「くらし・福祉優先『区民こそ主人公』の区政に」は1999年4月の区長・区議選に際し、日本共産党品川地区委員会、同区議団が区政政策(重点政策)として発表したものです。発行は1998年12月です。
●区民との共同で貴重な成果
●条例提案、予算修正提案で区政を動かす
●悪しき慣習を是正し新財源も
日本共産党の躍進を心から訴えます。
来年3月から4月にかけて全国いっせい地方選挙がおこなわれます。品川区では4月18日告示、25五日投票の日程で区長、区議会議員選挙が実施されます。
今回の区長・区議選は、深刻化する不況のもとで区民の福祉、くらし、営業を守る自治体本来の役割をとりもどすのか、それともゼネコン型の大規模開発優先、住民犠牲の逆立ちした政治をこのままつづけるのかをめぐって争われる大事な選挙です。
7月の参議院選挙では、ゆきづまった自民党政治に対し国民は厳しい審判をくだしました。一方、自民党政治の大もとからの転換を訴えた日本共産党は、23議席に議席を倍増、品川でも得票数ではじめて自民党を上回ることができました。
来年のいっせい地方選挙で、日本共産党と革新・民主の潮流が勝利と躍進をかちとるならば、21世紀にむけて国政でも地方政治でも自民党の悪政をうちやぶり、「国民が主人公」「住民が主人公」の新しい政治の展望をきりひらくことになるでしょう。
高橋区政は、自民党政治をもっとも忠実に品川区政にとりいれてきました。
福祉や教育などを切り捨てる住民犠牲の「地方行革」も、高橋区政は他区に先駆けて実施してきました。また、80年代のはじめ中曽根内閣が「民間活力」方針をうちだした際、品川区は市街地整備基本構想を制定、区内に二十五もの大規模開発計画を策定し、他区に例を見ない大規模な開発を次々とすすめました。
高橋区政十二年、自民党政府のいいなりになり、区民の願いに背を向けた逆立ちした政治がすすめられた結果、品川の街と区民生活はいまどのようになっているのでしょうか。
「あと五年もたてば、この商店街はなくなる」…。こんな声が出されるほど、区内の商店街はきびしい状況に直面しています。品川の商店は、高橋区政の12年間で4909店から1059店も減少し、97年には3850店と78.4%までになりました。商店街は区内各所で「シャッター通り」と呼ばれるほどのひどい状況に直面しています。
一方、大型店の売場面積は、82年の25.6%から、15年後の97年には62%にも達しています。これは、高橋区政が大規模開発を積極的にすすめ、そこにダイエー、丸井、イトーヨーカドーなど大型店を次々と誘致してきたことによるものです。区内商店街の危機的状況の大もとには、消費税の増税や社会保障の改悪で不況を深刻化させた自民党政府の失政にありますが、高橋区政の責任も重大です。これにたいし高橋区長は、「大型店が夜9時まで営業するなら、個店(商店)は十時まで店を開ければよい。個店の努力が足りない」との答弁を繰り返し、自らの責任は棚に上げ、商店街の窮状には耳を傾けようともしません。
9月議会では、高橋区長は中小企業の切実な願いである「直貸し融資を」の要求に「こげつきが出るから」とかたくなに拒否しました。これまでも、零細業者向け直貸し資金である生業資金を12年前に23区でトップを切って廃止し、また革新区政のもとで創設した区独自の信用保証つき小規模企業特別融資も、同じ理由で95年に廃止してしまいました。
品川は99.7%が中小企業であり、中小企業はまさに「品川経済の主役」です。ところが、品川区の中小企業のための施策は、その果たしている役割にふさわしいものではありません。大企業が中心のゼネコン型開発には、毎年数十億円の税金(今年は43億円)を補助金として投入していますが、中小企業対策費は、大規模開発補助金のわずか8分の1、5億3千万円で、23区で最低となっています。
かつて「子育てするなら品川」といわれたほど、品川区は産休明け保育、長時間保育、手作り給食など全国に誇る保育をすすめてきました。ところが高橋区長は「保育に金をかけすぎる」と主張し、この4年間だけでも保母、用務員、調理士、栄養士など140名も削減。住民運動と革新区政のもとで前進させた品川の保育は、いっきに30年前に戻ってしまいました。
職員が大幅に減らされた保育園では、保母が乳児に手をとられ、幼児への関わりが薄くなることもたびたびです。散歩では年上の幼児が年下の乳児の世話をすることが多くなり、年上の幼児からは「たまにはぼくたちだけで遊びたい」との声さえも出ています。
3年前には、保育園児が一番楽しみにしていた年長クラスの「おとまり保育」(園での合宿)を全廃。わずか700万円余の予算を削ってしまいました。
