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2025年07月10日

鈴木ひろ子区議が「訪問介護報酬引き上げ求める請願」への賛成討論を行いました。

2025.07.10 鈴木ひろ子 区議

 日本共産党品川区議団を代表して、令和7年請願第11号「国が引き下げた訪問介護事業者への区の減収補填分を区に補填することと、訪問介護事業者の訪問介護基本報酬引き上げを求める意見書提出を求める請願」に対する賛成討論を行います。

 この請願は、国の訪問介護基本報酬引き下げにより多くの事業所が減収に陥り、倒産廃業が過去最多となる中、品川区独自の支援策として減収補填を打ち出したことを大いに賛同すると述べています。同時に、減収補填分の区の予算は区民の負担であるため、補填した自治体の財政負担を補填することと、訪問介護基本報酬を全産業の賃上げ以上に引き上げるよう国に求める意見書を上げることを求めています。

 まず第1に、共産党としても、品川区が今回、国が行った訪問介護報酬引き下げによる減収補填を打ち出したことを大きく評価するものです。

 区は国が引き下げた訪問介護基本報酬の減収補填として、介護報酬の2.5%分を支援金として支給することを都内初として打ち出し、3930万円の予算を組みました。

 共産党は昨年から聞き取りをした事業所の実態を述べ、厚生委員会や予決算、代表質問や緊急要望などで繰り返し区独自の減収補填を求めてきました。他の自治体に先駆けて打ち出した区の減収補填の支援は大変重要なことと大きく評価するものです。

 次に、請願に賛成の理由を2点述べます。

 1つ目は、国が行った報酬引き下げによって介護崩壊と言われる危機に直面しています。国の責任において報酬引き下げを撤回し、引き上げこそすべきです。

 厚労省の調査で6割の事業所が減収になったことが明らかになりました。区内でも閉鎖した訪問介護事業所は直近5年間で12か所に上り、加えて今年度すでに2か所閉鎖するという深刻な状況です。人手不足と報酬引き下げによる減収で事業所がどうなっているか。毎日毎日猛暑が続いていますが、炎天下を自転車を走らせながら朝早くから夕方、あるいは夜まで、1日7軒も8軒も訪問する。排泄介助、服薬管理、調理、買い物、洗濯、掃除などなど利用者に向き合って様々なニーズに応えます。過酷な現場の実態です。ここに追い打ちをかけたのが介護報酬の引き下げでした。今年閉鎖した事業所は、人手不足の中、去年の夏の猛暑で職員が疲弊しきってしまい、人材確保もできない中、もう限界だと閉鎖を決めたとのことでした。国は一刻も早く報酬引き下げを撤回し、引き上げこそすべきです。

 2つ目に、全産業で5%の賃上げがされても実質賃金マイナスという状況もと、介護報酬が引き下げられたことでさらに全産業と介護労働者の賃金格差が広がりました。請願者が求める全産業平均賃上げ以上の介護報酬引き上げが必要です。

 全産業平均の賃上げが2024年の春闘で5.1%、2025年度5.32%と2年連続5%を超えました。しかし、物価上昇がそれを上回り、実質賃金は連続マイナスという状況です。本来であれば、この物価高の中、介護報酬も全産業平均の賃上げ以上の引き上げが必要なのに、逆に引き下げたために賃金格差はさらに拡大、介護労働者は月7~8万円低く、年間で100万円も低い状況がさらに拡大しています。全産業平均賃上げを上回る介護報酬の引き上げは当然行うべきです。

 また、委員会審査時に公明党の委員から出された「介護報酬を引き上げる財源は、介護保険料を引き上げるということか」との質問について述べます。共産党の提案は、保険料を引き上げるのではなく国庫負担を10%増やして35%とし、国の支出を1.3兆円増やすというものです。これは自民・公明両党も野党時代や政権復帰した2012年総選挙の公約でも掲げていたものです。

 社会保障充実の財源は、富裕層・大企業への行き過ぎた税制の優遇を改め、応分の負担を求める税制の改革によって確保できます。さらに大軍拡が進められ、安倍政権前は5兆円以下だった軍事費が今年度は8.7兆円、これは教育予算の1.6倍です。さらにトランプ大統領の要求であるGDP比3.5%となれば21兆円、これは今年度の軍事費の2.4倍です。医療や介護の予算を削減しながら軍事費だけは財源の議論もないまま増額し続けることは許されません。税金は軍事費ではなく、介護や医療、社会保障の充実にこそ使うべきです。

 深刻な事態の改善へ、一刻も早く介護報酬引き下げを撤回させ、介護報酬の引き上げを議会から求めて行こうではありませんか。請願の賛同を呼びかけ、賛成討論とします。