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いいぬま雅子区議 2012年第1回定例会一般質問「武蔵小山まちづくり」「競争教育の転換」「点字ブロック音響信号設置」「若者就労問題」「子ども・子育てシステム」

2012.02.24 いいぬま 雅子 区議

日本共産党区議団を代表し、南恵子区議が質問をおこないました。質問のみ掲載します、答弁については後日追加更新します。

質問項目

  1. 140m巨大ビル林立の開発に反対 武蔵小山のまちづくりは住民参加で見直しを
  2. 品川の競争教育を改め学びあいの教育に転換を
  3. 視覚障害者の安全を守る点字ブロックや音響信号の設置を
  4. 若者に仕事を人間らしく働ける社会を
  5. 公的保育制度を解体する「子ども・子育て新システム」は反対を 待機児解消は国と自治体の責任で

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140m巨大ビル林立の開発に反対武蔵小山のまちづくりは住民参加で見直しを

大規模開発については、南委員が代表質問しましたので、私は特に武蔵小山の街づくりを取り上げます。

1月23日建設委員会で報告があった「武蔵小山駅周辺地域街並み誘導指針(案)」には、林試の森公園から武蔵小山駅周辺、パルム商店街に沿って中原街道まで約60ヘクタールの開発案が示されています。私はイメージ図を見て驚きました。高さ140mの超高層ビルが3本、さらに60m、45mのビルが林立する図面です。説明によると、この地域に大規模な敷地の共同化と土地の高度利用を推進し、複数の高層ビル群を建設し、大崎、五反田、目黒地域の高層ビル群とバランスをとり品川区の西の玄関・荏原地区の中心核として新たなスカイラインをつくるとあります。

武蔵小山は、26号線沿いにマンションが並んでいますが、一歩中に入ると、商店街、住宅、町工場などが混在する庶民の街。2階建て3階建て、5・6階建てマンションなど立ち並んでいます。中心に位置するパルム商店街では生活必需品からおしゃれ用品までとりそろい、アーケードを横切る各通りには個性的な雑貨店や飲食店など若い経営者の店舗も増え、周辺地域からの買い物客で賑わっています。若者は「むさこ」と呼び、祭りのときには、子どもから高齢者まで盛り上がる人とのつながりを大切にする街です。この街の将来は、この街の人々が決めるのではないでしょうか。

1点目は、区の計画には、なぜ地域住民意向調査の結果が、反映されていないのでしょうか。

区は2007年11月から12月にかけて地域住民意向調査を行いました。調査結果の公表を求めてきましたが、いまだ区民に公表されていません。私が情報公開で入手した調査結果によると、将来希望する街のイメージの第一位は「人々のふれあいを大切にする庶民の街」が44%の方に選ばれ「洗練された都会的街」を選んだ方は5.6%最下位でした。住民は「庶民の街」を求めています。

質問
1)庶民の街武蔵小山に高さ140m、60m、45mの高層ビルは似合いません。地域住民の意見が反映されない案には反対です。誰が誰のために描いた案なのか伺います。

2)品川の西の玄関とはどのような意味を持つのか。航空法145mぎりぎりの140mがなぜ武蔵小山にふさわしいスカイラインなのか。うかがいます。

3)めざすべき将来像を地域住民・権利者・行政等が共有し、次世代につなぐ街づくりの指針を策定した。とありますが、指針策定にかかわった地域住民とはどなたでしょうか。武蔵小山にふさわしいまちのイメージとして出された意見を教えてください。街づくりの主人公は地域住民です。限定された人だけではなく広く住民に説明し、住民参加、住民投票で決めるべきと考えますがいかがでしょうか。

4)市街地再編の気運が高まっている地域はどこか。関わっているデベロッパーと、今後のスケジュールを教えてください。

2点目は、高層化によるビル風被害、日照など環境悪化による被害です。

すでに小山3丁目には、高さ19階建てマンションが建設され、周辺地域にビル風、風害が巻き起こり、地域の安全を悪化させていることは周知の事実です。2008年私が行ったアンケートに寄せていただいた意見をいくつか紹介します。「風が強い日は、さらに強い風が吹き歩くのも困難な時があり、自転車に乗れないときもあります」、また「まちづくりという美しい言葉で、高層ビル建設を可能にするだけの、この言葉に非常に怒りを感じます。武蔵小山は住みやすい庶民の街ではないでしょうか」、また「日照が奪われ地域全体が冷え切ってしまう。自然エネルギー活用が求められているのに、太陽の恵みを奪い当然と考えているのか」。この声に区はどうこたえるのでしょうか。

