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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2003年12月21日発行
第226号

 

動き出す首都高中央環状品川線建設 2
不明確な環境説明会

 12月15日に八潮北小で開催された環境アセスに関わる住民説明会に参加してみました。

 都の説明には首を傾げたくなる部分も多く、みなさんと共にあらためて考えてみたいと思います。

計画交通量・渋滞緩和に疑問
浮遊粒子状物質は排気以外の排出源も含めて予測をすべき

 八潮北小学校での説明会を受け、16日に東京都環境アセス条例改正都民連代表幹事の藤田敏夫氏からお話を聞きしました。

計画交通量5.1万台の疑問

 「都市計画案及び環境影響評価準備書のあらまし」では大井北・南品川・五反田の各換気所周辺の計画路線では平成26年には51000台の交通が見込まれるとしています。

  しかし、品川区などでは大崎を中心として大規模再開発がおこなわれ、将来の交通量を予測するなど無意味なことだとしています。しかも、事後調査のおこなわれた外環大泉では、当初予測が35000台/日だったのが実際には54293台/日、首都高11号線では有明36000台/日、芝浦47000台/日の予測に対し、有明52%増の53758台/日、芝浦22%増の57287台/日など予測は困難であるとしています。

渋滞緩和の疑問

 あらましでは都心環状、中央環状、外環道の三環状線建設により現在の慢性的な渋滞を緩和し都市機能の阻害要因を取除くとしています。しかし、新たな高速道路の建設は交通量の増加と環境負荷を増大させるものだと指摘しています。現在の23658Kmに及ぶ都内道路と417万台の自動車保有台数から考えると渋滞無く走る時速を40Km、車間40mと考えると現在の8倍という道路建設が必要になるとしています。首都高速道路年報では1965年度に32.8Kmだった高速道路は、1992年度には220Kmと6.7倍。しかし、渋滞時間は19時間から209時間と実に11倍へと増加しました。建設の倍の速度で渋滞時間が増加したことになります。

 都の渋滞緩和による排ガス削減という言分はまったく根拠の無いものだといえます。

排気物質のみを計測の疑問

 「あらまし」では浮遊粒子状物質など有害物質の測定を、自動車排気からのみ測定する一次生成物質に限っています。しかし、環境省や科学情報センターが示しているSPM予測マニュアルは、排気以外の反応二次生成物質や粉塵など多岐に渡る計測方法を示しています。今回のアセスは国の法律によるものです。国土交通省の環境アセスメント技術指針にも汚染源のみで計測などとは書かれていません。

除塵装置か脱硝装置かの疑問

 除塵装置では、粉塵のみを多少除去するだけに過ぎません。脱硝装置の設置には100億円からの予算が必要とされています。現在、有効性が認められるのは土壌脱硝装置のみといわれるほど有害物質の除去に関わる装置の開発は進んでいないと言われています。

 都市再生の掛け声で、石原都知事は三環状線建設のために巨額の無利子貸付を行っています。建設が終了した際には、14万台の交通増加が見込まれるなど、ヒートアイランド現象を始め人の住めない都市を形成する事になります。