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2025年12月05日

安藤たい作区議が「駅前地区再開発大失敗と、小山三丁目第一地区再開発二の舞いを懸念する陳情」への賛成討論を行いました。

2025.12.05 安藤たい作区議

  日本共産党品川区議団を代表して、令和7年陳情第52号「駅前地区再開発大失敗と、小山三丁目第一地区再開発二の舞いを懸念する陳情」への賛成討論を行います。

 小山三丁目第一地区は、武蔵小山駅前のアーケードをまたいだ敷地に40階建てタワマンを建てる計画。地区内には5棟の分譲マンションがあり高齢の区分所有者も多数住んでいます。反対運動を行う住民団体が求めていた開発準備組合理事長との懇談は11月21日に行われましたが、わずか6日後の27日、東京都により組合設立認可がおろされました。再開発組合は設立すると、賛成しなかった地権者も含め強制加入させられることになり脱退することはできません。それから30日間の間に転出申出期間が取られ、期間終了翌日から6か月以内に権利変換計画の縦覧が始まり、意見書の提出等を経て、認可申請、決定の手続きが行われることになります。この決定をもって地権者の土地は再開発ビルの敷地として共有になり、建物の所有権は開発施行者に移ります。住民の苦悩と、くらしの権利を守るたたかいはこれからも続きます。

 本陳情は、同じ武蔵小山で6年前に竣工したパルム駅前地区再開発の検証等を求めるとともに、不動産価格や建設費の高騰等の下で小山三丁目第一地区再開発が失敗し商店街が壊れてしまうのではないかと懸念しています。

 以下、賛成の理由を2点述べます。

 1点目は、区は超高層再開発を膨大な税金も投入し誘導してきたにも関わらず、建った後の結果には関わりを持たないというのはあまりに無責任だという点です。

 地元住民である陳情者は、6年前に既に竣工したパルム駅前地区再開発ビルについて、9月末に主要3店舗が同時閉店したことなどを指摘し、「賑わい創出とは程遠い」と指摘しています。区は陳情審査で、現時点で店舗48区画中、6区画が空き店舗になっていることを明らかにしました。また、駅前広場ができたことや週末はイベントが行われていること等をもって、再開発により「賑わいは強化されているとの認識」だと述べましたが、多くの区民の実感とは乖離していると言わざるを得ません。あらためてパルム駅前地区再開発の目的を伺ったところ、区は、防災性の向上とともに「商業の機能強化」と答えました。しかし、多くの個性的な個店が立ち退かざるをえなくなり、空き店舗も相次ぐ現状が、機能強化、賑わい創出とはたして言えるでしょうか。陳情者は「閉店が相次ぐ原因を明らかにして頂きたい」と要望。検証が必要ですが、区は「店舗ごとの経営自体は把握していない」と拒否しました。従前に地域を賑わせていたなじみの店舗のうち、どれくらいが残留できたのかも区はつかんでいません。

 パルム駅前地区再開発は、109億円もの補助金、税金が投じられ行われた事業です。109億円とは、例えば、子どもの国保料の無料化に充てるなら72年間分にあたります。諸課題をクリアしてコミュニティバス大崎ルートを走らせることができたならば68年間走らせることができる額です。区の一方的な印象のみで、根拠も示すことができず、事業は成功したと主張するのは税金の使い方としてあまりに乱暴であり、説明責任すら投げ捨てるものです。

 2点目は、事業認可を決定してから資金計画や権利変換計画が決まるという、地権者や区民にとってリスクが大きい再開発事業の仕組みは、根本的に正されなければならないという点です。

 陳情者は、既に竣工したパルム駅前地区に比べ、これから動き出す小山三丁目第一地区は、事業費と税金投入額は2倍超で、また、近年の不動産価格と建設原価の高騰・急騰を指摘し、事業が破綻する危険性を指摘しています。
組合に強制加入させられる地権者にとってのリスクは、事業破綻の際には、準備組合段階を含めそれまでの費用負担をかぶらされるのではないかというリスクです。現在のところ、住宅850戸等を整備する小山三丁目第一地区の事業費は963億円、補助金は221億円ですが、前述の通り、これらの最終的な権利変換計画は、事業認可後にあらためて算出・決定することになるため、昨今の物価高騰・建設コスト増で、これが大きく変化することは明らかです。実際、中野区のサンプラザの開発では、野村不動産が事業費高騰で思うような利益が見込めなくなったため、事業認可申請を取り下げました。事業認可後に事業がとん挫する事態を想定しているのか、三菱地所からは資金計画についてどのような説明を受けているのかと伺うと区は直接答えず、「資金計画は今後必要に応じて変化していくもの」と答弁し、開発企業任せの姿勢でした。

 一方の、区民にとってのリスクは、税金投入が際限なく膨らみかねないという点です。区内で工事中の東五反田二丁目第三地区再開発は、都市計画決定時の税金投入見込み額91億円が220億円と2.4倍に膨れ上がりました。現時点での小山三丁目第一地区の補助金221億円が事業費の増加に伴い際限なく膨れていいのかと問うと、区は「関係法令に則って行政としては対応していく」と答弁し、容認する姿勢です。

 開発当事者の住民にとっても、区民にとっても、リスクの大きい現在の開発の仕組みは、根本的に正されなければいけません。陳情者の懸念は当然のことです。

 以上が陳情への賛成理由です。議場の皆様へ陳情の採択を呼びかけまして、私の賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。