さらに高橋区長は「工夫と努力でできる」といって職員配置もしないまま、夜間保育、一時保育、年末保育など新たな計画を発表しました。これは区民の願いにこたえるかのようですが、子どもの安全や保育の質の低下が心配されます。
品川区は昨年、区立第二延山幼稚園を「利用者が少ない」ことを理由に、一方的に園児募集を停止しました。父母が中心になって、第二延山幼稚園の存続を求める一万名を超える署名を提出しましたが、品川区は耳を貸しませんでした。募集停止後、隣接する平塚保育園には定員の倍、48名の入園申し込みがあり、すぐに第二延山幼稚園廃園の根拠が崩れてしまいました。区は廃止決定の見直しをしようとはせずその上、今後定員の半数を割った幼稚園を廃園する方針でいます。
今日「少子化」が深刻になっているもとで、「子育て支援」が緊急課題となっていますが、高橋区政は「行革」の矛先を乳幼児や子どものための施策切り捨て、職員の削減など区民の願いにも時代の要請にも逆らう政治をすすめています。
高橋区政は、介護保険導入を契機にサービスの低下や住民負担増をはかり、事業の「民間委託」を積極的にすすめています。
品川区は現在、ホームヘルパーの派遣を週3回から2回に、1回3時間を2時間へと短縮をすすめています。また昨年、寝たきり高齢者を対象とした高齢福祉手当支給の見直しをおこない、150名を打ち切ってしまいました。
在宅介護の「要」といわれる公務員のヘルパーも「退職で欠員がでても、補充しない」方針をつづけ、5年前の39名から現在では19名に縮小され、民間のシルバー産業に肩代わりさせてきました。他の22区はいずれも公務員ヘルパーを増員しているのに、減らしているのは品川区だけです。特異な存在といわなければなりません。
昨年10月、テレビ、サンデープロジェクトが、民間委託化が最もすすんでいる行政として品川区の高齢者福祉をとりあげました。このなかで司会者が、「なぜ赤字覚悟で福祉分野に進出するのか」との問いに、シルバー産業の経営者は「高齢者の家庭の中に入れば介護を通じて信頼を得る。福祉機器など将来の需要が見込める」と、高齢者のフトコロをねらった企業利益優先の立場をあからさまに語っていました。小山地域では、在宅介護支援センターの運営を営利企業のダスキンに委託しました。在宅介護支援センターは、お年寄りの介護計画を立て推進する仕事をするところあり、その民間委託化は介護サービス水準の確保やプライバシーの保護などの点で大きな問題といわなければなりません。
障害者世帯を対象にした巡回入浴サービスも、安く落札した業者が、1日に入浴させる人数を7人から10人増やした結果、「ゆっくりと入浴できない」とか、「シャンプーや石鹸は用意してくれなくなった」「ベッドメーキングは家族がやらされる」などたくさんの苦情が寄せられています。
高齢者福祉の推進にあたって行政の力だけでなく、民間の力も利用する必要がありますが、品川区のように「民間委託は安上がり」の考え方で、なんでも営利会社に任せることに問題はないのでしょうか。
高橋区長は、口をひらけば「品川区の高齢者福祉はトップレベルにある」といいますが、「民間委託化」万能論は、区民の願いとは一致しません。
品川区の不登校の子どもは10月現在、94人もいます。「ゆきとどいた教育実現のために30人学級にして欲しい」との請願や陳情がたびたびだされていますが、教育長は「一律、機械的な(学級)編成は問題」と子どもや親の願いに背を向けています。
高橋区政は、教育予算を徹底して削減し、区民一人あたりの教育予算は23区中22位、最低の水準となっています。校舎の維持、修繕費などを盛り込んだ学校環境整備費は、5年前と比べても七割にまで減らされました。このため区立小中学校で校舎の老朽化、劣悪な施設が問題となっています。
「昨年の台風のとき、約半数の学校で雨漏りが発生」、「小学校の男女共同トイレは15校、17ヶ所。簡易間仕切りは56ヶ所」などが放置されています。
また「行革」により学童擁護員(みどりのおばさん)、警備員、用務員、調理員など216名削減し、学校行事などに影響が出ています。
高橋区政は、品川区を革新区政時代の「住民本位の区政」から、ゼネコンや一部大企業の利益に奉仕させる「開発会社」に変質させました。
品川区の大規模開発計画は25におよび、その面積は160haにおよび全国でもトップクラスの開発となっています。これらの開発は、区と大企業が一体となって住民の反対運動を押しのけて推進してきました。
これまで完成した開発をみても、御殿山では森ビル、大崎駅東口では三井不動産や東京電力、大井町では丸井やイトーヨーカドー、天王洲では三菱商事、大森駅東口ではいすゞなど、大企業がズラリと並んでいます。品川区はこれらの開発には、15年間に375億円もの税金を投入、さらに都市整備部には部長1人、課長2人に加え、係長が6人配置され、人件費だけでも毎年1億円を超えています。
