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鈴木 ひろ子区議 2011年度決算特別委員会総括質問「防災まちづくり」

2012.10.16  鈴木ひろ子 区議

まちづくりマスタープランの防災まちづくり、特に防災の名で進める新たな都市計画道路づくりと沿道開発の中止を求めて

まず、まちづくりマスタープランの防災まちづくりの整備方針に、災害対策基本法にある自治体の責務、「住民の生命、身体及び財産を災害から保護する」がありません。なぜ明記しないのか、お聞きします。

2つ目に、東京都の木密10年プロジェクト、特定整備路線とはどんな制度なのか、道路完成までのスケジュールについて説明をしてください。

3つ目、東京都が特定整備路線として指定した放射2号線と補助29号線、品川区が同時期に進める補助31号線の3路線について伺います。

3路線それぞれに幅、長さ、影響を受ける住宅戸数、また影響を受ける公共施設と商店街と町会については、それぞれ名前で挙げてください。

都市環境事業部長

私からマスタープランに関するご質問にお答えいたします。マスタープランはご案内のとおり、都市計画法に基づいて区が定める都市計画に関する基本方針を定めるもので、防災まちづくりの基本方針を決めているところです。一方で、委員がご質問の「住民の生命、身体、あるいは財産を災害から保護する」これについては、災害対策基本法の中で明記しているところでございます。

したがいまして区としては、別途、地域防災計画の中で災害対策基本法の趣旨を踏まえて、今改定を進めている。今回のマスタープランの方針、整備方針の中では、あえてハード面をどのように整備するかということを位置づけるものですので、そこまで記載するという考えは区としてはございません。

木密プロジェクトの関係ですけれども、特定整備路線、延焼遮断帯という考え方についてまずご説明申し上げます。特に東京都が発表した木密10年プロジェクト、これはこれまでもの密集地域の中で、重点整備地域を基本として、さまざまな不燃化まちづくりを行ってきたところですけれども、なかなかそれが進まないといった中で、大きく分けると2つ、不燃化特区の面的な整備、市街地を横断する都施工の特定整路線、都市計画道路を整備することよって延焼遮断帯を形成できるといった考え方で進めているものでございます。
この延焼遮断帯の考え方は、別途東京都が定めている防災都市づくりの推進計画の中でも位置づけられているところですので、そういう都市施設を整備することによって他建築物を誘導し、それによって延焼遮断効果をもたらすといった考え方で進めているものでございます。

スケジュールの関係ですけれども、都施工の道路でございますので、現在対象となる地域の方に、今後東京都のほうとしても説明を行って、測量に入っていくといった状況です。いろんな手続を進めて、2020年を目指した中で、全展開をしていきたいと考えているものでございます。それと3路線、放射2号、補助29号をおよび補助31号におけるそれぞれの計画道路にかかわる建物等々についてです。現在私どものほうで、2,500分の1の地図等々で拾い込んだ中でのあくまで概数ということでご理解いただきたいと思います。放射2号線は、幅員25m、延長1200mでございます。その計画道路にかかわる建築物の棟数は220棟。公共施設は3施設、町会数は6、商店街は2という状況。補助29号は、幅20mで、延長3,490m、一部大田区にも入りますので、区内の延長が3,300m余。計画道路上の建物棟数は550棟、公共施設は9、町会は14、商店街は10という状況。31号は、幅員15m、延長1,100m、計画道路内の建築総数は110棟、公共施設は3、町会数は4、商店街はゼロでございます。以上が、計画、特定整備路線の事業概要とそれにかかる対象建築物の状況でございます。

鈴木ひろ子区議

影響を受ける公共施設、商店街、町会については、どこにどんな影響を与えていくのかということを明らかにしたいと思いますので、名前で挙げていただきたい。

私は、防災対策の中に必ず区民の命と財産を守る、これは明記して姿勢を貫くということが本当に重要だと思っています。ぜひとも明記するよう強く要望をします。

今の数だけでもこんな大きな影響があるというふうなことがわかると思います。改めて名前を挙げていただきたいと思いますけれども、これをたった8年間で進めるという、本当に乱暴な計画だと思います。

都市計画道路づくり、その間題点について質問を続けたいと思います。

まずは、区が延焼遮断帯と説明しますけれども、その点が不明だということです。1つは、交通量の予測、これはどうなっているのか、お聞きします。2つ目、地震による被害想定の中に車両火災の想定がされていません。区長は私の一般質問で、「車両火災の数値は必要だと認識している」と。そして、「被害想定が足りないところを東京都に申し入れている」と答弁しました。車両火災の検証の必要性を区長が認めたわけです。車両火災の検証の必要性を認めながら、その検証もないまま道路づくりを進めるのか、これでなぜ安全と言えるのか、どうやって区民の安全に責任を持つのか、伺います。

