前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

区議会報告 2000年8・9月号

ゆきとどいた保育をめざし必要な職員の確保など抜本的対策を〜今回の事故から真剣な教訓を学んで〜

品川の公立保育園で、今年四月(一人で園抜けだし)、六月(公園に置き去り)と事故が相次ぎました。今、この事故から教訓を引き出し、二度とこのような事故がおこらないようにすること、そして区民が願う“ゆきとどいた保育”へと抜本的な改善が求められています。

二つの事故のあらまし

◎4月11日の事故

午後六時頃、三歳の園児が一人で園を飛び出し、母親の職場に行く。後、母親がひきとり無事を確認。

◎6月15日の事故

午前十一時頃、二歳児クラスが近くの公園に散歩。園に帰る時、一人を置き去り。他の園の保育士が保護。

区は「職員の責任」といいますが・職員削減の影響はないのでしょうか

七月三十一日の区議会厚生委員会で、自民党議員は、「意識の低い職員が問題だ」と発言。区側も「職員体制にはなんら問題ない」としていますが、はたしてそうなのでしょうか。

四月の事故は、夕方六時頃、お迎えの親が集中し園内がごったがえす時間帯におこりました。十一人の幼児を正規と非常勤の二人の職員で見ていましたが、下痢を起こしていた子どもの対応もあり、事実上は一人体制になっていました。この間隙をぬって園外に飛び出したものです。

この園では、今年度から七時半まで延長保育となったうえに、四年前と比べると保育士三人が減らされていました。

六月の公園に置き去りにした事故は、人数確認を怠ったことが原因といわれています。

今、大切なことは当日保育に当たった職員の問題にとどめず、園全体で事故について原因と対策を明らかにすることではないでしょうか。

事業拡大、一方、職員140人も削減・月16回の変則勤務で"綱渡り保育"に

区は、今年度から病後児保育、休日保育など事業を拡大。また、全園で延長保育体制がとられ十二時間保育、四園では十時までの夜問保育事業がはじまり十四時間三十分保育となりました。

ところが、職員は四年間で百四十人も削減。その結果、毎日十種類の変則勤務というめまぐるしい勤務体制です。保育士は、多い園で月に十六回の変則勤務となり二時間〜四時間勤務の非常勤職員と組んで保育体制をとっています。そのために職員同士の話し合いも十分とれない状況です。

こんな異常な職員体制にしておいて「何ら問題なし」ではすまされません。必要な職員の確保を含め抜本的な改善が求められています。

4年間で140人の削減
・保育士74人
・調理師22人
・用務28人
・栄養士16人
(1園あたり4人の削減になります)

散歩・運動会の見直しが・・・

お泊まり保育が中止になった経過から、今回の事故をきっかけに散歩も見直しになるのではという心配があります。園庭が狭いだけに子どもたちが楽しみにしている散歩は欠かせないものです。また、一部の園で運動会の見直しもはじまっています。

一方、職員削減により「子どもを保育園に預ける時も迎えの時もほとんど担任に会えない」「連絡帳がなくなり子どもの様子がわからない」と父母から不安の声がよせられています。

区は「預かるだけ」の保育に変質、させようとしています。

子どもたちや親たちの願いは“ゆきとどいたゆたかな保育”です。みなさんはどうお考えでしょうか。

職員配置は現状に目を向けて

あってはならないことが起きてしまいました。いま大事なことは、なぜこのようなことが起きたのか、その原因をしっかり究明し、全園の教訓にすることではないでしょうか。

品川の公立保育園は、国・都基準を上回る職員配置を実現し、維持してきましたが、それは父母の保育要求(延長・産休・障害児保育、完全給食等)に先進的にこたえた結果であって、十分根拠のあるものでした。それが問答無用で百四十人も削られたので、そのシワ寄せがどこかにあらわれるのではという危倶が以前からあったのです。

区当局は、特例保育のまったくなかった五十一年前に「最低基準」として定めた国基準と単純に比較して云々するのではなく、現状にしっかり目を向けて対処すること、このことがいま強く求められているのではないでしょうか。

自治体問題研究所特別研究員岡部達男

また事故がおきないか心配です

今回の新聞報道には、大変驚いています。お迎えの時、正規職員と非常勤さんで保育しています。職員のどちらかが子どもをトイレに連れていっている間、たいへん手薄で親としてとても不安です。また、園での子どもの様子も見えなくなっているだけに安心して預けられる保育園にしていただきたい。

中延在住公立保育園父母

保育問題で公開質問状・140人職員削減、給食の民間委託『問題なし』ではすまされません

〜高橋区長は回答する責任があります〜

「今回のご質問についてはあらためて個々にお答えする事は差し控えます」…高橋区長は八月二日、日本共産党の保育に関する『公開質問状』に対し門前払いの通知をしてきました。

事実を確かめることもせずに共産党区議団の「区議会報告」を「一方的主張」と中傷しながら、公開質問が出されると「回答拒否」、これが地方自治体のとるべき態度でしょうか。