質問
5)環境悪化は許されません。風害、日照被害、圧迫感など問題ではないでしょうか。

3点目は、開発よりも災害に強い街が地域の願いです。

3・11東日本大震災以来、地震による家屋の倒壊、火災による焼失を防ぐにはどうしたらよいか。住宅耐震化、不燃化の助成強化など、今の街を災害から守る予防策に力を入れてほしいの声が出ています。今行政がやるべきことは駅前開発ではなく、命を守る地域住民の願いを優先する街づくりではないでしょうか。

質問
6)地域からは、公園、防災広場など空地を求める声。建て替えができない方、アパート住まいの方から、区営住宅建設の願いが届いています。防災街づくりの観点から進めていただきたいです。いかがでしょうか。

防災まちづくり事業部長 答弁

・武蔵小山駅周辺地区街並み誘導指針については、東急目黒線の地下化や地下鉄との相互乗り入れ、都市基盤の充実など利便性が向上し、まちのポテンシャルが高まっている。これを最大限引き出し、商店街の活性化や防災性向上など地域の課題解決を促すことは大変有益であり、行政の役割である。区としては、まちづくりビジョンを策定し、街並み誘導指針の策定に着手したもの。 また、武蔵小山駅周辺は、区の西端に位置し、パルム商店街など区内有数の商業集積があり、西の玄関口として条件を備えており、これにふさわしいまちづくりを進める必要があると考えている。

・まちづくりに際しては、スカイラインをバランスよく誘導する必要があると考え、街並み誘導指針では、航空法による上限を踏まえ、区内の他の地域の状況も考慮し、スカイラインのイメージを示したもの。

・まちづくりビジョンは、まちの将来像を地域の住民と共有し、その実現を図ることを目的として、平成19年に実施したアンケートや昨年実施した町会や商店街への説明で寄せられた意見を参考に策定したもの。まちの将来像については、「歩いてふれ合う活力に満ちた街」、「品川区の西の玄関口にふさわしいまちづくり」という将来像に対して、異論はなく、賛同を得ている。まちづくりビジョンについては、広報紙等で広く区民にお知らせし、地域住民との共有を図ることが大切であり、住民投票などで決めるべきことではないと考える。

・まちづくりの機運が高まっている地域は、小山3丁目から荏原3丁目で、5つの協議会と2つの再開発準備組合が熱心に勉強や検討を重ねており、専門家としては三井不動産レジデンシヤルなどがかかわっていると聞いている。スケジュールについては、各地区の熟度によって異なりますが、都市計画決定をめざしている地区もあり、それぞれの検討の中で決まっていくものと考える。

風環境等については、幾つかの地区では建築計画の検討が行われているが、まだ環境影響の検討までには至っていない。

・再開発よりも防災まちづくりを優先すべきとのご意見ですが、再開発事業も防災まちづくりを進める上で有効な手段と考えている。区営住宅建設等のご要望についても、再開発事業と区営住宅建設とはそれぞれ事業目的を異にするため、防災まちづくりの観点から区営住宅を建設するような考えはない。

品川の競争教育を改め学びあいの教育に転換を

1月20日、特別区議員研修会で尾木直樹さんの講演を聞きました。教育がテーマでした。「競争の教育では学力は付かない。世界の教育は、入試をやらず一人一人に学力を保障する教育の流れになっている。しかし日本はテストで落とす教育、授業時間を増やし、詰め込みでは質のアップは図れない」「競争で一部のエリートを作る日本の教育は失敗し、世界から大きく立ち遅れている。今や大企業は日本人ではなく、優秀な留学生を採用している」「教育は未来への投資であり、ライフライン。わかる子もわからない子も一緒に学ぶから互いに育ちあう。能力別に分ける習熟度別学習は、欧米では失敗に終わり過去のものになっている」と日本の教育を痛烈に批判しました。(合わせて、「子どもは人々に迷惑をかけ、叱られ、ケアを受けながら人間の心が育つ。うちの子を大切にする親バカになってほしい」と家庭のあり方も含め、示唆に富んだ講演会でした。)

尾木さんの主張は、この間共産党が求めてきた少人数学級による「学びあいの教育」と響きあうものでした。「学びあいの教育」とは、競争ではなく、小グループの中でわかる子もわからない子も、一緒に教えあいう学びあうことで共に育ちあい、子どもが学ぶ喜び、教師が教える喜びを実感できる教育です。

改めて学びあいの教育とは正反対に位置する品川の教育改革の転換を求め質問します。

2000年に始まった品川の教育改革「プラン21」の基本を、教育長はこう述べています。「好むと好まざるとにかかわらず、結果的に「そうせざるを得ない状況を学校の中に意図的に作り出すこと、そうせざるを得ない状況に学校や教員を追い込んでいくこと」とし、学校に経営論的視点を持ち込み、学校長を中心に、成果基盤型学校経営を推し進めています。問題点を3点指摘します。