都市環境事業部長

計画道路の中にかかわるそれぞれの商店街等々の名称ということですけれども、それぞれ、先ほど申し上げましたように、数が多ございますので、補助29号線絡みでのご紹介、説明させていただきたいと思います。町会は、戸越の一、二、四、五、六丁目、豊町六丁目、あと、二葉四丁目、西大井五、六、あと西大井四丁目と、それと品川尚和会および大崎一二三町会、大崎三五町会と四丁目町会が計画道路にかかわってくる状況です。                 

延焼遮断帯についてのご質問ですけれども、一般質問のご答弁でも申し上げましたように、道路の幅員が12m以上あれば、阪神・淡路の大震災においても、神戸市の長田地区で市街地大火があった中で効果があったということで、国の国交省のほうが一応報告を出してきてございます。この資料によりますと延焼防止率が12m以上で100%と、4m確保ですと20%弱といったような報告がなされているところでございます。いろんなシミュレーションはあるかもしれませんけれども、この実態に沿った形で判断するというものが一番正確なのかなと私どもは考えてございます。

交通量調査については、今後道路構成等含めて東京都のほうが基本的には進める事業ですので、交通量を予測して検討されるものと考えています。これについては事業者である東京都が行うものと考えています。アセスについての考え方についても、基本的には環境影響評価、アセスの要件に照らした中で道路を整備するに当たって4車線以上、あるいは延長が1km以上であれば、その対象になるので、東京都が今後どのような幅員構成をするかといったところも考えているところです。

車両火災の考え方について、アセスも含めて、きちっとそのような客観的なデータに基づいて、考え方として、都のほうとしても科学的な根拠はいろいろあるのかもしれませんが、具体的な車両火災については現時点でそういう検証がなされてないという状況もございます。ただ、そうはいっても、先ほど申し上げましたような12m以上あれば支障がないといったような一定の判断が出ていますので、私どもはそれを十分に重視して受けとめて進めていきたいと、このように考えているところでございます。

鈴木ひろ子区議

今、部長が言った国土交通省の事例はこれです。これは神戸市の長田区の事例ですけれども、時間帯も街並みも違う。しかも神戸市長田区という1区画の1事例にすぎません。

これだけで、たったこれだけでなぜ6kmもの巨大道路の根拠と言えるのか、改めてお聞きします。

それと、車両火災についてですが、実際金沢大学の教授らが行った「路上車両火災を考慮した地震時火災シミュレーションに関する基礎研究」、ここでは幅20mの道路で、渋滞時の自然車両配置を想定した実験で、道路の火災が迫ってから19分後には4列の車両が炎上し、その輻射熱量と市街地からの輻射熱量で反対側の木造住宅が炎上していると、こういう結果を報告しています。「道路の場合、車両間の炎上の輻射熱で新たな延焼拡大のリスクとなる」と述べているわけです。車両火災の想定もしないで、巨大地震で渋滞した車の連続車両火災が起こったら、想定外でしたと言うんでしょうか。3.11、原発事故の後で、私は想定外というのは許されないと思います。改めて、車両火災について検証せずに道路づくりは進めるべきではないと思いますけれども、いかがでしょうか。

都市環境事業部長

延焼遮断の考え方でございますけれども、先ほども申し上げましたように、国のほうの考え方の中でそういう考え方も1つは示されていると。ただ、これだけではなくて、区のほうとして、地域の方々とまちづくりを進めていく中で、やはり12mの道路の沿道に沿った形で20mもしくは30mの防火地域を指定した中で、一定の高さ以上の制限をきちっと導入した中で、延焼遮断効果をさらに高めるといった考え方を持っております。これは道路の整備だけではなくて、それにかかわる都市計画的な手法を連動させて活用することによって十分な効果は得られると考えております。

それともう一つ、車両火災のお話でございますけれども、やはり緊急時、大地震に見舞われれば、当然道路への進入も規制されるでしょうし、今回の3.11のときについても、いろんな制限が出されて、被災地への物資を運ぶというところにもいろいろ支障が出たわけでございます。やはり一定のそういう状況があれば、当然車両を、一般車両の進入を禁止し、消防車両、あるいは緊急車両といった形での対応をとるということで考えますので、いろいろ車両の移動なんかを考えても、いろいろ技術的なところでまだ検証がなされていないものを今回の計画の考え方の中に反映するということはなかなか難しいと思っておりますので、これまで申し上げてきたような対応で十分だと考えてございます。

