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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2006年12月10日発行
第325号

 

「武力攻撃事態に消防団が行う活動」消防団員にも知らせず答申案

11月30日、濱野区長を委員長とする品川区消防団運営委員会は「国民保護法」に基づく国民保護計画の消防団の役割について、東京都からの諮問答申案を日本共産党を除く賛成多数で可決しました。

戦争意識高揚のために
地方自治に介入

米軍の先制攻撃戦争などに自治体・住民を総動員する有事法制の具体化が進行しています。政府は有事法制の一部である「国民保護」法に基づき、都道府県に続いて全市町村に07年3月までに「国民保護」計画をつくるよう求めていますが、疑問や批判、戸惑いの声が上がっています。

実証実験は第二次大戦を彷彿

帽子をかぶった小学生のイラスト入りの広報が、千葉県富浦町の各家庭に配布されました。同町では今年3月7日、千葉県との共催で、弾道ミサイル発射などの緊急情報を伝達する「全国瞬時警報システム」の実証実験と避難訓練が四百人規模で行われました。

「国民保護」法では、戦時の際の住民への「警報」「避難」「救援」などの実施を定めており、自治体がその「責務」を負います。

同法に基づいての実動訓練はすでに福井県などで行われましたが、富浦町では初めて小学生が動員されています。

訓練の内容は、

@「国籍不明のテロリスト数名が、大房岬突端に上陸するのが目撃・通報された」という情報を警報システムで受信 

A拡声器から有事サイレン 

B消防・県警・陸上自衛隊による避難誘導 

C住民・児童のバスによる避難――

といった流れでした。

政府自身が想定しない攻撃?

政府は各市町村に対して、「国民保護」計画づくりの諮問機関となる「国民保護協議会」設置条例案を提出するよう求め、品川区でも今春に条例が可決されています。同協議会への自衛隊員の参加も促しており、地方自治への軍事介入を強めようとしています。

政府の「基本指針」によると、「有事」(=武力攻撃事態等)として想定しているのは@着上陸攻撃A航空攻撃B弾道ミサイル攻撃Cゲリラ・特殊部隊による攻撃です。加えて、テロ攻撃も対象になります。

しかし、政府自身、@Aについては「ほとんど想定されない」との見解を示しており、BCについても現実性が疑問視されています。

消防団員は戦闘員ではいなという一方で答申には?

答申案には「武力攻撃等と判明し危険と判断された際には活動を一時停止する」旨の一文があります。しかし一方では政府自身が「ほとんど想定されない」とする攻撃に際してボランティアの意味合いが強い消防団員が住民に対し地下や建物内に非難する誘導をする責任を負わせています。また、核攻撃の想定に対しても「安全が確認されるまで活動を統制」とありますが前段の記述には「住民に対し避難するよう情報を伝達」とあり攻撃を受けている最中の活動を明確に規定しています。それ以前に核攻撃に対する安全確認などなされるものでしょうか。矛盾した記述が目立ちます。

また、「まとめ」の冒頭で「武力攻撃事態等という戦後の日本では考慮する必要がなかったことが身近な問題として認識せざるを得なくなった」と記述しています。「だれがこうした情勢にあることを認定しているのか」の問いかけに区長の発言は答弁にもなっていません。

世界の国々が国連を中心として平和の流れを創り出す努力を強めている中で、アメリカとともに憲法を改悪し、戦争する国へと変貌させるために国民の意識統制を行おうとする目論見は明確です。今回の答申は消防団員に自然災害の救援という役割から、国の引き起こす戦争に加担させるというとんでもないものです。