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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2005年3月13日発行
第272号

 

保育園給食調理の検証も無く強行
栄養士も配置なし

 小中学校の給食を、民間会社に委託する計画が来年度予算に盛り込まれました。

 区が学校給食の民間委託を導入する予定にしているのは、台場小、戸越台中、荏原5中の3校で、PTA関係者には何の説明もおこなわれていませんでした。

 民間委託が進んでる他区の状況は…

足立区では…
手のかかる給食作りは

 民間委託はすでに22区で始まっています。 実施の目的はコスト削減。業者は受託して一定の期間は区から言われるままに受け入れますが、全校委託が進むと儲けを確保するために、委託費の値上げ交渉などが始まり、技術と体制を失った自治体は逆に委託先の条件提示を飲まざるを得なくなります。

品川区の将来を予見

  その具体的な事例が足立区です。足立区は手のかかる給食を禁止する通達を出しました。全校実施に14年かかりましたが、全校実施になったとたんに手のかかる献立はなくなったのです。子どもたちに好評のお弁当給食、下処理の必要な泥付ごぼう、生たけのこを使った献立などがなくなったのです。それだけでなく、手のかかる献立が何品かあれば「献立の組み合わせを考慮してほしい」との要望が業者側から出され、変更する学校もあったそうです。手のかかる献立をなくし調理員の人数を減らすなどもあったそうです。紛れもなく給食の内容が変わったのであり、子どもの成長に合わせた健康でおいしい給食、安全な給食という大事な位置づけが失われてしまいます。

保育園では熟練調理者の定着が不可能に

 委託する民間企業はほとんどが非常勤職員です。労働条件は、保育園給食調理で、時給850円から900円です。そのため、職員の入れ替わりが激しいのが実態といいます。

 学校給食は、直径120〜130pもの回転釜を使い、数百食を食べる時間に合わせて作ります。しかも年間300種類を越える料理で、ほとんど同じ献立は繰り返されることはありません。調理員の相当な熟練で支えられています。入れ替わりの激しい非常勤職員でこの業務をきちんと行うことができるのでしょうか。

栄養士が全校に配置されない体制で安全管理も不可能

 さらに、床から60p以下に物を置いてはいけない、生で食べる物を調理器具の消毒の仕方、野菜の洗い方など、衛生管理や調理の仕方についての細かい基準が決められ、Oー157やノロウイルスなどの食中毒予防に細心の注意が払われています。

 品川区は栄養士が2校に1人しか配置されていません。

 国は食育を重視し、栄養教諭の制度に踏み出しました。そして全校配置を目指し努力していくとしています。この点からも民間委託にかかわらず全校への栄養士配置が必要です。まして、民間委託する場合、全校栄養士配置は最低条件と考えます。 23区で給食調理が民間委託されたところで栄養士が配置されていない区はありません。栄養士を配置しないで、指示書通りにされているか、衛生面や作り方など基準通りにされているかの確認をいったい誰がどのように行なうのでしょうか。非常勤職員に対する教育、基準の徹底はどのようにされるのか、味や質はどのように確保されるのでしょうか。

 今子供たちの間に偏食、誤った食事制限、不規則な食事、食アレルギーなど食に対する問題が山積みです。

 学校給食の教育的役割が今ほど重要課題として求められている時はありません。