品川区は、大井町駅に隣接する旧イトーヨーカドー周辺に大井町C地区開発を計画しましたが、住民の反対により計画は撤回となりました。区は83年に開発用地として7億円で購入した1100uの土地を月額約60万円で旧イトーヨーカドーと現在の富士ガーデンショッピングセンターの駐輪場として貸しています。天王洲開発にも品川区が都から七億円で再開発用地として購入しながら、倉庫として特定の企業に貸しています。
十四億円もの土地を買いながら使用目的が決まらないまま、特定企業に貸しているなど、まさに開発優先の政治が生んだ税金のムダづかいではないでしょうか。
品川区は7年前、区役所前の三菱マテリアル跡地(2.13ha)に三菱地所、三菱マテリアル、明治生命などと共同開発を計画、区は区民住宅の用地として89億円を投じました。ところが4社が一致しなければ計画を着手できないとの契約のため、7年たった今も更地のままとなっています。最近になって三菱地所ら3社は「開発計画を断念したので用地を買い取って欲しい」と区に申し入れがありましたが、これはこの計画が失敗したことを示すものです。投入した89億円の税金の多くが無駄遣いとなりましたが、高橋区政のその責任は免れることはできません。
今年12月に完成する大崎駅東口第二地区開発は開発面積約14000u、三井不動産、東京電力、森ビルなど大企業17社が中心になり総事業費1666億円、日本で最大の開発事業ですが、当初、品川区は補助総額は110億9千万円にも膨らんでいます。
補助金は融資と違って返済不要のお金です。110億円を中小企業の直貸し融資に向ければ500万円を2200の事業所への貸し付けが可能になります。高橋区長は「開発の補助金は国と東京都からとってきたもの」と自分の手柄のようにいいますが、それは国民と区民の納めた税金をゼネコン、大企業にまわすものであり大企業奉仕の無駄遣いであることにはかわりありません。
この品川では1979年に、革新区政が自民党に取り込まれ保守区政に変質していらい、日本共産党を除く自社公民のオール与党体制が敷かれてきました。また近年、国政と同じように品川区政でも政党の離合・集散が繰り返され現在では自民、公明、民主、自由、社民、生活者ネットの諸党が区議会に議席を持っていますがオール与党体制は今でも変わりません。
オール与党勢力は、高橋区政のゼネコン型の大規模開発優先、福祉、教育、中小企業切り捨てなど住民犠牲の政治のすべてに賛成、悪政推進の応援団となってきました。
さらに、健康増進センターにプール設置を求める請願(署名数7000名)、台場小学校に仮設の品川第一出張所の設置に反対する請願(同7000名)、保育問題協議会が取り組んだ保育の充実を求める請願(同83000名)など区民の願いがまともな審議もなくオール与党勢力につぶされてきたことを忘れてはなりません。
自民党は17名の議員を持つ区議会最大与党として福祉切捨ての「地方行革」、「大規模開発」など悪政推進の中心的役割を果たしてきました。
I議員およびM議員は「保育園の栄養士は要らない。コンピューターに任せればよい」と栄養士の削減を繰り返し迫ってきました。T議員は代表質問で「栄養士、調理員、用務員の配置基準について非常勤すべきだ」と主張。自民党はこのほかにも「学童保育クラブ指導員の非常勤化」と「民間委託化」も執拗に取り上げてきました。
T議員は学校の統廃合問題を取り上げ「まず、学校通学区域の変更をふくめて小学校の統廃合検討委員会をつくり促進すべきだ」と質問、教育委員会は「八潮地域の(教育人口)動向は厳しいものがあり、一歩進めて検討したい」との答弁をしています。
予算・決算委員会の持ち時間制を提案、一議員20分、1会派の質問者数も会派議員数の3分2と制限を加えるなど発言制限。また区民の提出した陳情の取り扱いも「国に意見書の提出を求める陳情は参考送付とする」と審議しないことにしたのも自民党です。
公明は「保育園父母の会の署名活動は政治活動。父母の会の園舎使用を禁止せよ」を繰り返し要求。これを受け高橋区長は、他の22区ではどこでも実施している父母の会の会合、バザー懇談会、餅つきなどの園舎の使用を全面的に禁止しました。
議会では異常なまでに保育攻撃をおこない全国に誇る品川の保育つぶしの急先鋒となってきました。また「区当局と労働組合の労使協定(確認書)を破棄せよ」と要求。憲法で保障された労働組合の存在すら認めない前近代的な体質をさらけ出してきました。
