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学童存続、すまいるスクール充実を求めた4請願に賛成討論

日本共産党区議会議員 なかつか亮 いいぬま雅子

日本共産党品川区議団は、10月24日(金)第3回定例会最終本会議にて9月30日厚生委員会、文教委員会で、審議された請願に賛成討論を行いました。以下発言を紹介します。

なお、発言者による原稿を元に作成しましたので、ご了承下さい。

「参考資料」 請願4件 署名数合計11005人

請願第11号
「学童保育クラブをスマイルスクールに統合することについて慎重審議を求める請願」 
請願第13号
「早急な学童保育反対!父母の意見をよく聞いて慎重な審議を求める請願」
請願第14号
「学童保育のすまいるスクールへの移行、再編成の実施について納得のいく説明を求める請願」
請願第15号
「学童保育クラブと、すまいるスクールの充実を求める請願」

なかつか亮(共産党)の賛成討論…厚生委員会で審議された請願11、13、14号

私は日本共産党品川区議団を代表して、請願第11号、第13号、第14号、第15号のうち、厚生委員会付託分の4請願に賛成し、ただいまの厚生委員会委員長報告に反対する立場から討論を行います。これらの請願は11000筆余りの署名が添えられ、本定例会に提出されたものです。問題を3点に絞って述べます。

1つ目は、すまいるスクールは、児童の生活の場、家庭に代わる子供の居場所が保障されていないという点です。「自分が昼間働いていることで、放課後寂しい思いはさせたくない」「友達と仲良く過ごしてほしい。」これらは親にとって、共通の願いです。学童保育クラブは、こうした親の願いから生まれ、親と子、そして職員が共に力をあわせ進めてきた子育て事業です。

先日の決算特別委員会総括質疑、沢田議員の「来年4月以降、学童保育クラブの子どもが、すまいるスクールに行きたくないといったとき、どのように対応するのか」との質問に対し、福祉事業部長は「個々のケースには答えられない」と、なんら具体的な対応を示すことができませんでした。これこそが、すまいるスクールが働く親の不安に答えられない、象徴的な発言です。請願に述べられている意見「すまいるスクールは従来の学童保育の代わりにはならない」「児童の生活に危険性と不安を感じざるを得ません」は当然です。

生活の場について、児童福祉法には「適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業」と遊びと生活の場を、それぞれ整備することを示しています。しかし、福祉事業部長は児童福祉法に記された「生活の場」を「遊びを通しての生活の場」という勝手な見解を述べました。これは児童の生活の場を記した、児童福祉法に反すると思います。

2001年厚生労働省は、全児童を対象とする学童保育事業の国庫補助の基本的な考え方『8つの基準』を定めました。ここでは、定員の設定、1人あたりのスペース、専任指導員の複数配置、定員分のロッカー、児童の所在確認の体制の整備、連絡帳や保護者会など日常的に保護者と連絡が取れる体制などをしめし、どれも、子どもの生活の場にとって、欠かすことができない基準です。現在のすまいるスクールは、これらが示した最低限の国基準すら満たしているとは言えません。

2つ目は、今、政府は不十分ながらも、少子化・子育て支援対策として、学童保育事業を進めている時に、品川区はその逆を進んでいるという点です。急激な少子化を改善しようと、厚生省は97年に児童福祉法に学童保育事業を、始めて位置付けました。今年6月、厚生労働省は「放課後の全児童対策をやれば、留守家庭対策としての放課後児童健全育成事業が代替できるとは思っていない」という見解を発表。9月には少子化社会対策基本法を施行し、第11条に、学童保育の拡充のために必要な施策を行うことを明記しました。学童保育クラブの廃止は、こうした流れに逆行するものです。

3つめは、あまりにも突然の廃止、保護者の意見を聞かず、結果を押し付けるトップダウンの区政運営です。6月30日厚生委員会で始めて発表され、8月中旬には区長決定、8月26日学童廃止の日程を発表。この間の2ヶ月間は保護者が説明を求めても、区は回答を拒否しました。9月に入り、それぞれの学童保育クラブで説明会が行われましたが、部課長など責任者は出席せず、保護者の意見や疑問に答えるものではありませんでした。11月には9施設の学童保育クラブの募集停止が行われます。一刻も早く教育委員会、福祉事業部の合同説明会の実施を求めます。

このような、決定の押し付けは、区民不在の独断専行の区政であり、高橋区長の選挙公約「開かれた区政をさらに進める」「多くの区民の皆様のご意見をもとに力の限り品川区政に携わっていきます」に違反することは明らかです。