1点目は、教育委員会が、「プラン21」を競争教育と認めていない点です。

小学校中学校の学校選択制、品川区独自の学力テスト実施と成績公開、小学5年生からの教科担任制や定期テストの導入、習熟度授業の全校実施、小中一貫教育の全区展開などなど、どれをとっても、競争教育そのものです。選択制導入で校長は経営者になり、学校と学校が児童生徒獲得のために競争を強いられ、子どもはテストの点数を競わされ、良い校風、規律を見せるため道徳的にふるまうことを求められます。子どもからは「勉強がわからなくてつらい」。教員は「納得いかない教育改革についていけない。不登校も、いじめも学級の荒れも改善されていない」と悲鳴があがっています。実態に目を向けていただきたいです。

2点目は、地域の教育力が壊されてしまったことです。

地域からは、「子どもたちがあっちの学校こっちの学校とバラバラになって、子どもも、親もつながりが持てない」と声が出されています。子育てが難しい時代、学校だけではとても解決しない。今こそ学校と家庭と地域がつながり、子どもが安心して育つ地域をつくる時です。地域のつながりを取り戻すためには、学校選択制は止めるしかありません。

3点目は、希望校に入学できない選択制の矛盾が子どもたちを傷つけています。

選択した学校が定員を超えた場合抽選になります。子どもは辞退者が出なければ繰り上がることができず、いまだ学校が決まらない事態が続いています。小学校は、8校が抽選となり、昨年11月21日の抽選で196人が抽選に漏れ待機となり、今年1月30日に確定しましたが、6校62名が希望校に入れませんでした。中学校は、11月17日の抽選で3校160人が待機となっています。子どもは保護者とともにどの学校を選ぶか悩みに悩み出した結論が受け入れられず、辞退者が出るまで待つ。辞退者が出なければ、元の学区を選ぶか、定員に空がある学校を選ぶしかないのです。学校が決まらず不安な毎日を過ごす子どもたちの心情はどんなでしょうか。あまりにもかわいそうです。公教育がやることではありません。

質問

1)国連子どもの権利委員会は日本政府に対し、3度に渡り「極度に競争主義的教育制度を抜本的に改めること」と勧告しています。競争主義が品川の教育改革にも貫かれています。学びあいの教育へと転換を求めますがいかがか。

2)学校選択制が導入され、過少校と過大校の格差が広がり、受験競争が盛んな学校をつくり出す一方、教育底辺校を作り、公教育であるにもかかわらず子どもたちの中に格差を作っています。憲法26条に書かれているように人には等しく教育を受ける権利と義務があります。教育に格差を持ち込まないように、選択制は直ちにやめるべきですいかがか。

3)学校選択制は自由に選べるということで支持を得ているといわれていますが、1月末現在小学校で60名、中学校160名が選択できず不安な日々を送っています。子どもの心を傷つける現状をどのように考えているのでしょうか。

教育次長 答弁

・国連の言う「競争主義的教育制度」は、日本の受験制度のことを指しているもの。本区の教育改革プラン21は、教員の指導力を高め、個に応じた丁寧な指導を行うことにより、子どもの学力向上や学習意欲を伸ばすことを目的としている。これからも教育改革プラン21を着実に推進していく。

・学校選択制で格差が持ち込まれているというご指摘ですが、本区では学校選択制の中で、どの学校もそれぞれの持ち味や個性を生かした教育活動に精力的に取り組み、成果を上げている。多くの保護者が実感していることは、保護者を対象としたアンケートで常に80%以上が通っている学校に満足していると答えていることからも明らか。各学校での学習内容、教育活動に違いはありますが、それは学校の特色というべきものであり、学校選択制が格差をつくっているという事実はない。

・学校選択制といっても自由に選択できていないというご指摘ですが、施設には限りがあり、他学区からの受け入れは制限せざるを得ない。このことを十分考慮した上で希望申請されるよう保護者の皆様には周知をしている。本年度は、私立の小学校に進学する児童が昨年度に比べ半減していることが待機者の増加に影響しているものと思う。また、就学年齢の子どもを持つ世帯の品川区への転入が年々増加していることから、今後もこうした傾向が続くことが考えられるので、事前に情報提供に努めていく。

