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品川区保育の実施に関する条例の一部を改正する条例を提案

>> 提案説明  いいぬま雅子区議

>> 賛成討論  菊地貞二区議

提案説明いいぬま雅子区議

議員提出第3号議案、「品川区保育の実施に関する条例」の一部を改正する条例について、提案者を代表して説明をおこないます。

本案は、昨年10月1日から平均9%値上げした保育料を、9月以前の保育料に戻すものです。改正案は、別表第1中、現行左側の表を右側の表に改めるものです。

本条例の施行日は、平成17年10月1日です。

以下改正の理由を述べます。

6月2日厚生労働省発表によると合計特殊出生率は過去最低の1.289となり、少子化の進行が更に深刻な状態にあると報じられました。国を挙げて抜本的改革が必要です。品川区の合計特殊出生率0.85はいっそう深刻な状況であり、国の対策はもちろんのことですが、自治体として実現可能なところから直ちに取り組み、子育て支援を前進させることが緊急の課題です。

昨年10月に行なわれた保育料値上げは、最多世帯D10階層、3歳未満児では月29,200円が31,900円と改定され、年間32,400円の負担増となりました。

保育料値上げの理由に、多額な区の負担の見直しがありました。しかし区負担が多額である原因は、保育所運営費の法定負担割合の仕組みが、国の負担を低く押さえ、保護者や自治体負担を大きくしているのが実態です。負担増解消は国にこそ求めるものであり、これを区民に転化する保育料値上げは、ますます少子化に拍車をかけ、子育て支援に逆行するものです。

値上げ理由の一つに、「受益者負担」という考えもありましたが、保育園は共働き世帯はもとより、在宅子育てを支える施設としても広く活用され始めています。子どもは家族の宝であると同時に社会の宝です。次世代を育てることは、労働力や税収、社会保障の支え手など、あらゆる分野で社会全体に関わる問題です。この観点から受益者は社会全体と考え、負担増を利用者に求めるのではなく、公的責任を強化する必要があります。

少子化の要因に子育て、教育費など経済的負担が挙げられていることはすでに区の「少子化に関する区民調査」でも明らかです。国民基礎調査によると1世帯あたりの平均所得は589万円で6年連続減少しています。特に子育て世代は「非正規雇用」が増えていることで低賃金に歯止めがかからず、「生活が苦しい」が62.9%にも達しています。収入減の中、今年4月からの国民健康保険料値上げ、9月からの厚生年金共済年金保険料値上げ、05年06年連続の定率減税の廃止など負担増は目白押しとなり中・低所得者に重い負担を与えることは明らかです。今こそ冷え込んだ家計に配慮すべきです。

共産党区議団は、5月以来区民アンケートに取り組んでいますが、20代30代の子育て世代から、声が寄せられています。代表的なものを紹介します。「私は現在1人子どもがおり、2人目を思案中、でも1人育てるのに大学まで考えると大金がかかる。今の時代リストラの心配もあるので収入のあるうちに預金も必要。そんな心配をして2人目は産めない」また「今はとにかく子どもに対する費用に助成や援助を少しでも多く受けたい。できればもっと産みたいのにこれからの生活を考えると今一歩踏みとどまってしまいます。子沢山を応援して欲しい」。アンケートの声からは、将来不安、経済的負担感から、子どもを産みたくても、あきらめてしまう現状が伝わってきます。「あきらめないで一緒に育てましょう」という応援支援を伝えることが今すぐに必要ではないでしょうか。

わが党はこれまで、乳幼児医療費の無料化、妊婦無料健診の拡大、認証保育園保育料負担軽減、保育料第2子半額・第3子以降無料化、出産祝い金条例など経済的支援策を提案してきました。今回は、保育料値下げ一点に絞り提案します。

他区の状況をみると値上げを行ったのは、品川区を除くと今年足立区1区のみで、渋谷区は今年3割から5割の値下げが行われ歓迎されています。本年に必要な財源は本年度3650万円になり、品川区の財政状況で十分対応できる予算と考えます。