最後に、38年余りの歴史のある品川の学童保育クラブを、発表からたった7ヶ月で9施設廃止、2年後には全廃。これは、子育て事業の歴史を逆行するもので、区民にはとうてい理解されません。私も品川の学童保育クラブにお世話になりました。今の子どもとたち、これからの子どもたちのためにも、学童保育事業を残してほしいと思います。学童保育クラブの廃止は、「住民の福祉の増進」を目的とする、地方自治体の役割を投げ捨てるものです。よって日本共産党品川区議団は請願11,13,14,15に賛成し、厚生委員会委員長報告に反対します。学童保育クラブ廃止に強く抗議し、学童保育事業の存続を求め反対討論を終わります。


いいぬま雅子(共)賛成討論…文教委員会で審査された請願15号

日本共産党を代表して、請願第15の2号「学童保育クラブとすまいるスクールの充実を求める請願」に賛成し、文教委員長報告に、反対の立場で討論を行ないます。

すまいるスクールは,児童センターとともに、子どもの居場所として期待されています。ところが、来年4月、学童保育のすまいるスクールへの移行が実施されれば、学童保育にとっても、すまいるスクールにとっても事業の大幅レベルダウンになり、父母の方々は心配でなりません。すまいるスクールの改善充実を求めるものです。

1点目は、職員体制です。

来年4月以降のすまいるスクールの職員体制を知って不安にならない保護者がいるのでしょうか。

4月廃止される西品川学童保育の子どもが、移行するすまいるスクール三木では、子どもが100名以上と現在通っている子どもの2倍の人数に膨れ上がるのに、職員体制は専任指導員1名+非常勤指導員4名と移行前の人数と変わりがありません。子どもが2倍に増えるのに、専任3名と非常勤1名の合計4名もの職員が減らされます。これでは、子ども達の安全確保がされないばかりか、子どもと指導員の関係が希薄になり成長の援助ができなくなり、これは大問題です。

子ども達は、ビデオ、携帯電話やメールの広がりで、人との直接的な関係から離れたヴァーチャルなコミュニケーションの中で育っています。「人の話が聞けない。友達と上手に関われない。すぐに手が出てしまう」など、問題点として現れています。「人とのつながりやぬくもり」を実感できる人間関係の回復は切実な課題です。専門家はこのように言っています。「子ども達と一緒に遊び、一人ひとりのよさを引き出しつなげていく指導員の役割こそ、今求められている」と。すまいるスクールでも「つながり、ぬくもり」回復に為、指導員の存在が重要です。また、子育ての孤立化などに悩む親への支援は、区も積極的に取り組もうとしていますが、ここでも経験豊かな指導員が力を発揮します。子どもを、家庭の状況も含め理解をしている指導員だからこそ、援助ができるのです。現在1人の専任指導員は、コーデイネ―ターの役割と言われていますが、登録児童100名から400名の子どものことを家庭状況も含め、非常勤指導員に伝えることができるでしょうか。人間ワザではありません。専任指導員の複数配置をはじめ、現在の学童保育とすまいるスクールの現体制水準を守る事は最低条件です。財政効率追求の統廃合には反対をします。

2点目はスペースの問題です。

スペース確保は、深刻です。先発4校は、空き教室に恵まれていましたが、後発15校の中には、空き教室がなく、ゆとりのスペースであるランチルームや会議室を提供したり、習熟度学習の教室、家庭科室、図書室など兼用になっているところがほとんどです。空いている時間を活用するのは当然ですが、学校のゆとり教室を奪い、やりくりに苦労しているようでは本末転倒ではないでしょうか。また1階から2階、3階への移動、体育館が地域解放で4時以降は使えない、6年生の教室の隣で、授業が終わるまでは静かにしていなければならないなど制約も多く、雨の日には超過密状況が生まれ、事故にもつながりかねません。個々の学校により条件が違います。学校教職員、保護者、地域の方々の意見を十分に聞き改善が必要です。

このように、学童保育のすまいるスクールへの統廃合は、多くの問題点があり反対をします。

最後になりますが、すまいるスクール事業を支える非常勤指導員の待遇改善を求めます。一日の労働時間が5時間、週2日から5日の不規則勤務です。どんなに熱心な人でも、週5日勤務月12万7千円の賃金。交通費はなく、保険も、年金もありません。研修が不十分な中で、子どもの名前を一生けんめいに覚えても、一年雇用では、努力が報われません。自治体として、安上がり、不安定雇用推進を切り替え、同一労働、同一賃金へと方向転換を求めます。

以上、請願の主旨である、すまいるスクールの改善充実を求め、反対討論を終わります。

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