視覚障害者の安全を守る点字ブロックや音響信号の設置を

視覚障害者の方々から点字ブロックや音響信号の設置、図書館への職員配置など要望が寄せられています。昨年、共産党区議団は視覚障害者の方々と一緒に大井町駅周辺を歩いて調査してきました。すぐに気付いたことは、大井町駅周辺の横断歩道には、どこにもエスコートゾーンがないことです。エスコートゾーンとは横断歩道の中の点字ブロックのことです。視覚障害者の方が点字ブロックを頼りに歩いてきても、横断歩道に来ると、突然点字ブロックが途切れてしまいます。「横断歩道をまっすぐ向こう側に渡るのは難しく、大井町駅周辺は交通量も多く、クラクションを鳴らされるとパニックになり渡れない」と言います。

大井町駅からきゅりあんまでの点字ブロックは、ぺデストリアンデッキを遠回りする案内で大変不便です。入口からエレベーターまでの点字ブロックがなく、小ホール側の点字ブロックは凹凸が小さくて感じることができないといいます。しかもタイルと同じ色のため弱視の方には見分けが困難。トイレまでの点字ブロックもありません。

音響信号設置が遅れています。大井町駅周辺では東口に1か所のみ。しかもスイッチを押さなければ鳴りません。騒音の中音も小さく、周りの人が動きだした気配で渡ると言います。

視覚障害者の方々のたいへんさを、実際に現場で説明を受けはじめてわかりました。

質問
1)区も障害者の方々と一緒に調査して要望を把握、すべての公共施設と周辺道路への点字ブロックなど早急に改善を求めます。

2)ホームドア設置は、既存駅では努力義務にとどまっています。駅ホームは「欄干のない橋」と言われ大変危険です。多発する転落事故に、早急な全駅への設置が求められます。JR大井町駅、東急大井町線旗の台駅への設置は未定です。大井町線は急行乗り入れで通過駅は危険です。下神明駅と戸越公園駅は工事が行われます。せっかく工事をするのであれば、利用者の少ない駅でもホームドアの設置を働きかけてください。合わせて見解をうかがいます。

次に、図書館への視覚障害者の職員配置です。

図書館で働いていた視覚障害者の職員が昨年3月末で定年退職しました。点字本のある区立図書館は、視覚障害者にとって情報や知識、文化に触れる貴重な施設です。同じ障害者が図書館にいると、ほしい書籍、点字本を理解してくれる。相談しやすいと言います。先に決算委員会のわが党委員の質問に区は、「視覚障害者の職員でなくとも、同じ姿勢で図書館を運営していきたい」と採用には消極的でした。

質問
3)利用者のサービスと雇用拡大の視点で改善を求めます。       

4)区役所から郵送する郵便物への点字刻印と、点字を読める区職員の配置はされているのでしょうか。確保など視覚障害者の方々の要望に対するきめ細かな対応を求めます。

防災まちづくり事業部長 答弁

・公共施設のバリアフリー化については、福祉のまちづくり条例による「施設整備マニュアル」に基づき、施設の建設や改修の機会をとらえ、だれでもトイレなどの設置指導を行い、ユニバーサル化を進めてきており、引き続きこのような取り組みを行っていく。また、周辺道路についても、国道や都道.など、それぞれ道路管理者や警察と協議し、調整を行いながら、点字ブロックを設置するなど、すべての人に優しいまちづくりを推進する。

・駅におけるホームドア整備は、安全対策の面から鉄道事業者が行うべきもので、これまで鉄道事業者による主体的な取り組みを働きかけてきた。しかし、整備するには、車両を定位置にとめる装置を各ホームに導入し、既存の車両の改修も必要であることから、コストがかさみ、整備が進んでいないのが実態。昨年8月、国のホームドアの整備促進等に関する検討会の中間の取りまとめが公表され、優先整備駅が示されるなど、検討が進んでいる。区もこのような動向を注視し、円滑な整備ができるよう国や都に必要な支援を求めていく。

・点字・点訳本に関する相談やリクエスト対応などのサービスについては、図書館の職員がボランティアの方々との連携も図りながら円滑に実施しているので、現状では図書館に視覚障害者の方を配置する考えはない。また、窓口では丁寧な説明を行うとともに、必要な書類については、パソコンの音声化ソフトの活用やボランティア団体との連携など、きめ細やかな対応を行っている。
○区より郵送する郵便物の点字の刻印についてですが、対応可能な方法を検討していく。

若者に仕事を、人間らしく働ける社会を

今年春の大学新卒者の就職率は前年同期を下回り、「就職氷河期」と言われた2000年と並び過去最低となっています。「100社に書類を送っても面接にたどりつけず心が折れそう」と若者は自信を失っています。今や、若者の2人に1人が非正規、年収200万〜300万円。「自立ができない、結婚したくても考えられない」と言います。一方正社員になった人は、長時間労働、過密労働で、結婚しても家族と過ごす時間を奪われ疲れ果てています。若者の自己責任にしてはなりません。若者の雇用を国民的課題とし政治が全力で支援することを呼びかけます。

