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3年間で行われた福祉の切捨て

かつて品川区は「福祉の区」といわれてきましたがそれは過去のもの。しかし、高橋区政になって以来、「行政改革」の名による保育、学童保育の見直し、常勤ヘルパー削減に象徴される高齢者福祉など福祉の切り捨てがおこなわれてきました。

品川区は今年から「行政評価システム」を実施しましたが、コスト主義を導入したことにより、とりわけ給付型の福祉を後退、切捨ての対象にしようとしています。あらためて品川区の福祉がどうなっているか、現状を報告します。

<高齢者福祉>

1、都の福祉切捨てに連動

(1)高齢者福祉手当(月額45000〜55000円)

都制度の順次減額廃止に連動させ、H.12年4月から新規対象者を受け付けず、毎年1/4づつ減額、H14年で廃止。

  対象者数 予算
H7年 2103人 12億8638万円
H10年 1566人 11億1532万円
H12年 938人  
H14年 800人  
H15年 廃止  

(2)シルバーパス交付事務(都事業)

12年10月より(1)住民税非課税者は1000円、(2)住民税課税者のうちそれまで無料だった人は5000円(20150円まで毎年値上げされる)(3)住民税課税者は20150円で販売されることになった。

(3)高齢者家賃等助成

12年4月から新規受付は廃止し、18年度で制度廃止。

10年 149戸
11年 168戸
12年 143戸

2、区独自の切り下げ・切捨て

(1)長寿お祝い事業

11年度までは、100歳以上、白寿(99歳)、米寿(88歳)及び80歳以上の人だったものが、H12年度から100歳以上、白寿(99歳)、卒中(90歳)、米寿(88歳)、傘寿(80歳)のみとした。

対象者数:11年度11503人(9年度は75歳以上のため20165人)⇒12年度2705人(24%に減らす)

予算:11年度:6389万⇒12年度:1763万(28%に減額)

(2)緊急通報システム

  12年度 11年度 10年度 9年度 8年度 7年度 6年度 5年度

新規
(総数)

26
(313)
26
(325)
23
(347)
35
(381)
50
(411)
105
(432)
129
(372)
109
(275)

 

12年度11年度10年度9年度8年度7年度6年度5年度

12年より民間事業者(総合警備保障株式会社)の利用料金2625円のうち825円を区が援助し、自己負担1800円(月)も導入。35人が利用。

現在無料の消防庁直結方式はH13年度より所得制限を導入:住民税課税者は設置費用8500円。月々の利用料はかからない。

(3)自動消火装置とガス安全システム(要介護高齢者およびひとり暮らしが対象)

  自動消火装置 ガス安全システム
 7年度 172人 123人
10年度 107人 70人
12年度 96人 58人

(4)高齢者福祉電話事業(ひとり暮らし高齢者等が対象)

  電話貸与
(世帯)
電話料助成
(世帯)
電話訪問
(世帯)
シルバーホーン
(台)
 7年度 346 540 886 145
10年度 262 392 654 46
12年度 225 295 520 34

(5)しながわ出会いの湯

 13年度より、健康体操やカラオケなどに参加せず、入浴だけの場合は有料(200円)。

    決算額 予算
10年度 58軒 7602万円 7764万円
11年度 52軒 7352万円 8048万円
12年度 49軒 6595万円 7344万円
13年度     7506万円
14年度     7214万円

<障害者福祉>

 15年度より障害者福祉は「措置から契約に」となり支援費(支給)制度に変る。今年10月からは支給申請受付、支給決定が開始されるにもかかわらず具体的なことが示されていない。自治体ごとに大きな差がついてくるといわれているが、「福祉の品川区」をアピールしながら、国や都の切捨ての先頭に立つ品川区の実態を区民の前に明らかにすることが必要となっています。

1、都の福祉切捨てに連動

*重度心身障害者手当て(都の制度):12年8月に制度の改定(内容?要調査)

*医療費の助成(都の制度):12年制度の改定?(内容?要調査)

(1)知的障害者へのヘルパー派遣:所得制限の強化―生計中心者の年収が605万4000円まで無料だったものが304万5000円以上の人からは有料に。区の予算削減額は140万円。

2、区独自の切り下げ・切捨て

*心身障害者福祉手当(区の制度):12年8月に制度の改定(内容?要調査)