区長にあらためて回答を求めます

通知は「(質問内容は)議会の場で論議を尽くすべき」として拒否回答の理由を述べています。しかし、この主張には問題があります。

一つは、品川区が党の「区議会報告」に対して、「(職員削減により)保育園運営に影響が出ているかのごとく報じられている」「誤解を招きやすい表現」と共産党の主張をゆがめた文書を父母に配りました。党区議団に確かめることもなく一方的に父母に文書を配布したのですから、区民がどちらの主張が正しいか、判断するためにも答える義務があります。

もう一つは、区の通知では職員の百四十人の削減も給食の民間委託も「なんら問題なく推移している」と断定している点です。

しかし、一面で報じたように、保育園では事故が相次いでおり、父母の間での不安が広がっています。読売新聞毎日新聞などマスコミも品川の保育問題をとりあげています。

区長は子育て支援を重点施策といいながら、これだけ問題が起きているのに質問に答えることなく「問題なし」、こんな態度は許されません。あらためて一日も早い回答を求めます。

「公開質問」は私たちが聞きたいことです

高橋区長は日本共産党の「公開質問状」に回答を拒否したとのことですが、区議会議員は区民の代表です。公開質問状は私たちの声を代弁したものです。「答えない」というのでは区民に答えるつもりがないというのでしょうか。

保育課長は何年も父母や父母会、父母の会連絡会と会おうともしません。保育園に子を預けている親も区民です。ぜひ区民の声を聞いてください。

西品川1丁目在住・前父母の会会長小林徹

公開質問の経過

●日本共産党区議団は六月初旬、区議会報告「品川の保育これでいいのでしょうか」を発行。給食の民間委託や百四十人の職員削減問題を告発。

●区は六月十三日、保育課長名で「保護者の皆様へ」を発行。「一方的な主張…」などと党区議団の主張に反論。

●七月十九日、党区議団は、十四項目の公開質問状を高橋区長に提出。

●八月二日、高橋区長「回答は差し控えます」と通知

公開質問状の要旨

「公開質問状」は、保育職員を削減しても「問題なし」という区長に対して事実を明らかにするためにおこないました。質問は下記の6項目を含め全部で14項目、保育園に子どもを預ける父母のみなさんの声をお聞きしてつくりました。

<給食の民間委託について>

質問1
民間委託している保育園の調理従事者について、保育園ごとの内訳を答えて下さい。(正規とパート社員数、賃金、勤務形態、交通費の支給など)

質問2
区の見解では「職員の連携プレーが重要」といいながら、民間委託の職員は職員会議などに参加できません。委託により「今まで以上に職員の連係が密になった」としていますが、具体的な中身をお答えください.。

質問3
父母会および父母の会連絡会の要請に、なぜ説明会を開かなかったのか。その理由をお聞かせください。

<説明>
区は、人件費削減のために職員定数削減と民間委託の導入をすすめています。しかし、給食調理に従事するパート、非常勤職員の処遇は低賃金に加え、過酷な労働条件であり、安定した勤務は望めません。すでに委託業者勤務のパート労働者が退職しています。また、アレルギー食は特に父母と栄養士、調理師、保育士の連携が犬事ですが、委託で連携が弱まることが心配です。ところが区は何の論証もなく「今まで以上に連携が密になった」というのです。

<職員の大幅削減と新規事業の拡大による子どもへの影響について>

質問4
具体的に職種ごとの削減数を明らかにしてください。

質問5
障害児等の保育にあたる保育士の定数40名の削減は明らかであり、障害児等の保育は後退しています。障害児等の子どもの人数と正規保育士と非常勤職員の配置数を明らかにしてください。どこの役割をしていた保育士から障害児等に配置したのかも伺います。

<説明>
高橋区長がすすめてきた保育園職員削減は、この4年間で障害児等加算をはじめとしで保育士74人など総数140人にのぼります。これは議会にも報告してきました。ところが、今回は「保育士は実質28人減」と数字を少なくみせかけています。

<保育園行事の基本的考え方について>

質問6
区は、お泊まり保育を中止、親子遠足・運動会などの中止や内容の変更をしています。子どもが一番楽しみにしている行事を後退させることが、「子どもの最善の利益を考慮している」といえるのか、その理由をお尋ねします。また、行事についての位置づけを伺います。

<説明>
親子遠足や運動会などの行事は、子どもたちの楽しみだけでなく、父母や地域住民にとっても子どもたちの成長を確かめ合う場です。ところが、職員削減は各園でこうした行事を中止や縮小したり、卒園アルバム用の写真撮影までやめざるをえない状況をつくっています。

なお、公開質問の全文と区長からの回答拒否通知など資料をご希望の方はご連絡ください。

日本共産党品川区議団
直通TEL:5742-6818 FAX:3778-3088 Eメール:info@jcp-shinagawa.com

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