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保育料3子目以降を無料に、共産党が子育て支援の充実を条例提案

>> 提案説明  鈴木ひろ子区議

>> 賛成討論  なかつか亮区議

提案説明鈴木ひろ子区議

議員提出第8号議案、「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」について、提案者を代表して提案説明を行ないます。

本案は、現行の条例「費用の額の決定」第4条の2項を2点にわたり改正するものです。

現行条例では、保育園に入所している2人目以降の保育料について、所得階層により減額の割合を3割、4割、5割と差をつけています。また、3人目以降の無料制度はありません。

改正案は、第1に、保育園に入所している2人目の保育料を、所得による減額割合の差をなくしすべて半額とするものです。第2に、保育園に入所している3人目以降の保育料を無料にするものです。本条例の施行日は、平成17年4月1日です。

改正の理由は、少子化が深刻さを増す中、子育て支援の充実はいっそう重要になっていると考えるからです。

合計特殊出生率(一人の女性が一生に生む子どもの人数)は、今年年金改定法が通った直後に2003年度出生率が1.29と発表され、日本中に衝撃が走りました。国立社会保障・人口問題研究所は、このまま少子化傾向が進めば、日本の人口は2100年には6400万人に半減するとの推計結果を発表しています。品川の出生率は0.85とさらに深刻です。少子化の進行は、労働力人口を減少させ、消費の低迷、税収減、社会保障の支え手の減少など大きな社会経済的問題になっています。

昨年7月成立した少子化社会対策基本法では、「わが国における急速な少子化の進行は…有史以来未曾有の事態に直面している。…われらに残された時間は極めて少ない。…次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、(子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てるものが真に誇りと喜びを感じることができる社会を実現し)、少子化の進展に歯止めをかけることが、今、我らに、強く求められている」と述べており、その対策は「喫緊の課題」と位置付けています。

わが党は、今回の条例提案とともに、一般質問でも妊婦無料検診の拡大や、認証保育所保育料の負担軽減の提案を行いましたが、経済的な子育て支援は社会的な強い要請です。

昨年1月に品川区が行なった「少子化に関する区民調査」でも、理想の子どもの人数が2.3人であるのに対して、実際は1.3人と1人少なく、「充実してほしいもの」に対して第1に「経済的援助」をあげています。

品川区は今年、子どもの医療費無料化を小学6年生まで拡大することを英断し、さらに福祉から子育て支援にと方針を変更しついに所得制限を撤廃することを決定しました。来年1月から実施されることとなり、区民から大変歓迎されています。

さらに2人目の保育料の減額に対する所得制限をなくし全員を半額、3人目以降を無料とすれば、子育て世代を大きく励まし、2人目、3人目をもつことへの動機付けにもなるのではないでしょうか。実際、所得税課税額が年間30万円のD13階層の世帯で0歳、3歳、5歳の3人を保育園に預けている場合、2人目の保育料が現行6割から5割となり、3人目が無料となれば、保育料は現在の月5万6800円から、3万1950円に2万4850円減額され、大きな負担軽減となります。

すでに、全国の政令市・中核都市、東京都市町村の多くの自治体が2人目を所得制限なく半額とし、3人目以降無料または1割としています。23区でも世田谷、中央が2人目は全員が半額、世田谷、板橋が3人目以降無料としています。品川区でも父母が求める経済的支援の一つとして、2人目、3人目の保育料の負担軽減を提案するものです。

予算額は、保育園に3人以上預けているのは現在31人、2人目の保育料が6割、7割となっているのは約190人ですから、年間およそ2600万円となります。

最後に条文について説明させていただきます。

第4条2項の(1)は保育園に入所している1人目の児童について示しており、現行どおりです。

(2)は、2人目の児童について、別表第1の保育料に100分の50を乗じて得た額とし、所得階層に関係なく半額にするものです。

(3)は、3人目以降の児童の保育料を無料とするものです。

以上が、「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」についての説明です。

慎重にご検討いただき、是非ご決定いただきますようお願い申し上げます。


予算の計算

  1. 保育園に2人入園しており、所得制限により保育料が6割、7割になっている児童を5割の保育料にする場合
    ―2人通園している児童は572人
    @D13〜17階層(保育料60%)―13%=75人
    AD18〜21階層(保育料70%)―20%=114人
    <計算>
    @D15階層として―3歳未満児保育料=4万600円現行60%―2万4360円5割にすると20300円。一人当たり=(4060円×12ヶ月=4万8720円)4万8720円×75人=365万4000円
    AD20階層として―3歳児未満児保育料=5万8600円現行70%―4万10205割にすると2万9300円。一人当たり=(1万1720円×12ヶ月=14万640円)14万640円×114人=1603万2960円
    1の合計1968万6960円
  2. 保育園に3人以上入園している場合、3人目以降の保育料を無料にすると

