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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2003年11月16日発行
第222号

 

品川区職労機関紙「さけび」に掲載された特別養護老人ホーム建設運動
広がる運動の輪

 10月24日付、品川区職員労働組合機関紙「さけび」に「都南病院跡地に特養老人ホーム建設を求める会」の運動が掲載されました。高齢化が進む中で、この問題が区職員の高い関心となっていることをうかがわせます。

 「会」によると、老人会などからも署名が届けられ、運動の輪が広がっています。

人としての尊厳を最後まで守る福祉社会をめざして・・けま喜楽苑

 「さけび」では、品川区の特養ホームの実情をのべ、「今回の動きは地元の切実な要求を背景に、住民運動として大きく歩み出したものとして注目されます。」と結んでいます。地域住民による、特養ホーム増設運動が職員からも期待されていることをうかがわせます。

 請願代表者の星ちゑ子さんによると、老人会など申入れをおこなった団体から多くの署名が寄せられているとのことです。また、一部町会長から、「町会としてはムリだが個人的には大賛成」と声がよせられるなど、運動の輪が広がっています。

兵庫県芦屋市 けま喜楽苑に行って来ました

 応対してくださった施設長によると、障害のある高齢者が普通の生活を送れるノーマライゼーションの実現を目指し、単なる特養から「地域のケア付き住宅へ」という願いは強いといいます。玄関が2つあるのも、その思いから。1つは事務所横の苑の玄関であり、もう1つは家族が自由に出入りできる家族専用の玄関。来るたびに「お世話になります」と頭を下げなくて済むようにという配慮からだそうです。それはまた関係者だけが出入りする施設ではなく、「地域の文化の拠点」へ向かおうとする苑の姿勢でもあります。それを力強く支えているのが「民主的運営」です。喜楽苑では、ホームとデイサービス両方の家族会が結成され、亡くなった方の家族OB会、さらには入居者の自治会もあり、ケア内容に対する要望や、運営、地域交流の企画などに加え、入居者の本音も交えて、スタッフとともに活発な話し合いが行われ、しかも、そこにボランティアや市民の参加もあり、そうした苑の問題は、地域にすべて公開されています。協力が大きいほど、交流が深まるほど、ボランティアも増えていく。その人たちが入居者の自由な生活の大きな支えとなっているのそうです。

施設内のスタンドバー
グループホームの食事準備

 

地域交流の施設として

 97年にオープンしたあしや喜楽苑には苑内に300人収容の地域交流スペースがあり、これまで講演会やシンポジウム、クラシックやジャズコンサート、ダンスパーティなどがたびたび開かれてきました。また、一角に設けられたギャラリーでは、個展がとぎれることなく続き、苑の喫茶店には内外含め1日平均70人の出入りがあり、地域交流スペースには1ヶ月に延べ3千人の人々が集う。こうした企画を通じて地域の文化の拠点、井戸端会議の場として完全に定着したといいます。

市民的自由の保障・・ノーマライゼーションの道を

 法人理事長の市川禮子さんは、「私達は問題が起きるたびに『人権を守る』という原点に返り、議論を繰り返してきました。一生懸命話し合うことで、スタッフはいいケアができるようになる。それを見られた地域の方が感動してくださり、苑への理解も進む。運営方針の『人権を守る』と『民主的運営』は別個のようで相関関係が強く、人権を守る取り組みの具体的な姿があるからこそ、民主的運営がますます発展していくんです。」といいます。

 これまで専門家の間でいくども議論が交わされながら、現場ではふたをされ続けてきた高齢者施設の人権問題。市川さんとスタッフの熱い思いが形となり、日本の福祉社会、施設に対する考え方を大きく変化させようとしているように思えます。 品川区が、同様の立場にたって高齢者福祉に取組むことが求められています。

 私も「建設を求める会」の皆さんとともに、「地域の文化施設」としての特養ホーム増設に向けた運動を進めてまいります。