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みやざき克俊 みやざき克俊ニュース 2003年5月25日発行
第395号


競争教育あおるもの
強権的教育行政―父母・教職員にもいっさい説明なし

 品川区教育委員会が突然、区立中学校に今春入学した生徒が受けた学力テストの結果を公表することを決定しました。品川区はすでに学校選択自由化を実施しています。さらに学校間の競争を激化させ、学校序列化をすすめる学力テストの成績の公表は中止すべきです。


5/30付け週刊朝日

5/10付け東京新聞

 品川区教育委員会が成績を公表するテストは、区内の中学校への新入生に行った国語と数学の「学力定着度調査」、1450人が受けました。この学力テストの成績を中学校別と出身小学校別に集計し、6月中に教育委員会のホームページで公表するというものです。学力テストの成績公表は全国的も例がありません。

 教育委員会は、学力テスト成績公表は教師には自分の授業の評価となり、父母には学校選択の材料になる―と説明(週間朝日)しています。しかし、学力テスト成績公表は大問題です。

小学校入学前からの「学校選び」まで競争拡大
教育を「成果」主義におとしめるもの

 まず、問題なのは非教育的・区民不在の強権的やり方です。

 学力テストの学校別成績の公表は父母や教職員に何の説明・相談なし、議会にも報告なく独断で決定しました。区教育委員会は学校選択自由化や小中一貫校計画も関係者の頭越しにすすめてきましたが、まず父母と教職員・教育研究者の意見を充分聞くべきではないでしょうか。

「点が取れる」教育、「成果」を急ぐ教育の横行招く

 学力テストの成績公表は、教職員と学校の力量を高め、子どもたちの「確かな学力の定着を図る」ことになるのでしょうか。

 品川区は学校選択を自由化しています。こうしたなかで成績公表は、競争を小学校入学前からの「学校選び」に拡大、さらに「成果」がすぐ現われ、「点が取れる」教育を横行させることになるのではないでしょうか。

 教育委員会が率先して競争教育をあおり、公立学校の序列化を進めるなど許されるものではありません。

教育研究者からも批判相次ぐ

 区内の教職員組合や教育関係者からも批判の声が続出しています。5月7日付け朝日新聞では、学校名の公表について国際基督教大学の藤田英典教授が「親はテストの結果のみをもとに子どもの進学先を選ぶようになり、学校の序列化が進む」と指摘。学力偏重が子どもに及ぼしてきた弊害を除こうという教育改革の流れに逆行、特色ある学校づくりの区の方針とも矛盾する―と批判しています。

 また、10日付け東京新聞で教育評論家の尾木直樹さんは「学力という一つの物差しだけで競争する弊害を、身をもって知っている者として時代錯誤と言わざるを得ない」と批判、「学力の競争でなく、お互いが励ましあって目標に達しようとする『共創』の教育こそ大切」と訴えています。