鈴木ひろ子区議

私は3.11を思い出してみていただきたいと思います。本当に大渋滞で車が動かなかったという状態を皆さんもごらんになっていると思います。道路が延焼遮断どころか、逆に道路をつくることで住宅街にガソリンを積んだ車を呼び込んで、火災を引き起こし、延焼の危険性を増すことにつながる。車両火災の検証もせずに交通量もわからない道路づくりは進めるべきでないと強く指摘をしておきます。
 次に、地域の合意なしに進める問題について質問をします。これはこれから進める都市計画道路の延焼遮断のイメージ図です。これは品川区の資料、マスタープランの中からとったものです。全く道路のない閑静な住宅街に、幅15mから25mもの道路を新たに3本、6kmもつくる。さらに沿道20mから30mにわたり高層ビルに変えていくと。この計画は、何十年と地域で隣近所との関係を築き暮らしてきた人たちを、880棟、世帯数で言えば何千世帯もの方々を立ち退かせて、28もの町会を巨大道路で削り取り、そして分断する。商店街の片側を消失させ、子どもたちが通う幼稚園を立ち退かせるというものです。

質問します。そこに住む人たちの暮らしと地域のコミュニティーが壊されることに対して、区はどう考えているのか、お聞きします。

2つ目に、こんな大きな犠牲を強いる計画を、道路上の人も、沿道の人も、ほとんどの人が知らされていません。住民の合意かないまま、こんな道路づくりを進めていいと考えているのか、お聞きします。

3つ目に、計画道路上の人や沿道の人がこの写真を見てぞっとしたと。こんなまちに住みたくないと言いました。隣近所、地域のきずなが壊される。このままの低層のまちが好きなんですと。そして、このまちに住み続けたいと、多くの方からこういう声をお聞きしました。この希望は保障されるのかどうか。そして、都や区が説得しても納得しないという、こういう人はどうなるのかについてお聞かせください。

都市環境事業部長

まず暮らしとコミュニティーというようなお話がございました。確かにまちづくりの中では、ソフト面として地域のコミュニティーを大切にしているというところも大事なことだと考えております。特に荏原地区を中心とした地域については、款別審査でも担当課長が申し上げましたように、下町のよさが息づいて、こういうコミュニティーもしっかりしていると思います。いろいろな防災訓練の中でも、やはり地域の人の関心というのは今回すごい高いということで、私どものほうも受けとめております。道路をつくったことによって、確かに空間的には距離が離れるというところもございます。けれども、やはり地域のきずなをソフトの中でいろいろ工夫しながら対応していくことが必要かと考えておりますし、またそのようなことで崩れるようなきずなであっては私どものほうとしては困るといったようなことで考えていますので、それぞれのまちづくりに対しての一応支援をあわせて行っていきたいということで考えております。

計画道路が知らされてないというようなお話ございましたけれども、ご案内のとおり、これ昭和21年に戦災復興都市計画の中で決められて、現在もそこに建築物を建てようとする方に対して、3階建てしかできないとか、そういう規制制限を行ってきてございます。それがなかなかできなかったということもあって、過去における区議会での請願とか、そういうものにつながって、本当にやる意思がないのであれば、やめてしまったほうがいいんじゃないかといったようなことが過去において議論されたということは私どもも認識してございます。ただ、3.11を経験して、やはり東京のまちづくり、特に密集地におけるまちづくりというのはすごく大事なことでございますから、これがやはり延焼遮断としての効果があるということであれば、やはりまちづくり、耐震化もそうですし、不燃化についても、いろいろなあらゆる角度から、道路もあわせて、相互補完的な部分としてきちっと進めていくということが、これは区の役割だと考えておりますので、そのような対応をしてまいりたいと考えております。

それと、補償ということでございます。確かに総論はやはりそういうまちづくりは必要だという意見が多くなってきているということを実感してございますけれども、ただ、個別な部分として用地を買収したり道路として整備するためには、やはり必要な公共用地を取得するに当たっての損失補償というのは当然やらなきゃいけない話でございますから、それに対してはきちっと、金銭補償が原則になるはずでございますけれども、東京都のほうも対応していくことになりますし、区としても連携をとって進めていきたいと考えてございます。

鈴木ひろ子区議

都や区が説得しても納得しない人はどうなるのかということについての答弁がありませんでしたので、改めてお願いします。

私はどんなに強いきずながあったとしても、沿道60mから80mも分断されたら、そのきずなというのは切られることになっていくと思います。それを超えてきずなをつないでいくというのは本当に大変なことだと思います。計画そのものも乱暴ですが、私は進め方があまりにも乱暴だと思います。