公明のT議員は「区民は不況で大変だ。議員も血を流すべきだ」といいながら品川区民オンブズマンの海外視察の旅費返還訴訟では、参加した議員を代表し海外視察の正当性を主張しました。スイスの名峰ユングフラウヨッホの登頂で「品川ではどういうところをイメージしたか」との問いにT議員は「池田山公園」の名をあげています。区民が求める海外視察の中止にはへ理屈をつけて正当化。「行革」を語る資格があるのでしょうか。
区政民主連合は品川区議会の中で激しい離合集散を繰り返してきました。その中身は旧社会出身2名、旧民社出身3名、自由党からくら替え1名計6名の集合体となっています。開発優先、住民犠牲の「行革」にオール賛成、政治姿勢では自民党とまったく変わりありません。
元社会党のT議員は「官官接待、議員の酒付き接待の中止を求める請願」が提出された際、「僕はやっぱり生きた金だと思うんですね。五反田の住民は(官官接待で水害対策が進んだことを)涙を流して喜ぶ」と官官接待の正当性と存続を主張、自民、公明とともに請願を不採択にしました。
元社会党のD議員は明電舎出身ですが、「学校の給食を民間委託にすべきだ」と本会議で要求したり、社会党に所属していた時は明電舎、ソニーが中心となった大崎駅西口開発に対し「区の検討が遅れることは民間の開発に水をさす」などと開発推進を区側に督促してきました。地域住民の代表というよりは大企業の利益代表となってきました。
9月に自由党から民主党にくら替えしたW議員は、繰り返し自衛隊の募集問題などを取り上げた唯一の議員です。
合同クラブは社民党、自由党、さらに反共の先兵となっているH議員など理念なき野合会派となっています。
K議員は「30人学級に賛成だ」といいながら今年の9月に提出された「30人学級実現の意見書の提出を求める請願」に他の与党議員とともに不採択にしました。
反党分子のH議員は大規模開発、高橋区政の福祉切捨て予算、決算にすべて賛成。
H議員は海外視察見直しを主張してきました。ところが今年の議会運営委員会で川西幹事長は海外視察の枠1名を要求。共産党の「H議員も了承したのか」との問いに「H議員も含めて決めた」と述べました。議会の内と外を使い分ける同氏の政治的体質が浮き彫りとなりました。
日本共産党は42名の議員の中で6名の議員団ですがオール与党と対決し革新のスジを貫いてきました。区民要求実現のため積極的に建設的提案を示してがんばってきました。
東京都と品川区が共同して進める工業集積地域活性化支援事業は「工業の振興をめざし新技術や新製品開発、人材育成などを支援する制度」で共産党都議団の努力で創設されました。品川区では86年から事業がスタートしましたが、当初、予算2900万円を組みながら事業の実施がされず都に大半を返していました。党議員団は同支援事業を区内工業の活性化の柱と位置づけ、異業種交流3団体などと懇談をしました。その結果、制度そのものが知らされていないことが明らかとなりました。
共産党の提案で「区内3200事業所にダイレクトメール」を発送、申込方法の簡略化などがおこなわれ本格実施の道を開いたものです。
「商店街装飾灯電気代の補助の引き上げを来年度から実施したい」…高橋区長は共産党の質問に今年第一回定例会で約束しました。品川区の商店街の装飾灯電気代補助は一本あたり2100円で23区最低となってきました。共産党は今年1月から商店街アンケートを実施しましたが、その中で「商店街の会費の半分は電気代になっている。装飾灯の補助を上げて欲しい」「宅配制度の支援して欲しい」などの声が出され本会議や予算委員会で取り上げ、「装飾灯電気代補助の増額」「宅配制度の支援」などの約束をさせました。
品川、大田、目黒、世田谷、港の城南五区は大井埠頭のコンテナ用地(大田区)に五区共同の葬祭場つき火葬場を建設することで合意、現在、5区は東京都に用地の無償払い下げで交渉しています。
これは日本共産党が地域住民とともに桐ケ谷地域に葬祭施設の集中に反対するとともに、公営火葬場設置の運動をすすめてきました。その結果、公営火葬場建設を求める請願の採択や区長に区長会に働きかけることを約束させ、また23区区民委員長会として統一して都知事に要求させるなどの取り組みが実を結んだものです。
共産党はこの4年間に計11回の条例提案と予算修正1回をおこない積極的に区民の要求を実現するように努力を重ねてきました。議案提案は条例の改正など政党が直接議会に提出するものですが少しの間違でもそれを理由に否決する口実を与えるため十分な研究と慎重さが求められる大変骨の折れる仕事です。オール与党がほとんど議案提案をおこなわないもとで共産党の議案提案権の行使は際立っています。