    3人入園―25人
    4人入園―3世帯×2人=6人
    合計31人
    <計算>
    平均D階層の3才児未満児保育料3万1900円
    一人当たりの保育料(3万1900円×1/2×12ヶ月=19万1400円)
    19万1400円×31人=593万3400円

総計2562万360円


賛成討論なかつか亮区議

私は議員提出第8号議案「品川区保育の実施等に関する条例の一部を改正する条例」を賛成の立場から討論を行います。

今回の条例提案の内容は、第1は保育園に兄弟で同時期に入園している場合の第2子の保育料を一律半額とすること。第2には、保育園に兄弟で同時期に3人以上入園している場合の第3子以降の保育料を無料とすること。子育て世代の経済的な負担を少しでも軽くするという提案です。

厚生委員会の質疑では、1、専業主婦に比べ、共働き家庭は支援が進んでいるので、逆に不公平になる。2、多子家庭の支援はすでに優遇されている。この2点に質問が集中しました。

一点目の「専業主婦と共働き家庭の公平性の問題」ですが、質疑では「専業主婦で子育てに専念している方のほうが大変。しかも支援がないこと」を根拠に、今回の提案を「不公平」とし、共働き家庭への支援はこれ以上必要ないというものです。これらは第1回定例会の「保育料値上げ」の賛成討論「保育園に入っている人ばかりに税金を投入しているのは不公平、子育ての負担感はむしろ専業主婦の方が多い」と同様です。

この主張は、専業主婦の方の大変さを理由に、水準の低いほうに支援の基準を合わせもので、むしろ、子育て支援の低下につながると思います。これでは、少子化は悪化させるばかりです。わが党は、今回の提案と共に、すべての妊産婦に対して無料妊婦検診の拡大など提案しましたが、今求められている支援は、基準を低く合わせるのではなく、すべての子育て支援の充実こそ必要だと思います。

二点目の「多子家庭はすでに優遇されている」という主張についてですが、人口を維持するために必要な出生率は2.08。しかし、全国の出生率は1.29。日本中が驚き、今、少子化の対策が必死に進められています。しかし、品川区は0.85とさらに深刻。これで、どうして現状の子育て世支援で十分、優遇されていると言うのでしょうか。

国は少子化社会対策基本法の中で「急速な少子化という現実を前にして、われらの残された時間はきわめて少ない」「子どもを生み育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯止めをかけることが、我らに強く求められている」と述べ、対策の整備を早急に取ることを強調。「次世代支援対策推進法」を制定し、自治体や企業にも子育て支援策に取り組むよう求めています。

さらに、「少子化社会白書・2004年版」をまとめ、少子化の原因や背景として仕事と子育ての両立支援策の遅れ、育児・教育費負担の重さ、長時間労働、フリーターなど低賃金の若者の増大など、国や都道府県、各自治体が英知を結集して対策を行なうことを求めています。今回の中身は、その立場からの提案です。

全国の県庁所在地・政令市・中核市でみると、その大半が、二子目は半額、三子目は無料叉は9割減額です。23区でも、世田谷区、2子目は半額、3子目は無料、中央区、2子目半額、板橋区、3子目無料。この3区は7年前の保育料を値上げした時、制度化されたもの。すでに7年も前から子育て支援策を進めていたということです。

最後に少子化を克服した事例を1つ紹介します。デンマークでは、少子化対策として母親だけでなく父親の育児休暇制度の充実と賃金の全額保障を整備し、少子化傾向にストップをかけ、出生率は1・37が1・8まで回復しました。少子化の問題は、区独自の対策だけでは限りがあります。今こそ、国とともに連携し、取り組むことが必要だと思います。

以上で賛成討論を終わります。

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