学力テスト小中学校ごとの成績公開
「マスコミが勝手に書いた」というが、教育長が要綱で平均点公開を決めていた!
2003年07月16日
品川区教育委員会事務局は、「4月10日に実施した学力テストの成績を中学校ごと、出身小学校ごとに、各学校ホームページで公表(8月8日)する」としています。
6月9日の区議会文教委員会で沢田議員は「マスコミ各紙が『学力テストの成績を中学校ごと、出身小学校ごとに平均点、正答率をインターネットで公表する』と報道しているが、どうしてこのような報道がされたのか」と質問。若月教育長は「4月21日の外部評価者委嘱式の場で学力テストの成績の結果について何らかの形で公表することを考えております。(公表を)やるとかやらないとかいうようなことは一切そこでは具体的に話していなかったんです。そこに朝日新聞の記者がいたんです。私はそれを知らなかった」「教育委員会が(マスコミから)取材を受けたことは一つもありません」とあたかも新聞が勝手に書いたといわんばかりの答弁がありました。
そもそも、区の主催である外部評価者委嘱式に朝日の記者が出席していたことも不自然です。共産党が朝日新聞に調査をしたところ「様々な角度から取材をして記事にした」との回答がありました。
ところが、外部評価者委嘱式の20日前、4月1日に「品川区立学校における学力定着度調査実施要綱」(教育長決定)がなされ、そこには弟9条(公表)で「区全体・小中学校ごとの実施教科別の平均点を公表する」と決めていたことが共産党の調査で明らかになりました。
マスコミ各紙が、5月7日の紙面で「学校ごとに平均点をインターネット上で公開」と報じたのは、この要綱に基づき区がマスコミに情報を流した、としか考えられません。
学力テストの成績公表問題は多くの区民から「子どもにプレッシャーを与え、心に傷をつけるのでは」「競争教育が一掃激しくするなど」不安が広がっています。こんな重要な問題を若月教育長が教育委員会に諮ることもなく成績公開を決定したことも問題ですが、文教委員会で、事実を捻じ曲げ「マスコミから取材がなかった」と責任をマスコミに転嫁する答弁をしたことは、教育長としての資格が問われるといわなければなりません。
品川区立学校における学力定着度調査実施要綱
制定 平成15年4月1日 教育長決定
要綱第10号
- (目的)
- 第1条
- この要綱は、小学校課程における知識・技能に関する学力定着度調査を実施することにより、指導計画の見直し、指導方法の改善および教職員の資質の向上を図り、もってより一層の学校改善への活性化に資することを目的とする。
- (定義)
- 第2条
- この要綱において「学力定着度調査」(以下「調査」という。)とは、品川区立中学校(以下「中学校」という。)入学時に実施する小学校課程における基礎的内容の定着状況を客観的に把握するための調査をいう。
- (対象)
- 第3条
- この学力定着度調査は、中学校第1学年を対象に実施する。
- (実施時期)
- 第4条
- 学力定着度調査は、中学校入学式の日から5日以内の日で、別に教育委員会が定める日に実施する。
- (方法および内容)
- 第5条
- 1
- 学力定着度調査はテスト方法とする。
- 2
- 出題は、小学校学習指導要領に示されている目標および内容に基づいた国語科および算数科に関する基礎的内容とする。
- (採点等)
- 第6条
- 1
- 中学校は、学力定着度調査を実施したのち、採点およぴデータ表の入力を行い、その結果を教育委員会に速やかに提出しなければならない。
- 2
- 教育委員会は、前項のデータ表の入力結果を基に必要な処理を行い、学力定着度調査を受けた生徒の卒業した品川区立小学校(以下「小学校」という。)に対して、次の事項を記載した結果を送付する。
- (1)
- 区全体・小学校ごとの実施教科別平均点
- (2)
- 区全体・小学校の観点別および設問ごとの正答率
- (3)
- 前2号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と判断する事項
- (問題作成委員会)
- 第7条
- 1
- 教育委員会は、次条に規定する事項を処理するため、学力定着度調査問題作成委員会(以下「問題作成委員会」という。)を設置する。
- 2
- 問題作成委員会は、品川区立小学校および中学校(以下、これらを「小中学校」という。)の校長、教頭、教諭のうちから、教育委員会が委嘱する委員15名以内で組織する。
- 3
- 委員の任期は、年度を単位とし1年間とする。ただし、再任を妨げない。
- 4
- 委員長は校長とし、教育委員会が任命する。
- 5
- 問題作成委員会は、教育委員会が招集する。
- (所掌事項)
- 第8条
- 問題作成委員会の所掌事項は、次のとおりとする。
- (1)
- 学力定着度調査の問題の研究および作成に関すること
- (2)
- 学力定着度調査の問題の採点に関すること
- (3)
- 学力定着度調査の結果の分析に関すること
- (4)
- 学力定着度調査の結果の公表に関すること
- (5)
- 前各号に掲げるもののほか、学力定着度調査の実施に関すること
- (公表)
- 第9条
- 1
- 教育委員会は学力定着度調査実施後、次に掲げる事項について、その結果を公表する。
- (1)
- 区全体・小中学校ごとの実施教科別の平均点
- (2)
- 区全体・小中学校ごとの観点別および設問ごとの正答率
- (3)
- 区全体の傾向および考察
- (4)
- 前各号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める事項
- 2
- 教育委員会が前項の公表を行うときは、学校名を明記するものとする。
- (その他)
- 第10条 この要綱に定めるもののほか、調査の実施に関し必要な事項は別に定める。
- 付 則
この要綱は、平成15年4月1日から適用する。