青年の実態を紹介します。

一人は、大学卒業後、就職活動が実らず、やむなくデリバリーピザ屋でバイトを始めたY君。シフトを出しても店の都合のいいように使われています。朝の10時から翌朝の5時まで働き、その日の朝10時にはまた出勤という状況も珍しくない。これでは自分の生活がなくなってしまうと、店側に言うと、「お前たちは働かせてもらっていることを忘れるな。別に辞めてもらってかまわない」と吐き捨てられました。

もう一人は、高校卒業後、派遣労働で働き始めたMさんです。正社員を目指して働きますが何年たっても正社員にはなれず、借金をして専門学校に通い介護士の資格をとりました。しかし過酷な労働、低賃金。元気だった彼女が別人のように疲れ果て変わり果ててしまいました。頑張っても報われない…働く意欲はあるのに誰にも受け止めてもらえない孤独からうつ病を発症してしまいました。

2人のように、頑張っても頑張ってもどうにもならないという状況が身近にあふれています。若者から夢や希望を奪い、人間らしい労働を奪っている大元はなにか。大企業の利益を優先させ、都合のいいように規制緩和を続け、働く者をないがしろにする構造改革にどっぷりつかっている。ここに最大の原因があります。2010年ILO(国際労働機関)99回総会では「経済危機からの回復と持続可能な成長にとって最も必要なのは、経済政策の中心に『雇用』を位置づけ、ディーセントワーク(翻訳すると「働きがいのある人間らしい仕事」)を強調しています。まさにここに逆行しているのが今の日本です。若者を構造改革の犠牲にする社会に未来はありません。

質問
1)国任せにせず自治体あげて労働者派遣法の抜本改正や、働くルールを作るよう求めていただきたいと思いますが、区長の率直な見解をお聞きしたいと思います。

品川区は、新規事業として「品川区就業センター」を開設し、ハローワークと連携して雇用・就労施策に取り組むと発表し、その中に若者の就労支援が位置付けらました。期待をしたいと思います。

この間質問でも取り上げてきた、足立区の「足立若者サポートステーション」の品川版を考えていただきたいです。

内容を紹介します。

個々の若者が置かれている状況や就労のニーズに対応できる多彩なプログラムが用意され、正社員を目指す若者には就職活動セミナーやキャリアカウンセリング。アルバイトから始めたい若者には各種セミナーや清掃ボランティア活動などです。またサポートステーションまで来られない若者には別の支援窓口「引きこもりセーフティネットあだち」を開設し、電話相談や訪問相談などきめ細かな支援をしています。

区とNPO法人とハローワークの連携で、就職に向けた一体的な支援をしています。

利用者からは、「おかげで就職できました」とのお礼の手紙が3年間で180通寄せられ、年々実績を重ねています。

質問
2)区が新たに始める品川区就業センターでの若者への就労支援は「今後の展開で」となっていますが、私はこの品川の将来を担い、日本の未来を担う若者への就労支援や生活支援は待ったなしの状況にあると思います。この事業の充実と共に、一日も早く若者への就労支援をしていただきたいと思います。今後の展開をお聞かせください。また、若者雇用の実態調査を求めますがいかがかでしょうか。

区長 答弁

・品川区は、障害者や高齢者、母子家庭、生活保護受給者などに対する就労支援を行い、各分野で成果を上げている。今回、3月に開設する品川区就業センターでは、これまでの就労支援をより充実させるとともに、就労支援対象を拡大し、ハローワークと連携した総合的な就業支援を行っていく。若者への就労支援につきましても、ハローワークが行っている新卒応援ハローワークとも連携しつつ、きめ細かい職業相談、職業紹介を行っていく。したがって、改めて今若者雇用実態調査を行う予定はございません。

・労働者派遣法改正など、国が行っている労働行政につきましては、国および国会での審議で適切に決めていくことなので、区は区としての役割をしっかりと果していく。

公的保育制度を解体する「子ども・子育て新システム」は反対を

民主党政権は「子ども・子育て新システム」の最終とりまとめを行い、関連法案を今国会に提出する方針を示しました。多くの保護者が求めている待機児解消とは程遠く、国や自治体の責任を後退させ、民間企業に任せるという内容です。財源を「社会保障と税の一体改革」による消費税10%の増税で賄うという、国民を二重に裏切るものです。全国の保育園、幼稚園の団体、保護者の反対運動が広がっていると共に、地方議会からも続々と反対の意見書が提出されているように、現行保育制度の改悪は明らかです。問題を3点に絞り指摘します。