特に29号線について、続いて質問します。地域から都市計画道路を廃止してほしいという大きな運動が3回にわたり区議会に請願が上がって、3回とも全会派一致で採択がされて、区議会として東京都に対して計画道路の廃止を求める意見書を上げてきました。最後に出したのは平成14年です。わずか10年前のことです。地域ではこういう認識にあると思います。これを進めるというのであれば、私は町会ごとに全住民を対象にした説明会をやって、住民の意見を直接聞くべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

続けてもう一つ、この巨大道路をつくるに当たり、3本の道路づくりでどれだけの税金を投入することになるのか、お答えいただきたいと思います。

都市環境事業部長

確かに地域の方で、納得してもらえないという方も中にはいるのかもしれません。ただ逆に、私どものほうとしては、東京都にきちっと要請をしつつ、区としても連携をとって粘り強く丁寧に説明をしていくということが実際の使命だと思ってございますので、そのような進め方を私どもはしていきたいと考えてございます。

それと、先ほどの29号線でございますけれども、先ほどもご答弁の中でちょっと申し上げましたように、確かに区に対して3回、都に対しても4回の廃止請願が一応出されているということは認識しております。委員おっしゃるように、平成14年にはそのような請願が出されたとあわせて、たしか秋口だと記憶してございますけれども、東京都の調査の5回目の地域危険度調査がこの時期に公表されて、荏原地域を中心とした密集地における火災危険度、倒壊危険度を含めて、かなりきちっとした資料が出されてきた経過もあります。
そんな中で、昨年の東日本大震災といった中で、地域における防災に対する意識も、区民の意識も、私ども本当に高まってきていると思いますので、きちっとそれを受け止めた中で、安全なまちづくりを進めることが区民のためになるということで考えてございますので、ぜひともここについてはご理解いただきたいといったような状況でございます。

それと最後に、予算についてのお話がございました。これまでも区のほうといたしましては、それぞれ計画道路、整備を進めてきたところでございますけれども、特に今回の15mの計画道路等々については、参考としては163号線がことしの4月に道路開放された状況でございますけれども、ここの予算といたしましては、1m当たり1,450万円弱の整備費用がかかってございます。それ以外の東京都ならびに他区における状況もそうでございますけれども、この整備費用については、用地の評価額についても違いますでしょうし、それぞれの認定する時期というところによっても若干変動が出てくるものだと考えておりますので、きちっとそういうところを見据えながら、区のほうとしても必要な対応を考えていきたいと考えております。

鈴木ひろ子区議

私は道路計画上にある、少なくともそこの町会に対しては、町会ごとに説明会を、全住民を対象にした説明会をやって、住民の意見を直接聞くべきだということを強く求めたいと思うんですけれども、そこの答弁をお願いしたいと思います。

都市環境事業部長

特に道路絡みについては、東京都、区も連携しながら、地域に対して説明をしていくというようなスケジュールになるかと思います。ただ、マスタープラン、冒頭の質問でもございましたように、逆にマスタープランは、整備路線だけではなくて、区内全体のまちづくり、その中の地区別な方針等々で、それぞれ区としても考え方を素案としてお示ししてございますので、特にそれぞれの地域センター管内13地区で行う考えはございませんけれども、マスタープランの策定内容、あるいは審議録、あるいは資料については、すべてホームページで掲載させていただいておりますし、区民へのアンケート、あるいは、11月11日からですけれども、パブリックコメントを1カ月間実施するということもございます。それと、その前に、11月の10日でございますけれども、まちづくり講演会ということの中で、策定委員長のほうからの講演を含めて、品川区のまちづくりの取り組みといいましょうか、それについても区民を対象に行うということで、広報も予定してございます。ぜひともそのような中で地域の皆さんにお示ししていきたいと考えております。

鈴木ひろ子区議

そういうことではなくて、私が求めたのは、大きな犠牲を強いるこの都市計画道路の道路上、沿道の方のところに対して直接入って説明会を持ってやるべきだということで求めましたので、強くそれは要望しておきたいと思います。

3本の道路だけで、我が党の試算では、少なくとも1,300億円の税金です。さらに沿道、高層マンションの開発となれば、どれだけの税金をつぎ込むことになるのか、本当に私は税金の使い方でも問われているんだと思います。巨額の税金をつぎ込み、延焼遮断帯と言いながら、車両火災を起こし、延焼を食いとめるどころか、逆に拡大することになりかねない。それにもかかわらず、車両火災の検証はしない。交通量の予測もしない。何十年とその地域に住み続けている住民の意見も聞かない。最後には、そこに住み続けたいという人を土地収用法で強制的に立ち退かせる。28もの町会を削り、分断し、地域コミュニティーを壊す。こんな都市計画道路づくりはやめるべきだと主張して終わります。

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