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菊池貞二 菊地貞二ニュース 2001年4月8日発行
第114号

 

人権侵害の区政運営
人権を守る流れに反して

 私は2001年度、第1回定例議会・予算議会を通じて人権に関わる同和事業と生活保護需給時に一律徴収を進める白紙委任状「同意書」の人権侵害と差別に関する問題を取り上げました。

憲法に違反して内心の自由を侵す同和相談・同和教育―生活保護需給を断念させる白紙委任状 

「解同」の圧力? 
同和単独事業を継続

 上の写真は新装された総務部分室(3階同和相談室)です。国では総務省が2001年度末で同和対策事業のすべてを終え、一般施策に移行する方針を打ち出していますが品川区では同和相談室を新装し、この人権侵害の事業を更に続けていこうとしています。同和相談員が1名で相談を受ける場所を新装し約300万の報酬を支払い、350万の同和対策助成金、人権に名を借りて進める同和教育など多くの税金が投入されています。

特別対策の終了を打ち出した国の方針にそって事業の見直しを求める

 古い時代の身分で差別を作り出した同和問題は、差別を受けた部落出身者自身の努力によって大きく改善されてきました。こうした事から国では「特別対策をこれ以上続けることは差別解消に有効ではない」として一般施策の人権問題として扱うよう指示が出され、終結に向けて動き出している地方自治体もあります。差別解消のために永い間取組みを続けた運動団体の1つである「部落解放運動連合会」は「特別扱いを続けるのではなく、部落と一般との垣根を取り除き、国民融合を仕上げる段階を迎えている」として同和事業の終結を求め、同和地区・同和関係者に対象を限定しない通常施策として人権問題に取り組むよう求めています。

高知県ではやみ融資事件が

 高知県では同和関連の縫製業協同組合に、14億円の高度化融資や12億円のやみ融資を行っていた問題が刑事事件にまで発展し、部落解放同盟に屈してゆがんだ同和行政の典型となりました。この事件を受けて橋本大二郎県知事は「行政の主体性と透明性が欠けていたのではないかと反省しています」と大きく改革する姿勢を打ち出しています。同和対策本部を廃止し、同和と名の付く行政上の事業部を見直しています。事業費についても大きく削減、廃止をしています。
 品川区でも同様に「同和相談員」を部落解放同盟に依頼して推薦させる形で非常勤相談員を総務部分室に配置し、同和対策助成金をつけ、同和教育まで進めわざわざ差別を作り出しています。心の中にある差別意識が問題だとして憲法で保障された「内心の自由」を侵す教育を平気で進めている品川区の人権教育はニセの人権教育と言わざるをえません。

保護申請を断念させる事実上の白紙委任状―「同意書」の強要

 品川区での人権侵害はこんな形でも現れています。生活保護申請時に親族、職場などを調べて要保護者の申請を断念させる白紙委任状「同意書」問題です。生活保護は税金を使う訳ですから必用な調査はもちろん必要なものです。しかし、この同意書は昭和56年に暴力団などの不正受給が相次いだ事でこれを防止するために設けられた物で申請を断念させるために作られた訳ではありません。厳しい不況の中、職を失ったり、相次ぐ福祉の切捨てによって受益者負担が重くのしかかっています。そのため保護相談件数は大幅な伸びを示しています。生活保護の需給は憲法で認められたものとはいえ、手当てなどの需給とは違い生活そのものがどうにもならなくなり、やっとの思いで相談にくる方が多いのです。それが保護申請の要件のごとく「同意書」に署名捺印をせまられる事で保護申請を断念することがあるなら、行政が憲法を認めず恣意的に要保護者の申請権を侵している事になります。東京都でも「同意書の徴収は必ずしも不正受給の抑制には繋がっていない」としてきました。国でも一部法改正によって「申請時に一律で徴収する事を改め、必用になれば徴収する」と改善して来ましたが、品川区は申請時の一律徴収を改めようとはしていません。こうした人権侵害と差別を作り出す行政の姿勢を一刻も早く改善し、子どもやお年より、女性を取り巻く人権侵害に真剣に取り組む事が求められます。

  相談件数 受理件数 保護世帯
1997年 1192件 623件 1982世帯
1998年 1474件 570件 2188世帯
1999年 1961件 656件 2381世帯