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学童保育クラブ廃止条例の反対討論 いいぬま雅子区議

2004年07月08日

第2回定例区議会で、すまいるスクールへの再編成で、学童保育クラブ新たに5館を閉鎖する条例が出されました。7月8日、本会議においていいぬま雅子議員が反対討論を行ないました。

日本共産党品川区議団を代表して、第60号議案「品川区立児童センター条例の一部を改正する条例に反対する立場で討論を行ないます。

第60号議案は、放課後児童健全育成事業の再編成に伴い、平成16年4月1日現在で、在籍児童数が0となった学童保育5館を閉鎖するものです。以下反対理由を3点述べます。

1点目は、本来存続するはずの学童保育クラブが、移行期間もなく突然閉鎖となった問題です。

いかにも、学童保育に通っていた子どもが、スムーズにすまいるスクールに移行したかの印象を受けます。しかし、すまいるスクール事業が始まり3年を迎えますが、まだ実施未定の学校が9校あります。すまいるスクールの中に学童保育を再編成したのは、今年の4月まだ始まったばかりです。問題が山済みの中、子ども達にとって現状がどのようになっているのか、検証も行なわれないまま学童保育の施設を次々に閉鎖することは、あまりにも一方的です。課長の説明によると、今回閉鎖する5館について、「保護者の方に文書を差し上げ、説明すると共に、個別に話をし、別の学童保育クラブに移ることを促してきた」とのこと。すまいるスクール移行で学童保育の人数が大幅に減少することを個々で知らされれば、移動するしかないとあきらめてしまうのではないでしょうか。学童保育クラブ閉鎖で一番心配される事は、子どもへの影響です。学童保育クラブを選ぶ時には、親子で話し合い検討して決めます。学校や家庭からの距離はもとより、友達関係など、3年間の見通しを持って選びます。今回の学童保育閉鎖は、子ども達と指導員が作ってきた友達関係、信頼関係を、行政の都合で突然断ち切ることにならないでしょうか。一人ひとりの子どもの状況を丁寧に見て対応をする姿勢が求められます。少なくとも性急な移行ではなく、全てのすまいるが出来上がるまでの経過措置を求めます。おかあさんからは「すまいるスクールができても、すまいるへの移行を強制せず、すまいるスクールか学童保育かを選べるように移行措置を講じてほしい」趣旨の陳情も出されていました。

2点目は、学童保育クラブ閉鎖により、残った学童保育に児童が集中し劣悪な条件になっている点です。

今回廃止となる大井、原、一本橋学童保育クラブの影響をもろに受けた滝王子学童保育クラブを紹介します。周辺小学校4校にすまいるスクールができ、対応学童保育4館が閉鎖となります。この影響で定員60名のところ94名1.5倍の在籍になりました。昨年は67名ですから大幅な定員超過です。すまいるスクールのない大井第一小学校の受け皿であった大井、一本橋、原の3学童保育閉鎖の影響です。一昨日施設を訪ねました。児童センター併設館であり、親子サロンやトランポリンクラブ参加者など、センター利用者も大変多く、周囲の公園も含め人があふれている状況でした。地域から期待され、職員が精一杯がんばっている様子は伝わってきましたが、この事態は事前に把握できたはずです。地域のバランスを考え学童保育クラブを残す方向が検討できたはずです。

3点目は、改めて基本問題です。

すまいるスクールは、学童保育を包含していると説明しながら、学童保育機能を持たないすまいるスクールは、児童福祉法に反する施設です。このような施設への一方的移行は、実質学童保育廃止であり留守家庭児童の発達の場を奪うものです。

わが党は、「全ての子が対象で、子どもが自主的に参加するすまいるスクールは、学童保育の代わりにはならない。学童保育事業は存続すべき」と主張してきました。3月に改定されたすまいるスクールの実施要綱には、放課後児童健全育成事業(いわゆる学童保育)の文言が明記されましたが、厚生労働省の見解や東京都の実施要綱に盛られている事業内容が全く示されていません。「どの子も分け隔てなく見る」の言葉に表れているように、本来しっかりと把握しなければならない学童保育対象児童の人数把握もしない、専任指導員、専用室など条件整備を行なわず、どうして学童保育と言えるのでしょうか。7月7日新聞報道で学童保育施設1万4678箇所過去最高とあり、「共働き家庭の増加で需要が急増しているが、今後は施設数と共に質の向上も必要」と全国学童保育連絡協議会のコメントが載っていました。品川も学童保育で行なってきた優れた内容を継承すべきであり、事業の後退は許されません。

年金改革で問題になったのが、合計特殊出生率1.29ショックです。年金制度を支えることができない大問題になりましたが、品川区は0.84と更に深刻です。女性の社会進出を応援している先進国ほど出生率を回復しています。子育て支援を口にしながら、なぜ保育園保育料値上げに続き、学童保育を廃止するのでしょうか。品川区は、子育てと仕事を両立しながらがんばる親を応援すべきです。

本条例は、子どもの発達保障と親の就労保障よりも、財政効率を優先し、学童保育廃止を急ぐものでとうてい容認できません。以上で反対討論を終わります。

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