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一貫校開設準備ニュースNo.2の問題点 区教委一貫校中学校を1学年5学級に変更・「何のための一貫校なのか」深まる疑問

2002年7月30日
日本共産党品川区議団

品川区および区教育委員会(区教委)は2006年度小中一貫校計画をすすめていますが、日野中学区域のPTA関係者から意見や反対の運動が広がっているもとで、当初の学級規模などの変更をおこないました。その内容は区教委発行の「一貫校開設準備ニュースNo.2」に書かれていますが、見直しの問題点などについて述べることにします。

品川区教育委員会の方針

品川区が小中一貫校のについて区教育委員会(区教委)が決定、文教委員会で明らかにされた主な内容は次のとおりです。

(1)小学校各学年3学級、中学校は当面、5学級(当初案では3学級)とする。

(2)日野中の心障学級は移行する。

(3)平成15年以降の児童・生徒の入学について

・日野中学校は現行と同様に受入枠を設け、従来の通学区域内の児童を優先し、通学区域外からの希望者は、受入枠を超えた場合、抽選とする。

・一貫校の小学校の募集は、学校選択性で行い、ブロックの中から選択する。

・中学校の募集は、日野中学校区の子どもを優先し、全区募集は枠を設け、こえた場合は、抽選する。

(4)中学校から入学した生徒には特別の対策を講じる。教育課程は2〜3種類を用意する。

*詳細は一貫校開設準備ニュースNo.2をご覧下さい。

区教委決定の問題点

区教委の方針見直しは、PTAなどの運動により一定の手直しをせざるを得なかったものですが、その手直しが新たな問題を引き起こしています。新しく決まった方針、およびその後の文教委員会の質疑で明らかになった問題点は以下のとおりです。

1.中学になって入学できても、ついていけない、不安が

区教委は「日野中学区の希望する子ども全員を一貫校(中学)に入れるために学級数を4クラスから5クラスに増やした」としています。しかし、一貫校の中学に入れたとしても、一貫校の5年で、小学校の教育課程を終えるなど、特別の教育課程で6年間教育を受けた一貫校から持ち上がった子ども達についていけるか、の不安が生ずるのも当然です。

文教委員会での共産党の質問に青木指導課長は「一貫校に途中から入ってきた子どもに特別のカリキュラムを設けて子ども達の戸惑い、不安をなくすような学習の過程を組みたい」と答弁しています。

これは、一貫校の中学では、できる組、できない組に分けることになります。

このことは子ども達に解決不可能なほどの不安やストレスを生じさせることは当然です。

もともと、区教委は小中一貫校の設立目的を「小学校から中学校に上がる際、子ども達の精神的ストレスを子ども達から取り除き、子ども達にゆったりとして豊かな学校生活を送れるようにしてあげたい」と説明してきました。「一貫校には入れたのはいいが、うちの子はついていけるでしょうか」、こんな新しい不安、ストレスを生むことに対する説得力ある答弁はなされていません。

2.いつの間にか消えた一貫校の全区募集

区教委は一貫校の募集は「小中一貫校は区内に1校となることから、広く区内全域から希望できることを基本とする」(一貫校開設準備ニュースNo.1)と全区的に募集する、としてきました。しかし、今回の区教委の方針は、一貫校の小学校は学校選択でおこなうため、日野中学校区以外の子どもは、一貫校は中学校からしか入学できず、9年間の一貫した教育は受けられないことになります。

希望すれば誰も入学のチャンスがあると宣伝しながら、一貫校の全区募集は中学のみ、しかも一定の枠をつくり、枠を越えれば抽選、これは約束違反といわなければなりません。

3.100億円を超える膨大な建設費

区教委は、わが党の指摘に対し「一貫校は総事業費を100億円かかるといったことはない」と否定してきました。しかし、文教委員会が港区の港陽小学校(各学年2学級、幼稚園、小学校、中学校を合築)を視察しましたが、述べ床面積14,700平方メートルで建設費は78億8千万円。区教委は小中一貫校の延べ床は20,000平方メートルとしているので、単純に比例按分しても、107億円かかる計算になります。この他に総合体育館を合築するとしていますからさらに建設費はかさむことになります。

1年間の教育予算は98億円、年間予算を超える膨大な区費を一貫校設置のために投ずることが正しいのか、も問われています。

取り組むべき、エリート教育の一貫校ではなく30人学級、普通教室のクーラー設置ではないでしょうか

学校では学力の遅れ、不登校、いじめ、学級の荒れなど解決が迫られる多くの課題に直面しています。いま急がれる課題はエリート教育をすすめる小中一貫校ではなく、子ども達1人1人に行き届いた教育の体制、何がわからず、どこでつまずいているか、きめの細かい指導こそ求められています。子どもはわからないことが分かると「やったー」と喜び、勉強が好きになります。そのためにも少人数学級の実現は不可欠の課題ではないでしょうか。

全国では、来年度から埼玉、千葉、茨城、京都など22の県が、なんらかの少人数学級に踏み出しています。

品川区で30人学級実現するためには、小中合わせ必要な教員は110人で8億8千万円、あればできます。小中一貫校に100億円余の財政を注ぐよりも、少人数学級こそ実現すべきではないでしょうか。

また、学校の教室は40度近くになるのに、子ども達の一番長くいる普通教室にはクーラーが設置されていません。区内全ての小中学校の普通教室にクーラー設置の予算はおおよそ1億円でできます。教育基本法10条では「教育行政は教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標としておこなわなければならない」と定めています。

小中一貫校計画の見直しとともに30人学級の実現、教室にクーラー設置こそ急ぐべきではないでしょうか。

<参考>
・ 一貫校開設準備ニュースNo.2
一貫校開設準備ニュースNo.1

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