JTアパート跡地につきましては、防災という使用目的を十分に理解していただき、JTから入札によらずに売却していただいたものですので、福祉施設の建設は考えておりません。

生活保護と社会保障についてのご質問にお答えをいたします。

まず、本年8月の基準改定により生活扶助費が減額になった人数は約5,500人です。本基準改定により生活保護が廃止になった方はおられません。生活扶助費の減額の平均は1人当たり約800円で、8月支給の生活扶助費は約430万円の減となっています。3年後の削減額や影響についてですが、今後の社会経済情勢の動向等により生活保護基準がさらに改定されることも考えられますので、現時点でお答えすることはできません。

社会保障についてですが、社会保障は生活の安定を図り、安心をもたらすことを目的としたセーフティーネットです。社会保障が生活安定機能を果たすことにより、人々がさまざまなリスクを恐れずに日常生活を送ることができるとともに、それぞれの目標に挑むことができ、それがひいては社会全体の活力につながっていくものと考えております。しかし、これまでの社会保障が前提としていた日本社会の構造は大きく変化し、加えて少子高齢化の進展に伴い、社会保障支出も急速に拡大しています。このような社会変化に対応して、社会保障制度も改革していくことが必要です。そのためには、安定した財源を確保しつつ、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を確立することが重要であり、社会保障制度改革推進法はこれを目的として定められたものですので、具体化に反対する考えはありません。

再質問

鈴木ひろ子区議

自席から再質問を行います。

まず、防災対策ですが、区長は住宅耐震化は自助だといいましたが、こういうふうに言っているから私は進まないんだと思うんです。改めて、住宅倒壊がまちのリスクになるんだという認識に立つべきだと思うんですが、その点1点。

それと、区が自ら掲げたのが95%の耐震化の目標です。ここに区が責任を持つ考えがあるのか、このことについて伺います。

開発です。
防災というと、超高層。この理由がどうしてもわかりません。超高層というのは、防災どころか、逆に危ないと言われているわけです。防災というのであれば、マンションをつくるにしても低層も考えられるんじやないか。また、今のまちを生かした防災のまちづくりもあると思いますけれども、何で防災が超高層になるのか、それをお聞かせください。

道路の問題です。
道路の問題は、道路上の人数はわからないということですが、道路上の権利者が何人かというのはわかると思いますので、この人数だけお聞かせください。それから、車両火災ですけれども、車両火災の検証ができないといいますけれども、検証しなければ、なぜ安全だといえるのかをお答えいただきたいと思います。「不安や疑問がたくさんあることはわかっている」と言うのであれば、何でたった1回の説明会で道路計画を進める測量に進むのか、これを進めていいと考えているのか、改めて伺いたい。

特養ホームでは、みやこ荘跡地の後はいろいろ総合的に検討しながら考えるということですが、それであれば、今でもまだ足りないと、これだけでは足りないという認識があるのか、そして、この検討はいつまでに結論を出すのか伺います。

最後の社会保障についてですが、この間題では、区長の今の社会保障に対しての考え方です。こういう形で、自助、共助、そして最後に公助という形に大きく変更させられたのが今回の社会保障の考え方です。私はこういう考え方は憲法25条に相反するのではないかと思っています。この社会保障制度推進改革法、この考え方について改めて伺います。

再答弁

区長

住宅の耐震化についての再質問にお答えいたします。

先ほどの答弁では、耐震化はまずは自助の観点から建物所有者が主体的に取り組むべきもの、そして、これまでも自助を支援する立場から助成金の見直し等を行ってまいりましたとご答弁を申し上げました。自助を支援する公助であります。そういう観点から住宅の耐震化については仕事を進めているところです。

それから、目標の実現です。これにつきましては、平成32年度までの目標に向かってこれが達成できるようしっかりと取り組んでまいります。

自助、共助、公助のお話でありますが、人が生きていくためのさまざまな努力は、まずは自助によって行うべきものであって、最初から公助をということが、公助を出動するという考え方は誤っていると思っております。 
以上です。

都市環境事業部長

4点質問いただきましたのでお答えします。

まず、防災がなぜ超高層になるのかというご質問です。特に防災といっても、耐震の話もありますし、まちづくりという観点から多くの権利者の方々が自らのまちをよくしていこうと、そういう権利者同士の合意形成の中で建物をつくりたいというところを、私ども開発についても指導しているところです。基本的には先ほどのご答弁でも申し上げましたように、公開空地とかを評価して、その結果として建物の高さ、限られた敷地ですから、一定のボリュームを確保するという上ではどうしても高層化せざるを得ないという結果です。それが防災につながるのかということですが、ことし6月ですが、大崎駅西口一帯の開発によってなされた空地、これについても東京都のほうが広域避難場所としての指定を新たにして、約1万6,000人の方がそこに避難人口として受けられるという状況もあります。今回の西品川一丁目の再開発の中でも、敷地の中に広場上空地ということで6,000平米を超える空地を生み出しますから、それは防災につながるものと考えています。