「新システム」の最大の問題点は、児童福祉法を改悪し、保育を国と自治体の責任による保障から、保護者の「自己責任」に変えてしまうことです。

保護者は自分で保育園を探し直接契約を結びます。直接契約制度は認証保育園など認可外保育施設ですでに始まっています。妊娠中、子育て中、穏やかな日々を過ごしてほしいお母さんに保育園探しは大変な負担です。昨年11月、地域で行った保育園入園相談会にいらした方、3ヶ月の男の子を抱え、あちこちの認証保育所を当たったけれども、どこも50人待ち、80人待ちと断られ、途方に暮れ相談にみえました。やっと地域の認可外保育園を探し当て、頼み込んで預かってもらいホッとしましたが、保育園が見つからなければ、仕事を辞めなければならない人が増大します。

第2の問題は、保育の市場化です。

最終の取りまとめは、株式会社の参入を促進し、運営費からの株主配当や利用料の上乗せ徴収を認めるなど財界が求めてきた保育の「市場化」「営利化」に大きく踏み出すものです。保育の市場化が進むアメリカでは、サービスの質は金次第、格差が生まれるとともに、保育料は、所得に応じた「応能負担」から、利用時間の長さに応じた「応益負担」に変わり保護者の負担増になります。介護保険はすでに市場化が進んでいますが、公費支出が大きく削減され、そのしわ寄せが、労働者の処遇低下・深刻な人材不足を招いています。企業の倒産、保育園からの撤退が起これば、親子が路頭に迷う大変な事態になります。

第3の問題は、幼保一体と言いながら、保育と教育がバラバラになってしまいます。

強引な一体化に反発も強く、一体どころか多元化し、多種多様な施設ができ、保護者が選べるのか、保育内容に格差が生じるのではないかなど心配が出されています。

質問
1)日本は先進国の中でも極端に少子化が進んでいます。“子どもは社会の宝”です。子育てを社会全体で支える仕組み作りを急がなければなりません。公的保育制度の解体はとんでもありません。新システムに反対の表明を行い、子どもたちを全力で守ってほしいのですがいかがでしょうか。

2)保護者の願いは、子どもたちをよりよい環境で育てることです。現行でも低い保育教育水準の改善こそ必要です。保育の市場化ではなく、現行保育制度を基本とした認可保育園増設が必要です。パートや休職中の親も預けられるようになり、地域の子育て支援強化にもなります。地域の雇用も増やし、経済効果も上がる。新システムの導入ではなく国と自治体の責任を確保しながら、保育園、幼稚園等子育て支援の拡充を願います。品川区は自ら認可保育所増設を行ってください。

3)保育園、幼稚園の役割は違いがあります。急いで無理な制度を作れば混乱が起こります。十分な検討を求めてください

最後に品川の現状をうかがいます。

認可保育園増設を求める運動の成果が表れ、品川区も私立保育園増設が進んでいます。待機児ゼロを一刻も早く実現していただきたい。今年の状況をお聞かせください。

質問
4)申請者総数と、入園可能数、1次内定者数、不承諾数をお知らせください。

認可保育園不足のため、認可外保育所が次々にできています。さまざまですが、オフィスビルの一部屋にじゅうたんを敷き、家具で仕切り、0、1、2歳児が一緒に保育されています。決し良好な環境ではありません。

質問
5)認証保育所入園児数。認可外保育施設入園児数。保育ママ利用者数をお知らせください。

6)本来ならば、国基準をクリアした施設で等しく保育を受ける子どもたちです。認可保育園、認証保育園、認可外保育園、保育ママの制度どの制度を利用しても、より良い環境で、育ってほしいのは誰もの願いです。格差是正のため調査を行い支援の検討を求めます。

子ども未来事業部長 答弁

・新システムは、すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子ども・子育て家庭を社会全体で支援するための制度とされ、平成22年6月に国で決定された「基本制度案要綱」の方向性を踏まえて議論がこの間重ねられてきたもので、去る2月13日に「基本制度とりまとめ」が公表された。それによりと、新システムの実施主体は市区町村であり、その権限と責務は法律で規定され、国や都道府県がこれを支える仕組みとされている。保育の実施に関しましては、区市町村の権限と責務が児童福祉法と(仮称)子ども・子育て支援法の2法に定められ、保育の利用契約については公的契約と位置づけられているので、ご指摘には同意できない。

