品川区は来年度予算に保育料を9%値上げ、その後9%づつ3年間、27%もの値上げを提案しています。今年は10月から9%の値上げ、それによる3700万円(平年度7400万円)の増収を計上しています。
高橋区長は来年度予算案の編成方針のトップに「未来を担う子どもや子育て世代を力強く支援」を掲げました。それならなぜ、学童保育の廃止に続き、23区で品川区だけが値上げするのでしょうか。
利用者、関係者の意見も聞かずに、負担増を押し付ける保育料値上げの撤回のために力をつくします。
保育料が9%上がると、品川の平均D10階層(所得税21〜24万円)の方は、3歳未満児で月額2万9200円が3万2400円に、27%値上げすると3万7100円に、年額9万4200円も負担増になります。
厚生労働省の委託を受けて品川区は昨年12月と今年1月に実施した品川区の「少子化に関する区民調査」では、「子育てや子どもを育てる上であるとよいもの」(複数回答)の設問に「子育てや子どものための経済援助」が49.6%とダントツトップとなっています。
不況の影響や社会保障の負担増などで四苦八苦。子育て中の親が、経済支援を求めています。子育て世帯に27%も負担増を強いることは、自ら掲げた「子育て支援」反するだけでなく、少子化に追い討ちをかけるものです。
保育園に預ける父母からは「品川区は学童保育クラブの廃止に加え、保育料27%の値上げあまりにひどすぎる」「品川区は子育て支援を語る資格はない」「説明もなく、知らなかった。もう子どもは生めない」など怒りの声が広がっています。
品川区は保育料値上げの理由に「保育に多額な税金を投入することにより他の納税者との均衡をはかる」としています。また「国の保育料徴収基準の現在43%を値上げにより60%に近づける」としています。
しかし、これは区側の手前勝手の一方的主張です。
そもそも、子育てはそれぞれの家庭の問題であるとともに、次代を担う主権者を育てる、社会的な仕事です。待機児解消など保育を充実することは、女性の社会進出を保障する上で重要であり、保育料の大幅値上げは、少子化社会対策基本法、次世代育成支援対策推進法の趣旨にも反するものです。
一方、共働きの女性は働くことにより、所得税や住民税など働いていない女性と比較して以下に述べるように大きな負担をしています。「他の納税者との均衡をはかる」というがこの問題に触れないのは公正さを欠いています。
下の表をご覧ください。
所得税 | 129300 |
都・区民税 | 90800 |
社会保険料 | 392000 |
計 | 612100 |
品川区の保育料負担の平均D10階層(所得税21万円〜24万円)の負担を例に試算しました。所得税、都・区民税、社会保障61万2100円も負担しています。
品川区は「国の保育料徴収基準の現在43%を60%にする」と述べていますが、品川区はこれまで、現在の保育料について「(国の基準は)実情に合わないと考える」(2003年版、品川の福祉)と保育料徴収の国基準以下の現行保育料とする理由を説明してきました。なぜこれまでの立場を変えたのか説明されていません。
国の徴収基準では、保育にかかった費用の半分を国が2分の1、都が4分の1、区が4分の1を負担し、残り半分を保育料として徴収することにしています。
もともと国の負担割合は1984年までは80%、85年は70%、86年は50%と連続して引き下げたことにあります。少子化の下、子育て支援が叫ばれる中、国の負担こそ元に戻すべきです。
今回の保育料値上げはあまりに唐突です。2月2日〜3日、各党への予算案説明の場で保育料値上げの説明がありました。ところが、利用者や保育園父母の会には何の説明をないままです。
高橋区長は、本会議の答弁で「区民あっての品川区だ」と述べているのに肝心の区民には情報の提供も、意見も聞こうとしないすすめ方は大問題です。
あらためて関係者への情報の提供、公聴会の開催を求めます。
参考:保育料(値上げ)新旧対照表(PDF形式)
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