2025年07月10日
安藤たい作区議が「本掘進に入る前の今こそリニア新幹線の中止を決断するようJR東海に求める請願」への賛成討論を行いました。
2025.07.10 安藤たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表して、令和7年請願第9号「本掘進に入る前の今こそリニア新幹線の中止を決断するようJR東海に求める請願」への賛成討論を行います。
本請願は、JR東海に対し区が、この夏からと言われているトンネル本掘進工事に入る前に、目黒川で起きた酸欠気泡の原因究明と教室型住民説明会の開催を求めるとともに、本掘進に入る前の今こそトラブル多発のリニアは中止を決断するよう求めるものです。リニア新幹線の中止を求める品川区民の会から、280名の署名とともに提出されました。
賛成理由を以下3点述べます。
1点目は、酸欠気泡発生や陥没事故の危険など、住民の不安が全く払しょくされていないまま本掘進を見切り発車することは許されないという点です。
昨年8月、リニアルート上の目黒川で発生した酸欠気泡は酸素濃度4%で、吸引すれば瞬時に意識消失・呼吸停止・死亡の可能性のある危険なもの。陥没事故が起こった調布市・東京外環道のシールド工事では、近くの川で酸欠気泡が噴出した後、事故が起きました。しかしJR東海は住民説明会で、気泡発生とリニア工事の因果関係を認めず、「気泡発生箇所の水面付近の酸素濃度は21%程度で大気中の酸素濃度と同等」などと安全性を強調。区は、区民から不安や懸念の声が多くあがったことなどから、昨年12月19日付で「原因究明を行う」ことと、「区民への丁寧な説明と適切な措置を図る」ことを求める要請書を発出していました。ところが、その回答は「泡の状況等を引き続き注視しつつ、対応について検討していく」ということにとどまり、区が求めた原因究明は行われていないことが明らかになりました。原因究明もほったらかし、住民へ説明するものも無く、説明する意思も無し。これで夏から本掘進に入ろうとはJR東海はよく言えたものです。到底許されません。
2点目は、住民の命と財産の危機について、区の無責任な姿勢です。
JRが見切り発車の態度を取るならば、要請を発出した品川区は毅然と意見を述べるべきです。しかし、「区が要請した原因究明が実行されていないことに対してどう考えているのか。そのまま工事を始めるとJRが言ったら納得するのか」と聞いても、区は「リニアについては、JR東海が国から認可を受けて、JR東海の責任の下に実施されている事業だ」と何度も繰り返すだけでした。請願にある中止要請について「民間事業だからというのは理由にならない。区が中止を求めない理由は何か」と聞いても、やはり「国から認可を受けてJR東海の責任の下に行われている事業」と同じ答弁を繰り返しました。質疑を通してこの答弁は8回も繰り返されています。国がお墨付きを与えた民間事業であれば、事故が起きないとでもいうのか。事故が起きようが起きまいが品川区には関係ないということなのか。実際に、調布では巨大な空洞・陥没事故が起こり、該当する全ての住宅が立ち退きとなり住み続けられなくなる事態が起きているのです。区民の命と財産に関わる大問題なのですから、区は自治体の責任を果たすべきです。
3点目は、JR東海の住民に対する説明のあまりに不誠実な態度です。
区民の命と財産に関わる問題であるにも関わらず、JR東海の姿勢はあまりに透明性に欠いています。質疑では昨年12月、今年5月の3回の住民説明会の参加者や出された意見について伺いましたが、「参加人数や主な意見等については公表されていない。区としても伺っていない」「他の工区も同様の対応であると聞いている」との驚くべき答弁でした。これだけ巨大な影響を与える事業であるのに、全工区で説明会の様子は公開されていないというのです。
また、地元自治体の品川区とJR東海との日常の連絡体制について尋ねたところ、「常日頃、日常的にやっているかというところでは、特にやっておりません」「ホームページで公開している掘進の進捗状況が当日メールで送信されたり、調査掘進であったトラブル発生も当日に情報を得ている状況」との答弁でした。これも驚きです。
更に、今回、第二京浜から西の地域、中延や旗の台については5月に行われたオープンハウス型説明会を対象外として開催せずに、夏からの区内での本掘進を始めようとしています。北品川工区でのトンネルを掘り始め、既成事実で住民を黙らせよう、諦めさせようという不誠実極まりないやり方です。
これらのやり方から、JR東海には事業を担う資格すらないと言わざるを得ません。
以上、3点にわたり賛成理由を述べてきました。
リニア新幹線工事は、東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知など一都六県でマシンの故障、水枯れや地盤沈下、トンネル崩落による死傷者が出るなど、全国各地でトラブルが続出しています。それに加え、気候危機対策に逆行、地震対策が全く取れていない問題、盛土による二次被害の危険、巨額な公的資金の投入など問題だらけです。だからこそ、本掘進に入る前の今こそ中止の決断が必要なのです。請願を採択していただくよう呼びかけまして、私からの賛成討論を終わります。