・新システムは、円滑な実施に向けた準備に一定の時間を要することが考慮されており、その間に地方公共団体をはじめとした関係者とも丁寧な意見交換を行うことが明示されているので、区としましては、今後の推移を注視し、遺漏なく対応できるよう努めていく。なお、待機児童対策につきましては、今後も幼保一体施設の整備等、多様な施策を講じていく。

・4月の認可保育園の申し込み状況は、一次審査を終了した時点では申込者が1,918人、内定者が1,418人、不承諾者が500人。学区外在住者、転園希望者、認証保育所等の在園者も含んでいる数字。入園可能数は昨年12月の時点で1,347人としていたが、弾力化枠の調整や退園予定者の増等で実際の受け入れはこれより増えている。

・2月に認証保育所に在園している児童は690人、家庭的保育事業の利用者は55人、認可外保育施設の利用児童数は、昨年10月の時点ですが、区民外を含めまして134人。

・認証保育所、家庭的保育事業については、基準を満たした保育施設ですので、保育環境としての一定の質は確保されていると考えている。また、認証保育所、認可外保育施設については、東京都とともに定期的に指導検査を実施しており、家庭的保育事業も定期的な巡回指導を行っているので、ご提案の調査を行う考えはない。

再質問

飯沼雅子区議

1、武蔵小山のまちづくりについて
(1)なぜ高さ140mなのか、この案が本当に地域の願いなのか、そこを伺いました。140mが出てきた根拠を示していただきたい。
(2)地域住民意向調査、この結果を示しましたが、この意向調査がどこかに行ってしまっている。この中身がどうして反映されないのか。調査結果を生かしてこそ地域住民参加のまちづくりであると思います。結果がどうなったのかをお知らせください。

2、学校の競争教育について
学校選択制によって学校を一生懸命選んだ子どもが選んだ学校に行けなかった、この点を取り上げました。子どもの心を傷つける現状をどのように考えているのでしょうか。ここの答弁がなかった。子どもの心を傷つけている点を答えてください。

3、視覚障害者について
(1)障害者の施策は当事者参加が大原則となっているので、ぜひ改善を一緒にやっていただきたい。
(2)視覚障害者の雇用ですが、現在、視覚障害者の方の雇用、多分品川区はゼロであると思っています。すべての障害者を雇用する姿勢が大事であると思っています。率先して拡大すべきと考えますが、この点を答えてください。

4、若者の仕事、就労支援について
(1)若者はディーセントワーク、働きがいのある人間らしい仕事を求めています。ぜひ支援の拡充をよろしくお願いします。
(2)構造改革で社会も人間も壊されているわけです。若者の現実、一人ひとりさまざまな困難を抱えているので、複雑な就労状況の実態調査は重要です。必要ないといった答弁でしたが、ぜひ再考をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

5.保育園について
(1)共産党は、この新システムは、子どもにとっても保護者にとっても、そこに働く人々にとっても改悪と捉えています。区は改悪の認識があるのかどうか。
(2)新システム導入が行われた場合、現在ある保育園、幼稚園、幼保一体施設などの質が保たれるのかどうか。
(3)品川区内にさまざまな施設、認証保育園も認可外の保育施設、ベビーホテルなど増えていると思います。私も幾つか伺いましたが、都の監査が来て意見は言われるが、お金を出してくれない、こういった声も出ています。また、監査、立ち入りが入っていない所もかなりありました。よい環境に変えていただきたいと思います。ぜひ支援をお願いしたい。そのための調査をし、支援の検討をお願いしたい。


再答弁

区長

4.若者の就労支援について
(2)実態調査について…若者の雇用、あるいは就労の活動というのは、比較的広範囲にわたるもので、各区の範囲を超える行動をしているというふうに思っている。実態調査は、もしやるのであれば、東京都、あるいは国での調査というのが効果的ではないかと考えている。

防災まちづくり事業部長

1.再開発について
(1)なぜ武蔵小山の地に140メートルかというご質問ですが、基本的には誘導指針の中で高さの指導をしていくという観点でつった。そういう意味では、先ほど航空法に基づく145メートルといったような考え方を示している。大井町の周辺等では大体100メーターぐらいが航空法の制限ですので、そういう地域とのバランスを図りながら誘導の考え方として示した。
(2)地域の意向調査の件ですが、2007年の意向調査からそれなりの時間が経過している。そういう中で、区として地域の要望、その意見を踏まえてビジョンを策定し、ビジョンを実現していくためにも区民の皆様と共有していきたいと考えている。意向調査を反映していないという質問には当たらない。

