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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2001年9月23日発行
第132号

 

このままでは滅びてしまう!
品川の経済を支えた匠の技

 従業員18名を抱える金属機械の工場、夫婦で音響機器・自動車関連の部品をつくる工場を訪ねました。中小零細企業の倒産と廃業が進む中で、世界に誇る精密機械、金属機械の加工技術が、いま手を打たなくては消え行く実体がありました。

先月まで操業していたはずの工場が次々と廃業へ

 小泉内閣が打ち出した「構造改革」路線が、日本の経済を壊滅の方向へ導く物であるが鮮明になってきました。GDPの落ち込み、株価は1万円を割り、失業率は調査開始以来はじめて5%を記録するなど国民生活はいっそう冷え込みを見せています。

景気回復が何よりの願い―三次元加工機と職人の技


高精度の三次元加工機と熟練した腕が要求される加工品

 お尋ねをした金属機械関係の工場は18名の従業員を抱え、1998年当時、4億円あった売上は2000年度には2億5千万円程度にまで落ち込んでいるといいます。工場の土地、建物が借財になっていないので何とかやっていけるといいますが、それでも平均3千500万円という加工機械の支払い、リース料を考えるときびしい経営状況にあることは言うまでもありません。こうした高価な機械も扱える職人がいなくなり休眠状況というのもあるそうです。職人を育てたくてもいまの売上ではそうした余裕は無いのが実態です。なによりも「景気の回復」が願いです。

水平ネットワークの発展は品川ブランドをつくる

 品川では切れてしまったのでは、と考えていた水平分業ネットワークが脈々と息づいている企業もあります。
 お尋ねしたのは、夫婦で精密加工を営む工場です。売上の半分は零細企業どうしで仕事を回しあっての利益だといいます。話をお聞きしている間にも、近所の同業者が足りなくなった材料を借りに来る等、昔ながらの付き合いで仕事に取り組んでいます。同時に、地方では不可能な加工技術を頼って、仕事の依頼があるそうですが、品川の加工技術者が持つ高い技術力が垣間見えます。とはいえ、仕事量が激減している事も現実問題で、運転資金や設備資金の面では「融資を受けられない」「融資を受けても返すのは厳しい」こうした論議より先に「融資を受けて仕事を続けるくらいならさっさとやめた方がまし」というのが、先行するといいます。このままでは途絶えてしまう技術が集積した品川の加工技術。守り抜くための支援策は急を要しています。

後継者をつくらなければ消滅する技術力

 工業高校で校長先生の話を聞く機会がありました。
 2000年3月に卒業した子どもたちの求人倍率は4倍だったものが2001年は2倍と求人は半減したそうです。仕事に就いても、以前のように学校出たての青年がすぐに出来るような仕事が、職場の中に無いといいます。高精度の機械を扱う技術だけでは、安い単価の東南アジアに仕事がまわる為、試作品などの熟練した腕が要求されるといいます。若い技術者が成長を保証される行政支援が求められています。