その内容はいずれも切実な要求を提案したものです。共産党の提案は一部をのぞいて否決されましたが乳幼児医療助成制度の対象の拡大や緊急融資制度の改善、きゅりあんの利用料引き下げ、小学校卒業アルバム補助の増額などその後の区長提案として実現しています。
乳幼児医療助成制度は当初二歳未満が対象でした。共産党議員団は同制度の対象拡大や所得制限の撤廃のために保育問題協議会、新婦人品川支部、医療関係団体などと懇談や共同を広げました。同時に区民の願いを「条例改正案」にまとめ議会に4回にわたって提案、実現のために努力を重ねました。
しかし、オール与党勢力は乳幼児医療の対象拡大や所得制限の撤廃を求める請願や陳情はことごとく不採択、共産党が提出した「条例改正案」もオール与党勢力は「財源がない」「区長がやらないといっているから反対」などの理由ですべて否決しました。しかし請願や条例改正案は否決されてもその後に区長提案として次々と改善され98年1月には対象を6才未満までに拡大されることとなりました。高橋区長はそれまでなかった所得制限を全年齢に導入、35%を対象からはずす新たな問題も生じていますが、対象拡大実現した背景には広範な区民の運動と日本共産党区議団の議案提案権の行使が大きな力となったことは明らかです。
党議員団は議会での論戦で「乳幼児医療助成制度が区民の切実な願いであること」「社会問題となっている少子化対策としても大事な施策の一つであること」をねばり強く主張、その結果、与党の一部からも乳幼児医療の所得制限撤廃を求める声が出されるようになっています。
4年前、不況緊急融資の返済据え置き期間が6カ月から12カ月に延期されましたが、これも党議員団の条例改正提案が契機となって実現したものです。党議員団は議会運営委員会に「長引く不況のもとで融資の返済期間が6ヶ月では厳しい状況であり改善が必要」と条例改正案を提出しました。論議の結果、「据置の期間延長を各党幹事長で区長に申し入れる」ことを決め実施しました。日本共産党は条例案を取り下げましたがその後、区長提案として据置期間の延長は実現しました。
品川区が都の幹部を高級料亭で接待する「官官接待」が全面中止となりました。これは共産党が情報公開条例を使って94年度の食料費を公開請求、年間84回、1300万円も「官官接待」をおこなっていることをつきとめ議会で取り上げたことが実を結んだものです。
高橋区長は「酒を飲んでこそ腹を割って話せる」「常識の範囲で問題ない」と居直りました。また「情報交換会(官官接待)は年数回程度」とウソの答弁を繰り返し、資料提出も拒みつづけました。共産党は「官官接待こそ浪費の典型であり、政治をゆがめる。悪しき慣習を全廃すべきだ」と議会で徹底的に追求しました。さらに事実を区議会報告にまとめ新聞折込など訴えました。マスコミなどもとりあげ、ついに翌年全廃となったものです。
オール与党は「官官接待などそもそもない」「情報交換は意義がある」とし区長を援護。共産党の行財政改革特別委員会で「宴会接待の廃止」を検討項目に入れるよう提案しましたが、当時の自民、公明、社会、生活者ネット(K議員)、無所属(H議員)は反対して否決にしました。
なお、監査委員会の酒つき懇談会、議会での決算委員会理事懇談会、決算意見交換会などの酒つき懇談会も中止になりました。
今年、議会の海外視察は開始以来12回目にしてはじめて中止となりました。区議会の海外視察は「一年生議員を除いた全議員が4年の任期中に1回参加する」というもの。共産党は「1議員100万円の予算で実施する海外視察は目的が不明確ではじめに視察ありきとなっている。中止すべきだ」と再三にわたって提案してきました。
今回の中止は「今年限り」としていますが、党議員団の道理ある主張と品川区民オンブズマンの「海外視察は視察に名を借りた観光だ」として旅費の返還を提訴したことなどが、大きな力となりました。
区議会委員会の公開、情報公開制度の制定も共産党の提案が実ったものです。
今年の予算で東京電力やNTTの電線など道路占用料を平均34%値上げし1億3千万円余の新たな財源となりました。これは共産党が「道路占用料は国の制令で定めた単価より安すぎる。国の基準に是正すれば約50億円の増収になる」と本会議で見直しを要求し実現を見たものです。その際、「中小企業の袖看板の利用料は値上げとならないよう」区長に申し入れをおこない実現しました。
日本共産党は、区民の声が生かされる政治、「区民が主人公」の政治を実現するために2つの転換をすすめます。
第一は、ゼネコン型の大規模開発を優先する一方、「行革」の名で福祉、教育、中小企業を削る住民犠牲の品川区政をあらため、自治体本来の立場、区民のくらし、福祉優先の政治に転換します。
