2025年12月05日
石田ちひろ区議が「敵基地攻撃ミサイル配備中止を国に求める請願」への賛成討論を行いました。
2025.12.05 石田ちひろ区議
日本共産党品川区議団を代表して、令和7年請願第19号「敵基地攻撃ミサイル配備中止を国に求める請願」に賛成の立場で討論を行います。
本請願は敵基地攻撃ミサイルの配備は、憲法違反であり、アメリカが起こす戦争に日本も巻き込まれ、国民の命が犠牲となる危険があるとし、敵基地攻撃ミサイル配備を中止するよう国に申し入れることを求めるもので、市民連合しながわから提出されました。
総務委員会では、共産党は本請願に唯一賛成し、採択を求めましたが、賛成少数で不採択となりました。
以下、賛成理由を述べます。
まず一つ目に、敵基地攻撃ミサイルの配備は憲法違反だということです。
請願審査した総務委員会では、多くの委員が敵基地攻撃ミサイル配備は「専守防衛の範囲であり、憲法違反ではない」と発言。
しかし歴代政府は憲法9条2項が禁じる「戦力」に該当しない「自衛のための必要最小限の実力」として自衛隊を位置付けてきました。敵基地攻撃ミサイルという「相手国の領域に直接的な脅威を与える攻撃的兵器の保有」は、自衛のための最小限度の範囲を超え、憲法9条2項の禁じる「戦力」に該当します。また、敵基地攻撃ミサイルは、3000㎞先の中国等にも届く長射程ミサイルで、軍事拠点をせん滅するだけの威力を持ちます。まさに「攻撃的兵器の保有」であり、専守防衛の原則を根底から覆し、従来の憲法解釈を逸脱する憲法違反です。
また、敵基地攻撃ミサイルは、日本が攻められる危険があると判断されたときに発射するとされていますが、「日本が攻められる危険」の判断は大変難しく、相手がミサイルに燃料を注入したときなのか、発射ボタンに指をかけた時なのか、実際に発射された瞬間なのか、政府は「その時の国際情勢や相手国の意図など総合的に判断」と言いますが、判断基準も示せず、憲法違反の先制攻撃になりかねません。
二つ目に、敵基地攻撃ミサイル配備が抑止力になるどころか危険をさらに呼び込むことになるということです。
安保法制のもと安保三文書で「専守防衛路線」は投げ捨てられ、現在、沖縄から北海道まで、他国を先制攻撃できる長射程ミサイルの大量配備と大型弾薬庫130棟の増設が進められています。
熊本県・健軍地区では、ミサイル配備によって自分の住む地域が攻撃の対象になっていくのではないかと反対の声が大きく上がり、商店街を埋め尽くす1200人もの住民や自治会長、商店街関係者が集まり反対運動が巻き起こっています。共産党は国会で防衛大臣に、地域への説明会を求めましたが、実施すると言えず、住民はさらに不安を強めています。
今、実際に自衛隊は米軍の指揮下に組み込まれ、共同訓練は百数十回におよんでいます。さらに日本全土が戦場になることや核攻撃まで想定し、全国283地区の自衛隊基地の地下化などの強靭化に10年間で4兆円をかけ、およそ12600棟も建て替えるとしています。これでひとたびミサイルを飛ばす事態になれば、各地のミサイル配備の拠点などが狙われることは免れません。
そうした状況だから、敵基地攻撃ミサイル配備は危険なんだと、多くの住民が反対の声や不安の声を上げている中、高市首相が軍事対軍事の前のめりな姿勢を示した「台湾有事発言」は問題です。
「台湾有事発言」の最大の問題は、特定の国を名指しして、戦争を行うことがありうると公言したことであり、こんな発言をした首相は戦後の歴史でも高市首相が初めてです。台湾海峡での米中の武力衝突が「どう考えても(日本の)存立危機事態になりうる」という答弁は、日本に対する武力攻撃がなくても米軍を守るために自衛隊が中国に対する武力行使を行う=戦争を行うことがありうると宣言したことになります。戦争放棄をうたった日本国憲法を蹂躙し、日中両国民に甚大な被害をもたらす惨禍につながる危険極まりない発言で、許されるものではありません。
1972年の日中共同声明では、日中政府が、台湾が中国の領土であることを、十分理解し尊重するとしたことで、国交正常化が実現しました。また2008年には「日中双方は互いに協力のパートナーであり、互いに脅威にならない」との合意もあります。高市首相が台湾問題への軍事的介入の可能性を公言したことは、これまでの両国の合意を乱暴に踏みにじるもので、日中両国関係正常化の土台を壊す発言です。解決のためには発言撤回しかありません。
政府の抑止力の考え方は「軍事力を強めれば相手がひるんで日本の安全は守れる」ということですが、相手がひるまなかった場合はどうするのか、その答えがありません。軍拡や危機をあおる言動ばかりでは、だれも望んでいない戦争になりかねません。
大軍拡は抑止力などではなく、近隣国への脅威をあおることになり、それは軍事対軍事の悪循環に陥り、際限のない軍拡へと突き進み、ひとたびミサイルが撃ち込まれる事態になれば、それは戦争です。すぐには終わらず、多くの国民の命が犠牲になることをこれまでの戦争が証明しています。そうした国にしていいのかが今問われています。
三つ目に、だからこそ敵基地攻撃ミサイルの配備ではなく、対話による外交で紛争を戦争にさせないことしか、平和をつくる道はないということです。
東南アジア諸国連合ASEANは、粘り強い対話の努力を続け、半世紀前の「分断と敵対」から「平和と協力」の地域へと劇的に変化させ、「世界で最も成功した地域」と言われています。年間1500回もの会合を開き、紛争を戦争にしない関係を作り、自主独立と団結を大切にし、「平和と安定があってこそ繁栄がある」として平和構築と経済協力、社会文化協力を一体で取り組んでいます。
このASEANの取り組みを、日本、中国、韓国、ロシア、米国など東アジアまで広げ、現在ある東アジアサミットを平和の枠組みとして発展させ、憲法9条を生かした平和外交で、包摂的に東アジアの平和を構築していくことが必要です。
区民の生命・財産を守り、紛争を戦争にさせないことは政治の責任です。国の専管事項だとして背を向けるのではなく、本請願を採択し、これ以上の戦争の準備をストップさせ、対話による外交を進める世論を、品川から広げていこうではありませんか。それを呼び掛けて賛成討論を終わります。ありがとうございました。