以上品川区保育の実施に関する条例の一部を改正する条例についての説明です。慎重にご検討いただき,ご決定いただきますようお願いいたします。


賛成討論菊地貞二区議

議員提出第3号議案「品川区保育の実施に関する条例」の一部を改正する条例に対し、賛成者を代表して討論を行います。

今年6月に発表された合計特殊出生率は全国平均1.289で全国に衝撃が走りました。品川では0.85とさらに深刻であり子育て支援の拡充は急務となっています。

本案は、以上の立場から昨年10月1日、平均9.2%の値上げをおこなった保育料を9月以前の保育料に値下げし、子育て世代の経済的負担を軽減し、少子化の改善を図ることを目的にしたものです。

冒頭の本会議で飯沼議員から提案説明がされていますので、私は厚生委員会の審議で出された議員、理事者の発言に関連し見解を述べます。

本案に反対する理由として出された意見は以下四点であります。

第一は、子育て支援は保育料問題だけでなく多面的な施策が必要だ。
第二は、品川区は他区に比べサービスが充実しているので値上げは妥当。
第三は、在宅の子育て支援が大事であり、区民の公平性、受益者負担の原則から値上げが必要だ。
第四は、保育料が特別高いと言う意見はない。
などであります。

第一の点ですが、出生率を挙げるためには多面的、系統的な支援策が必要であることは論をまたないところであります。この立場から日本共産党はこれまでも、乳幼児医療費の無料化、妊婦健診無料化の拡大、認証保育園保育料負担軽減、保育料第2子半額・第3子以降無料化、出産祝い金条例など系統的・総合的な子育て支援策を提案してきました。

残念ながら、これらすべての提案が与党の皆さんの反対で否決されました。

第二は、区が保育サービスの充実を保育料値上げの理由にする点ですが、延長・夜間・休日などは、特別保育料を別途徴収しているので、基本保育料あげる理由にはなりません。

第三の公平性・受益者負担の点ですが、わが党は、在宅、共働き問わず全体の支援が必要だと考えます。同時に働く女性は、保育園を利用する受益を得ているだけではありません。働き続けることにより所得税、地方税を始めとする諸税を納め、社会保障料の負担もおこなっています。

なによりも、子どもは社会の宝であり、社会を支えていく人間を健全に育てるために税金を投入することは区民の理解を十分に得られることです。

第四の「保育料が特別高いと言う意見はない」との意見ですが、私は耳を疑います。

品川区が2003年に発表した「少子化に関する区民調査」では、充実をしてほしいもののトップにあげられたのが経済的援助で、実に56%にのぼっています。

6月におこなったわが党の区民アンケートでも、「子育ての経済的負担を軽減してほしい」との声は多数にのぼります。ひとつだけ紹介します。

「私は2人目を生むか思案中。でも大学まで育てると大金がかかる。リストラの心配もありとても二人目は生めません」。この声に子育ての経済負担が少子化の大きな要因であることがあらわれています。

渋谷区では、今年から子育て支援の柱の一つとして所得により30%から50%の保育料の保育料値下げをおこない、全国でも秋田県などで減額が広がっているように世論の流れです。

また、海外に目を向けると少子化対策が効果を挙げているフランスは、10年間で出生率1.65を1.9以上に引き上げています。家族養育手当て、育児休業基本給付金など各種手当てから子育て環境整備まで、政府、企業、家族が一体となり包括的に取り組み「新しいベビーブーム」を作っています。子育てか、仕事かではなく、仕事をしながら子育てをするのが当然と言う考えに基づき、人口=国力と考え政策を立てています。

こうした少子化対策先進国に学び、女性の社会参加をすすめ、子育てを社会全体で支えることこそ求められているのではないでしょうか。品川区がおこなった保育料値上げは、社会の要請に反し、子育て支援に逆行するものであり、直ちに元に戻すべきあります。

以上、品川区が、子育て支援を拡充することを要望し、保育料値下げを求める条例改正に対する賛成討論を終わります。

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