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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2006年3月12日発行
第301号

 

区内総人口の60%が共同住宅に居住
マンション耐震診断と補強工事に助成を

品川区の18年度予算では大崎駅周辺の再開発に総額114億円余の補助金を投入しますが、再開発によるまちづくりではなく緊急に必要な、命を守る制度として、一刻も早くマンションに対する耐震診断と耐震補強工事の助成制度を確立することが必要です。

内閣府…
「自助をそくす為にも耐震診断・耐震補強に公助が必要」

品川区では、03年に「分譲マンション基礎調査」をおこなっています。

当時の総棟数は872棟で、この内新耐震基準前の建築物は築年数不明も合わせると323棟。13年には建築後30年をこえる分譲マンションが40%以上になるとしています。また、建築から30年をこえたマンションには65歳以上の世帯主が30.1%となっており築年数、年齢構成のいずれを見てもいざという時の危険性を示しています。

危険性を裏付ける耐震データー偽装事件

この事件で鋭く問われているのは、政府が構造改革路線のもと、建築確認を民間に丸投げできるように規制を緩和し、国民の命を守る制度に大穴をあけてしまった自民党政治の責任です。

それにもかかわらず小泉首相は、「民間に開放したことが今回の偽装をもたらしたということを一概にいうのは早い」として、問題の根本にまったく目を向けようとしていません。さらに、「ほかにあっても不思議でない」「今後また起こりかねない問題だ」とのべ、「当事者の道義観、倫理観の欠如だ」と、事件当事者の問題にすりかえています。

住宅ローンを抱えて苦しむ被害者への補償と再発防止も、問題の根本にメスを入れる立場にたってこそ、責任ある解決の道が開かれるはずです。

この無責任さは、マンション住民に不安を与えるに十分ではないでしょうか。

旧耐震のマンションでは…

文部科学省は『大都市大震災軽減化特別プロジェクト』の一環として、実物大6層鉄筋コンクリート建物の震動台実験を実施しました。深度6で、一階部分すべての柱が崩壊する過程が映像で明確にとらえられています。 旧基準そのものが、国民の命を守る基準値ではなかったことを示しています。これらも国と地方自治体が責任を負うべき部分です。

被害総額112兆円

中央防災会議の報告も深刻です。

直下型地震による被害シミュレーションで、23区は軒並み震度6以上、都心の一部で震度7の揺れに見舞われることを示しました。都心西部直下地震では、環状6号から7号線の間の老朽木造密集市街地が最大の被害規模になると予想し、地震の揺れによる全壊家屋は都内で14万棟から16万棟にのぼるとしています。さらに、一昨年の被害想定では、首都直下型地震で112兆円規模の被害が出ると予想され、朝日新聞の解説記事でも、「公費をかけてでも耐震化を」とのべています。

千代田区は、昨年12月に賃貸も含むすべてのマンション約550棟を対象に耐震診断費を助成すると発表し、石川雅己千代田区長は「偽装が発覚した物件に限定した対応だけでは住民の不安は解消できない。助成制度を通じて震災予防につなげたい」と述べています。

災害後の対策だけではなく、被害を最小限に食い止めることが必要ではないでしょうか。