品川区は25の大規模開発を計画、推進していますがこれまで完成したものは大崎駅東口第一地区、大井町東口第一地区、天王洲地区など7地区、完成は計画面積費で38.5%であり、今後開発の推進には数100億円の税金投入が必要となります。
品川区は今年の予算で北品川4丁目の森ビルやミャンマー大使館周辺2.3haに高層の住宅開発計画を立案、600万円の調査費を計上しました。この地域は第一種低層住居専用地域で10m以上の建物は建てられないもっとも規制の厳しい地域。品川区は「森ビルの要請があった」ことを理由に調査費をつけましたが、計画地内に居住する九世帯には何も知らせず推進しています。調査報告書では地域内に高層住宅を林立、住民を共同住宅に入れる案をまとめました。この地域では5年前、2回にわたり「高度利用に反対する請願」が出され、いずれも全会一致で採択されています。
森ビルは御殿山開発の際、現職の建築課長を引き抜き、区との折衝に当たらせました。その結果、10mしかたたない場所に100mビルの建築を可能としました。北品川4丁目の開発計画は品川区が進める大規模開の主体が住民でなくゼネコン大企業であることを象徴的に示しています。
大規模開発の推進は区民の期待に添った区政の実現を妨げる元凶となってきました。
第1は大規模開発の推進は開発に補助金など毎年数10億円の税金を投入する一方、福祉や教育、中小企業は削減、切り捨てをはかるなど財政の流れを変えたことです。第2は大規模開発は大型店の進出、工場移転の促進などで区内産業の衰退をもたらしたことです。第3は地上げを促進し、住民追い出しをすすめたこと、また緑を奪い交通渋滞など環境悪化をもたらしたことです。第4にゼネコンなど開発企業に区の都市整備や建築部の部課長などが天下るなど企業との癒着をすすめたことです。
地方自治体は「住民の安全、健康及び福祉の保持」(地方自治法第2条)が第一の任務であり、ゼネコンや大企業の出先機関ではありません。日本共産党は大規模開発優先の区政から区民の願うくらしや福祉、教育、中小企業をなによりも大事にする区政に切り替えます。
第2は、地方自治の本旨は「住民こそ主人公」ということにあります。高橋区政の区民の声を聞かず独断・押し付けですすめる区政運営をあらため「区民こそ主人公」の立場から住民参加をすすめます。
高橋区長は「決めるのは私」を繰り返し、保育関係団体や環境団体、住民運動団体などには「会わない」もしくは会っても「時間制限」や「人数制限」を当然のこととしてきました。昨年、大気汚染測定実行委員会が20年来すすめてきたカプセル設置運動に対し突如として区施設への測定用カプセルの取り付けを拒否。また保育園の父母会が園舎を利用して会合を持つことを禁止しました。また高橋区長は「組織とは支配と服従だ」として職員の意見も聞かず福祉の切り捨てや職員削減を強行しています。住民の声を聞かない区政では区民の声が生かされる政治は望むべきもありません。
日本共産党はあらゆる段階で住民参加をすすめるとともに、職員の声も聞きながら区政を進めます。
日本共産党は深刻化する不況から区民の生活と経営を守る緊急対策を実施します。
(1)不況打開緊急対策本部を設置し、区内中小零細企業の実態調査をおこない総合的な不況対策を立案し推進します。
(2)不況・生活危機打開の総合相談窓口を開設します。
(3)貸し渋りなど経営危機打開緊急融資の貸し付け限度額を700万円、返済期間を10年に改善します。また直貸し融資制度を創設します。
(4)信用保証協会の新たな保証枠(限度額無担保五千万円、無担保無保証人1千万円)を拡大した「中小企業金融安定化特別保証制度」が活用されるよう宣伝と相談体制を整備します。
(5)区内の製造業は共通して「仕事がない」との声が出されており、そのための対策として受発注情報交換会を開催します。
(6)品川区の発注する物品購入や公共事業を再点検し可能な限り区内中小企業への発注比率を高めます。とくに阪急デパートに職員被服など162件、年間7400万円もの発注は中小企業に振り向けます。ゼネコンが独占する大規模な公共事業は分割発注を行い、区内建設業に仕事を極力まわすよう見直しをはかります。
(7)消費税の3%への減税、所得税の恒久減税実施、医療費を値上げ前に戻し社会保障制度の改悪中止など政府に求めます。
2、お年寄り、こどもを大事にします
品川区でも高齢者の増大と子供の減少が顕著です。
高齢者は65歳以上が16.8%に達しており、特養ホームの入所待ちの高齢者は9月1日現在、464名にも及んでいます。介護保険法が2000年度よりスタートしますが、これまで品川独自ですすめてきた施策をさらに発展させます。現行のサービスより向上させるため品川区としての対策を前進させます。
