2025年07月10日
のだて稔史区議が「戸越公園駅北地区再開発計画の見直しを求める請願」への賛成討論を行いました。
2025.07.10 のだて稔史 区議
日本共産党品川区議団を代表して令和7年請願第7号「戸越公園駅北地区再開発計画の見直しを求める請願」に賛成の立場で討論を行います。
本請願は説明会などで出された「(超高層は)この街にふさわしくない」「にぎわいがつくれるのか」などの声を紹介し、戸越公園駅前で30階建て高さ110m、住宅290戸の超高層マンション計画をできるようにする地区計画の撤回を求め、高さを低くすることや区議会として現地調査することなどを求めるものです。448筆の署名とともに「住民の暮らしと安全・環境を守る会」から提出されました。
以下、陳情への賛成理由を2点述べます。
1点目は、地域住民が超高層再開発を望んでいないということです。
12月、1月、3月と行われた説明会では「風が怖い」「日が当たらなくなる」「商店街のにぎわいがなくなる」「このまちになじまない」などこれまでの穏やかな生活ができなくなるという批判的な意見がほとんどでした。それは既に完成した19番地区による被害を住民が実感しているからです。19番地区は23階建て、高さ88m、北地区はそれよりも高い30階建て110m。こんな超高層が建ったら地域住民への更なる被害は免れません。
批判の声が殺到しているのですから意見交換の機会を増やし、専門家を招いた公聴会も実施すべきです。にもかかわらず、品川区がまちづくりマスタープランやビジョンに位置付けていることを理由に批判の声を無視して、当初の予定通り5月8日に都市計画審議会を開き、5月30日に都市計画決定を強行したことは許せません。こうした進め方は住民主体のまちづくりといえません。
説明会がアリバイ作りになっています。区民からも「話を聞くだけで意見が反映されないのは止めてほしい」と、意見が出ていました。ほとんど批判の声にもかかわらず説明会を行えば手続きを進めていくという姿勢は改めるべきです。地域住民は説明会が行われて初めて計画を知るのですから、そこから住民参加をさらに位置づけることが必要ではないでしょうか。
説明会の意見や提出された意見書、この署名が448筆集まっていることを見ても住民が超高層を望んでいないことは明らかです。地域住民が望まない超高層再開発は止めるべきです。
2点目は区は課題解決といいますが、いくつもの新たな課題を作り出すのが超高層再開発だということです。
区は北地区の課題として老朽化した建築物が密集していることや狭隘な道路が多い、商店街のにぎわいの維持・向上などを上げて超高層を進めています。しかし、地区の約半分が駐車場で、狭隘道路と言われる4m未満の道路は1本しかありません。再開発によって高齢者がのんびり歩いて買い物できる商店街も壊されてしまいます。住民からも説明会で「再開発は冷たい建物ばかりできる。19番地区で店の数が減り、利便性もなくなり、にぎわいがなくなった」との意見が出されています。北地区の課題とされている商店街のにぎわいを悪化させているのが再開発ではないでしょうか。
その下で紹介した通り様々な新たな課題を生み出しています。特に強風は四間通りを通ったことがある方は実感しているのではないでしょうか。あまりの強風に自転車が前に進まない。転んで何人もけがしている。「毎日台風のようだ」との声まででています。この風が説明会ではシミュレーションで問題ないとされました。北地区ではさらに風が強まるシミュレーション結果です。北地区ができてしまったらどれだけの被害になるか計り知れません。
日影も2棟の超高層ビルで半日日が当たらないとの声が出されており、商店街も日陰になってしまいます。ビルが高すぎて景観悪化や圧迫感など今の穏やかな生活をおよびやかすものになっています。こうした超高層再開発が進められると地価があがり、固定資産税が上がり、家賃が上がり、今住んでいる人が住み続けられない街になってしまいます。様々な住環境を悪化させるのが北地区の超高層再開発です。新たな課題を実感するためにも議会として現地を見るべきです。
超高層はCO2の排出も増やします。皆さんもこの間の異常な暑さを実感していると思います。超高層再開発で床面積を増やすことで、エネルギー使用量が増え、CO2の排出量も増えます。北地区1棟でも住戸290戸のCO2排出量を推計すると年間513.3t-CO2。吸収するには58.3ha、戸越公園32個分の杉林が必要になります。超高層は地球温暖化、気候危機を促進するものです。
他にも建て替え時の合意ができないことや地震時にはエレベーターが止まる、地域とのコミュニティ形成も困難であり防災にも課題があるなど超高層は持続可能なまちづくりとは言えません。
課題解決どころか新たな課題を作り出しているのが超高層再開発なのです。
先の代表質問で区長が「まちづくりの主体は地域住民。住民の様々な声に耳を傾ける」と答弁したことは重要です。まちづくりの主役は開発企業ではありません。まちづくりの課題解決にあたってはデベロッパー主導ではなく区が住民を支援しともに考える仕組みづくりが必要です。
多額の税金を費やす補助29号線と超高層再開発をやめ、空いた道路用地に公園や障害者・高齢者施設、区営住宅をつくるまちづくりに転換することこそ住民の願いです。こうした緑と福祉のまちづくりへの転換こそ持続可能なまちづくりになるのではないでしょうか。
各議員の皆様にも区民の住環境を守り、持続可能なまちづくりにしていくために本請願への賛同を呼び掛けまして私の賛成討論を終わります。