3.視覚障害者について
基本的には現時点では採用されているという状況は聞いていません。しかし、少なくとも視覚障害者の方にきちっと点字等についても区としても対応できるように、ボランティア団体等の協力を得て対応していく。

教育次長

2.学校選択制について
先ほどもご答弁したように、学校選択制をとっているとはいえ、施設には限りがある。その意味からすると、事前に早目に情報提供して、お子さんと保護者で十分検討した上で学校を選択するのがよいと思う。

総務部長

3.視覚障害者について
(2)区では3人の視覚障害者を雇用している。 また、障害者の採用につきましては、これまでも行ってまいりましたけれども、今後、視覚障害者だけに限っての採用は、現在のところは考えていません。

子ども未来事業部長

5.保育園について
(1)新システムは、就学前教育の保育環境の現状の課題について解決をめざすものであるというふうに認識している。これらについては引き続き行政の責務であるというふうに位置づけられているものと考えている。
(2)幼稚園、保育園、幼保一体施設について、区としては、引き続きこれらの施設の良質な保育教育の環境の維持向上に努めていくという考えです。

再々質問

飯沼雅子区議

1.武蔵小山のまちづくりについて
(1)他の地域と合わせて航空法ぎりぎりということですが、これは地域の皆さんの意向とは全く関係なく、区が勝手にラインを引いたという受けとめでよいのか。私はとても無責任であると思います。

(2)地域住民意向調査は税金を使って調査したものです。私はこの間、説明会をしなさい、結果の公表をしなさいと言ってきたが、一度も結果を公表しないまま時間がたってしまったからとは何という答弁なのか。何のためにした調査なのか。その後、町会長さんや商店街から聞いて異論がなかったとの答弁は、町会長さんたちに失礼です。責任を転嫁するものです。

区は本来だったらば建てる側と地域にいる人の間の調整に立つのが区の役割です。私は、率先して建てる側の推進を手伝うというのは、間違っていると思います。区としての役割、これでいいのか再度伺います。

2.教育について
次長、答弁になっていません。私は、子どもの心を傷っける現状をどのように考えているのですかと伺いました。このことに全く答弁がありません。私は、公教育とは、どこの学校に行っても子どもたちが自分を発揮し、友達と学び合える、そういった環境をつくらなければいけないと思っている。ところが、この学校選択制という仕組みを品川区教育委員会がつくったことで子どもたちをこんな厳しい状況に追い込んでいる。ぜひこの点を答弁ください。

3.視覚障害者について
視覚障害者にかかわらず雇用を増やしていただきたい、拡大をしていただきたいという思いの質問です。ぜひこの点は受けとめてください。

4.若者の就労支援について
国や都とともに広く調査ができますようにお願いしたい。そして若者が働きがいのある社会に一刻も早く変わっていくことを区として後押しをしていただきたい。

5.保育園について
部長、答弁になっていません。新システムで質が保たれるのか、仕組みの問題において、自治体として今後、保育が保てない状況があるんだったら、率先して意見も言っていただきたい。 私は、今回も認可保育園増設を、区でぜひ努力をしてほしいという質問をしました。

長い目で保育を見た場合、保育園は本当にお金がかかってしまうという視点ではなくて、将来子どもが立派に元気に育つ、大人になる、そして社会的な経済効果も生んでいくという大きな視点に立ち保育の施策に力を入れていただきたい。品川区で区立認可保育園をつくってほしいという願いがあります。この点をもう一度受けとめていただきたい。

再々答弁

防災まちづくり事業部長

過去にマスタープランといいましょうか、市街地基本整備をつくったときから10年が経過してきている。意向調査を踏まえてからもそれなりの時間がたってきている。その中で、地域の声を聞いて、区としての考え方をきちっと出すという部分で、一応私どもはその地域のご意見を聞くためにビジョンを策定し、誘導指針を考えて示ししてきたところです。これまでも説明会の中では、再開発の早期実現に期待するというような話とか、あるいは、アーケードを未来まで存続するということについては、地元にとってもとてもよいことだといったようなご意見もいただいている。そういう意見では、地域の皆さんのご理解をいただきながら、区としての考え方を地域住民の方と共有してまちづくりを進めていきたいと考えている。

教育次長

先ほども学校選択制についてお答えしたように、学区域があって、学校選択してもハード的な制限があるとどうしても入れない方が出てくるというのは、施設の制約上やむを得ない状況です。待機することでお子さんの気持ちがどうかという話は、学校選択に当たっては情報提供をしますので、ぜひ待機をするのがいいのか、学区域に入るのがいいのか、親御さんとお子さんで十分相談してくださいということです。したがいまして、学校選択制が子どもの心を傷つけるという事実は一切ありません。

以上

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