道路の問題、権利者ということですが、先ほどもご答弁で申し上げましたように、現在詳細を調査しているところです。いずれにしても土地の権利については、複数の方がお持ちになっている場合、あるいはそこに住まわれていない方もいらっしやいますので、そういう方々の状況を確認しながら正式な数字を出していくことになると思いますので、現時点での権利別の内容をお示しすることができないと申し上げたものでます。車両火災の検証でございます。検証手法が確立されていない中で今できることをやっていきましょうということで、道路の整備、沿道の不燃化、これを早く整備してまいりたいと、このような考え方から進めているものです。1回の説明会で終わりにせず、何度かやるべきじやないかというご質問ですけれども、1回目の説明会は事業概要とか基本的な考え方の説明です。これについていろいろご不満あるいはご意見もおありということもありますので、私どもも地元の説明会あるいは勉強会にきちんと参加させていただいた中で丁寧な説明に心がけているところですので、ご理解のほどよろしくお願いいたしたいと思います。

健康福祉事業部長

特養ホームの需要についてですが、これから三、四年間にわたりまして3施設の特別養護老人ホームが順次整備され、開設をされてまいります。その間の需要の動きを注視しながら検討したいと考えています。
社会保障についてですが、社会保障給付費が非常に伸びている中で、社会保障制度自体を維持していくことが最も大事なことと考えています。持続可能な社会保障制度にしていくための改革法案がまさにこの法案だと思いますので、具体化していくことが大切であると考えるものです。

再々質問

鈴木ひろ子区議

道路問題と社会保障の問題だけに絞ってお聞きします。

道路問題では、道路計画上の権利者は何人かということは、これは権利者の皆さんに説明会のご案内の手紙を出しているわけですから、その手紙を出した人数を教えてくださいと言っていることなので、ぜひお願いしたい。

車両火災は、これが逆に車を呼び込んで危険になるんじゃないかというのが一番の懸念なんですね。それなのに何で検証しないで安全といえるのかということを改めてお聞きします。

私はこの道路問題では、いろいろ説明会を丁寧にやっていくと言われていますけれども、この現況説明会のその翌日からはもう測量が始まっているんですよ。道路建設のための、もう具体的な建設のための事業が進められているわけですね。ここのところが、やっぱり区民の皆さんは、住民の皆さんは納得いかないと言っているわけです。この道路、29号線、それから放射2号線は、68年前に決定したものです。この68年前に決定したものをもって、焼け野原だった当時と全く状況が違うにもかかわらず、今住んでいる人の意見も聞かない。そして、防災になぜ役に立つのかも説明できない。車両火災、この危険性についても説明できない。そんな中で何千人もの人を立ち退かせるこの道路づくりを、たった1回きりの、しかもわずか1時間半の説明会で強行していいのかということを私は言いたいんです。そのことを改めてお聞かせいただきたいと思います。私は、区民の皆さんに納得させるものがないんだったら、今からでも道路づくりを白紙撤回して、住民と一緒になって、この地域の防災、どうしたら防災のまちづくりができるのかということをやり直すべきではないかと思いますけれども、改めて伺います。

社会保障についてです。

社会保障は、今回の制度改革推進法が考え方を大きく後退をさせて、社会保障を解体すると言われているような、基本的な中身を変えたわけです。憲法25条では、全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると、国は全ての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならないと定めています。社会保障とは国の責任で人権を保証する仕組みです。それを大きく変えるのが今回の推進法です。自助、共助は自己責任を求めるものであつて、自己責任は社会保障とは言わないと思いますけれども、この考え方、改めてお聞きします。

都市環境事業部長

道路問題に関する再質問にお答えさせていただきます。

特定整備路線を進める上で何人の方に案内状を配布したのかと。これは東京都の進めている事業ですので、区としては、先ほど申し上げましたような道路内に550棟あるいは220棟というところは確認していますけれども、正確なところについてはちょっと差し控えさせていただければと思います。

車両火災ですけれども、基本的には先ほども申し上げましたように、検証方針といいますか、詳細には決められていないと。基本的には、大地震が起こったときに車両は原則、その場所にもよりけりですけれども、環七の中には車が入らないとか、一定の交通規制のルールがあります。どの程度車両火災のことが周辺への影響、あるいは火災の延焼によって隣地へ影響があるのかについては、やはり今後の課題があると認識しております。したがいまして、今検証方法が決められていないものをベースに物事を申し上げるわけにいきませんので、私どものほうとしては、今わかっている範囲の中でできる防災対策をきちんと進めていくということが基本と考えています。

それと、既に現在測量が始まっているということでございますけれども、あくまで現況測量、現在の道路と計画道路がどこの位置に入るのかといった現況の道路の測量を含めて、実際の地権者に入るときには地権者のご了解を得て測量を進めていくということですので、強行しているということではないと考えています。きちんと権利者の理解を求めて敷地の中に入らせていただくといったところが基本ですので、引き続き地元への丁寧な説明に心がけていきたいと考えています。

健康福祉事業部長

社会保障制度推進法は、社会保障制度を持続可能にするための方針を定めた法律でございます。憲法25条の考え方を後退させるものとは考えてございません。

議長

以上で、鈴木ひろ子君の質問を終わります。

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