(1)都が「慢性肝炎、肝硬変・ヘパトーマ」を難病指定からはずし、医療費助成を打ち切ったことを受けて、区も難病手当て(月額10000円)を打ち切る。(経過措置として、来年3月までは支給。住民税非課税の低所得者には17年度まで支給)。手当額(10000円)は23区最低。(12000円:2区、13000円:1区、15000〜15500円:18区、16500円:1区)

(2)福祉タクシー券の所得制限を13年度から新たに導入(23区中5番目)し、年間所得348万円以上の人を排除。282人がはずされる。そのための予算削減は680万円。タクシー券の枚数は2300円分(月)と23区で最低。(2000円台4区、3000円台12区、4000円台4区、5000台2区、6000台1区)。対象も内部、視覚障害とも1級しか認めていないのは品川区と足立区のみ。

(3)区の障害者福祉課が直接窓口業務を行っていたものを14年度より社協に移した(福祉タクシー券等の取り扱い、重度の視覚障害者や知的障害者に対するガイドヘルパー派遣の利用申し込み、視覚障害者・肢体不自由者への白杖やT字杖の支給事務)。

(4)精神障害者の共同作業所を、法内授産施設を作ることと引き換えに3つから2つに削減の方向。(大田区は12ヶ所、目黒区4ヶ所、世田谷区22ヶ所と他区に比べても少ないのに)

<ひとり親家庭>

(1)医療費助成:所得制限の強化―10年度:ひとり親3人世帯で356万2000円から11年:268万と一気に88万2000も引き下げた。母子世帯の対象者は10年1374世帯から11年1298世帯と76世帯の減となった。

(2)母子寮(ひまわり荘)を区直営から、複合施設としての建設を契機に社会福祉法人「福栄会」に運営を委託。

<生活保護>

 生活保護の実態は以下の表のとおりです。

品川区の生活保護の実態

年 度 12 11 10 9 8 7 6 5 4
被保護世帯数 2592 2381 2188 1982 1843 1700 1556 1434 1390
被保護人員 3129 2879 2614 2364 2211 2078 1972 1870 1838
保護率 9.8 9.1 8.2 7.5 7 6.5 6.2 5.8 5.6
 
東京都 11.1 10.2 9.5 8.9 8.6 8.1 7.9 7.6 7.3
全 国 8.2 7.7 7.3 7.1 7.1 7 7.1 7.1 7.2

法外援護

(1)区見舞金(夏季と年末に見舞金)

9年度6000円⇒10年度から5000円に減額

(2)入浴券

11年度まで年間90枚⇒毎年10枚づつ減らし14年度は60枚

<福祉切り捨て、負担増押し付けの理由>

1、福祉タクシーに所得制限導入時:「1000万円近い所得がある方にも給付していたというのは負担の公平性から問題」と説明しながら、実際は348万円以上を排除。
(自民党は経済支援である金銭給付に所得制限を設けることに対しては賛成)

2、生活保護の法外援護削減:最低生活を営めない場合に不足分を支給するのが保護基準であるので、公平性の観点から検討を要する。保護制度は本来法内援護での対応であるべき。法外比率の上昇は被保護者の自立度、人間的尊厳度の上からも好ましくないので、長期的にはこの支出比率の抑制を図る必要がある。

<品川区の民間委託推進の理由付け>

 母子寮を複合施設(ファミリーサポート、子育て支援、障害者生活支援センター)に建て替えに合わせて、全面的に社会福祉法人の福栄会に委託時の理由:24時間の体制が厚生労働省から指導あり、役所の8時半から5時15分の勤務では不十分。福栄会は実績もあり、職員体制も柔軟な対応が取れる。運営費は人件費トータル比較で現在の運営費と同額で新施設全体が運営できる。

1 、障害者福祉課が直接行っていた窓口業務(福祉タクシー、知的障害者ヘルパー、白杖・T字杖の支給など)を社会福祉協議会に移す時の理由:土曜日の窓口対応、身近で便利で利用しやすいように。

2、保育園給食調理の民間委託(調理業務代行):就労形態の複雑多様化のなか、延長夜間保育の事業拡大など需要への対応が求められる。処遇内容の低下を来たさない範囲でコスト削減、コストアップの回避が必要。厨房に入る人が民間人か公務員かの違い。経験豊かな実績のある、それなりの技能力きちっとした資格をもった方にやっていただく。従来にも勝るとも劣らない満足度の高い給食を提供していきたい。区の職員がつくると一食あたり882円のコストが、業務代行では半分以下でしてもらえる。

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