(1)公務員ホームヘルパーの退職不補充は止めて増員します。
(2)企業等に委託した在宅介護の実態を調査し必要なものは改善をはかります。またと民間ヘルパーの労働条件の実態を調査、公務員並みとなるよう改善をはかります。
(3)特別養護老人ホーム、老健施設などの増設をはかります。
(4)24時間訪問ヘルパーを早期に区内全域に拡大します。
(5)介護保険の事業計画策定・見直しに当たり公募方式を採用し住民も参加させます。
(6)介護保険施行に当たり要介護、要支援者が必要なサービスが受けられるよう対策を講じます。上乗せ、横だしサービスは国及び自治体負担で実現します。
(7)乳幼児医療費助成制度の所得制限を撤廃します。
(8)夜間保育、年末保育、一時保育など実施します。その際、職員の増員、施設改善など体制を整備します。
(9)父母の会の保育園園舎使用を認めるとともに、保育園運営に当たり園と父母の会の定期協議をおこないます。
(10)保育園のお泊まり保育と学童保育クラブのキャンプを復活します。
(11)区立幼稚園の定員をほぼ50%割った園を統廃合する計画は中止し、3才児保育を実現します。
品川は従業員300名以下の企業は97%、典型的な中小企業の町です。明治以来、区内工業は世界的にも注目される高い加工技術とネットワークを形成してきました。また商店は区内の工場に働く労働者に商品とサービスを提供し路線型商店街として発展してきました。
高橋区政の開発優先の政治は金属加工業を中心とした工業の立地基盤を奪うととも、完成した業務ビルには大企業の本社機能を集中、管理中枢機能のまちへと変貌させてきました。商業の分野でも開発ビルの後にダイエー、イトーヨーカドー、丸井など大型店を集中させてきました。共産党、は明治以来品川の産業を支えてきた金属加工業を中心とした区内工業と中小商店を産業の主役として位置付け育成、振興をはかります。
(1)区内の産業政策の立案と推進のための品川区、商業、工業関係者の代表、学識経験者でつくる品川産業振興協議会(仮称)を設置します。また中小企業振興条例を制定します。
(2)これ以上の大型店の区内への進出をさせないために「大型店出店に伴う地域環境保全のための要綱」を制定します。商店街に専門のコンサルタントの継続的配置、空き店舗対策、共通商品券の積極的活用など商店街の振興をはかます。
(3)工業集積地域活性化支援事業の実施期間五年を延長し、条件と枠を拡大します。
(4)一般金融機関から借り受け困難な中小企業に融資の道を開くために損失保証付きの小規模企業特別融資を復活させます。また零細業者を対象とした直貸し制度、生業資金(19区が実施)を復活します。
(5)区が補助金を支出する再開発事業についても発注状況を調査し、区内中小建設業への割合を高めます。
(6)商店街の装飾灯電気代補助の増額と宅配サービス事業に対する支援策をすすめます。
(7)商店などのそで看板、日除けなどの道路占有料を免除します。
高橋区政は大規模開発を通じて業務ビルをつくることには熱心ですが、住宅建設の面でみるとその差は歴然としています。たしかに高齢者住宅や区民住宅では区民の要求と運動により一定の前進をしていますが肝心の区営住宅は高橋区政になってから1棟も建設されていません。
共産党は安心して住み続けられる品川をつくるために公営住宅、高齢者住宅、区民住宅などバランスをとってすすめます。またダイオキシンや大気汚染が問題となっていますが環境問題にも全力で取り組みます。
(1)関係者と協議し三菱マテリアル跡地、荏原青果跡地など住宅予定地の早期建設をはかります。
(2)都内6区で実施している民間家賃助成制度(ファミリー・新婚世帯向け)を創設します。
(3)区内マンション居住者に対する実態調査、専門相談窓口の設置、セミナーの開催など支援を進めます。
(4)品川区のまちづくり計画(用途地域などの見直し)策定にあたりゼネコンや大手不動産の要求を排し住民参加で進めます。
(5)森ビルによる北品川4丁目の開発を中止するとともに第1種低層住宅専用地域の建築規制緩和を認めずみどりと環境を守ります。
(6)マンションの耐震診断及び高齢者・障害者世帯の家具転倒防止に対し助成制度を創設します。
(7)ダイオキシンの大気・土壌汚染調査を全区で実施します。また民間の小規模焼却炉の実態を調査し、撤去の費用については補助金等で支援します。
(8)幹線道路沿線など大気汚染の測定と被害状況の調査をおこない対策講じます。また発生源に対して、総量規制とともに自動車の排ガス規制強化など積極的に関係機関に働きかけます。
