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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2004年5月30日発行
第243号

 

羽田に4本目の滑走路
都心部で限界超えた離発着

 品川区に示された羽田空港再拡張後の飛行ルート案は数十年前の騒音を再び引き起こすものとなります。

 品川区は近隣区と共に反対意見をあげていますが、環境を守っていく立場にたって住民自身も声をあげることが求められています。

09年度中の供用開始を計画
東品川・東大井などへの影響は……

 品川や大田区民にとっては、沖合展開でやっと騒音から解放されつつあったときに、北風時にC滑走路から内陸部に向かって離陸し、品川区上空を飛行する新ルートが提案されました。

 この案が通ると時間/3回×17時間の騒音被害が発生します。八潮では最大82デシベル(上空約600m)東品川では79デシベル(上空約900m)の騒音が発生するという試算が示されています。

安易な都市再生の考え方

 羽田空港の国際化と再拡張は、国、都を挙げて都市再生の中心的な課題として位置づけられ、03年8月に発表された国土交通省の羽田再拡張事業の基本スキームでは、滑走路事業に7千億円、ターミナル等で2千億円、その他1千億円で、1兆円プロジェクトです。

 現在、羽田沖、羽田空港の外側は、ここ十数年間ずっと浅場造成をしています。なかなか砂が定着しなくて、やっとここに来て、橋の下あたりのところに自然のアサリが生息し始めましたが、これがまた壊されてしまいます。

 国際都市東京の空の玄関としての羽田空港に国際便を入れたい、そして経済効果を上げたい思いがあるようですが、羽田空港の容量そのものがもはや限界に来ています。滑走路を一本ふやして、1・4倍の40万回飛べるようになるということですけれども、そのやり方は非常に安易で、数十年前の住民に与えた騒音の苦痛を再現するものです。

 拡張により発着が1.4倍
現行
29便/時間
285000回/年
拡張後
40便/時間
407000回/年

 

 こうした拙速で安直で、また強引なやり方を進めていけば、将来やがていろいろな矛盾やひずみが出てきます。 羽田再拡張というのは、都市再生という名のもとでの大規模公共事業にほかなりません。 東京全体の環境をいかに永続的に守っていくか、そういう観点に立って計画が打出されてこそ区民生活に即した公共工事といえるのではないでしょうか。


裁判員制度に対するお問い合わせにお答えします

 裁判の判決が国民の常識とずいぶんかけ離れていたり、罪のない人が有罪になる「冤罪事件」も数多く発生してきました。この根本原因として、試験に合格して研修後、社会経験の少ないままに裁判官になるキャリア裁判官制度があげられます。

 この現行制度を変えるために提案されたのが裁判員の制度です。

 いまヨーロッパ諸国では一般の国民が裁判官と同じ資格で裁判に参加する参審員制度が、アメリカなどでは主として有罪無罪を決定する陪審員制度が、普通におこなわれており、裁判への国民参加が常識になっています。

 日本共産党は以前から裁判への国民参加をもとめ、陪審員制度の導入を主張してきました。裁判員制度はヨーロッパでおこなわれている参審員制度に近いのですが、専門の裁判官とくらべて裁判員の比率が高ければ、国民参加として十分有効な制度になると考えており、その立場から法案に賛成しました。

 「国民の義務」という話ですが、たしかに有権者名簿から無作為に選ばれた人が裁判員になるわけで、義務という面もあります。しかし、いまある検察審査会の制度では、50年余の歴史のなかで、同じように有権者名簿から選ばれた人が、積極的に役割を果たし、90%の人が有意義だったといっています。

 また、裁判員制度は、義務というより、三権の一つでこれまで国民がほとんどかかわることができなかった司法権に参加するという「国民の権利」として積極的に理解すべきでしょう。

 費用は法廷の作り替えや裁判員への給与補償などで一定の額が必要ですが、使われない道路や港湾に公共事業費を投入するのとちがって、国民の権利にかかわる有用な費用ですので投入は当然だと思います。