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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2004年7月25日発行
第246号

 

ヒートアイランド現象が加速 東京ウォール39.5℃

 7月20日、東京では40℃近い気温を記録しました。

 都心では、緑の減少とビル化などによって毎年のように気温が上昇、夜間も放熱できずに熱帯夜の回数が増えています。加えて「東京ウォール」と呼ばれる人為的に作り出された気温上昇の実体があります。

海岸沿いに立並ぶ100m級ビル群 海風を遮断

 20日の報道番組で、新橋・汐留地区の海岸よりと内陸部にあたる新橋駅の気温差を紹介し、温度差の原因を探るという試みをおこなっていました。

 海岸部では41℃、新橋駅では44℃という結果です。原因は、再開発によって林立したビル群です。

秩序のないまちづくり

 汐留再開発では、ヒートアイランドを押さえるために蓄熱されない素材を多用して開発道路をつくったり、放水機能をそなえるなどの配慮をおこなって計画されたそうです。しかし、気温上昇を防ぐ海風の遮断をおこなうことでわずかな距離で3℃もの気温差を作り出していることが実証された事になります。

 品川区でも海岸沿いが次々と開発されています。右の写真は、東品川4丁目開発、数百mの距離をおいて、上の写真は天王州開発地区です。更に港区に入って巨大マンションの建設が盛んにおこなわれ、お台場開発と連なっています。

30年後の東京は40℃が日常化

 都市の中心部と郊外を比較して常に気温が高いということは、百年以上も前から報告されており、世界中の多くの都市でも確かめられています。この都市部の気温が周辺部より高くなる現象をヒートアイランド現象といいます。

 都市内外の気温差は、とくに風のない夜間は差が大きく、また夏よりも冬のほうが差が大きいという傾向があります。その温度差は、時には5度以上になることもあります。

 その主な原因を考えると……

  1. アスファルトの道路は昼間の太陽の熱射で深層まで高温となり、夜間に蓄積された熱が放出される。
  2. 樹木は大量の水を空気中に吐き出すが、緑地面積が小さくなると植物や地表からの水分の蒸発量が減少し、蒸発潜熱が減少する。
  3. 都市への人口の集中により各種のエネルギーの使用量が増え、排熱量が増加する。
  4. 高層建物などの壁面で多重反射するため、都市の構造物が加熱され易くなる。

などが、あげられます。

 これらのことが悪循環になって、都市の気温は年々上がり続けています。このまま行けば、30年後の東京では気温が40度を超える日も珍しくなくなると予測する学者もいます。 ヒートアイランド現象は、都市の天気にも影響を与えています。 近年、大都市では、夏に局地的な雷雲が発生し、突発的な激しい雨が降って道路が浸水したりすることが多くなっています。これなども、ヒートアイランド現象が原因になっていると考えられています。

環境保全を住民の手で

 東京都は都市再生、センターコア計画など建築規制を強引に緩和させながら開発を進めています。そのため、眺望を売り物にした超高層マンションも野放しのまま林立していますし、東品川4丁目開発のように企業による単独開発も進んでいます。

 一方で、環境悪化によって人の住めない東京となりつつあります。

 住民によるまちづくりを進めることがくらしを守るうえでも重要な課題となっています。