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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2002年10月6日発行
第179号

 

マンション管理交流会で意見交換
だれもが入居したくなるような
マンション管理が重要

 品川区の人口はマンション建設の急増で増加傾向にあります。同時に築20年〜30年を超えるマンションも増え、大規模修繕計画や管理体制の強化などは「終の棲家」として保全していく上で重要な課題となっています。

マンション建て替え円滑化法は企業理論?

 みなさんのマンションは30〜40年で老朽化してしまうのでしょうか。
 今回のマンション管理交流会では、参議院国土交通委員会で「マンション建て替え円滑化法」に関する法律案審議の際、参考人として意見陳述をおこなったマンション管理士、千代崎一夫氏が講演しました。

住み続けられる管理体制

 千代崎氏は、建物診断や修繕計画の相談に乗る中で実務を通して「マンション建て替え円滑化法」やマンション管理の問題点を指摘します。
 1つには、建て替え論議の前に、どうすれば長く使えるかの検討が積極的に行われているかどうかだといいます。
 住民同士で考えるほか、判断を含めて専門家を頼むときには、長く使おうと思っている専門家に頼み、その上で、どうしても使えないと判断したときのみ建て替えということを本気で考えることになります。
 円滑化法の論議では老朽化の客観規準に築年数30年・40年を超えた場合と盛り込む事が論議されました。
 しかし、木造建設物でも手入れさえするなら30年から40年は十分耐用するなかで、鉄骨・鉄筋・コンクリート造のマンションを同一年限で老朽化という定義でまとめることにムリがあります。
 建て替えまでを考えることは、慎重の上にも慎重にと思っています。もし検討のための組織をつくるにしても「建て替え委員会」ではなくて「長寿委員会」といった名前にするくらい慎重に取組む事が重要だといいます。
 私もマンション住まいで建設から20年を超えています。住まいの年齢と同様に居住者も歳を重ね、年金暮らしとなってから立て替えでは、資金の調達も不可能です。住みつづけられる保全計画が何よりも必要となっています。

行政からの支援策が優先課題

 東京都の持ち家住宅に占める分譲マンションの割合は23・5%(1995年)、区部では26・7%、5割を超えるところもあり、都市部ではますます増えると予想されています。分譲マンションが急増する中で、分譲マンションの問題が大きな社会問題にまで発展してきています。
 東京都は、92年の東京都住宅政策審議会答申で「行政関与の必要性」を打ちだし「居住者の合意形成が円滑に図られるような条件を行政が整えていく必要がある」として、各自治体に相談窓口を設けさせるなどしています。そういった努力があるものの、多くはマンション問題の解決が、管理組合や居住者の個々の努力に任されてきているのが実情です。

ローン滞納者激増

 さらに、長引く不況で新たな問題もうまれています。
 1つは、住宅ローン滞納者の激増です。 住宅金融公庫によると、住宅ローンを滞納している件数が95年度で14205件(延滞率0・30%)から99年度は28118件(0・56%)と、この間で二倍になっています。 もう1つは、資産デフレがあります。マンション、中古マンションの値段が下がっていることです。抱えているローンが負担になっている人は、マンションを売っても残っているローンが多くて、売るに売れない状況があります。したがって、定住化を目指す傾向が強くなっています。
 最近多いのは、住民と分譲会社や管理会社とのトラブルです。日住協2000年の相談件数1066件中、上位を占めているのは、管理会社・業務委託が105件、規約が95件、大規模修繕68件、滞納対策66件となっています。
 原因は政府の持ち家重視の姿勢と、ゼネコンや大手デベロッパーが、一戸建てに比べ投資の回収率がいいマンションを競って販売してきたことです。
 私が取組んできたマンションでの住環境を整備・改善することは、国や地方自治体の大きな仕事です。 10月から11月にかけて実施されるマンション実態調査をもとに、実効性のある支援策を求めて力を尽くしてまいります。