(9)二酸化チッソ測定運動など環境を守る区民の自主的な運動を支援し、区民と行政が一体となって地球環境保全にとりくみます。
(10)小零細業者等のゴミは無料とします。リサイクル事業促進のために団体等の助成を拡大します。
今、子どもと教育は危機的な状況にあります。いじめ、不登校に加え「学級崩壊」など新たな問題が起こっています。区内でも98年10月現在、94名の不登校の子どもがいます。国連「子どもの権利委員会」からも「高度に競争的な教育制度のストレス」が指摘され、受験中心の詰め込み教育が子どもの発達の障害となっていると厳しい勧告がされました。わかる授業、楽しい学校づくりを父母、教師、地域関係者と共同して取組みます。
(1)子どもの権利条約を学校はもちろん教育行政の中で徹底し、いじめ、体罰を根絶し子どもの人権を大切にします。
(2)30人学級実現のために、国、都に働きかけるとともに、区としても独自の教職員を配置して小規模な学級づくりを進めます。
(3)子ども、父母、教師などからの相談を受けるスクールカウンセラーやソーシャルワーカーを学校や教育相談センターに積極的に配置します。
(4)教育予算の大幅増額をはかり雨もり対策、男女共有トイレの改善、耐震用窓ガラス取り替えなど施設・設備の改善をおこないます。
(5)就学援助の基準を引き上げると共に、卒業アルバムや遠足などの父母負担軽減します。
高橋区長は財政危機を理由にして福祉など削減してきました。しかし、品川の財政状況は取り崩し可能な積立金は334億円(23区では千代田区に次いで2位)もあり切実な区民要求を削減する必要はありません。共産党は浪費を徹底的に改めるとともに新たな財源拡大を積極的にすすめます。
(1)大規模開発を見直します。また都市整備部は住宅、防災を中心に改組します。
(2)2人助役体制をやめ一人体制に戻します。
(3)部落解放同盟への事業助成など年間予算2400万円の同和対策事業は中止します。
(4)品川区の銀行からの借入金の利子を現状に見合ったものに引き下げるよう金融機関と話し合いをすすめます。
(5)電柱、電話中、ガス管などの道路占用料を国の基準まで計画的に引き上げます。
(6)議会の海外視察を中止するとともに、一議員月19万円の政務調査費の収支報告は領収書の添付を義務づけます。
(7)決算終了時の懇親会など区長と議会の飲み食いを全面禁止します。
行政情報の公開は区民の知る権利を保障するとともに住民自治の大前提です。高橋区政は98年1月より情報公開制度から「目的の知る権利を削除」「公開するかどうか区長の判断で決める裁量公開性を導入」「公開手数料一件あたり300円の有料化」など大改悪を強行しました。
共産党は情報公開制度を改悪前もどし区民に開かれた区政を実現します。
高橋区長のゼネコン型開発推進、住民犠牲の政治に対し自民党を中心としたオール与党はそのすべてに賛成したばかりか、むしろ悪政を競い合って推進してきました。
こうした中で日本共産党は無党派の皆さんや保守的の団体の皆さんとの交流、懇談を幅広くおこなってきました。そこで出された切実な要求にもとづき可能な限り共同の取り組みを広げ、議会でも取り上げ貴重な成果をあげてきました。
現在、日本共産党の区議会議員は定数42名のうち6名ですが、来年の区議会議員選挙では八名獲得をめざしています。8名になれば議席占有率は19%で過去最高となります。8名の議員団ができれば本会議での一般質問は2人たつことができ、5つの常任委員会のうち3つの委員会に複数の委員配置が可能となるなど発言力が増大します。また副議長や監査委員、選挙管理委員などを得る可能性も広がります。日本共産党の躍進は区民の声を踏み付けにしたオール与党、高橋区政を区民こそ主人公の区政に大本から変えるもっとも確かな保証となります。
昨年の都議会議員選挙で日本共産党は13名から26名に議席を倍増しました。その結果、都の財政健全化計画にもとづくシルバーパスや障害者医療助成制度の廃止、縮小計画を断念させ、現行通り存続させることができました。選挙前、自民、公明などは「シルバーパス削減計画はどこにもない」と是認する立場をとりました。日本共産党が躍進すると「シルバーパスを存続せよ」と態度を変更、都議会では大きな一致を得ることができました。このことは「日本共産党が伸びてこそ政治は変えられる」ことを証明しているのではないでしょうか。
日本共産党は党創立76年になりますが、戦前から「国民こそ主人公」を貫いてきました。この立場は現在の国政や地方政治でも貫かれ、日本の将来にわたっても受け継ぎ発展させるものだと考えます。
来年のいっせい地方選挙では革新・民主の区政実現と日本共産党の躍進を心から訴えます。